“黒川塾(二十六)”VRコンテンツを収益化するための方法とは? 藤山晃太郎氏や吉田修平氏による熱いトークをお届け

黒川塾(二十六) ”が、デジタルハリウッド東京本校にて2015年7月17日に開催された。今回のテーマは“バーチャルリアリティーの未来へ2”。ここでは、ゲストによるトークの模様をお届けしよう。

●重要なのは“回転率”にあり

 おなじみ黒川文雄氏による“黒川塾 (二十六) ”が、デジタルハリウッド東京本校にて2015年7月17日に開催された。

 黒川塾とは、“すべてのエンターテインメントの原点を見つめ直し、来るべき未来へのエンターテインメントのあるべき姿をポジティブに考える”というテーマのもと、各界の著名人を招いてトークを行う会。第26回のテーマは“バーチャルリアリティーの未来へ2”となり、第21回でも取り上げたバーチャルリアリティー(以下、VR)デバイスの発展によるコンテンツの未来、その可能性をさらに掘り下げる内容となった。

▲『AMATERASU』

 今回は、VRマシンによるコンテンツが会場に用意。スピード感のある3Dシューティング『AMATERASU』、海の世界を体験できる『Riprium』、銃撃戦や拷問される側のドキドキ(?)が堪能できる『The London Heist』が登場した。『The London Heist』については、以下の記事に魅力が書かれているので、ぜひチェックしてみてほしい。

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▲『Riprium』

▲『The London Heist』

 以下からは、ゲストによるトークの模様をお届けしよう。

【ゲスト】
・吉田修平氏 ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデント
・藤山晃太郎氏 手妻師(てづまし)・VRプロデューサー
・久保田瞬氏 ウェブメディア“もぐらゲームス”、“MoguraVR”編集長
・下田純也氏 エピック・ゲームズ・ジャパン・デベロッパー・サポート・マネージャー

▲左から、黒川文雄氏、吉田修平氏、藤山晃太郎氏、久保田瞬氏、下田純也氏。

■日本のVRコンテンツの現状は?

 日本のVRコンテンツはどのような現状になっているか、というテーマについて、久保田瞬氏は「多くのゲームメーカーさんがVRコンテンツを作ろうとしていますし、採用事例そのものも増えていますが、インディーズにおいては、日本で作られる例が少ないという現状です。最近では、ペプシコーラのCMの世界観を再現した360°体感型ゲームが生まれたりしていますので、“こんなことができるんだ”という認識を増やしていきたいです」と語った。

 黒川氏は、さらに「日本のVRは、2015年になって欧米に差を開けられてしまったのではないか」と疑問を投げかけた。これに吉田氏は「海外のVRでは、ベンチャー起業などで、チームが経験を積んで、市場や技術が立ち上がるのを見てきました。しかも、海外ではVRの技術を持ったベンチャー起業にお金がかなり投資されてきています」と語った。

 吉田氏は「日本では大学を出て、いい会社に入って、安定を目指すというような流れがあります。もし息子が起業するって言ったら、両親は“せっかくいい会社に入ったんだからやめとけよ”って心配しますよね。一方で海外では、会社に入って、経験を積んで辞めるという、“独立化”が精神的な面でもしやすくなっているんです」と、日本と海外の文化の違いについても分析した。それでいて吉田氏は、日本からもクオリティーの高いインディーズのVRコンテンツが生まれ、市場ができることを期待しているそうだ。

■VRを収益化するための方法とは?

 下田純也氏は「インディーズのVRコンテンツをひとりで作っている方も多いのですが、ぜひ数名の人員で、規模の大きなものを作っていただきたいです。そのためにもまずはプロトタイプとなるゲームを作り、資金を集め、運営できるような流れになるといいですね」と語った。

 藤山晃太郎氏は、日本という国の体制において、VRコンテンツが投資を受けるという土壌自体がないと考えているという。そのため、藤山氏はVRの収益化について、いろいろなアプローチを考えていたそうだ。

 藤山氏はこれからのVRコンテンツについて、「最近は“回転率”が重要だと考えます。コンテンツの体験時間は何分何秒なのか、イベントで展示をしたときに人が入れ替わるまでにどれほどの時間がかかっているかを考えてほしいんです。たとえば、ひとりが3分のコンテンツを体験したとしても、1時間で20人しか体験できません。現状のVRの多くは“個人体験”であり、何十人でも同時に大画面で観ることができるゲームとは違うんです。そのため、今後のVRでは複数人が同時体験できるものも求められるかもしれません」と語った。

 藤山氏は“コンテンツを加速させたい”、“収益化させたい”と考えたときに、体験時間、キャラクター、ゲームの舞台などが、さまざまな形に対応できる“カスタマイズ性”も重要になるとも語った。

 なお、藤山氏は手妻師として仕事をした際、観客の反応などをフィードバックし、正しいコミュニケーションができるように、最短の時間で、最適な言葉が使えるようにと工夫しているそうだ。藤山氏はそうした“最適化”が、VRにおいて“回転率”をあげることにつながるという。「VRは体験しないと価値がないものです。体験時間がたった3分であっても、そこに無駄がないかを考えてみてほしいです。もしかしたら同様の体験を1分で出せるかもしれないんです。ぜひ、そこを煮詰めて、重要なところを詰め込んから、出展してほしいです」と、VRコンテンツに挑む人へアドバイスをした。