『グランブルーファンタジー』今後のアップデートについても言及
2015年9月17日(木)~同20日(日)までの4日間、千葉県の幕張メッセにて開催された、ゲームの見本市“東京ゲームショウ2015”(2015年9月17日・18日はビジネスデイ、19日・20日は一般公開)。このイベントで、ひと際ゲームファンの目を惹いたのが、今回初出展となったサイゲームスのブースだ。8分の1サイズで再現された『グランブルーファンタジー』の騎空艇“グランサイファー”や巨大なLEDモニター、シアターやブース併設のステージ、またブース前を彩る『グランブルーファンタジー』のキャラクターに扮したコスプレイヤーと、ゲームの世界を東京ゲームショウに具現化するかのようなブース出展に、度肝を抜かれたゲームファンも多かっただろう。さらに、ステージではアニメ化を始めとするさまざまな発表が行われ、『グランブルーファンタジー』の今後の展開への期待感を煽り、東京ゲームショウメインステージでは、オーケストラコンサートまでやってのけた。そんなサイゲームスブースの仕掛け人である、『グランブルーファンタジー』プロデューサー・春田康一氏へ、ゲームショウ初出展の意義と手応えについて伺った。
――まずは東京ゲームショウ2015(以下、TGS)、おつかれさまでした。すごい人でしたね。
春田 いやー、そうですね。一生懸命やらせていただいたのですが、最終的に皆さんから好評をいただきまして、ほっと胸をなでおろしています。
――おおむね高評価という感じでしたか?
春田 インターネットのコミュニティーだったり、Twitterなどで得た評価になってしまいますが、いちばん目立ったのは3文字で“すげー”でしたね(笑)。
――(笑)。そうですよね。僕もサイゲームスブースに行って最初に思ったのが、「すげー」でした。グランサイファーがあるだけで、ものすごくインパクトがありますからね。
春田 ええ。8分の1というサイズではありましたが、会場の中では確実に目立っていたなと感じています。
――ゲーム業界でもかなり話題になったと思います。各国の記者が作業をするプレスルームでも、入ってくる人たちがみんな「サイゲームスブース行った?」と言っていて。
春田 ありがたいですね。TGSの出展に関しては、昨今はスマートフォンゲームやケータイで遊ぶネイティブゲームが業界的にもかなり市場の割合を占めてきていると思います。それらのゲームの出展方法というのは、ここ数年いろいろと考えられていると思うんですよね。僕もTGS自体には何度か足を運んで見ているのですが、スマートフォンゲームなどを出展していると、どうしてもこじんまりしている感覚が拭えなくて。作っているゲームは壮大なもののはずなのに、試遊台として用意されたスマホをブースの中でみんながポチポチやっているだけとなると、どうしてもブースのイメージがこじんまりしてしまうと感じたんです。だから我々は、その真逆をやってみようと。“試遊台もなくして、デッカイものしか作らない”というコンセプトにしたんです。
――試遊台がないというのは、“ゲームの見本市”であるTGS内において異色というか、思い切った決断だと思いますが、たしかにスマホで遊ぶゲームなら、今回のサイゲームスさんのように、「その場で自分のスマホで遊べばいいじゃん」ということができるんですよね。それはスマホのゲームだからこそできる遊ばせかただと感じました。
春田 ありがとうございます。スマホで試遊していただく方法を考えたときに、こういうやりかたもできるんだ、というひとつの企画を示せたかな、と感じています。会場限定でイベントを先行配信したのも、多くのユーザーさんに実際に東京ゲームショウの会場に来ていただきたいという想いがあったので。
――ちなみに会場先行イベントは、会場近辺ではアクセスしづらいという状況があったため、チェックインカウンターでチェックインした後は、どこでもプレイできるという仕様に急遽変更されましたよね。すごく早い対応でビックリしました。
春田 もともとトラブルシューティングとしては、ある程度想定されていた内容だったんですよ。我々も事前に20回以上、幕張メッセに足を運んでテストをしていたんですね。
――そんなに。
春田 具体的な名前は出せませんが、幕張メッセではコンサートやイベントが頻繁に行われているので、僕らもチケットを買って会場に行って、たくさんの人が集まっている環境で接続できるかどうかテストをしていたんです。そのときはちゃんとつながっていたのですが、僕らが予想していた以上に『グランブルーファンタジー』のために会場へ足を運んでくださる方々がいらっしゃいまして、ゲームサーバー自体はぜんぜん大丈夫だったのですが、会場での電波の使用状況が想定とはぜんぜん違っていたので、どうしてもアクセスしづらくなってしまいまして。3日目の状況を受けて、早急に対応策を用意することになりました。
――なるほど、そうだったんですね。ちなみに今回のTGSがサイゲームスとしては初出展という形になりましたが、どのような思いでTGSに臨まれたのでしょう?
春田 ひとつはサイゲームスという看板を背負って出展するわけですから、サイゲームスらしい出展形式を見せたかったですね。“サイゲームスらしさ”というのは、いくつか要素がありますが、もっとも大事にしたかったのは“来てくださったお客さんが楽しんでいただけること”です。では、お客さんに楽しんでいただくには、どうしたらいいか、という点がいちばん注力した部分になりますね。
――その中でも、チャレンジだったり、実験的な要素も大いに含まれていたのかなと感じました。シアターで観られた映像も想定していたものとぜんぜん違うものになっていて、本当に驚いたんですよ。
春田 おもしろかったでしょ?
――おもしろかったです。星晶獣のバハムートとザ・ワールドが空を舞台に戦いをくり広げるという映像でしたが、「『グランブルーファンタジー』の星晶獣の戦闘ってこんな感じなんだ!」と素直に感動しました。
春田 (笑)。あれは超苦労したんですよ。
――企画段階からああいう体感型のアトラクションのような映像だったんですか?
春田 そうです。作り始めたのが2015年4月ごろですね。4月に映像のキックオフが始まって、ようやく動くものが観られ始めたのは7月中旬くらいですかね。Vコン(※Vコンテ。映像の絵コンテのようなもの)がそのころに完成し始めて。じつはシアターで上映された映像の音楽は、植松さん(※植松伸夫氏。『グランブルーファンタジー』のサウンドディレクターを担当)のほうで劇伴化してもらっているんですよ。流れとしては、まずVコンができあがって、そのVコンの尺に合わせて全部曲を変えてもらっているんです。
――えぇーーー、すごい! そんなに手間がかかっていたんですね。
春田 アニメや映画と同様の制作方法ですよね。映像に合わせて作曲家さんが全部編曲してくださっているんです。
――たいへんだな……。
春田 そこまでいったら尺は変えられないので、その尺内でどんな表現をするか、ということを考えることになります。今回は、いままで表現したことがない“バハムートを飛ばす”という映像を作ることが課題でした。バハムートは、ファンタジーの世界の生き物なので、ふつうに羽ばたいちゃダメだというのが我々の中での鉄則になっていて。バサッとやって飛んじゃダメというルールがあるんですよ。
――そんなルールが!?(笑)
春田 その話を映像制作会社さんに伝えたら、当然のごとく「じゃあ、どうやって飛ぶんですか?」と聞かれまして、「勢いです」と(笑)。
――(笑)。ファンタジーだから。
春田 そうです(笑)。シアターの映像では、バハムートが攻撃を避けたときにカッコよく横回転するんですが、あんな動きはふつうはありえないですからね。すべて、勢いです。
――ただ、映像は本当にすごいと思いましたよ。映像に合わせて、実際にシアターが揺れているように感じるほどで。
春田 じつは、そういう映像を専門で研究してくださっている方々に今回は作っていただいたので、そう感じたのも無理はないと思います。
――ちなみに、あの映像はどこかのタイミングで会場に来られなかった方も観られるようになったりはしないのでしょうか?
春田 ちょっとまだ詳細は明かせないのですが、スマホでシアターにいるのとまったく同じような感覚で楽しめるようなものを考えています。
――シアターにいるのと同じ……?
春田 どうお伝えするのが正解なのか、ちょっと言葉が見つからないのですが、イメージとしてはそんな感じですね。ある意味、最新最近の技術を使ったものになるのですが、VRやARとはちょっと違う形になる予定ですね。会場の雰囲気だったり、音量の重圧感というのは、どうしても会場でしか味わえないのですが、見た目とか、「みんなは、こんな風に観ていたんだ」というようなものは、そこで十分再現できるかなと。
――なるほど。詳細な発表を期待しておきます。そのほか映像ものですとLEDモニターでいろいろな映像が流れていましたね。
春田 LEDのほうでは、これまでの月末シナリオイベントの全紹介ムービーと、ゲーム紹介ムービーのほかに、新イベント“アーカルムの転世”ムービー、“星の民の語り”、ヴィーラとカタリナのアルビオン士官学校のアニメーションを上映していました。
――注目度が高かったのは、やはりヴィーラとカタリナの映像だったと思いますが、個人的には“星の民の語り”の映像が『グランブルーファンタジー』をプレイしている人にとっては、すごくおもしろい映像になっていたなと感じました。ちょっと先の展開を予感させるというか。あの映像は今後観る機会がないのでしょうか?
春田 しばらくないですね。公開するタイミングがゲームの進行と一致しないというのが理由のひとつです。もし公開するとしたら、ファータ・グランデ編が終わったタイミングの、幕間的なところになるかと。
――楽しみにしていたいと思います。あとはヴィーラとカタリナの映像も気合を入れて作られていましたね。
春田 ありがとうございます。ちなみに会場ではアニメ化の発表もしましたが、ヴィーラとカタリナの映像はまったく違う会社さんで作らせていただいているので、アニメ化のときは、またぜんぜん違う雰囲気の映像になると思います。ただ、あれはあれで僕が昔から描きたかったストーリーのひとつであり、ユーザーさんたちも観たかったであろうコンテンツだったのではないかなと。
――やはりユーザー人気などを考慮して、という選定だったんでしょうか?
春田 それもありますね。じつは、もうひとつの候補として、“ルリアとカタリナの過去”があったんですよ。アルビオンの物語中でカタリナがルリアの世話をしていて、ルリアが「私、空を見てみたい」と言うシーンがゲーム内にもあるのですが、その話をもっと掘り下げて描くか、ヴィーラとカタリナの過去を描くかというところで悩みましたね。
――なぜ、ルリアとカタリナの物語を選ばなかったのですか?
春田 ルリアとカタリナ編をやると戦闘シーンがないんですよね。基本的に会話シーンばかりなので、絵的に観ていておもしろくないというか、かなり静かな雰囲気で物語が進行していくし、半分以上が牢獄シーンになってしまうので(笑)。
――(笑)。
春田 牢獄というか、暗い塔の中で幽閉されているシーンなんですけどね。そうなると、あまり観ていてもおもしろくないだろうと。それならば、ヴィーラとカタリナが実際に戦いをくり広げる武術大会のシーンから、ヴィーラが領主になってシュヴァリエを守護星晶獣として受け入れるまでの話をえがいたほうが、おもしろい絵になるんじゃないかと。
――なるほど。個人的には幼いころのカタリナやヴィーラの姿も描かれていたのがポイントが高かったです(笑)。あと、グランサイファーに乗った人だけが観られた映像もありましたよね。あれもTGSに向けて、以前から用意されていたんですか?
春田 いや、あれは本当に直前だったんですよ。TGS絡みのコンテンツがけっこうできあがってきたときに、エンジニアチームから「俺らも何かしたい」と言われて。
――そんなタイミングで(笑)。
春田 「大阪サイゲームスも何かしたい!」と。「何するの?」と聞いたら「VRやりたい!」→「どこに置くの?」→「グランサイファーの上に置けたらいいね」と言われまして。「そんなの設計図に書いてないけど……」って(笑)。
――そりゃそうですよね(笑)。
春田 だから、わざわざグランサイファーに穴を開けてもらったんです。
――えーーー!?
春田 VR用のケーブルを中に通せるように。しかも、唐突にグランサイファーにVRの機械が置かれていると、雰囲気台無しじゃないですか。だから、グランサイファーを作っているチームにお願いして、「双眼鏡を作ってください」と言って、双眼鏡の中にVRの機器が入るように作ってもらいました。あれは制作期間が2ヵ月もなかったと思いますね。
――すごい(笑)。あれは実験的な意味合いもあったんですか?
春田 そうですね。今年のTGSでは、VRが大きな注目を集めたと思うのですが、そこに我々もVRのコンテンツをちゃんと出していけたのは、結果的によかったと思います。
――正直、ビックリしたんですよ。サイゲームスさんがVRを出すとは思っていなかったので。
春田 ウチは、“おもしろければやる”という方針なんですよね。今回も「おもしろいからやってみよう」ということでやったわけですし。
――クリエイティブでは重要な精神ですね(笑)。そもそも、あれだけの規模のブースを出すことになったきっかけは何だったんでしょう?
春田 最初は“グランサイファーを飛ばそう”という企画から始まっていたんです。広告プランの話をするときに、みんなが頭カチカチな話をしていて。「そんなのはつまらない。いっそのことグランサイファーを飛ばすくらいの企画を」と伝えたんです。そうしたら2ヵ月後くらいに「企画と設計図ができました!」と企画を持って来てくれたのですが、企画書に「結論、飛ばせません」と書いてあって(笑)。
――飛ばなかったかー(笑)。
春田 設計図まで作って飛ばないんだ、みたいな(笑)。ただ、企画書のつぎのページを見たら、「置きましょう」と。展示型のイベントをしましょうと書いてあったんです。じゃあ、グランサイファーをどこに置くのかということでページをめくったら、日本最大のゲームの祭典・東京ゲームショウでしょう、と。それが企画がスタートした瞬間でしたね。
――それはどのくらい前の話なんですか?
春田 それが昨年(2014年)の12月ですね。僕のほうから飛ばすぐらいの企画じゃないとダメだよ、という話をしたのが2014年9月です。
――そんな前から仕込んでいたんですね。
春田 そうなんです。そこから幕張メッセのどこに置くのか、ということで、最初は広場に置こうという話が出て。
――ああ、今年ですと『ガールズ&パンツァー』の戦車が置いてあった場所ですね。
春田 そうです。だから、最初の展示方法はぜんぜん違う形で考えていたんですよ。
――では、その時点では“サイゲームスブース”という感じでもなかったんですね。
春田 ええ。ただ、とりあえずどこまでできるのかを確認するために模型を作ることになって。そうして2015年の2月くらいに、この模型と新しい企画書があがってきて、その企画書を見たところ“出展”と書かれていて、「あれ? 出展?」って(笑)。
――話が変わったぞ、と(笑)。
春田 もう本当にどう出展するのかも何も考えずに、頭のネジを一回外して勢いで書いた企画として、“とにかくバカデカいグランサイファーを置いてユーザーをびっくりさせましょうよ”といったことだけが書いてあって。いろいろとクリアーしなければいけない課題はあったのですが、「おもしろいね」ということで、サイゲームスとして出展するという話になったんです。ただ、せっかく出展するからには、最大規模で出したいし、ブースとしては『グランブルーファンタジー』一色にしてしまいたいということで、そこは僕のほうで決断させてもらって、グランサイファーを置くだけではなく、『グランブルーファンタジー』でいろいろなことをやろうという話にしました。
――何がいちばんたいへんでしたか?
春田 全部ですね。
――全部!
春田 グランサイファーの高さや置き場所、グランサイファーの照明1本1本、LEDモニターに何を流すかとかステージの構成から台本まですべて責任を持って監修しました。
――すごいですね。イベントもずっと盛況で、一般公開日はずっと満員状態でしたし。
春田 最終的にゲームにチェックインされたお客様の人数だけでも、累計数万人ですね。
――チェックインするということは、ゲームをプレイしているということでしょうからね。
春田 少なくともプレイしてくださっている人たちではあることは間違いないですよね。
――初めて出展してみて、手応えはいかがですか?
春田 いくつかあるんですけど、ひとつは「あっ、こんなにも『グラブル』をやってくださっている方がたくさんいるんだ」ということを改めて実感しましたね。我々も社内的に見ているデータはありますが、やっぱり直接的な手応えというのは、こういったイベントがない限り把握できないですからね。だから、先日のTGSを通して、来場してくださったお客様と直接会うことができたのは、手応えとしてひとつありました。手応えとしては、あとふたつありまして、ひとつは「これだけのことをやれれば、皆さんに感動していただけるんだ」という自信というか、我々のやっている方向性は間違っていないんだな、という確信を持てた点。もうひとつは自信とは反面、「つぎのイベントどうしよう……」というプレッシャーですね。
――たしかに、あれだけのスケールの出展をしてしまうと……。
春田 まわりからの期待値が上がり過ぎた感覚はあります(笑)。つぎにやることに対するハードルがすごく上がっていると思うんです。そこは頭を抱えますよね……(苦笑)。
――ちなみに期待していることと言えば、やはり『グランブルーファンタジー』のアニメ化なんですが、いまどんな状況なんでしょうか?
春田 じつはまだ具体的な段階ではないんですよ。
――企画を練っている状況と。
春田 そうですね。企画と並行して放送に向けていろいろと動いている段階です。アニメ化となると、やはりたくさんの会社が関わるので時間がかかるんですよ。各社さんが「やりましょう!」とGOサインを出したから、今回発表ができたのですが、本当にまだそういう段階です。ただ、うれしい話として、いま『グランブルーファンタジー』の収録現場に行くと、そのたびに出演されている声優さんたちから、「アニメいつやるんですか? 私も出たいです!」ということを言っていただけるんですよ。関わってくださる皆さんの期待も裏切らないようにしなくては、と気が引き締まりました。
――どんなキャラクターが登場するのか、というのも気になるところですしね。
春田 そうなんです。たとえば、メインシナリオだけを追っていったら、主人公、ルリア、カタリナ、ラカム、イオ、オイゲンといった主要メンバーしか出られないですからね。いま『グランブルーファンタジー』には200人近いプレイアブルキャラクターがいるのに、そういったキャラクターが登場できないのはもったいないですから。
――では、まだ詰めている段階と。
春田 ええ。年内か年明けには続報が出せればと思っています。
――なるほど、楽しみです。TGSでは、ゲーム内のイベントなどもいろいろと発表がありましたね。新しいジョブなどは、いつごろ追加される予定でしょう?
春田 TGSで発表した新ジョブは、年内に最低ひとつ以上出します。あと、高難易度マルチバトルに関しては、今月末に出す予定です。けっこうTGSに向けていろいろと動いていたため、社内的なやり残し案件が多々あって。
――ほほう。たとえば、どんな?
春田 細かいところでいえば、チャットのUI改修だったり、編成枠の拡張なども、そう遠くない将来にやりたいと思っていますね。もしかしたら、年内の実装も可能性としてはあるのかなと思います。
――編成枠の拡張はうれしいですね。5枠から6枠に拡張した際に、1枠増やすだけでもたいへんだというお話をされていたので、「これ以上はもうないのかな」と思っていたんですけれども、まだまだいけるということですか?
春田 いけます。現在はA、B、C、D、E、Fまで枠があるのですが、今回はGを増やすわけではなくて、A、B、C、D、E、Fの6枠を“No.1”の編成だとすると、“No.2”~“No.6”が増えます。
――ええええ!?
春田 ですから現在は、Aは光パーティー、Bは闇パーティー、Cは風パーティーといった使いかたをされている方が多いと思うのですが、今度からはNo.1は風属性で、Aは最強パーティー、Bは育てたいパーティー、Cは自分好みのキャラクターとか、Dはエルーン族だけといった形で編成してもらいつつ、No.2は火属性で……といった形で使ってもらえるようになります。イベントのときに集中してプレイしている最中にプロトバハムート戦が出て、パーティー編成を変更しているうちに満員になってしまったりということが、いままであったと思うんですけど、かかる時間をだいぶ短縮できると思います。
――それは非常にうれしいですね。
春田 一旦は機能をリリースさせていただいて、使い勝手の向上といった部分は、これからやっていこうと思っています。たとえばですが、できるかどうかはわかりませんが、クエストごとにどのパーティーを使うかを自分で決めておけるようにするとか。
――「マグナ戦はこれだ!」とか。
春田 そうです。現在、“お気に入りクエスト”を設定できますが、その逆ですね。お気に入り編成みたいなもので、クエストに合わせて編成を決めてしまっておくということもやれたらいいなと思っています。あと、マルチバトル自体も、昔からやろうとしてたTwitterでの救援、つまり外部コミュニティーサイトに救援を飛ばす方法というのもいまは鋭意制作中です。
――それもまた便利ですね。
春田 ようやく形が決まった感じですね。当初想定していた形式を一切やめて、単純に外部コミュニティーサイトに投げられるだけのものにしようということになりました。2015年3月に迎えた1周年に風呂敷を広げたのですが、まだ回収し切れていないので、それらを回収しつつ、TGSで広げた風呂敷をまたゆっくりと回収していくという流れになると思います。
――広げた風呂敷というと、ジョブの追加について、まだ発表されていないジョブが4つほどあるかと。
春田 バレましたか。公約を発表したのは2015年3月手前か後ぐらいだったと思うので、2016年3月までの1年間ということで考えていただけるとありがたいです。完全に言い訳ですが(苦笑)。2周年のタイミングとなる2016年3月10日には、つぎの発表というか実装までこぎつけたいものがありますので、そのタイミングで残りの4つのジョブを皆さんにお見せできるようにがんばります。
――TGSで発表された新ジョブもかなりクセがあるジョブでしたよね。早く触ってみたいという気持ちが強くなりました。
春田 ありがとうございます。EXジョブはわりと尖っているというか、使いかたが突出していると思います。ユーザーさんのあいだで利用率がいちばん低いのがアルケミストなんですよね。正直、アルケミストはキュアポーションを作るための“キュアポーション製造機”みたいな形で活躍するんですけど、“パーティーに入れられるほどの能力ではない”、とか、“あまりおもしろ味がない”と思われていると思うんですよ。性能面や使い勝手という部分で微妙に思われている方が多いのだと感じています。ただ、僕も驚いたんですけど、今日の時点でアルケミストソロでコロッサス・マグナを倒したという人がいまして。
――そんなことできるんですか!?(笑)
春田 できるんです。戦略的なものが考え抜かれたものになっているのがびっくりしました。正直、僕らも想像を超えた戦いかたがユーザーさん発信で出てくるようなゲームが作れているのは、うれしいですね。作っている我々としても楽しませてもらっています。
――もうひとつ会場でオーケストラも実施されましたよね。TGSとしてもたぶんいままでにないことだったと思うのですが、いかがでしたか?
春田 企画当初より、「こんなことができるのか?」ということで社内でも盛り上がっていたのですが、いろいろなところと調整しまくって、ようやく実現できたので感慨深かったですね。ずっと思っていたことなんですが、最近コンシューマーゲームでも、スマホゲームでも、音楽のほうで盛り上がることってなかなかなかったと思うんですよね。過去の作品などはいまなお人気なんですが、最新の作品で音楽で盛り上がっている作品が非常に少なく感じていたんです。でも、僕的には『グランブルーファンタジー』の音楽をじっくりと作りこんできた自負もありますし、もっといろいろな方に聞いてもらいたいという想いがあったので、実現に向けて非常にがんばりました。
――そうでしょうね。オーケストラをしっかり揃えていましたもんね。
春田 そうなんです。僕らとしてはコストが掛かろうが掛かるまいが、お客さんにいいものをお送りしたい。コンテンツとして、サービスとして、返したいという気持ちだったんです。なので、今回のTGSではサイゲームスのブースを通じて、映像やイラストなどを観て楽しむ、ゲームをプレイしたりビンゴに参加して遊んで楽しむ、そして、オーケストラを聴いて楽しむという、いろいろな形で楽しんでもらえるおもしろさを提供できたらと思っていたんです。当日、オーケストラのイベントで僕は司会をしていたので、お客さんの反応をリアルタイムで感じることはできなかったのですが、イベントが終わった後に生放送のタイムシフトを観ていたら、1曲終わるごとに、会場の皆さんや視聴者の皆さんが盛り上がってくれていましたし、最後にアンコールで『シュヴァリエ・マグナ』を演奏したときに、弾幕がすごかったので、やってよかったなと思いましたね。
――実際、幕張メッセという音の反響も十分ではないだろう場所でのオーケストラってどうなんだろう、と正直思っていたんですが、現地で取材をさせていただいて聴いたら本当に壮大で。「ぜひつぎはホールで聴きたい」と記事にも書くくらいに思いました。(※こちらの記事)
春田 書いてありましたね(笑)。でも、本当にやりたいですよね。ゆくゆくは世界ツアーとかまでいきたいですけどね。
――世界ツアー!?
春田 マチュピチュの前とかで演奏してみたいじゃないですか。
――おおお、それはまた……確かに空の上感が半端ないですよね。
春田 空の上で演奏がしたいんですよね。
――なるほど。ちょっといま課金しなきゃって思いました(笑)。
春田 いやいやいや(笑)。でも、なかなか珍しいと思いますよね。我々もコンテンツを作るうえで、お客様からいただいた評価をもとにサービスを作ってはいますが、ここまでお客さんに喜んでもらえるっていうのは、なかなかないんじゃないかと。そういう意味で、サイゲームスはおもしろい会社ですね。本当に。何でもかんでもノリとは言わないですけど、いい意味でおもしろいものなら、何でもやってやろうと言える会社。ふつう「こんなのやりたいです!」と言っても「無理でしょ」と一蹴されちゃうことが多いと思うんですよ。最近はとくに。
――「それをやって、じゃあ利益はどれくらい出るの?」みたいな話になっちゃいますからね。
春田 そうですよね。ふつうなら決裁を取るのに1~2ヵ月掛かってしまって、結局企画がとん挫することも多いと思うんです。でも、サイゲームスはめちゃくちゃ早かったですからね。「おもしろければオーケー!」って。そういう会社なんだということを知ってもらえれば(笑)。
――(笑)。それでは最後にひと言メッセージをお願いします。
春田 今回のインタビューの中で、何度かくり返し申し上げている通り、サイゲームスという会社と『グランブルーファンタジー』というタイトルが、これまで培ってきた、また、越えてきたハードルを、それで満足せずにつぎつぎとより高いハードルを作って、それをさらに越えていきたいと思っています。僕自身もこれで終わりだとは思っていなくて、これを糧につぎに向けてやらなきゃいけないことがあるので、ぜひサイゲームスがイベントをするときは期待してください。皆さんに楽しんでいただけるようなイベントを開催していきたいと思っています。今後とも『グランブルーファンタジー』をよろしくお願いします。
非売品のビィくんぬいぐるみ&クリアファイルをセットで抽選で3名様にプレゼント!
今回のインタビューにあたり、TGS2015のサイゲームスブースで実施されていた“ビィンゴゲーム”の当選賞品となっていた“ビィぬいぐるみ”と会場で配布されたクリアファイルをセットにして抽選で3名様にプレゼント! 賞品が欲しい方は、以下の注意事項をよく読んで、応募フォームに必要事項を記入のうえ、送信ボタンを押してください。
<注意事項>
◎応募期間は2015年11月6日23時59分時までとなります。
◎ひとりにつき、応募は1回まで。複数応募された場合でも、当選はひとり1口までとなります。
◎賞品、郵便番号、住所、氏名、電話番号、メールアドレス(パソコンのメールアドレスのみ)は必須項目です。 入力漏れや誤入力がある場合は、応募を受け付けられません。
◎当選者の発表は、賞品の発送(2015年11月下旬を予定)をもって代えさせていただきます。
◎賞品の発送先は、日本国内に限らせていただきます。
◎賞品を譲渡(転売・オークションへの出品を含みます)しないことを応募・当選の条件とします。譲渡が判明した場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合があります。
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