学園神の秘話がつぎつぎと飛び出す!

 2015年8月に稼動を予定しているスクウェア・エニックスの新作アーケードタイトル『スクール オブ ラグナロク』。本作は、プレイヤーの分身である転校生を操作し、相棒の“学園神”とともに勝利を目指す“オンライン1vs1タクティカル5Dアクション”と銘打たれた作品だ。今回は、『スクール オブ ラグナロク』の世界設定などを担当したスパイク・チュンソフトの小高和剛氏に、作品の世界観や学園神の設定についてうかがったインタビューの模様をお届けしよう。

※本インタビューは、週刊ファミ通2015年7月23日号に掲載したものに加筆・編集を行った完全版です。

『スクール オブ ラグナロク』の世界設定を担当した小高和剛氏に直撃インタビュー!_01
『スクール オブ ラグナロク』の世界設定を担当した小高和剛氏に直撃インタビュー!_02

アーケードの常識に縛られないストーリーモード

『スクール オブ ラグナロク』の世界設定を担当した小高和剛氏に直撃インタビュー!_03

――本作の大まかな世界設定を、あらためて教えてください。

小高 政府や警察といった組織が存在せず、すべての力が学園に集約されている世界。その中で、10の力を持った学園が覇権を争うというのが主軸になります。ザックリと表現するなら、“戦国時代の学園版”といったイメージですね。プロデューサーの柴さん(柴貴正氏)から、「物語の長さは気にせず、好きに作ってほしい」と言っていただいたので、ストーリーモードはかなり長いお話になっています。

――戦国時代ということは、物語の舞台は日本なのでしょうか?

小高 どこか特定の国、というわけではなく、世界規模で戦っているイメージですね。戦極丸がいる“天涯山高校”は日本の高校、ルーシーがいる“ルイジャージ・ハイスクール”はアメリカのハイスクール……といったように、それぞれが世界中の高校をモデルにしていて、“学園そのものが国家並みの力を所持している世界”だと思っていただければ、分かりやすいのではないでしょうか。

――柴さんや作曲担当の岡部さん(岡部啓一氏)と設定について打ち合わせをする際、どのようなやり取りがあったのでしょう?

小高 各キャラクターの案や、学園に関する設定は少人数で話し合って決めています。ある程度固まったら、キャラクターデザインの藤坂さん(藤坂公彦氏)や開発のディンプスさんに相談して、こういう方向性で行きましょう……といった形で進めました。いちばん最初に柴さんから提示された戦極丸以外の学園神は、僕のほうでアイデアを出したんですけど、ほぼNGはなく、そのままの形で採用していただいたのでやりやすかったですね。どのキャラクターも個性がバラバラなので、バラエティに富んだ戦闘を楽しんでいただけるはずです。

――すべての学園神に個別の物語が用意されていたりと、本作のストーリーモードは非常に力が入っているなと感じました。

小高 それぞれに個別のテーマがあり、個別の結末がある……。アーケードという形に捕らわれずに、物語が作り込めたと思います。

――学園神たちは、お互いの物語に関わってくるのでしょうか?

小高 詳しいことはまだ言えないのですが、たとえばスマイルハートは「世界をよくしたい」と思い込み、ほかの学園神は問答無用で悪の手先だと考えています。基本的には“アホの子”なので(笑)。その中で、ふざけたものが大嫌いなイヴォールと対峙して……といったやり取りが発生します。

――ほかの学園神どうしの掛け合いも、お聞きしたいです。戦極丸とルーシーなら?

小高 通常、学園神は生徒たちから崇められて神格化しているのに対し、ルーシーは学校の怪談から生まれた学園神なので、生徒たちからも恐れられているんです。なので、ルールを無視して、つぎつぎに人を殺しまくるんですけど、それが礼儀やしきたりを重んじる戦極丸には許せない……ということで、ぶつかることになります。

――エマとバルハラデスは性格が似ているので、争いに発展しなさそうなイメージですが。

小高 たしかに、どちらも真面目で、争いごとを好まない性格ですね。あえて違いを説明するなら、エマは“征服戦に勝利した学園神によって破壊され尽くした、荒廃した未来世界”からやってきた学園神で、自分自身が優勝することで歴史を変え、世界の崩壊を防ぎたいと考えています。一方のバルハラデスは、全学園神の中でいちばんまともといいますか、世界を統治するのに相応しい知識と人格を兼ね備えた存在です。そのことを自覚していて、「自分がやるしかない」という気持ちで征服戦に参加している。このふたりの場合は、それぞれに譲れない主張があるから対峙する、といった形になります。

――学園神ごとに物語の結末も違うものになるんですよね?

小高 はい。本作のストーリーモードは、学園神の成長物語という側面もあるので、プレイ前と後で、ガラリと印象が変わるキャラクターも出てくるはずです。

――転校生は、どんな立ち位置で物語に関わってくるのでしょう?

小高 転校生と学園神の絆がクローズアップされるお話もあります。ですが、基本的には転校生はストーリーに介入せず、学園神どうしの因縁が物語の中心になります。

――転校生との接しかたも、学園神ごとに違うのでしょうか?

小高 まったく違いますね。ドSな性格のイヴォールなら下僕にしようとしてくるし、スマイルハートなら、「悪の手先をやっつけるためにいっしょにがんばろう!」という雰囲気です。ルーシーは、つねに転校生を殺そうと隙をうかがっているので、戦闘に勝利しても油断は禁物です(笑)。

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学園神の隠し設定が早くも判明?

――学園神の設定を考えるうえで、意識した点はありますか?

小高 “どの学園神が主人公でも成立する”という点を意識しました。スマイルハートは“魔法少女”、イヴォールは“耽美なイケメン”など、パッと見の分かりやすさは大事なので。ゲーム中のアクションに関しては、開発のディンプスさんにお任せしていたのですが、かなり私の意図を汲んでくださっていたので、うれしかったですね。

――戦闘中、学園神たちが二頭身になったり、別の姿に変身する“チビ学園神”が登場しますが、これはどういった仕様なのでしょう?

小高 “神がかり”など大技を使った直後の、一時的に力が弱まっている状態の学園神です。ダメージを受けて体力が減ったときにも、この姿を見ることができますよ。もともと僕の中では、この発想はなかったのですが、藤坂さんのラフイラストの中に、戦極丸の赤ちゃんみたいなキャラクターが描かれていて。このキャラを、ゲームにも出せたらおもしろいんじゃないか? ということで、チビ学園神のアイデアを思いついたんです。

――なぜ、スマイルハートは変身後の姿は豚なのですか?

小高 二頭身のデフォルメキャラばかりだと、つまらないと思ったんです。キャラクターデザインの藤坂公彦さんに、何か別の姿に変身させられないか相談したところ、通常の二頭身デザインと、豚に変身したデザインを用意していただいて。「これだ!」と思い、採用させていただきました。必殺技にも、豚にちなんだものがあるので必見ですよ。

――それはぜひ、見てみたいですね! ちなみに、現在公開されていない、裏設定のようなものもあるのでしょうか?

小高 まったく本編には絡んでこない設定ですが、学園神の武器は“伝説の武器”が元ネタになっています。たとえば、戦極丸は草薙の剣でイヴォールはロンギヌスの槍といったように。ちなみに、ルーシーはそのまんまです。

――と言いますと?

小高 スクウェア・エニックスさんといえば、『サガ』シリーズの神をも倒せるチェーンソー(笑)。

――あ、そこですか(笑)。

小高 誰もが知っている伝説の武器を揃えることで、プレイヤーの皆さんに「俺が使っている武器はすごいんだぞ!」という、満足感を味わっていただきたかったんです。ちなみに僕は、チェーンソーがお気に入りです(笑)。

――それでは最後に、読者の皆さんに向けて、ひと言お願いします。

小高 アーケードの対戦ゲームと聞くと、初心者は手を出しにくそうなイメージがありますが、本作はストーリーモードが充実しているので、シングルプレイでも十分楽しんでいただけます。こちらのモードなら、乱入を気にせずに物語を楽しめるので、声優さんによるフルボイスや、学園神ごとに異なる挿入歌といった演出面にも、注目していただけるとうれしいです。未発表の学園神の中には、まだまだトンデモナイ隠し玉もいますので、これから続々と発表していく新情報にもご期待ください!

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※画面は開発中のものです。