ノイズの美に漂う死の香り。

 海外大手インディーパブリッシャーのDevolver Digitalが、Steamで『Noct』のアーリーアクセス(購入とともに開発中バージョンを先行してプレイできる早期アクセスプログラム)を開始した。プラットフォームはPC/Mac/Linux。価格は980円で、10月28日までセールで882円で購入可能。

 本作はカナダのインディー作家c3skによるホラーサバイバルアクションシューティングだ。舞台は異形の怪物によって荒廃した世界。プレイヤーは、時に廃墟をめぐって物資などを集め、時に怪物を攻撃して倒しながら、謎の男からの通信に従ってミッションをこなし、生存を目指す。

 戦闘は、クリーチャーに触れられた時点で一撃死というハードコアスタイル。プレイヤーキャラクターの足は遅いので、銃を撃って撃退するか(大きな敵も一時的に退却させることはできる)、小さな敵なら右クリックで殴るか(一発で倒せる)、あるいはクリーチャーの存在を察知した時点(セリフとともに画面がやや暗くなる)で警戒して可能なら迂回するといった戦略が重要だ。死んだ場合は別の生存者として後を継ぐことになる。

 アートスタイルとして軍事空撮映像のような上空からの見下ろし視点の赤外線映像を採用しており、ノイズだらけの映像の端から白く蠢く巨大なクリーチャーが出現すると、絶望感とともに死の香りが濃厚に漂う。ナイン・インチ・ネイルズなどに参加しているロビン・フィンクと、Pedro Pimentelによる静かなノイズミュージックとともに、独特な美を生み出していると思う。

上空から見下ろした赤外線映像が印象的なサバイバルシューター『Noct』のアーリーアクセスが開始。美しいノイズの影から白く蠢く異形がやってくる_01

 まだアーリーアクセスが開始したばかりとあって安定していないものの、基本的にはマルチプレイを意図した設計で、探索の過程で不意に別のプレイヤーと遭遇し、“共闘すべきか、撃たれる前に撃つべきか”悩むという『DayZ』的な要素もフィーチャー。ただしMMOではなく、自分でワールドを立てるか、あるいは別のワールドに参加するかが選択可能だ。

 この通信部分がちょっとうまく行かないことが多いので現状ではソロで戦うことが多いのだが、正直かなりキツめ。慣れるまでは死体の山を積み重ねながら進むことになると思う。「クリーチャーに触られると死ぬ一方、殴り攻撃の当たり判定が大きいので、普通のゲームより気持ち早めに振ると事故なく倒せる」、「グレネードはそこまで飛ばない割に有効範囲が大きく、自分を巻き込むことも多い。また壁に当てると反射して転がる」、「視界がゆっくりと回転しているので上下左右と方角の関係がすぐに変わる(恐らく上空を旋回している機体からのカメラのイメージ)」といった点に注意してもらいつつ、健闘を祈りたい。

上空から見下ろした赤外線映像が印象的なサバイバルシューター『Noct』のアーリーアクセスが開始。美しいノイズの影から白く蠢く異形がやってくる_02
上空から見下ろした赤外線映像が印象的なサバイバルシューター『Noct』のアーリーアクセスが開始。美しいノイズの影から白く蠢く異形がやってくる_03