死ねば死ぬほどに先へ進める
死体とは力であり過去 器で道なき道を歩む者
犠牲を作る真実を知る 為アクションを起こす
ゲームにおける“死”とは、いったいなんでしょうか? ゲームというメディアにおいて、“死”=ミスだったのかもしれません。ゲームにはミスが欠かせぬもの。裏を返せば、プレイヤーはミスを回避するためにあらゆる手段を講じてきました。とくに難度が高く、“初見キラー”などと呼ばれるゲームにおいては、理不尽なミスを誘う仕掛けに対して、それこそ必死になって。
さて、前置きが長くなりました。本作は、このゲームにおける“死”という概念に、新しい視点を与えるかのようなアクションゲームです。ギミックが巧妙で、何度もミスして死んでしまったり、敵が強くてくり返し倒されてしまったりといった“ミス”としてではない……先に進むために“自分の死体を踏み台にしていかなくてはならない”という、奇妙な作品なのです。ミス=“死”はあくまでもひとつの“手段”。主人公がトゲなどに触れて死ぬと、その場に死体が残り、また新たな主人公がスタート地点に生まれる。これをくり返して、積み重なった自分の死体を足掛かりにすることで、どんな壁も、目の前に広がる谷も、乗り越えていけるようになる。壁が高ければ、死体を山と積めばいい。谷が深ければ、死体で満たせばいい。あなたは、過去の自分……数多くの“死”を積み上げて、ゲームクリアーを目指していくことになるのです。
ところで、本作は背景に表示される文字が印象深いですよね。あるファンタジー小説では、文字こそは、変化しない概念……つまり“死”の象徴だとした物語もありました。ステージごとに浮かび上がる文字は、プレイヤー(あなた)に語りかけます。“ゲームとは何か?”、“死と終わりがあればゲームになるのか?”……奇しくも本連載42(死に)回となった今回、本作で何度となくミス=“死”にながら、ゲームの“死”について、それこそ“死”ぬほど考えてみてはいかがでしょうか。
●これが主人公!?
主人公は、記号が表示された黒い正方形。これはあなた自身を投影するもの。矢印は、誕生から死まで、一定のベクトルにしか進むことを許されないという隠喩なのかもしれません。
ステージには即死トラップだらけ
ミス=“死”を積み重ねて進んで行くゲームだから、というべきでしょうか。とにかくあらゆる場所に即死トラップが満載されています。ちょっと触れただけで、すぐに主人公はただの物体、足場になってしまうのです。もちろん、プレイヤーにアクションの腕があれば、その犠牲は最小限にもできるでしょう。しかし本作では、犠牲をなくして進むことは決してできないため、やはりトラップは、失敗を前提に利用するしかなさそうです。
●ここに注目
クリアーまでに何人を犠牲にするか?
すべてのステージをクリアーすると、最後にあなたが文字通り積み上げてきたミス=“死”の数が表示されます。この数字を見て、何を思いますか? 減らそうと思うのでしょうか、それとも……。
●ここに注目
プレイヤーの心を揺さぶる演出
背景に表示される言葉。その内容は〝ゲームプレイ〟について考えさせる内容。ゲームの世界の枠を越えて、プレイヤー自身に語りかけるメタフィクションです。なかには、かなり衝撃的なものも!
Sometimes You Die - Trailer
Sometimes You Die
メーカー | 名Philipp Stollenmayer |
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対応機種 | iOSiPhone/iPod touch |
発売日 | 配信中 |
価格 | 240円[税込] |
ジャンル | アクション |