伝説の俳優が55年の役者人生で“初めての不安”を体験!
2015年10月22日(木)より、東京都・港区EX THEATER ROPPONGIにて『BIOHAZARD THE STAGE』が開幕。初回公演前に、マスコミ・関係者向けのゲネプロ公演が行われた。
『バイオハザード』は全世界で累計6500万本以上の売り上げを誇り、ハリウッドで製作された映画シリーズも大ヒットを飛ばしている人気ホラーゲーム。そのホラーゲームの金字塔の、世界初の舞台化が『BIOHAZARD THE STAGE』だ。
舞台はゲーム同様のストーリー背景を持ちつつ、ゲームでおなじみのクリスやレベッカたちに加えオリジナルキャラクターも多数登場して物語が展開していく。西オーストラリアの大学で突如起こったバイオテロ事件。現地に到着した対バイオテロ部隊BSAAのピアーズとクリスは、その大学で教鞭を取る元S.T.A.R.S.隊員レベッカらと協力し、事件の鎮圧を図る。そこに現れた謎の青年タイラー・ハワード。彼はいったい何者なのか? そして彼の口から聞かされる、事件の裏にある驚愕の真実とは……? 『バイオハザード』ならではの謎とスリルに満ちた物語が緊張感たっぷりに描かれる。
ゲネプロ公演前には、出演者・舞台関係者が勢揃いしての挨拶が実施。出演キャストのほか、企画・原作監修を務めるカプコンの小林裕幸氏、脚本・演出を担当するヨリコ ジュン氏も登壇した。
『BIOHAZARD THE STAGE』の主人公タイラー・ハワードを演じる矢崎広が「ヨリコさんを中心にここまでアツいものを作ってこれたと思います。あとは、この想いをお客さんにぶつけるだけです」と気合に満ちたコメントを述べると、ほかの面々も本作への意気込みを熱弁。しかし、エズラ・セネット役の千葉真一は「ひと言、言うならば、稽古不足です」とやや不安げな表情を見せた。また、小林裕之氏は本舞台で『バイオハザード5』と『バイオハザード6』のあいだのゲームと地続きのストーリーが描かれていることを述べ、『バイオハザード』と『バイオハザード0』にしか登場していなかったレベッカが大学の非常勤講師として現れるという、ゲームファンにとってもたまらない設定を解説。さらに小林氏は、オリジナル主人公のタイラーを始めオリジナルキャラクターもゲーム同様にかなり作り込んでおり、キャストやスタッフの力で「ゲームとは違うすごいエンターテイメント」に仕上がっていると本舞台への力の入りようと自信をのぞかせた。ヨリコ ジュン氏も「今回、矢崎君を中心に俳優陣の皆さん一丸となってゴールに向かっていっています。本番が始まっても稽古を重ねてクオリティーを上げていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします」と語っていた。
続いて、ゲネプロ公演に先駆けて、矢崎広(タイラー・ハワード役)、栗山航(ピアーズ・ニヴァンス役)、中村誠治郎(クリス・レッドフィールド役)、倉持明日香(メアリー・グレイ役)、飛鳥凛(レベッカ・チェンバーズ役)、千葉真一(エズラ・セネット役)が登壇し、囲み取材が行われた。舞台挨拶での千葉真一のコメントの詳細も明らかに!
――いよいよ今日から公演ということで、矢崎さんのいまのお気持ちはいかがですか?
矢崎広(以下、矢崎) 制作発表からここまであっという間だったなと思う部分もあるんですけど、ついにここまで来たなという気持ちもありまして、期待と不安と高揚感でいっぱいです。
――制作発表のときに千葉真一さんにアクションシーンをお聞きするということでしたが、皆さんはどのようなアドバイスを受けられましたか?
千葉真一(以下、千葉) ひとつもない。みんなうまいもん、教えることは何もなかった。
一同 (笑)。
――『BIOHAZARD THE STAGE』がここまで仕上がってきて、千葉さんから見て作品の世界観などはいかがですか?
千葉 まだ通し稽古やってないんだもん。通してみないとわからないね。ゲネプロが通しだから、「途中で止めてもいい?」って監督に言った……不安です。
一同 (笑)。
――それでさきほど「稽古不足」とおっしゃられたんですか。
千葉 僕自身はね。彼らはずっとやってて、途中から入ってきたのは僕だけなんだ。(ふつうは)だいたい1ヵ月くらい稽古するんだけど、1週間くらいしかしてない。まだぜんぶ台詞覚えてないもん。
――長い役者人生の中でもこういった経験は珍しいのでは?
千葉 55年で、初めてですね。
――千葉さんであれば、稽古が短くとも……。
千葉 無理!
一同 (笑)。
――でも、今日が本番ですよ。
千葉 精いっぱいやっていきたいと思っています。ゲネプロ公演で一度、通してみたら、どんなものになるのかわかる。本当は客席から見たいんだけどね(笑)。
――倉持さんは舞台初挑戦ということですが、いかがですか?
倉持明日香(以下、倉持) “初日”というものは人生で何度も迎えてはいるんですけど、こうしてまた違うステージでお客様の前に立てる機会が、AKBを卒業してからこんなにすぐくるとは思ってなかったので、いまはすごく楽しみです。でも、あと25分後くらいにはメチャクチャ緊張してると思います。
――初めての作品で日本を代表する俳優の千葉さんと共演されるお気持ちは?
倉持 最初にお名前を見たときにびっくりして、すぐに父に伝えました。
千葉 役では何も絡んでないんだもんねぇ。
倉持 そうなんです。でもアクション指導は千葉さんにしていただきました。
千葉 ちょっとでしょ、ちょっと(笑)。
――倉持さんの演技力はいかがでした?
千葉 すごいうまいね。僕が直すところは何にもない。
――倉持さんは千葉さんとの共演をお父さんに報告されたそうですが、お父さんはどんな反応をされてましたか?
倉持 父も見に来るんですけど、それをすごく楽しみにしているみたいなので、いいところを見せたいなと思ってます。
――ちなみに、千葉さんはAKB48ってご存知ですか?
千葉 知ってますよ。知らないと思ってるの?(笑)
――元AKB48のメンバーとの共演となりますが、いかがですか?
千葉 僕が思っていたよりもすごく芸達者で、なかなかいい動きをしていてちょっとビックリしました。「ああ、AKB48ってそういうものなんだ」って初めて思いました。
――倉持さんはこれまでと違って男性がいっぱいいる舞台はいかがですか?
倉持 中高が女子高でそこからAKB48に入ってたから年齢が近い男性がいる環境がいままでなくて、最初はすごく人見知り発揮しちゃいましたけど、いまは仲よくなれました。
――皆さん、倉持さんと仲がいいんですか。
栗山航(以下、栗山) あ、すごい仲いいです。
矢崎 いま嘘みたいに聞こえた(笑)
栗山 本当に仲いいですよ(笑)
中村誠治郎(以下、中村) 男女混合の部活みたいで、筋トレしたり、話し合ったり、ちょっと飲みに行ったりして和気あいあいと。
千葉 飲みに行ってるの? 僕には1回も誘いがないね。
矢崎 千葉さんはちょどいらっしゃらなかったので(笑)。
千葉 そういうコミュニケーションもほしいよね。まあ、これからだね。
――千葉さんは周りの皆さんとの年齢差がありますが、世代のギャップを感じたりすることはないんですか?
千葉 いろいろありますけど、まだまだこれくらいなら僕もついていけるなと思いましたね。けど、感覚がちょっと違うんだね。でも、だんだん慣れてくるし……今回の僕の役は、アクションの“ア”の字もないんだ。監督がやらせてくれなくて。だから身体がめちゃくちゃ楽。でも台詞がたいへん(笑)。
――アクションが多い役と台詞が多い役ではどちらがお好きですか?
千葉 役によるでしょう。今回は非常に大切な役ですから説得力のあるお芝居をしなきゃならないので、千葉という俳優ではないキャラクターでやっております。
――新境地というところですか。
千葉 この年になって新境地もないけど、若い俳優たちの中に融合するような雰囲気でがんばっております。
――先ほど倉持さんにはお聞きしたんですが、ほかの皆さんが千葉さんと共演する感想をお聞かせください。
中村 僕も千葉さんに1回アクションを教えていただいたんですけど、やはりレジェンド的な方ですから鳥肌が立ってしまって。ヨリコさんからは「子どものように目が輝いていたと言われました(笑)。
矢崎 共演できることが光栄ですし、千葉さんが稽古場にいてくれるというだけで、気持ちが引き締まったりするので非常に心強いですね。
栗山 僕も皆さんと同じで千葉さんと共演できてうれしいですし、現場にいらっしゃると安心感があるんです。僕は初舞台で緊張してるんですけど千葉さんを見ると安心して……本当にお父さんのような感覚で、存在感がデカいなと思います。
千葉 ありがとうございます(笑)。
飛鳥凛 初めて千葉さんにお会いしたときは緊張してガチガチに固まってたんですけど、優しくお声をかけてくださって。毎日お会いするときにあいさつさせていただくと、笑顔で返してくださいます。
千葉 それにはワケがある。あなたとはけっこう絡んでいるじゃない、だから「俺が台詞を忘れたときは頼むよ」という意味を込めて(笑)。
一同 (爆笑)。
――では最後に、キャストを代表して矢崎さんに意気込みをお願いします。
矢崎 本日、公演初日を迎える『BIOHAZARD THE STAGE』ですが、ゲームのファンはもちろん、オリジナルの脚本になっていますので舞台で初めて『バイオハザード』に触れるという方にも見やすい作品になっているのではないかと思います。また、この舞台