Keyファンのライターが語る『Angel Beats! -1st beat-』
ビジュアルアーツのKeyブランドとして本日2015年6月26日に発売されたPC用ソフト『Angel Beats! -1st beat-』。本作は、人気テレビアニメ『Angel Beats!』を題材にしたアドベンチャーゲーム。今回は、熱烈なKeyファンであるライターの浅葉たいがが、本作のプレイインプレッションをお届けする。
自称するのもどうかという年齢(33歳)になってきましたが、熱烈なKeyファン“鍵っ子”であるライターの浅葉たいがです。どれくらい熱烈なファンであるかは、書くと長くなってしまうので割愛しますが、“『CLANNAD』は人生”と言われると、“まったくその通りです”と深く深く頷いてしまいます。
ただ、いくら好きなゲームブランドが作っているとはいえ、筆者が新しい作品を遊ぶときには、ライターという立場もあって「いままでの作品はおもしろかったけれど、今回はどうだろう?」とか、「前作が神ゲーすぎたから、今回は期待しすぎないほうがいいかもしれない」などと考えてしまいます。本作『Angel Beats! -1st beat-』についても、発売日が決まってからというもの、期待が高まると同時に、そんな不安を勝手に感じていたのですが、エンディングをひとつみた時点で、そんな心配はどこかに吹き飛んでしまいました。
そんな衝撃的な体験に後押しされて、今回はファミ通.comという媒体には珍しく、PCゲームの記事を書かせてもらうことになりました。以下のプレイインプレッションで、少しでも本作の魅力をお伝えできれば幸いです。
『Angel Beats! -1st beat-』とは?
『Angel Beats! -1st beat-』は、全6部作で制作が進んでいるアニメ『Angel Beats!』を原作とするゲーム化プロジェクトの第一弾。ゲームならではの物語が、アドベンチャーゲームの醍醐味である“選択肢”を軸にして広がっていく。ゲームならではのオリジナル展開も数多く入れ込まれている。
ゲームでさらに深みを増す『Angel Beats!』の世界
物語は、記憶喪失の少年“音無”として、“ゆり”たちが何かと戦っている“死後の世界”に放り込まれるシーンから始まります。ゲームを始めてものの数十分で“死後の世界”という特殊な舞台に、プレイヤーをぐいぐいと引き込んでいくそのドラマティックな物語構成は、「さすがKey」と信者発言をしてしまいそうになる出来栄え。学園ものの醍醐味である、少年少女たちの活気あるやりとりや、Keyならではの小ネタやギャグも序盤から勢いよく走っていて、冒頭だけで、キャラクターの立ち位置や性格ががはっきりと伝わってきます。
筆者は、アニメ『Angel Beats!』を毎週楽しみに観ていて、Blu-rayも買って何度か観直してもいます。そんな自分が、本作を遊び始めて間もないころに感じたのは、キャラクターや世界観への懐かしさでした。
ただ同時に、冒頭の数十分を遊んだ時点では、ゲーム版がアニメ版の物語を追っていく形だとすると、ストーリーの流れに新鮮さを感じることは難しいのではとも思っていました。キャラクターたちがゲームの中で疑問に思っていることも、アニメ版を観ていたプレイヤーからすれば“知っている”ことが多いんです。
筆者としては、本作が、『Angel Beats!』の振り返りとしてでも十分に楽しめるので、何ら問題はないと思っていたのですが、そこからさらにプレイを進めてみると、こうした最初の感想が、ゲーム全体を語るうえでまったく見当違いのものであることに気づかされました。
序盤を抜けたあと、選択肢によって分岐していく物語はどれも、アニメ版とは全く異なる展開の連続で、個別ルート以外にも、新たな事実や設定が次々と登場してきます。本作は、アニメ版のおさらいや、補足ではなく、『Angel Beats!』のキャラクターと世界観を使った、全く新しい物語だったんです。アニメにはアニメの、ゲームにはゲームの魅力が全く違う形で詰まっている、こんな素敵なメディアミックスを体験できようとは、夢にも思っていませんでした。