落書きのような見た目からは想像もつかない、重厚な冒険譚

 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_03

 なんだこれ。思わずツッコまずにいられない、なんとも味わい深い見た目の RPGは。

 しかも、この絵に加えて、主人公の名前は “ああああ”。しかし本作は、見た目に反して深い感動のある新感覚のファンタジーRPGだった。

 ゲームは、王道 RPG的展開から幕を開ける。母親は、「ああああ、起きなさい。今日は王様に挨拶に行く日でしょ」と言うが、“ああああ ”などと呼ばれて主人公に愛着が湧くわけがない。

 ところが。“ああああ ”を信頼して冒険に送り出す王様、“ああああ ”に恋をするヒロイン、“ああああ ”とぶつかりながらも力を認め、助け合うライバル、“ああああ ”は特別おかしい名前というわけではないかのように振る舞う周囲の人々。

プレイヤーはいつしか “ふつうの RPG”として世界に入り込んでいくような内容になっている。

 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_06
▲名前は適当っぽいが(見た目もだが)、まごうことなき“勇者”の物語が描かれることに。

見た目に反して、骨太すぎるバトル

 攻撃の方法はふたつ。敵をタップして攻撃するか、画面をしゃかしゃかとスライドするか。後者は攻撃力が高いが HPも減る。ボス戦はこの戦法をうまく使わないと苦戦する。敵の名前も “へんな虫 ”など雑。

 だが、レベルを上げず、装備も整えずに闇雲に突き進むと、すぐに敵にかなわなくなることがわかる。見た目からは伝わりづらいが、このゲーム、雑ではない。

 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_02

見た目に反した展開にやめられなくなる?

 くり返すが、このゲームは、じつは雑な作品などではない。雑どころか、つぎつぎと明かされていく謎や心が抉られるストーリーなど、落書きのような見た目であることを忘れさせるとでも言わんばかりに、それ以外の部分が徹底して重厚に作られている。

 終盤に、なぜ主人公の名前が “ああああ ”と名づけられたのかが明かされる。この名前ゆ
え、最初はどこか他人事のように感情移入しにくい。だが、理由が明かされた瞬間から、正真正銘、勇者 “ああああ ”として世界を救いたい、そう強く思えるはずだ。

 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_04
 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_05
▲見た目に反して、血を抜かれるヘビーな描写も。逆に、見た目そのまま(?)に、ユーモアあふれる“スタップ(?)細胞”などのアイテムも登場する。
 『勇者ああああ』 雑(?)なビジュアルなのに感動する、新時代のRPG【とっておきインディーVol.52】_01

勇者ああああ
メーカー リイカ
対応機種 iOSiPhone/iPod touch / AndroidAndroid
発売日 配信中
価格 無料
ジャンル RPG
備考 対応機種:iPhone、iPad、iPodtouch(iOS 6.0以降)対応、Android 2.3以上対応