ゲームクリエイター・内田明理氏、ユークスへ!

 2015年6月10日、ユークスにてゲームクリエイター・内田明理氏の入社記者会見が行われた。正式な入社は10月1日。会見では、“Uchida lab”というプロジェクトを立ち上げ、年内に何らかの発表を行う予定であることなどが明らかにされた。この記事では、その記者会見の模様をリポートする。

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 記者会見の冒頭、あいさつに立ったユークス代表取締役社長・谷口行規氏は、内田氏について「発想が非常に豊かで、こだわりのハードルが高い方」と評し、今回の内田氏の入社に至った経緯を説明した。
「たいへんいいご縁に恵まれて、ユークスは内田明理さんをプロデューサーとして迎えることになりました。2005年に格闘アクションゲームの開発でお仕事をごいっしょさせていただきました。内田さんは発想が非常に豊かで、こだわりのハードルが高い方です。ユークスにとってもチャレンジングで、楽しいプロジェクトでした。そのことが今回のご縁に繋がっています」
 さらに、内田氏の手掛ける作品を「エンターテインメント業界全体を活性化させるもの」そし、会社としてバックアップすると語った。

 続いては、内田プロデューサーのもと、ディレクターとして従事した経験のある千早氏がコメント。内田氏はプロジェクトの完成系のビジョンを持っているので、がんばるべきポイントが明確。また、内田氏は元プログラマーでもあるゆえ、開発終盤での一見ムチャな要求でも、「こうすればできるんじゃない?」という提案が理にかなっていたという。また、千早氏はその内田氏の“ムチャぶり”にも食らいついてがんばったユークスのスタッフも尊敬していて、これからユークス×内田Pによるコラボでどんな作品が生まれるのか、ご自身もワクワクしているそうだ。
「内田さんと仕事をしているときによくおっしゃっていたのが「くだらないものを真剣に作りましょう」。内田さんがこの先に生み出す、本当に新しくて、すばらしくくだらないものが、どれだけ世間を驚かせるのかを楽しみにしています」

新機軸の部署“Uchida lab”を10月に設立 内田明理氏ユークス入社報告記者会見をリポート_01
新機軸の部署“Uchida lab”を10月に設立 内田明理氏ユークス入社報告記者会見をリポート_02
▲ユークス 代表取締役社長・谷口行規氏
▲ユークス シニアクリエイティブディレクター・千早拓氏

新部署“Uchida lab”を10月に立ち上げ

 そして本日の主役、内田明理氏から、ユークスでの活動予定について説明があった。内田氏は「谷口社長からは、自由にやらせてもらえるという話をいただいた」と言い、内田氏自身が考えているアイデアを、自由にやれる環境でやっていきたいと話した。そういった中で、内田氏が自由に活動できる新しい部署として“Uchida lab”を立ち上げることが発表された。
「自分の得意なところを活かしつつ、また新しい発想を盛り込んで、もしかしたらゲームという枠を飛び越えてしまうかもしれないものが出てくるかもしれない。何にもとらわれずに、いまは考えていきたいと思っています」と内田氏は語った。

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▲内田明理氏
▲ユークス社内のデザイナーが作ったという、“Uchida lab”のデザイン。

●“Uchida lab”の目指すものとは?

 と、かなり抽象的な説明が多くなったので、ここからは会見後に行われた質疑応答から抜粋してお届けする。質疑応答では、内田氏の入社が10月1日であることや“Uchida lab”の骨子についての説明があった。

新機軸の部署“Uchida lab”を10月に設立 内田明理氏ユークス入社報告記者会見をリポート_06

――“Uchida lab”ができるということですが、役割や組織体系はどうなるのですか?
内田明理氏(以下、内田) これからいろいろと作っていくことになります。ご存知の通りユークスさんはさまざまな開発技術を持っていますし、私から持ち寄っているアイデアがあります。どう実現するのか、組織をそこから組み上げていく形になります。ゲームの作りかたや仕組みの研究からやっていくことになると思います。

――“ラボ”という名前ですが、文字通り、技術研究や遊びの研究をするのですか? それともゲームを開発するチームなのですか?
内田 現在のイメージでは、ゲームに限らず、デジタルコンテンツ全体にまで枠を広げて、研究して、企画していくという部署です。開発部隊をその中に入れるかは、これからの進展次第です。

――実際の入社日はいつになりますか?
内田 正式な入社日は、10月になっております。“Uchida lab”が実際に動き出すのは10月からになると思いますが、すでにいろいろと検討を始めています。

――ユークスというとプロレスのイメージがあります。内田さんの得意なキャラクター性とプロレスを融合させていくのか、プロレスとは別方向を模索していくのでしょうか?
内田 やりたいアイデアはいろいろあるのですが、まだ具体的にお知らせすることはできません。皆さんが作ってほしいリクエストがあると思いますが、私としては、これまで僕の作ったゲームで遊んで、楽しいと思っていただいた皆さんは絶対楽しんでいただけるタイトルを作っていくつもりです。とりあえず、ジャンルにはとらわれずに、ぜひ発表する情報を見てもらえればと思っています。

――“Uchida lab”で作るコンテンツは、内田さんが目指す、ユーザー体験型のコンテンツを作っていくことになるのでしょうか?
内田 リアルとバーチャル体験の垣根をあいまいにするというのは、私がものを作っていく今後のテーマです。そういった面でいろいろと実験したいことがありますし、何か新しいエンターテインメントというものを発表できればと考えています。

――“Uchida lab”に求める人材は?
内田 ムチャなことを言っても、あまり怒らない人がいいですね(笑)。それはさておき、やっぱりつらくて倒れそうでも、あとひと一歩がんばればお客様が笑顔になるという時に、ひと踏ん張りできる人。そういう人とつねに仕事をしたいと思っています。開発現場とぶつかることも多いのですが、最終的にそういったひと踏ん張りできる人と作ったものは、いいものになったと思っています。
 僕の得意分野はキャラクターコンテンツなので、シナリオやビジュアルもですね。シナリオをけっこう書かせていただいていますが、もう本当にネタ切れです(笑)。

――10月の入社までは、フリーで活動するのですか?
内田 フリーというよりも、今後やっていくことの構想をいろいろと練っていきたいと思っています。10月入社にしてもらったのは私のわがままで、準備や考えをまとめる期間がほしいとユークスさんにお願いしました。あとは、家事育児に専念したいですね(笑)。
 こういうことを言うと谷口社長に怒られてしまいそうですが、ぶっちゃけて言うと、お金になるかわからないような実験的なアイデアをずっと温めていまして、それをスピード感を持って、つぎつぎに試していきたいと思っていました。そういった無理が効く会社というのは、ふつうはないと思います。谷口社長からは「何でもいろいろとやってみてよ」とおっしゃっていただきました。本当はひとりでいろいろと試してみようかなと思っていましたが、浪人期間中にそう言っていただいたので、お世話になろうと決めました。

――10月に“Uchida lab”がスタートしますが、いつまでに何かを発表するといった具体的な目標はありますか?
内田 勝手に言うと怒られてしまうので、あくまで個人的な目標になりますが、早ければ年内に何かご報告できればと思っています。

 最後に内田氏が、今後の意気込みを語ってもらった。
「いろいろとやりたいことがあります。いろいろなジャンルに可能性がありますし、これまで僕を支持してくださったり、僕の作ったものを楽しいと思ってくださった皆さんに満足していただくにはどうしたらいいかをつねに考えて、モノを作っています。遊んだら必ず楽しい経験が残り、10年、20年後に思い出して、また遊びたくなるような、そういったものをがんばって作っていきたいと思っています。抽象的な話ばかりで申し訳ないですが、ぜひ今後の展開にご期待いただき、どんなことをするのか注目してもらえればと思います」

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