『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』メーカーの垣根を越えた開発者クロストークインタビューを公開【第一回】

『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』のディレクター:森住惣一郎氏、プロデューサー:塚中健介氏の両名と、各メーカーのクリエイターを交えたクロストークを実施。メーカーの垣根を越えたクロスオーバータイトルの監修時のエピソードや苦労話、見どころをうかがってきた。第一回は『デビル メイ クライ4 スペシャルエディション』のディレクターを努める伊津野英昭氏を交えてのクロストークをお届けする。

●メーカーの垣根を越えたクロストークインタビュー【第一回】

 『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』(以下:『PXZ2』)のディレクター:森住惣一郎氏、プロデューサー:塚中健介氏の両名と、各メーカーのクリエイターを交えたクロストークを実施。メーカーの垣根を越えたクロスオーバータイトルの監修時のエピソードや苦労話、見どころをうかがってきた。第一回は『デビル メイ クライ4 スペシャルエディション』のディレクターを努める伊津野英昭氏を交えてのクロストークをお届けする。


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[写真左]バンダイナムコエンターテインメント CS事業部 プロダクションディビジョン 第1プロダクション2課チーフ 塚中健介氏
[写真中]モノリスソフト ディレクター 森住惣一郎氏
[写真右]カプコン ディレクター 伊津野英昭氏

●ダンテとバージル、時系列の相違による再現時のこだわり

――まずは、伊津野さんが、『PXZ2』で監修を担当されたタイトルを教えてください。

伊津野 今回は『デビル メイ クライ』(以下:『DMC』)シリーズの監修をさせていただきました。前作のときは『私立ジャスティス学園』シリーズも見ていましたね。

――前回は2タイトルを監修されていたんですね。今回は『DMC』一本ということで、ガッツリと見ることができたんじゃないですか。

伊津野 はい。ただ今回は時期的に『DMC4 スペシャルエディション』の作業と重なっていたので、修羅場ではありましたが。

森住・塚中 そんなタイミングで監修をお願いしてしまってすみません(笑)。

伊津野 でも、手の届くところに資料がいっぱいあって、周りにスタッフもいっぱいいたので、スムーズに監修できたのはちょうどよかったです(笑)。

――タイミング的にはよくもあり、悪くもありという状態ですね。今回はダンテとバージルがペアユニットということになっていますが、ふたりはどの作品からの出典になっているんですか。


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森住 ダンテは『DMC』第1作のストーリー中のものになっています。バージルは『DMC3』が終わった直後のものになりますね。『DMC』シリーズの時間軸は、『3』→『1』→『4』→『2』となっていて、第1作のときのバージルは、とある状態になっているので登場しません。その直前の状態となっています。『1』には、敵として立ちふさがるネロ アンジェロというキャラクターがいて、本来はバージルとネロ アンジェロが出会うことはないんですが、今回は時系列を少しだけずらしているため、このネロ アンジェロとバージルの対峙シーンが登場します。このあたりは、クロスオーバーゲームならではの演出になりますね。マレット島にたどり着いたダンテが、鏡のある部屋でネロ アンジェロに「掃き溜めのゴミにしちゃ、ガッツありそうだな」って言われる有名なシーンも再現しています。そこにバージルが登場して、ふたりでネロ アンジェロに挑む、といったお話になっています。

伊津野 でもダンテとバージルがツープラトン攻撃をするのは、『DMC3』の最後でちょっと出てきたくらいで、シリーズ中でもほとんどないんです。それこそ『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』(以下:『UMVC3』)でもなかったですし。ずるいですよね(笑)。

塚中 クロスオーバーゲームだから、そのあたりは自由にやらせていただきました。

森住 原作ではできなかったからこそ、あえて挑戦させてもらった部分もありますよね。

伊津野 『DMC3』のいちばん盛り上がるところで、ユーザーに喜んでもらおうと入れたシーンを、ずっとやっているんですよ(笑)。

一同 笑

――なるほど。遊ばれるユーザーの方も、そのあたりを留意してプレイしたら、より深く楽しめそうですね。

森住 それから、時系列が少しずれているというところで、バージルに関して「あれ、使っている武器がおかしくないか?」と感じる方が出てくるかもしれません。『UMVC3』でバージルが使っていた、フォースエッジという剣を『PXZ2』でも使っているんですが、物語的にはこの剣は『DMC3』の最後に手放していて、『DMC』でダンテが手にすることになっているんです。つまり、『PXZ2』に登場するダンテが持っているというわけですね。ただ、『UMVC3』のワザを再現する以上、バージルも剣を持っていなくてはならない。そこで、閻魔刀(ヤマト)という武器に持ち替えさせました。これはカプコンさんに監修をお願いしたときにも、「このワザの武器が違ってないですか?」とのご指摘があったのですが、時系列のズレによってフォースエッジが2本になってしまう矛盾点を説明した結果、「そういった理由であれば、武器の変更に関しては問題ありません」との了承をいただけました。

――そういったワザの数々ですが、かなり細かなアニメーションで再現されていますよね。伊津野さんは『PXZ2』で動いている戦闘アニメーションを見られたときは、どのような印象を持たれましたか?

伊津野 正直に言うと、すごくうらやましかったです。もともと自分は2Dの対戦格闘ゲームをずっと手掛けてきたので、そちらの職人魂が疼きましたね。「これ、アクションゲームにするんで、僕らにキャラクターくれませんか?」って思ったくらいです。こんなにキャラクター動いているのに、アクションゲームにしないのもったいないですよね(笑)。

森住 僕も考えたことはあるんですが、実際にアクションゲームにするとなると、パターンをもっと用意しなくてはいけないんです。ほとんどのキャラクターは歩きモーションすら持っていないですからね。ダンテは敵を打ち上げて、歩きながら撃つという攻撃があるので歩きモーションがあるんですけど。でも、なにより「回転と歩きは大変すぎる」って原画を起こす人間が嫌がりますね(笑)。

――もともとは3Dで作られていた作品のグラフィックを、2Dで再現するというのは大変な作業ですよね。

森住 そうなんです。悲しいかな、ポリゴン全盛の現代ではドット絵自体が古典的な技術になりつつあるので、けっこう大変でした。今回もドット絵はモノリスソフトで作っているわけではなく、外部に委託しているんです。その委託先に話を聞くと、かつて名のある作品を手掛けられていた錚々たる職人さんたちがいらっしゃるんですよね。


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塚中 キャラクターの作り方ですが、最初に原画を起こしたあと、パーツごとに分割したものを作っていきます。ただ、このパーツごとに監修を出すと、監修をしていただく方が「これは何?」となってしまうんです。逆に、アニメーションとして動いている状態であれば、プレイヤー視点に近いものを見ていただけるため、『PXZ2』の監修の方針としては動画にまで仕上げたものをお渡しして見てもらっています。

森住 監修に出す際も、僕がチェックをして、開発チームとして、この状態で製品版として出せますという状態になったものを提出しています。この方法は、根本の部分でNGになった場合、すべて作り直しになる危険性もありますが、登場するキャラクター数も多いですし、初期段階から細かくチェックを依頼していては、監修作業が煩雑になってしまうので、このような方法をとらせていただいております。幸いにも、大きく覆るような修正指示をいただかなかったのはありがたいことですね。

――グラフィック面の再現も苦労されているようですが、どのワザを選ぶかといったセレクトも大変ですよね。

森住 こちらに関してですが、ゲームって遊んでいると、段々使うワザって固定されてくるんですよね。そういった基本的なワザを中心に構成を考え、そこに「あ、こんなワザもあったよね」というマニアックなものをひとつかふたつ入れたり、ゲーム本編では登場しないけれど、アニメ作品やマンガで登場するネタをエッセンスとして入れてみたりしながら調整しています。マニアックなワザは、監修を提出する際に「これは原作にはないですが、アニメに登場するネタになります」といった注釈は付けさせていただいています。『DMC』シリーズは作品数も多いので、ワザのセレクトはしやすい作品ですね。ただ、回転する動きのワザが多くて、ドット絵で再現するのが大変でした。

伊津野 苦労されたぶん、キャラクター愛が感じられる動きになっていますよね。

――このクオリティーのものを提出されるのなら、チェックもしがいがありますよね。シナリオ部分に関しては、膨大なキャラクターが登場して、さまざまな絡みがあるため、すごい量になると思うんですが、すべてを監修してもらっているんですか。

森住 ほかのキャラクターとの掛け合いもあるので、そのキャラクターのセリフだけを抜き出すわけにもいかないんですよね。ですので、基本的には丸々シナリオをお渡ししています。ただ、『DMC』であれば、シナリオ部分でダンテとバージルのところだけ色を変えるなどして、監修していただきやすい形にしています。

――なるほど。それなら、見たいところはしっかりと確認できそうですよね。そう言えば『DMC』って、ほかの作品のキャラクターと絡むというのはこれまであまりなかったですよね。

伊津野 そうですね。基本的にはウェルカムな方針なので、もっと話をいただいてもいいですよというスタンスは取っているのですが、絡ませづらい雰囲気でもあるんですかね(笑)。

森住 今回、『PXZ2』ではシナリオ的に“悪魔チーム”という扱いになっていて、『ヴァンパイア』チームともともと面識があるといった絡みを用意しています。