ドローンを使った空撮を含む約2万8千枚の写真を使い制作

 世界文化遺産の登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」。「明治日本の産業革命遺産」は、九州の5つの県と、山口、岩手、静岡の3県にある計23施設で構成されている。長崎市の軍艦島(端島)もその中のひとつだ。この軍艦島の精密な3Dモデルが動画で公開されているのをご存じだろうか? 

 1ヵ月ほど前にYouTubeで公開されたこの動画は、長崎大学大学院工学研究科のインフラ長寿命化センターの“軍艦島プロジェクト”研究チームが長崎市経済局文化観光部文化財課から委託を受けて制作したもの。無人飛行機(ドローン)を使った空撮を含む、約2万8千枚の写真(3D化に使ったのはそのうち2000枚)を使って完成させた。

 実測に基づく“3次元映像”のため、今後は画像を使ってコンクリートの劣化や、海水に侵食された深さや崩壊したコンクリートの体積も計算可能。この技術を応用することで「大規模な歴史的構造物の劣化過程を正確に記録する」ことができる。また、このプロジェクトでは、パノラマ撮影機器やレーザー計測器、水中ソナーなどを用いて建物内や水中の計測も実施。平面的な写真と異なり、体積を持つデータであるため、3Dプリンターを使い立体模型を出力することも可能とのこと。世界文化遺産への登録が決定したことを機に、超精密な3Dモデルを眺めてみてはいかがだろうか。

■軍艦島とは?
 明治時代から炭鉱の拠点として栄え、鉄筋コンクリートの建物が密集する姿が海から見て軍艦に似ていることから“軍艦島”の名前で呼ばれるようになった。1974年、炭鉱閉山で無人島となり、現在は島の一部のみ上陸が認められている。

軍艦島3D