弁護士がいらない国でナルホドくんが弁護士として法廷に立つ

 カプコンから発売予定の『逆転裁判』シリーズ最新作となる『逆転裁判6』。週刊ファミ通2015年9月17日号(2015年9月3日発売)では、本作に懸ける想いを、プロデューサーの江城元秀氏、ディレクターの山崎剛氏(※崎は山へんに立+可)に語っていただいた。そのインタビュー完全版をお届けしよう。

『逆転裁判6』インタビュー完全版――弁護士の存在意義が問われるような状況でどう逆転するのか!?_01

『逆転裁判6』プロデューサー
江城元秀氏(写真左・文中では江城

『逆転裁判6』ディレクター
山崎 剛氏(写真右・文中では山崎

『逆転裁判6』のコンセプトは法廷に革命を起こすこと

――『逆転裁判6』の制作がどのようにスタートしたのか、教えていただけますか?

江城 前作『逆転裁判5』の発売後、多くのユーザーさんから続編を希望する声をいただきました。また、開発チームの中でも続編を作りたいという声が上がり、ちょうどそのころ別のラインで『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』が動いていたのですが、ナンバリングとして続編を作りましょうということで、『6』の制作がスタートしました。

――『4』から『5』のあいだは約5年と期間が開いていたので、正直なところ『6』がこれほど早く発表されるとは思いませんでした。

江城 『4』から『5』は開発チームもガラリと変わり、ナルホドくん(成歩堂龍一)の復活や、オドロキくん(『4』の主人公・王泥喜法介)をどのように描いていくかなど、練り込む時間が必要だったため、ちょっとお待たせすることになってしまいました。本作では、世界観やキャラクター、物語という点で『5』というベースがあったので、お待たせせずに発表できたのだと思います。

――最新作となる『6』のテーマやコンセプトはあるのでしょうか?

山崎 ナルホドくんはシリーズを通して向かうところ敵なしの状態になっています。そんな最強の弁護士に危機を与えるために、世界に目を向けてみようということで、異国を舞台にしました。ナルホドくんにとって完全にアウェーの国で、見たことも聞いたこともないような異国の法廷システムと戦わなければいけない、というのが大きなテーマになっています。

江城 『逆転裁判』は、絶体絶命の状況からどのように逆転していくかが爽快感につながる部分なので、日本の法廷では展開がきびしくなってきました。いままでのルールが通用しない場所で逆転するくらいのことをしないと、ピンチ感が薄れてしまうのではないかと考えました。シナリオでは、ナルホドくんが法廷のシステムを変える“法廷革命”というのが大きなテーマです。『5』では“法廷崩壊”でしたので、今回も漢字4文字のキーワードを入れました。

――“法廷革命”というのは、具体的にどのようなことなのでしょうか?

江城 『6』の根底に流れる部分が集約されているので、どんな物語になるのかは今後の情報に期待していただきたいのですが、「そこまでいくか成歩堂」と言うほど、かなり壮大です。『5』では法廷を爆発させていますから、あれを超えるインパクトのあるテーマを山崎と出し合った結果、革命を起こそうということになりました。日本の法廷システムは確立されていますから、それなら異国の法廷を舞台にしようという流れです。

ナルホドくんが異国で最大の危機に!?

――異国の裁判は、これまでの日本の法廷とはかなり異なるのでしょうか?

山崎 この国には検事はいるのですが、弁護士がいないんです。弁護士がいないのになぜ法廷が成立しているのかというと、この国独特の“あるもの”が存在しているからなんですよ。

江城 弁護士がいらない国で、ナルホドくんが弁護士として法廷に立つことになり、傍聴席にいる全員が「なんで弁護士がいるの?」と、弁護士の存在意義が問われるような状況になります。これまでは、弁護士がいて当たり前の世界で裁判が行われていましたが、「弁護士なんていらない」という空気の中で、ゲームをやらなければいけないんです(笑)。チェック用に1話をプレイしたときに、軽くヘコむくらいインパクトが強かったですね。

山崎 逆転していくためのピンチなので、まずはドン底まで落とすんですよ。

江城 そこまで追い詰められながらも、ナルホドくんの被告人を信じ抜く過程がいままでとは違う感じで描かれているので、よりドラマチックな展開になっています。

――錫杖を持った謎の少女は、物語にどのように絡んでくるのでしょうか?

山崎 詳しくはまだ言えませんが、今回のキーパーソンになります。異国の法廷における、裁判長、検事、弁護士に続く、第4の役割といったところです。

江城 とても重要な人物で、本作のテーマやシステムに大きく絡んできます。今回のミステリアスな雰囲気のティザーアートからいろいろと想像してもらえたらと思います。

――新システムと思われる水鏡についても気になるところですが……。

江城 法廷にあるところがヒントです。操作自体はとてもシンプルにしていますが、そこにいたるまでの動きや状況などは、いままでにない切り口でやっています。TGS2015(東京ゲームショウ2015)でプレイできますので、ぜひ遊んでください。

『逆転裁判6』インタビュー完全版――弁護士の存在意義が問われるような状況でどう逆転するのか!?_02

親切だけど歯応えはアリ

――『5』では初心者向けのシステムが導入されましたが、そのあたりの要素は本作でも継承されているのでしょうか?

江城 バックログやセーブデータの数など、『5』で改良したシステムで評判のよかったものは継承しています。ヒントを出すシステムは、プレイヤーが任意でオンオフできるオプション的なものをつけたいと考えています。

山崎 ヒントの出しかたに関して、『5』は簡単だったという声もありましたからね。

江城 本作では、直接的なヒントではなく、できるだけプレイヤー自身でひらめいてもらうことをサポートするように工夫しています。

――注目してほしい部分はどこでしょうか?

江城 新システムは要チェックになると思います。あとは、これまでのシリーズを通して謎とされている部分を、開発側からの答えとして提示できるかもしれませんね。

山崎 注目するところは満載ですね。いろいろな要素があるので、違和感なくひとつの物語に沿う形に入れ込むことに苦労しました。すべての要素がしっかり結びついた、ひとつの大きな物語をお届けできるのではないかと思っています。また、シナリオ面では、弁護士のいない異国の法廷で、持っていたアドバンテージを全部奪われたナルホドくんが、いかに逆転していくのかを描きたいと思っていますので、その逆転劇を楽しんでいただきたいですね。

――気になるところはたくさんありますが、まずはTGS2015ということですね。

山崎 そうですね。本作の制作チームには、『5』から引き続きのスタッフも多いです。いままで僕らが築き上げてきたものを踏まえつつ、さらにその先へ進化して行けるようにチーム全体でがんばっています。いままでの『逆転裁判』シリーズのよさをしっかり継承した、ファンが満足できるものをお届けしたいと思いますので、期待していただけたらうれしいです。

江城 『逆転裁判』シリーズは来年で15周年を迎えます。『5』の制作発表を10周年イベントで行ってから、あっという間に4年が経ち、今回『6』を発表することができました。『5』の発表は、『4』の発売からかなりお待たせしてしまいましたが、ひとつの方向性のようなものを皆さんに提示できたのではないかなと思います。それを踏まえて『6』の開発をスタートさせたところがあるので、前作を超えるスケールの作品になっています。その片鱗として、TGS2015に出展することになりました。本編では皆さんの予想をいい意味で裏切れるような展開を用意していますので、そこを含めて期待していただけたらうれしいです。また、僕らが出演するステージイベントでは、映像も用意しています。皆さんが楽しんでもらえるようなステージにしたいと考えていますので、カプコンブースへお越しいただけたらと思います。

■東京ゲームショウ2015で試遊!!
 東京ゲームショウ2015に、『逆転裁判6』のプレイアブル出展が決定! 今回判明した水鏡の新システムがいち早くプレイできる。体験者にはオリジナルステッカーセットを進呈。さらに、ステージでは最新情報はもちろん、ゲームショウのために用意された映像“特別法廷”が公開されるぞ。ぜひブースに足を運んでほしい。

東京ゲームショウ2015 
場所:幕張メッセ カプコンブース
開催日:2015年9月17日~20日(一般日は19~20日)


逆転裁判6
メーカー カプコン
対応機種 3DSニンテンドー3DS
発売日 未定
価格 未定
ジャンル アドベンチャー
備考 プロデューサー:江城元秀、ディレクター:山崎 剛