「最初の年から東大生を出したい」――“N高等学校”2016年4月開校に向けて始動、川上量生氏らが意気込みを熱弁

カドカワは、2016年4月開校に向けて準備を進めている高等学校“ネットの高校”に関する記者発表会を、本日2015年10月14日、東京・ニコファーレにて開催。同社代表取締役会長の佐藤辰男氏、同社代表取締役社長の川上量生氏らが登壇し、学校名やカリキュラムなどの詳細が発表された。

●制服は志倉千代丸氏がデザイン

 カドカワは、2016年4月開校に向けて準備を進めている高等学校“ネットの高校”に関する記者発表会を、本日2015年10月14日、東京・ニコファーレにて開催。同社代表取締役会長の佐藤辰男氏、同社代表取締役社長の川上量生氏らが登壇し、学校名やカリキュラムなどの詳細が発表された。

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 発表会は「ふつうの高校生になって将来どうするの?」というメッセージをこめたVTRからスタート。従来の平均的に能力を伸ばす教育から、学びの多様性・選択肢を広げる新たな教育へ――そんな本事業に期待する思いを、GACKTやマックスむらいら著名人が語っていた。

N高等学校

 既報でもお伝えしたように、“ネットの高校”として発表されていた学校名は、“N高等学校”に決定。30年以上にもわたり教育関連事業に携わってきた奥平博一氏が校長を務めることも発表された。“N高等学校”を運営する学校法人角川ドワンゴ学園の理事長には佐藤氏が就任し、「この時代の理想の高校を作ろうという事業がいよいよスタートし、大変興奮しております。KADOKAWAのコンテンツの力、ドワンゴのIT技術、ニコニコの双方向コミュニケーションのノウハウを結集して、理想の高校を実現したい」と熱弁。学園理事に就任する川上氏も「引きこもりや不登校が大きな社会問題になっているが、そういう人たちはまず100%ニコニコ動画のユーザー。社会的には行き場を失っているが、なかにはネットの時代に優れた能力を持つ人もたくさんおり、むしろ将来的には彼らが主役になる時代になる可能性がある。当分僕らがやらないと誰も作らないだろうなという思いで、設立を決心しました」と、教育事業にかける強い思いを語った。

▲カドカワ 代表取締役会長(角川ドワンゴ学園理事長)佐藤辰夫氏

▲カドカワ 代表取締役社長(角川ドワンゴ学園理事)川上量生氏

▲ドワンゴ 教育事業本部(N高等学校校長)奥平博一氏

 なお“N高等学校”という名称は正式名称。“N”の意味を訊かれた川上氏は、「ご想像にお任せします」と語りつつ、「ネット、ニコニコ、仲間、いろいろな言葉で解釈することが可能ですが、とくにこれだというのは我々のほうでは決めておりません」と、多様な可能性を拡げる学風を表した学校名であることに言及。その意味は、通う生徒が見つけるものだという意向がにじむ。

 “N高等学校”は通信制高校ながら、本校は沖縄・うるま市に所在。規定に倣い年間5日間以上のスクーリングが必要で、沖縄伊計本校、東京、大阪のいずれかの受講が可能(スクーリング受講場所は今後、随時拡大予定)だが、川上氏は「基本的には沖縄に来ていただきたい。いろいろと楽しいスクーリングを用意したいと思っています」と、本校でのスクーリングを推奨。地域の協力により、ビーチリゾート体験、郷土料理体験といった、沖縄ならではの取り組みにも挑戦できるという。

 さらに学費に関する詳細も発表(公式サイトを参照のこと)。1単位あたりの授業料は5000円ながら、国の就学支援金を申請することで、1単位あたり4812円が還付。就学支援金が支給された場合、在学3年間の授業料合計は30万円弱となり、どうしても高校を卒業したい生徒であれば、アルバイトをしながらでも十分に通うことができる金額だ。

 また“N高等学校”には制服もある。こちらは前回の発表会で語られた通り、MAGES. 代表取締役会長の志倉千代丸氏の強い要望により、志倉氏みずからデザインしたもの。通信制高校ではあるが、入学式・卒業式やスクーリングの機会に着用できるほか、「この制服を着ていくといいことが起きるイベントも考えている」(川上氏)とのことだ。

▲女子制服は、前から見るとブレザー、後ろから見るとセーラー服のようなデザインに。

 “N高等学校”の授業はネットで完結し、生徒がみずからのペースで学べることが特色。生徒ひとりごとに担任もつき、質問や相談も随時可能だという。授業は従来の動画配信のように「見るだけ」のものではなく、双方向性を重視する方針。すでにニコニコ生放送などでコメント機能を始めとした双方性システムが取り入れられているが、「現状のニコ生のシステムを進化させた新しい仕組みを使っていきたい」(川上氏)とのことだ。“N高等学校”では全日制高校と同等の卒業資格が得られるだけではなく、大学進学にも力を入れる。すでに発表されているように、KADOKAWA 中経出版や「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」でおなじみの坪田信貴氏が協力。川上氏も「最初の年から東大生を出したい」と豪語している。

 就職や進学につながる授業では、プログラミングや文芸・エンターテインメント、ファッションなど多様な分野のプロフェッショナルを招いた“課外授業”も設けられる。各界の第一人者が名を連ねた講師陣は、佐藤氏が「私自身が授業を受けたいと思うほど」で、「クリエイティブにはノウハウもハウツーもある。何よりも立ち向かう心を講師陣から学ぶことは、生徒にとって貴重な経験になると思います」と、同校の授業ラインアップに太鼓判を押した。なおこれらの“課外授業”を外部に開放する仕組みについては現在検討中とのこと。

 充実の授業のみならず、チャットツール“Slack”や共有サービス“GitHub”を活用した生徒間コミュニケーションに加えて、職業体験や“ニコニコ超会議”、“闘会議”参加などリアル行事も満載。とくに地方での職業体験は、10の地方自治体と協力し、マタギ(熊狩猟)、刀鍛冶体験、武雄図書館での司書体験といった貴重な体験をすることができる。奥平氏はこの職業体験を「やりたかったことのひとつ」と語り、「生徒の自立の機会になれば。単なる“職業見学”ではなく、いっしょに働いて汗を流してほしい」と呼びかけた。

 なお本日10月14日より生徒募集が開始されたほか、11月1日には東京、11月3日には大阪で学校説明会が開催。本校ならではの“ネットオープンキャンパス”も毎月実施され、第1回は11月9日21時より公開される(視聴ページはこちら)。

 明確なカリキュラムなども明示され、いよいよ来春の開校に向けて本格的に動き出した“N高等学校”。川上氏は最後に「非常に強い決意でこの事業に臨んでいます。僕らは真面目にやるだけではなく、楽しい学校生活、通っている生徒が誇りに思えるような“ネットの高校”を作っていきたい」と語り、発表会を締めくくった。