『サドンアタック』との違いは?

 韓国・釜山で2015年11月12日から15日まで行われた、同国最大のゲームショウ“G-STAR 2015”。その会場でもっともゲーム大会が盛り上がっていたタイトルのひとつが人気FPSの最新作『サドンアタック2』だ。その開発会社NEXON GTの開発総括本部長キム・デフォン氏にタイトルの魅力と前作からの変更点などを尋ねた。

 前作『サドンアタック』は、106週連続PCカフェのランキング1位、韓国国内最高同時接続者数が35万人など、同国で数々の記録を打ち立てている。

『サドンアタック2』重要視したのは打撃感とスピード感──NEXON GT開発総括本部長キム・デフォン氏インタビュー【G-STAR 2015】_01
▲NEXON GT開発総括本部長 キム・デフォン氏

──本作で2作目となるタイトルですが、『サドンアタック』としての魅力と、それがどのように『2』に継承されているのかをお聞かせください。

キム・デフォン氏(以下、キム) 1作目の長所を継承しつつ、『サドンアタック』だけが持っている特徴である軽快さだとか、操作機能だとかを『2』にも活かすようにしました。打撃感というものをプレイヤーにリアルに感じていただきたいので、アニメーションやエフェクト、サウンドなどにもかなり気を配って作っています。コンテンツの多様化もしています。それからビジュアル的なクオリティアップも図りました。

──打撃感とは具体的には?

キム 皆さんが会場でプレイしたバージョンは青少年バージョンなので、血のエフェクトなどに制限が付き、あまりリアルには表現できていません。G-STARには学生さんが多くいらっしゃるので、いまお見せできるのはそれだけですが、18歳以上のバージョンをもしプレイしていただけたなら、もう少しリアルなものをお楽しみいただけると思います。青少年バージョンは、血がでるべきエフェクトを黒い煙に代えたりしているのですが、制限がないものでは、ちゃんと血の表現がされています。

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──年齢によるバージョンの違いはそこだけでしょうか?

キム 抜けている部分は血の表現だけです。ただ、『サドンアタック2』でいちばん力を入れているのは打撃感というポイントで、血の効果がないとプレイヤーが受け取る印象が変わってくると思います。血の出かたですとか、スピード感ですとかはいろいろと試行した成果の部分なので、そこをお見せできないのは非常に残念です。

──先ほど絵のクオリティに力を入れていると語られましたが、血の表現や打撃感以外にどんな部分に気を遣っていますでしょうか?

キム 『サドンアタック2』では、最新のUnreal Engine4でなく、Unreal Engine3、厳密には3.8を使用しています。4を使うには、まだ早い段階だと判断したためです。Unreal Engine3を使うにあたり、物理基盤レンダリング(※)を施していて、それにより、金属の表現がかなりよくなっています。光の当たり方などいろいろ工夫しています。ただし、これはPvEの話で、PvPのマップには適用していません。PvPでは相手の美しさより、見やすさなど、PvPをするにあたってプレイヤーの皆さんが遊びやすくなるようにするためです。一般的な家庭用ゲーム機のパッケージのゲームでも、PvPではグラフィックの向上を図るというよりは、プレイヤーの快適さを考えますので。

※物理的な光学現象を、厳密に数式によってモデル化したレンダリング手法。

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──女性キャラクターも綺麗に表現されていますね。

キム Unreal Engine3を使って銃の金属感をクオリティアップするのと同時に、今回、女性キャラクターをどれだけ美しく見せられるか、という部分にもかなり気を遣っています。会場でミヤとキムの女性メインキャラクターふたりをご覧いただいていると思いますが、こうした『サドンアタック2』のようなゲームで女性キャラクターを愛らしい感じにすることによって、ギャップを表現したかったんです。FPS向きの男性キャラクターを使ったゲームはたくさんあると思いますが、『サドンアタック2』はスピード感のある軽快なテンポのゲームですので、そうした部分を女性で表現したかったということもあります。それらのギャップや、愛らしい女性の姿を楽しんでいただくのも、ひとつの楽しみになるのではないのかと考えています。

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──彼女たちを操作できるのでしょうか? また、ほかにも操作できるキャラクターがいるのでしょうか?

キム 彼女たちはプレイヤーが操作できるキャラクターです。現在は12タイプほどキャラクターがいますが、これからも増やしていく予定です。彼女たちふたりは、愛らしい女性キャラとしてアピールするために今回前面に出していますが、従来の重い感じのキャラクターなどもいます。いろいろ楽しめる、“多様化”の視点で設定をしています。

──彼女たちを主人公にしたミッションなどはあるのでしょうか?

キム まだあまり詳しくは話せませんが、それぞれのキャラクターの特徴をプレイヤーが感じ取れるコンテンツをPvEで楽しめるようにします。

──キャラクターをカスタマイズしたり、オリジナルのキャラクターを作ることは可能ですか?

キム 『サドンアタック2』ではキャラクターのカスタマイズはできません。その代わりに、たくさんのキャラクターの中から選んでいただくという形になります。ただし、腕だけは腕時計やタトゥーなどのカスタマイズができるようにする予定です。アップデートでの対応など、最初から入っている訳ではないかもしれませんが。

──洋服なども着替えられないのでしょうか?

キム プレイヤーの反応次第で追加を検討しようと思っています。まずは銃のカスタマイズを楽しんでいただいて、キャラクターもオシャレに変化させたいというプレイヤーの要望があるようでしたら、そのときにもう一度検討したいと思います。

──その武器のカスタマイズはどうなっているのでしょう?

キム 武器は『サドンアタック2』をプレイするに当たって重要な部分、プレイ中にたくさん見るものなので、ひとつの武器につき6ヵ所以上のカスタマイズができるようにしています。カスタマイズできる部分以外にも、スキンを変更できるので、自分の個性に合った武器にできますよ。

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──パーツなどのカスタマイズ要素はゲームをプレイすることで入手するのでしょうか?

キム ほとんどのものはプレイ開始時から使用できますが、特別なデザインのスキンや特殊なものに関しては、長時間のプレイを通して入手できるようにしています。

──武器のパーツを変えると性能も変化しますか?

キム 劇的な変化はさせていません。極端に強くなるカスタマイズなどができないように、バランスを調整しています。PvPでの公平性を考えて、このような仕様にしました。

──逆に変化のある部分はどこでしょう?

キム 武器の重さを軽くすることで、移動のスピードがちょっとだけ速くなったりすることはあります。ただし、これはメリットだけではなく、装填が遅くなったりなど、デメリットも付けるなどをしてバランス取りをする予定です。

──カスタマイズの要素はPvPとPvEで共通なのでしょうか?

キム PvPはバランスを調整するときに公平性を重視しますが、PvEに関しては武器ごとに性能の違いを出す可能性があります。銃は20種類ほど、カスタマイズできる場所ごとにパーツを3~4種類ほど用意する予定です。ロンチでは3種類ぐらい公開して、アップデートごとに追加していこうかと思っています。

──『サドンアタック2』になって増えたり、大きく変化したりしたような銃はありますか?

キム ベースとなる銃は1作目とそれほど変わらないのですが、カスタマイズを通して、プレイヤーが姿を自分で選べるようになったというのが大きなポイントです。

Squad Warという特殊なモードを用意

──モードにはどんなものがあるのでしょうか?

キム PvPには基本的なモードが多いです。『カウンターストライク オンライン』でもそうですが、プレイヤーが好きなモードが決まってくるので、あまり人の集まらないモードを控えて、人の集まるモードを重視しています。チームデスマッチ、爆破ミッションなどのモードがあります。

──1作目から消えたものや新しく加わったものはあるのでしょうか?

キム 『2』だけのPvPモードもありますが、まだ公開は控えさせてください。マップに関しては1作目でお馴染みのマップもあれば、まったく新しいマップも用意しています。『サドンアタック2』にはSquad Warという特殊なモードを用意しています。シナリオベースのゲームではこういったモードが入ることがあるとは思うんですが、PvPの『サドンアタック2』のようなタイトルでこういったシステムを導入するのは始めての試みになると思うので、すごく楽しみにしています。

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──そのモードというのは、プレイヤーは1対1ですが、それぞれNPCを連れた分隊を組んでいるということでしょうか。

キム そうです。PvEでも先ほど述べたようなプレイヤーが驚くようなシステムを計画はしていますが、まだ公開できません。

──日本での公開時期は、どういった形で視野に入れていますか?

キム まだ決まっていません。NEXONと協議中です。

──オンラインFPSとしては『サドンアタック2』はかなり後発になっていますが、このタイミングにした意図は?

キム 戦略的にこのタイミングにした訳ではなく、『サドンアタック2』の形が見えてきたので、このタイミングになりました。

 インタビューの時間はあいにくここで終了となったが、取材当日、記者のおぼつかない腕で試遊の対戦に参加してきたところ、そこはFPSに熱の入った国、韓国。案の定、リスポーン後、即倒されるのくり返しだった。だが、そんな記者ですら、美しさやキム氏のいう打撃感は味わえたつもりだ。韓国では2016年夏に配信予定のこのタイトル、しばらく動向から目が離せなさそうだ。

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