N高等学校の生徒を対象としたふたつの新事業が発表
本日2015年12月10日、東京・六本木にあるニコファーレにて、“カドカワ×坪田塾 新事業発表会”が開催。発表会には、川上量生氏(カドカワ代表取締役社長)と坪田信貴氏(ビビッド代表取締役塾長)が登壇し、東京大学を目指す全寮制の個別指導塾“N塾”の設立を発表した。
さらにカドカワは、バンタンと共同で、プログラミングに特化した専門スクール“バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール”を2016年4月に開校することも発表。発表会では、川上氏、坪田氏が、新事業にかける意気込みなどを語った。なお今回発表された“N塾”および“バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール”は、いずれもN高等学校の生徒のみが受講可能だ。
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・即戦力のIT人材を養成する専門スクール“バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール”が2016年4月に開校へ
新事業発表の前に、まずN高等学校について改めて説明が行われた。N高等学校は、2016年4月開校予定のネットの高校。いまのネット社会に対応した新しい高校として、授業やレポート提出はネットで行い、時間を問わず自身のペースで授業を受けたり質問をすることが可能。また、空いた時間に、プログラミングやライトノベル、ファッション、ゲーム、美容など多種多様な課外授業をネットで受けたり、全国各地で職業体験をすることで、社会で役立つスキルを早期に身に付けることができる高校だ。
N高等学校発表後には、“ぜひ、入学したい!”というような大きな反響があったそうだが、逆に“本当にネットだけで勉強できるのか?”という声も多数あったそう。そのことについて川上氏は、「万能ではないにしても可能だと思っていますが、現時点では世の中に理解してもらうのは難しいことだとも理解しています」と説明。またネットで勉強することの利点について“自由な時間が増える”と語り、その自由な時間を有効活用するためのひとつの選択肢として、この後に発表するコースが開校される運びになったとのこと。
そして、発表されたのが、プログラミングに特化した専門スクール“バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール(以下、プロハイハイ)。N高等学校は、高校卒業資格を取得するだけでなく、社会を生き抜くのに必要なスキルを与えるということを目的としている。そのスキルのひとつとして、現在人材が不足していると言わるプログラミングが選ばれたという。ちなみに学習するプログラミング言語はJavaScriptが中心になるとのこと。
プロハイハイ卒業後はN高等学校の強みを活かした進路選択ができるという。プロハイハイでN高等学校1年次にプログラムの勉強をして、2年次、3年次には、インターンシップからそのまま正社員として入社したり、さらにスキルを追求するために大学を目指して受験勉強を行ったり、ファッション関係の勉強をして、アパレル企業に就職したり、自由な進路選択が可能となっている。
また、川上氏は、「プログラムができれば(就職などには)学力はあまり関係ない」と語り、プロハイハイの講師である草野翔氏が17歳でドワンゴに入社したことや、ドワンゴが過去に大学・高校在学中の人材を正社員として採用したエピソードを明かした。そして、現在はそれだけ人員が不足していて、学歴など関係なく、プログラミングの技術があれば採用するという時代になってきていると解説。プロハイハイでは、1年間でしっかり勉強することで、N高等学校在学中に就職を決めるということがありえるということで、それを実現して“プログラミングさえできれば世の中で生きていけるんだ”ということを証明したいと想いを話した。
続いて、坪田氏が登壇し、東京大学を目指す全寮制の個別指導塾“N塾”を発表。“N塾”は、東京大学進学を希望する生徒に対して、最適な学習環境を提供する全寮制の個別指導塾。塾長は『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者であり名古屋で子別指導塾“坪田塾”を運営する坪田氏みずからが務め、坪田塾の講師陣が生徒の素質に合わせ東京大学進学に特化した指導を行う。塾生は、栄養管理士による朝夕食事付きの寮で生活しながら、坪田塾の学習スペースを使って、受験に集中した生活を送ることが可能。また、N高等学校では、ネットを中心とした学習で高校卒業資格を取得することができるため、通学のための拘束時間がなくなり、空いた時間を効率的に受験勉強に使うことができるのだ。
川上氏からは「やはりN高等学校にお子さんは“通いたい”と言ってくれていますが、親御さんを説得するのは大きなハードルだと感じています。その説得するひとつの方法として東大生を実際に出すことが、N高等学校の意識を変えていただける大きなポイントになるんじゃないかと思っています」とN塾開校の経緯が語られた。また、坪田氏からも、「N高等学校の話を聞いたときに、本当に理想的な高校だと思いました」と川上氏の想いに共感したことから、N塾の塾長を務めることを決意したということも明らかになった。
N塾の入塾条件に関しては、高校卒業資格を有していない、15~85才までの男性のみ。男性のみという点については、全寮制ということもあり、いろいろな観点から2016年度は男性だけの募集となる。来年度以降については現在検討中とのこと。定員は30名で、入塾者はテストでを選考されるが、テストは学力だけがすべてではないという。坪田氏によると、大学によって求めている人材が違い、今回は“東大に入学した後に全力を尽くせる人”かどうかなどの適性を含めて判断する方針だ。
最後に「(N塾は)N高等学校の可能性を世の中に認めてもらうための大きな試練だと思っています。そのためにこのN塾で、N高等学校というインフラを使って、“東大生も出せる”ということを示していければなと思います。そして、その最高のパートナーとして坪田先生が協力していただけるのは、非常に幸せです。よろしくお願いします」(川上氏)。「僕は、川上さんの想いに共感していますし、尊敬もしています。ぜひ、N高等学校が成功してほしいという想いもあります。(この取り組みが)日本を変えるのかはわからないですが、日本をもっとよくすると思います。少なくとも選択肢を増やすということにはなると思うので、全力を尽くしたいと思います」(坪田氏)と、ふたりから熱い意気込みが語られ、発表会は終了した。