ネイルアートが身近になる最新筐体が11月デビュー!

 セガ・インタラクティブが手掛ける『ネイルプリ』(2015年11月稼動開始予定)は、ネイルシールを払い出すアミューズメント用プリント機。専用アプリの配信が8月24日より開始され(関連記事はこちら)、稼動開始が待たれる中、本作の開発経緯や狙いなどを開発者に直撃した。

世界初のネイルシールプリント機『ネイルプリ』はどうやって生まれた? 誕生秘話を男性開発者に直撃!_02

 インタビューの前に、まずは本作をご紹介。『ネイルプリ』最大の特徴はズバリ、ユーザーみずからが自由にネイルシールをデザインできる点。デザイン方法は、筐体のタッチパネルを使う方法と、先行配信中の『ネイルプリ』専用スマートフォンアプリを使う方法の、2種類が用意されている。

 筐体でデザインする“ココ de ネイル”では、あらかじめ収録されている1500種以上ものデザインの中から基本の柄を選び、スタンプなどでアレンジ後、すぐにプリント可能。アプリでデザインする“スマホ de ネイル”では、スマホで撮影した写真をデザインに取り入れることができ、アプリと筐体を連動させると、筐体でシールを出力できる仕組みだ。料金は1回(1シート20枚入り)400円[税込](焼き増しは300円[税込])。貼ったシールの耐久期間は1~2日程度となる。

 なおファミ通.comでは、展示会“SEGA PRIVATE SHOW 2015 SUMMER”で体験した『ネイルプリ』のプレイリポートも掲載中。驚きのデザイン性・カスタム性は、ぜひこちらの記事で確認していただきたい。

 写真プリントシール機に続き、女性客の集客が期待される『ネイルプリ』。稼動後も随時、新デザインが配信されるなどの展開が予定されており、女性向けアミューズメント筐体の新たなスタンダードになるポテンシャルは十分だろう。そんな『ネイルプリ』は、いったいどういう経緯で生まれたものなのか。開発秘話やこだわりを、セガ・インタラクティブの担当者に訊いた。

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▲今回、特別に作成していただいたファミ通ネイルシール! シンプルなものから華やかなものまで、さまざまなテイストのシールを作ることができる。

女性の何気ない声から生まれた『ネイルプリ』

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▲セガ・インタラクティブ Nプロ研究開発部 『ネイルプリ』プロデューサー・鎌田宗興氏(写真左)、同『ネイルプリ』ディレクター・前田博史氏(写真右)

――まずは、『ネイルプリ』開発のきっかけや経緯を教えてください。
前田 ゲームセンターに、メインの客層である10代~20代の男性以外の方に来ていただく施策を考えていたときに、家で「何かおもしろいものはないか」と話していました。そしてそのころ普及し始めていたネイルシールの話題になり、妻と友人女性が「今こんな物があるらしいよ」「これなら手軽にできていいね」と話していたのがきっかけで、自分でカスタムしたネイルシールをその場で出力できるものができたらおもしろいと思い、企画がスタートしたのです。簡単な企画書として提案したのは5年前くらいですが、実際に企画が動き出したのは1年半~2年前ですね。

――開発の際にはどんなポイントを重視されたのでしょうか。
前田 もっとも重視したのは、ユーザーさんが、自分の好きなデザインを作れるという点です。それに加えて、ゲームセンターでは時間をかけてじっくりデザインすることができないので、スマートフォン用のアプリで補おうと考えました。
鎌田 さらに、女性の生の意見を聞くことも重視しました。開発初期の段階で女子高生のグループインタビューも行いましたよ。
前田 グループインタビューでは、「デザインをもっとこうしたらよい」といった意見を多くいただきましたね。色味の都合で「これじゃあステッカーに見えちゃう」とも言われました。
鎌田 リアルな意見を聞きながら、デザインのブラッシュアップをしていきました。

――『ネイルプリ』はスマートフォンアプリとの連動が大きな特徴ですが、アプリ開発の際にこだわった点はどこですか。
前田 前提として、筐体でプレイする際の制限時間をなくしたいというところがありました。スマホはコミュニケーションツールでもありますので、以降のアップデートでSNSの実装する予定です。そこでユーザーさんどうしのデザイン交換が行われたり、コミュニティーが活発になったらうれしいですね。
鎌田 筐体ではシンプルに操作ができる一方、スマホアプリは高機能にして、ユーザーさんが作りたいものをじっくり作れるようにしようというコンセプトがありました。

――スマホアプリの開発自体は、どの段階から決まっていたのですか?
前田 そもそも『ネイルプリ』の企画は、最初からスマホアプリありきで考えていました。本格的に企画が動き出すころには、もうアプリの制作が決定していました。

――スマホアプリがあることによって、ゲームセンターにいる時間以外も『ネイルプリ』を楽しめますね。
鎌田 そこも狙いのひとつです。つねに『ネイルプリ』やネイルシールのことを考えて、触れていただけるというところに、アプリの存在価値があるのではないでしょうか。

こだわりのシール地は特注品!

――ところで、シール地はどのように選ばれたのでしょうか。
前田 まず市販のネイルシールを調査して、「貼るときに伸縮性がないとシワになる」ですとか、「固すぎると浮いてくる」といった特徴を調べました。糊の耐久度が弱いとすぐはがれてしまうし、強いとはがしづらく、爪を傷つけてしまいます。そういったことを含めて探した結果、現在採用しているものに落ち着きました。素材としてはプラスチック系の薄いシートで、当然、人体に影響のない素材で選んでいます。

――プリントシール機のシールよりも薄い印象を受けました。
前田 はい。厚みとしては、シール部分が0.06ミリで、ネイルシールとしても薄い部類だと思います。
鎌田 初めは「プリントシール機のシールでできるだろう」と簡単に考えていましたが、全然ダメでした(笑)。ノリも素材も厚みも違いますから。

――では、『ネイルプリ』用のシールを新たに開発されたのですか?
鎌田 そうですね。専用紙になります。

――なるほど、こだわりが詰まっているのですね! 中でも、もっとも重視したところというのは……?
前田 薄さと伸縮性です。貼りやすさと、貼ったときにシールに見えてしまわない薄さと、シワにならないことを両立させられるシール地を選びました。
鎌田 貼りやすさは重要ですね。お金を出してプレイしていただくからには、失敗させてしまうのがもっとも嫌なので、いかに簡単に、失敗せずに貼れるかを重視しました。

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――一度貼ると、どのくらいの期間きれいに保てるのでしょうか。
前田 48時間を推奨しています。「学校や会社ではネイルアートができない方が、特別な日に使う」ことがコンセプトなので、1~2日を想定しました。素材の関係で溶剤系のトップコートを塗ると色が滲んでしまうので、上から重ねる際は、水性のトップコートやジェルを重ねてください。
鎌田 上からトップコートやジェルをのせるとさらに持ちますし、ツヤが出て仕上がりもグッとよくなりますよ。

――これまで何度かロケテストを実施されていますが、反響はいかがですか?
前田 反響は想定以上でした。セガにはあまり女性向けの製品がなく、チャレンジングタイトルでしたが、想定していた10倍くらいのお客様がいらっしゃって、逆に驚いたくらいです。
鎌田 とくに3月に池袋実施した1回目はものすごく反響があって、いままでにないくらいのお客様に来ていただきました。Twitterで『ネイルプリ』を知っていただいた方も多く、スマホとの親和性も感じましたね。

――これまで何度かロケテストを実施されていますが、ロケテストを受けて追加した要素はありますか?
前田 スマホからデザインを取り込む際に表示される“目隠しカーテン”ですね。読み込んだデザインを手などで隠している方がけっこういらっしゃったので、デザインを隠す機能を実装しました。実際に筐体にカーテンをつける案もありましたが、写真のプリントシール機に見えてしまい、ネイルシールのプリント機であることがわからなくなる懸念があったので、画面で対応しました。それから、20代の参加者が多かったことを受けて、デザインをより大人向けにシフトしました。シンプルなデザインも多いので、ふだん使いにも支障がないようになっています。

――筐体にあらかじめ収録されているネイルのデザインは、どなたがデザインされているのですか?
前田 協力会社やネイリストさんにデザインしていただいたものや、もちろん社内で作っているものもあります。ふだんはスマホゲームのデザインを手掛けている協力会社さんにもお願いしました。最初は「ネイルのデザインなんてしたことがない」と戸惑われましたが(笑)。こういったデザインを請け負ってくれるところにツテがなかったので、いちから当たりながら探しました。

――1500種類以上ものデザインがあると、筐体の前で選ぶときに迷ってしまいそうですね。稼動開始にあわせてデザイン一覧を公開される予定はありますか?
前田 公式サイトで、筐体収録デザインのカタログページを作ることを考えています。じっくり選んでいただけたらうれしいですね。

――稼動開始以降は、順次新たなデザインが配信されるということですが、どのくらいのペースで配信されるのでしょうか。
前田 毎月2~3回の配信を考えていまして、その都度3つ~5つくらいのデザインを配信したいです。
鎌田 ファッションに関するものなので、季節に合わせて月々配信していきたいです。季節ごとの流行も取り入れたいですね。

――今後、セガのIP(知的財産)を活用したデザインを配信する予定はあるのでしょうか。
前田 もちろん考えてはいますが、まだ具体的に進んでいる話はありません。稼動が開始され次第、考えていきたいです。

――では、最後に『ネイルプリ』のアピールをお願いします!
鎌田 ひとりでも多くの女性に楽しんでいただくため、できる限り操作を簡単にしています。とくに「ネイルを楽しみたいけど、敷居が高い」と感じていた女性の方に楽しんでいただけるとうれしいです。