『New みんなのGOLF』開発者インタビューの完全版を公開!

週刊ファミ通2015年10月1日号(2015年9月17日発売)に掲載された『New みんなのGOLF』開発者インタビューの完全版を公開。ページ数の都合で誌面では掲載できなかった“濃い”話が満載です!

●『みんなのGOLF』シリーズ待望の最新作!

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 1997年にシリーズ第1作目となる『みんなのGOLF』(以下、『みんGOL』)が初代プレイステーション用ソフトとして発売されて以来、プレイステーションを代表するタイトルとして多くのユーザーに親しまれてきた『みんGOL』シリーズ。その待望の最新作『New みんなのGOLF』が、プレイステーション4専用ソフトとして2016年に登場!
 週刊ファミ通では、2015年10月1日号(2015年9月17日発売)にて、本作の最新情報を公開。併せて、『New みんGOL』の開発陣のインタビューも掲載したが、誌面の都合でカットせざるを得ない状況に……。
 そこで今回は、ファミ通.comにて『New みんGOL』開発者インタビューの完全版を掲載。週刊ファミ通の誌面では書ききれなかったこともすべて掲載するので、ぜひ多くの“みんゴルファー”の方に読んでいただきたい。(聞き手:週刊ファミ通副編集長 大塚角満)


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[写真左]ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア ワールドワイド スタジオ JAPANスタジオ シニアプロデューサー 長井伸樹氏 [写真中]クラップハンズ 代表取締役社長 『New みんなのGOLF』エグゼクティブプロデューサー 村守将志氏 [写真右]ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア ワールドワイド スタジオ JAPANスタジオ プロデューサー 小番芳範氏

●タイトルを『みんなのGOLF 7』にしなかった理由

――最初に、それぞれの今回の作品の役割がどうなっているのかを教えてください。
長井 村守さんはエグゼクティブプロデューサーとして、すべての取りまとめをしていただいています。私はSCEのシニアプロデューサーという形で、このプロジェクト全体の取りまとめ役になっています。ゲームの方向性とかは村守さんとお話しして、こういう方向で行こうという話を進めていくと。小番はプロデューサーで、現場まわりですとか、そのほかさまざまなことを担当しています。小番はゴルフをやりますし、『みんGOL』自体も長いので、彼から教えてもらいながら、僕のほうで新しい『みんGOL』というのはこういうのがいいんじゃないかと話して、それを村守さんに伝えて、村守さんがゲームとしてうまく形にしてくださっています。
――長井さんが『みんGOL』の新しい血として入ったという感じですね。
長井 そうですね。新たにやってまいりました(笑)。私が関わるようになったのが2年くらい前で、すでに当時は、つぎの『みんGOL』として動き始めていて、そのあとに入った形になります。
――ということは……開発自体が始まったのは3年前くらい?
小番 2012年の年末に『みんGOL 6』が出て、その前からすでに手を付けられていたので……。
村守 だから3年前くらいですかね。
――けっこう前ですね。
小番 PS4がどんなハードなのかもわからないところからお話しさせていただいて(笑)。
――となると、出発点はハードの検証から、みたいな感じですか?
村守 当然それもありましたけど、「スマホと連動させようか」みたいな話も出たり(笑)、いろいろなものが浮上していたので、けっこう模索していましたよね。ハードも含めて、どういうものになっていくのか、と。
――今回資料と、先日プレゼンで動いているところを見させていただいて、すごくコンセプトが変わったなというか、新しくなったという感じがしたんですよ。改めて、本作のコンセプトをお聞かせ願えれば。


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村守 『みんGOL』も、初代から『6』まで来て、シリーズとしてかなりコア向けなナンバリングになってきたなというのがあったんですね。そこで、原点回帰といいますか、掘り起こしをしなくてはいけない時期じゃないかなという思いがありまして。ふつうに『7』と付けてしまうと、イメージとしてもより先端の尖った進化になってしまうので、それはいけないんじゃないかと。もう一度』初代の気持ちに立ち返って、ゴルフを知らない人でも触れるゲームにしてみたいなという思いと、シリーズをずっと買ってくださっているファンの方もいらっしゃるので、その方たちにも楽しんでもらいたいという思いのハイブリッドですね。難題ですが、やらなくてはいけないことですので。タイトルに『7』を付けていないのは、そういう理由からです。
――なるほどねえ。『みんGOL』の1作目が出たのは、けっこう前ですよね。
村守 1997年ですから、18年くらい前ですね。
――ああ、そんな前か!
村守 そんな前ですよ(笑)。
――初代『みんGOL』って、まだ若かった村守さんがイチから作ったゲームですよね。
村守 企画からプログラムからグラフィックの一部も含め、相当手は入れていましたね。
――いま思い出してみて、『みんGOL』のいちばんのコンセプトは何だったのですか?
村守 もともと敷居の低いゴルフゲームが好きだったんですよ。その前もエニックスさん(現スクウェア・エニックス)の『ワールドゴルフ』シリーズは、どちらかというとファミコンのゴルフに近い感覚の作品だったので、そういったものをプレイステーションで作ってみたいなという思いがありました。だから、当時だと野球ゲームだと『ファミスタ』とかがありましたが、そういう敷居の低いゴルフゲームですね。でも、数字(ナンバリング)が上がっていくにしたがって、どのタイトルでもそうですが、ジレンマみたいなものがどうしても出てきてしまい……。どこかで掘り起こしというか、原点回帰をしないと、このまま突き進んではいけないなという思いがすごく強くなったので、今回は英断ですけれども、それをやってみましょうかと。叩き壊してもう一回再構築してみたいな、そんな感じですね。
――多分これまでの『6』まで流れにおいても、きっとそういう葛藤があったのでしょうね。
村守 どこかではありましたね。
――たとえばPS3に切り替わるときとか。
村守 ただ、数字的にもある程度売れていたりすると、なかなかそういうことはできなかったので。
――まあ、そうですよね。踏み切ったことで、そっぽを向かれると(笑)。マンネリに陥ることって、悪いことではないと思いますけどね。マンネリになるまで作れたということなので。でもやっぱりそうなってくると、どんどんマニアックになっていって、どうしても新しい人が入りにくくなる。これはどのゲームにも言えることですけどね。
村守 今回は、ゴルフのルールを知らない人でも大丈夫というのを目指しつつ、でもコアなユーザーの方も当然いらっしゃるので、そういう人に対しても満足してもらうという、そういう両刀を装備したようなものを目指しています。かなり難しい形なんですが、とりあえずやってみようかというチャレンジです。けっこう難題ですね。
――そういう、両方成り立たせるというコンセプトを聞いて、SCEさんサイドはどう思われましたか?
長井 私はシニアプロデューサーという形でこのプロジェクトに入る前は、全体のいろいろなタイトルを見るという立場だったので、もちろん『みんGOL』も見ていたのですが、そのときから思っていたのは、『みんGOL』もそろそろリニューアルしなきゃなということだったんです。どういう方向があるんだろうというのを勝手に妄想していたんですね。で、担当になった後に、改めて村守さんとお話しした際に、チャレンジしたいという話を聞いて、非常にいいと思いました。私はそれまで、『バイトヘル2000』とか『The Last Guy』といった“奇ゲー”を多く担当してきて(笑)。
――“奇ゲー”ですか(笑)。
長井 初めてこういう、国民的なタイトルを担当したんですよ(笑)。村守さんが今回は大きくチャレンジをしたいんだけど大丈夫ですかと聞いてきたので、「ぜひともやってください。そうでなければ僕にやらせる意味もなかろうし、ぜひいっしょに勇気を持ってチャレンジしましょう!」とお話しさせていただきました。ちょうど我々が思っていたところと、村守さんが思われていた変えたいというところが合致したのが、今回の作品だと思いますね。
――確かに考えかたがかみ合っていますね。でも一方で、小番さんは『みんGOL』に携わってから長いじゃないですか。冒険することに対する恐れみたいなのはありませんでした?
小番 僕が最初に担当したのは『みんなのGOLF ポータブル』で、じつはそこから数字が落ちてきているので(笑)。
――といっても、ハードが変わりましたから。
小番 直前の『4』がミリオンで、『ポータブル』でハードがPSPに変わるから、どういうことをチャレンジしようかと考えたときに、気軽に遊べて、しかも持ち歩けるという利点がありました。そのために9ホール単位で遊べるとか、テンポのいいゲームを作って行こうというコンセプトにしたり、さらにアドホックモードがあるとか……当時は聞き慣れない遊びかたでしたけどね(笑)。でも、PSPの中でいえばたくさん売れているのですが、過去の『みんGOL』から見れば落ちているわけです。PS3になって『5』が出て、PS3とPS Vitaで『6』が出ましたが、それぞれにおいてコンセプトは持っているけど、それが数字に結びついていないなと。なので今回は何かを変えようという話は、僕も先ほど大塚さんがおっしゃっていたマンネリの途中から入ってマンネらせてしまった者としては、変えてやろうというのはすごく同調できました。担当を長くやってきただけに、変えることにいよいよ参加できるんだという気分で(笑)、いいなと思える関わりかたでした。
――なるほど。でも過去作というか、初代『みんGOL』とか『2』の本数はまたどえらいですからね。
小番 PS4がまだ世の中に出る前から作っていくというときに、おそらく最初のPS4の発表会とかでも話していると思いますが、設計的には汎用品を使っていて、わりとコストをきっちり抑えて、PS3は最初コアなユーザーにいっちゃったというのを払拭したい。PS4のハード自体もある意味初代PSの原点回帰みたいな考えかたですかね。汎用機にしていくぞという意志があって。そこに『みんGOL』も原点回帰じゃないのというお話しも聞いて、そこもすごく同調しているじゃないかと。今回のPS4というハードに切り替わるということは、もう1回国民的マシンであるプレイステーションに戻るという意志があるのであれば、『みんGOL』もその意志をやるっていうのは、成功する可能性がある、PS3で出すときよりも、違う形であるんじゃないかというのは、すごく合っていると思いましたね。
――すごく幸せな船出な感じがしますね。
長井 そうでしたね。でもそこからそれぞれ考えていることが違っているのをすり合わせていったりしながら、やっとここまで来たという感じです。途中で何度も揺り戻ったり行きすぎたりというのを、ちゃんとみんなで話をして、何とかここまで来ました。
村守 度合いの調整といいますか、どれくらいのレベルで敷居を下げるか、新しいことをやるにしてもどこまで新しいものにしちゃっていいのかとか、そういった議論というのは相当数を重ねたと思います。その中で、行きすぎず足りなすぎずみたいな、そういう調整を施しながら開発してきました。
――単純に考えても、敷居を下げるって、上げるよりも難しいんじゃないかと。
村守 難しいですね。
――下げすぎちゃったら、いままでのファンが離れてしまうかもしれないし……。
村守 ただ、それをやっていかないと、母体を獲得できないという思いがあったので、やはり掘り起こしするためにはどうしても必要かなとは思いました。


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▲本作の舞台は、海に浮かぶハイテク人工島“みんGOLアイランド”。シリーズでおなじみのキャラクター“スズキ”が、庭でゴルフの練習中にダフった際、なんと油田を掘り当てた! その油田で得たお金を投じて作られたのが、この“みんGOLアイランド”なのだ。

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▲これまでのシリーズでは1ホールごとのステージだったが、本作では9ホール×2(OUT・IN)のコースに。とあるホールには、“みんGOLアイランド”のオーナーである“スズキ”の像が!?