PS4の性能を活かして生まれ変わった『GRAVITY DAZE』

 2015年9月17日(木)から9月20日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中された東京ゲームショウ2015(17日・18日はビジネスデー)。ソニー・コンピュータエンタテインメントブースでは、夢遊入魂(ユメプレイニュウコン)ライブ PS4版『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』(以下:『GRAVITY DAZE』)のステージイベントが行われた。
 この作品は2012年にプレイステーション Vita用ソフトとして発売された『GRAVITY DAZE』を、プレイステーション4に移植したタイトルとなっている。

目と耳と巨大スクリーンで無重力を楽しむ! PS4版『GRAVITY DAZE』夢遊入魂スペシャルステージ【TGS2015】_01
目と耳と巨大スクリーンで無重力を楽しむ! PS4版『GRAVITY DAZE』夢遊入魂スペシャルステージ【TGS2015】_02

1080P/60fpsで再現された『GRAVITY DAZE』の世界

 ステージ上には、SCE JAPANスタジオ クリエイティブディレクター外山圭一郎氏が登壇。まずは今回のリマスター版『GRAVITY DAZE』のポイントを、実際にプレイしながら紹介してくれた。ステージに用意された342インチの巨大メインスクリーンに映し出された映像は、使い古された表現になってしまうが、美麗そのもので、とても元が携帯ゲーム機の画面とは思えないほど。それもそのはずで、キャラクターイラストは原画からリマスターし直しており、グラフィック面においても1080P/60fpsで動いているとのこと。激しくスピーディーに動いてもまったく破綻することもなく、「空にぬるぬる落ちる、というキャッチコピーを作ろうかと思った」と外山氏に言わせしめるほどの出来映えだ。
 キャラクターモデルも、PS Vita版ではテクスチャーで処理していたところも、すべて立体処理が施されているとのこと。これは『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』(以下『GRAVITY DAZE 2』)用のモデルを流用して仕上げている部分もあり、またポリゴン数が飛躍的にアップしているため、拡大しても十分に耐えられるクオリティに仕上がっているものと思われる。
 PS Vita版のファンが一番気にしているであろう操作感においても、デュアルショック4のジャイロセンサーの操作は思ったほど違和感がなく、プレイ感覚はそのまま踏襲されているので心配はないそうである。

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▲342インチという、会場の巨大スクリーンに映し出されても、何ら違和感を感じない作り込みで、外山氏の言うようにぬるぬると動いていた。
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▲コミックデモと呼ばれるコマ割りされたデモシーンも、デュアルショック4を動かすことで奥行き感をコントロールでき、このあたりの操作感もPS Vita版と同様の雰囲気を見て取ることができた。

 今回、リマスター開発に携わったのは、『ICO』や『ワンダと巨像』、『アンチャーテッド コレクション』のリマスター化でお馴染みの、アメリカに拠点を置くブルーポイントゲームス社。「こんなことがやりたい」「こういったものができました」と積極的に言ってくれるなど、外山氏曰く「リマスターの達人」といえる集団とのこと。背景部分の処理に関しても、ぼかし処理をしたいブルーポイントゲームス社と、ラインで処理したい開発チームとで意見の相違があったそうだが、「美しくぼかした表現とライン処理を両立させたものをやらせてほしい」と言ってくるほど、こだわりを持ってリマスター処理が行われているようだ。
 また、動きの面においても、オリジナル版は60fpsを想定していなかったため、単純な移植では済まなかった部分もあったが、そのあたりは職人気質の開発チームがテストプレイを繰り返し、異なる部分をしっかり指摘するなど、しっかりと監修を行っているので安心してほしいと外山氏。

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これだけでも“買い!”と言えるギャラリーモードを追加

 600点以上にも及ぶアートワークを閲覧できる“ギャラリーモード”も、本作の見どころのひとつ。通常の設定画だけでなく、検討段階の初期画像やワンポイントでしか登場しない設定画など、オマケ程度じゃないボリュームを収録しているとのこと。とくに驚くべき部分は、これらの設定画がかなりの高解像度で収録されていることで、かなりのサイズまでズームして、細部まで確認できるようになっている。その細かさは、「タッチまで見られるので、絵を描かれる方が見てもおもしろいと思います」と外山氏も語っているほど。

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▲リマスター版の売りのひとつと言っても過言ではないほどのボリュームを収めているギャラリーモード。
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▲バスタオル姿のキトゥンといったラフ画も、拡大すると急いで仕上げた部分などを見て取れる。
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▲このようなイメージビジュアル画も、かなり大きく拡大可能。細部まで詳細に描き込まれていることが確認できる。
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▲こちらのイラストの上部の光っている部分を拡大してみると、光の中にキャラクターの姿が見える。これは、外山氏が今回、このギャラリーモードを触ってみるまで気がつかなかった小ネタとのこと。

夢遊入魂の本番である“リアルプレイ+α”のライブの開演

 ここまで、リマスター版の詳細な解説が行われたあと、いよいよ夢遊入魂ステージの本番となる“リアルプレイ+α”ライブが開演となり、『GRAVITY DAZE』の音楽を担当した作曲家の田中公平氏が登場。

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 数々のアニメ作品やゲームの楽曲を手がけられている田中氏に『GRAVITY DAZE』の音楽を依頼した経緯を、外山氏が語ってくれた。『GRAVITY DAZE』は元々、フランスのコミック、バンド・デシネにインスパイアされている部分が多く、それに外山氏が幼少期の頃に好きだったアニメやコミックの、ワクワク感やドキドキ感を込めて生み出されている。「そんな世界を表現してくれる人は、田中先生意外にいない」とのことで、お願いに至ったそうである。
 田中氏も、最初にいろいろな資料を見せてもらったものの、なかなか世界観をつかむことができずにいたが、“日本アニメの熱さ”と“フレンチのオシャレさ”を同時にしたらどんな世界ができるのか、そう考えているうちに『GRAVITY DAZE』に寄り添う曲が出来上がったとのこと。
 そう語った田中氏の前に用意されているキーボードが画面に映し出され、これより目と耳で楽しむ、『GRAVITY DAZE』のスペシャルステージが幕を開けた。

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 田中氏の奏でる美しい旋律と、外山氏が操る『GRAVITY DAZE』の空へと落ちていく疾走感とのコントラストが混ざり合った見事なステージで、来場者たち皆が聞き入っていた。メインテーマからエンディングの曲までのメドレーを魅せてくれた7分間は、どちらかというと騒々しいゲームショウの会場の中で、一時の至福の時間を与えてくれたといっても過言ではないだろう。

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▲演奏を終えると、会場は拍手の渦に包まれた。生配信を行っているニコ生も、“88888”の文字で埋め尽くされていた。

 演奏を終えた田中氏は、現在『GRAVITY DAZE 2』の楽曲を絶賛製作中と話をし、アンコールに応えるかのように、オープニングの触りの部分を演奏してくれた。第一作にも劣らない美しい旋律は、誇張抜きに鳥肌が立つほどの感動を与えてくれるものであった。

田中氏 「私も一ファンとして、一日も早く『GRAVITY DAZE 2』をプレイしてみたいです。きっと皆さんもそうだと思いますが、前作にも劣らないような素晴らしい楽曲を書くつもりでいますので、皆さん、応援よろしくお願いします」

外山氏 「しばらく音沙汰なく、お待たせしてすみませんでした。お時間をいただいてしまいましたが、待っていただいた分、すごくいいものができている自負はあります。」

 最後に心待ちにしているファンにメッセージが贈られ、至福のステージは終了を迎えた。大画面テレビで楽しむ『GRAVITY DAZE』は、きっと新たな感動を与えてくれるに違いない。この作品を楽しみながら、『GRAVITY DAZE 2』の発売を楽しみに待ちわびたいところだ。


GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメント
対応機種 PS4プレイステーション4
発売日 2015年12月10日
価格 BD版:5900円[税抜]、DL版:5292円[税込]
ジャンル アクション・アドベンチャー
備考 プレイ人数:1人 CERO:C(12歳以上対象)