『クリプト・オブ・ネクロダンサー』 PS4とPS Vitaに! ブースも大盛況だった“Brace Yourself Games”を直撃【BitSummit 2015】

2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催中の、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。ここでは、『クリプト・オブ・ネクロダンサー』を出展している“Brace Yourself Games”のRyan Clark氏にインタビューを行った。

●斬新なリズムアクションは『スリラー』とのカップリングから生まれた!?

 2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催中の、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。ここでは、『クリプト・オブ・ネクロダンサー』を出展している“Brace Yourself Games”のRyan Clark氏にインタビューを行った。
 ローグライク・リズムゲームとして話題を集める同作は、スパイク・チュンソフトからプレイステーション4、プレイステーション Vita版が発売されることになっている。会場でも来場者から大きな人気を集めていた。その開発秘話について聞いた。

――簡単にBrace Yourself Gamesの設立した目的や目標、所属クリエイターの特徴などを説明していただけますか?
Ryan Clark氏(以下,Ryan) Brace Yourself Gamesには、まだ長い歴史はありません。2013年に設立され、制作したゲームはまだ1本だけです。Brace Yourself Gamesは、私が以前立ち上げた会社、Grubby Gamesに大きく影響を受けています。Grubby Gamesでは7本の作品を作り、最終的にはその会社はBig Fish Games社に買収されました。その後、私はBig Fish Games社で2年働きました。これら両社で働いていたとき、私はゲーム開発者として生計を立てていくために、確実に儲けがでるゲームの開発に必死でした。そのため、“無難な”カジュアルゲームや、ソフトコアなインディーゲームの開発に注力し、本当に作りたいゲームを作りませんでした。Brace Yourself Gamesでは、私は自分自身が本当に作りたいと思えるゲームのみを開発する方針に転換しました。『クリプト・オブ・ネクロダンサー』は、その結果生み出されました。幸いなことに、金銭的な意味でもプロジェクトは成功しています。

――「“フェア”なローグライクゲームを作る」が基本コンセプトとのことですが、“フェア”という意味はどういったことですか。改めて教えていただけますか?
Ryan 私はローグライクゲームをプレイするにあたり、絶対に回避できないダメージや、絶対にクリアーできない状況が楽しいとは思いません。このジャンルの原点である『Rogue』においては、そういった状況がたびたび発生していました。これにより、ゲームをプレイする上で運の影響が強くなり、ときにストレスがたまったものです。『クリプト・オブ・ネクロダンサー』での私のゴールは、たとえ初期装備を使っても、一切ダメージを受けずにゲームをクリアーできるゲームデザインを達成することでした。このゲームでは、プレイヤースキルの高いプレイヤーなら、それが可能なのです! また、そういったプレイが可能であることをプレイヤーが理解することで、ゲームプレイ全体が“公平である”と感じることができるようになりますよね。敵からダメージを受けたら、どうやればそのダメージを回避できたか、その方法がこのゲームでは明確なのです。

――本作はローグライクとリズムアクションの融合という、斬新なアイデアが根底にありますが、そもそも開発が始まった経緯はどういったことなのですか?
Ryan 私は『Spelunky』というゲームに大きな影響を受けています。あの作品にはローグライクな要素がありますが、ゲームプレイはとても公平です。ダメージを受けた場合、その理由は技術不足か知識不足と明確なのです。運が悪いからダメージを受けるという要素はほとんどありません。私はこの“公平さ”を、より純粋なローグライクゲームに持ち込みたいと思っていました。『Spelunky』の公平さは、そのゲームプレイのリアルタイム性の高さによって生み出されています。完全にリアルタイムのローグライクゲームを作ることもできましたが、ローグライクのターン性を残したかったので、まず短いターン性のプロトタイプを制作しました。すばやくつぎの行動を考えないといけないわけですね。そこで気づいたのが、短いターンでつぎつぎに行動していくのが、リズムに合わせて行動するフィーリングそのものだったんです。ですので、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のビートに合わせてプロトタイプを合わせたら、最高におもしろかったんですよ! その時、作るならこういうゲームだと確信しました。

――本作ではその音楽も重要な要素ですが、どのように制作され、どのようにゲームに組み込んでいったのでしょうか?
Ryan Danny Baranowskyが、『Cubase』というソフトウェアを使って制作しています。楽曲のBPMがゲームの攻略に影響しますので、ゲームが進行するごとに、徐々にBPMを上げるようにしています。Dannyには私が希望するBPMの数値と楽曲の尺、あとはゲームの各ゾーンのイメージを伝えました。彼はその情報をもとに、すばらしいサウンドトラックを作り上げてくれました! また、ゲーム内で商人が歌を歌うんですが、そのアイデアも彼が提供してくれました。

――Steamでアーリーアクセス版がリリースされました。その時点でもすでに非常に評価が高かった本作ですが、ユーザーからはどんな要望がありましたか?
Ryan アーリーアクセスの期間が長引いたのは、コミュニティーからたくさんのすばらしいアイデアやフィードバックをいただいたからです。とくに、多くのプレイヤーがゲームのスピードランを実況プレイしようとしたので、スピードラン向けのアイテムや機能を実装し、運よりもプレイヤースキルが結果に影響するよう調整しました。

――東京ゲームショウにも出展されましたが、日本のゲーム市場、インディーシーンの印象はいかがですか? また、BitSummitの印象も合わせてお聞かせください。
Ryan 今回のBitSummitが初めての参加ですので、すべてが楽しみです! 何よりも、BitSummitは日本のインディーゲームの存在をひろめようとしてくれています。こういった活動を通じて、より多くの日本のインディーデベロッパーが、フルタイムの仕事としてインディーゲームの開発に打ち込めるようになったらいいですね。
 日本のゲーム業界は、時に革新的で、インスピレーションを受けるゲームを生み出します。たとえば『洞窟物語』を通じて、私は“無難な”ゲームではなく、本当に作りたいゲームを作ろうと思うようになりました。もちろん、『リズム天国』などの日本のリズムゲームや、『風来のシレン』などのローグライクゲームにも、影響を受けています。そして、フロム・ソフトウェアによって、プレイヤースキルベースのゲームの楽しさが世界中で受け入れられている事実もすばらしいと思います。日本のインディーゲーム業界が盛り上がることで、ゲーム開発におけるつぎなる一歩が日本から生まれるのではないかと期待しています。

――今回、BitSummitに参加しての感想は?
Ryan 新しいゲームを提供する機会を設けてくれることを、非常に喜ばしく思っています。いままで日本は、いちばんイノベーティブなゲームをずっと作ってきた歴史があり、当然、インディーゲームはイノベーティブなゲームを作る場でもあるので、そういった作品群が、BitSummitを通じて世界に波及していくことを願っています。

――今後開発されるゲームも、日本のゲームをフィーチャーしたものに?
Ryan じつは現在、サンドボックス型のシミュレーションゲームを開発中です。私は日本のゲームが好き過ぎるので、この作品でもやはり、その影響から逃れることはできませんね(笑)。

――さしつかえなければ、日本でのパートナーとしてスパイク・チュンソフトさんと組むことになった経緯を教えてください。
Ryan 理由はたくさんありますよ! まず何よりも、私は『風来のシレン』が大好きで、その作品を生み出した会社といっしょに仕事をできるというのはすばらしいことです。彼らはローグライクゲームを理解していますし、ローグライクゲームが好きなファンがたくさんいるということです。また、『テラリア』を日本で成功させたことや、国内外の開発者からもよい評判を聞いていることも理由です。最後に、彼らとはGDCで実際に会ったり、メールを通じてたくさんのやり取りをしたりしていますが、彼らのことを好きになったんですよ! 彼らはローカライズに情熱を捧げ、最高のゲームをファンに届けるという私のゴールをともに目指すことのできる人たちだと感じています。スパイク・チュンソフトとパートナシップを築けて本当にうれしいですね。

――最後に、PS4、PS Vita版を待っているユーザーにひと言お願いします。PS4・PS Vita版の特徴も教えてください、また、配信時期はいつごろを目指していますか?
Ryan 日本は、私の人生に大きな影響を与えました。私と妻は、新婚旅行で東京に行きました。私は日本のアニメが大好きですし、日本のゲームや食べ物、文化が大好きです。私が作ったゲームのPC版はすでにたくさんの日本のゲーマーにプレイしていただきました。日本のネクロダンサーコミュニティのみなさん、本当にありがとう!
 PS4とPS Vita版について、配信時期は現時点では未定ですが、『Shovel Knight』のJake “Virt” Kaufman作曲のボーナスサウンドトラックをはじめ、いくつかの追加要素を予定しています。スパイク・チュンソフトの協力のもの、さらに何か特別なものが実現するかもしれませんね!

 また、ブースにいらっしゃったスパイク・チュンソフトの海外事業グループプロデューサー、本間覚氏からもコメントをいただいた。

本間氏 『クリプト・オブ・ネクロダンサー』は、日本でもニコニコの実況動画などを通じて、もともとポピュラーなPCゲームです。インディーゲームは、コミュニティーの力が大きいので、私たちが家庭用ゲーム機用ソフトで参入することによって、既存のPC版のコミュニティーを壊すことなく、いっしょに盛り上げていければと思っています。スパイク・チュンソフトの取り組みとしては、私たちの手によって、より多くの日本ユーザーに届けたいインディー作品に出会えたら、今後も積極的に手を挙げていきたいと思います。

▲Ryan Clark氏(右)と本間覚氏(中央)。

▲来場者に大人気だった、『クリプト・オブ・ネクロダンサー』。

Crypt of the NecroDancer -- Launch Trailer