“一緒に観る”映像体験がバーチャルに進化

 Oculus VRが北米で、VRヘッドマウントディスプレイ“Gear VR”向けの新プログラム“Oculus Social”のα版を配信開始した。

 Oculus Socialは、VR空間内のホームシアターに集まって一緒に映像を観ることができるという、一種のバーチャルリアリティ版映画館のようなもの。現在は海外ゲーム映像配信大手のTwitchと、オリジナル映像の配信サービスのVimeoの映像を視聴可能で、将来的には映画の同時視聴なども可能になる予定だ(ホストが同席者に視聴権をシェアする形で、すでにその際の規約が存在する)。

この体験は新しい! 友達とVR空間内のバーチャルシアターでTwitchのゲーム配信などの映像を観て過ごせる“Oculus Social”を体験_01
▲アバターの生首がちょっとゴージャスなホームシアターに座っている感じ。最大で5人が同席可能。

 早速トライしてみたのだが、これがもう、未来を感じまくる新時代の体験。映像がちゃんと同期再生されるので、ボイスチャットでダベりながら同じタイミングで笑ったり驚いたり、本当に同じ部屋で一緒に映像を観ているかのような体験ができる。各プレイヤーの顔の向きなどもアバターに反映されるので、誰がどっちに向かって喋っているかもわかって、ちゃんと相手の存在感があるのが面白い。

 ちなみに空いている部屋を選んで入室してホスト(部屋主)になると、映像とボイスチャットの音量配分、再生するプログラムなどを選択可能。Vimeoにアップロードされているホラーコメディのショートフィルムや、Twitchで流れている『Heroes of the Storm』の大会映像なんかを観ながら、ちょっと映像の音量を落として「ところでみんなどこから繋いでんの?」なんて込み入った話をするなんてこともできる。

この体験は新しい! 友達とVR空間内のバーチャルシアターでTwitchのゲーム配信などの映像を観て過ごせる“Oculus Social”を体験_02
▲現在はVimeo(YouTubeと同じような映像サービス)とゲーム映像生配信プラットフォームのTwitchを視聴可能。将来的には映画なども見られるハズ(購入者が視聴権をシェアできる規約になっている)。

 映像のエンターテインメントがストリーミング主体になり、あらゆる場所と方法で視聴可能になっても、「アナと雪の女王」などの歌を一緒に歌う上映があったり、欧米では「ロッキー・ホラー・ショー」のような“集まってツッコミを入れながら観る”ことに価値がある作品が上映され続けているなど、“一緒に見る”ことの価値は依然として存在する。ニコニコ動画/生放送などの映像配信サービスも、テキストで同席感を擬似的に演出していると考えれば、この文脈で考えることができるだろう。

 Oculus Socialでは、VR空間を集まる場にすることで、物理的距離を超えた同時視聴体験を可能にする。これはまさに、単なるビデオゲームの延長を超えた、Oculus VRの親会社であるFacebookが求めている新しいソーシャル体験だ。

 例えばスポーツバーのようにオリンピックやワールドカップなどのスポーツイベントを一緒に観て応援したり、カルト映画でギャーギャー騒いだり、あるいはもっとゆるく単に旅行で撮ってきた360度写真を見せながらチャットしたり、ちょっと考えるだけでもさまざまな可能性が思いつく。個人的にはE3の発表をゲーム好きが集まって一緒にツッコミ入れながら見たら超楽しいと思うのだが、いかがだろうか(PlayStation VRにもこういう機能が欲しい)。