『プリパラ』開発の経緯やヒットの要因、アニメ、玩具との連携などについて、『プリパラ』のキーマンであるタカラトミーアーツ アミューズメント事業部の大庭晋一郎氏にインタビュー!

●『プリティーリズム』の蓄積があってこそのヒット

 ゲーム、玩具、アニメ、映画など、さまざまなジャンルで人気を集めている『プリパラ』。女児向けアーケード筐体『プリパラ』は、2014年7月に稼働がスタートし、2015年1月には登録ユーザー数が100万人を突破。さらに、2015年4月には登録ユーザー数が120万人に達し、勢いはますます加速している。『プリパラ』がなぜ多くの支持を集めているのか? 『プリパラ』のキーマン、タカラトミーアーツ アミューズメント事業部の大庭晋一郎氏にインタビューを行い、『プリパラ』開発の経緯やヒットの要因、アニメ、玩具との連携のやりかたなどについて話をうかがった。

▲タカラトミーアーツ アミューズメント事業部 大庭 晋一郎氏(文中は大庭)

――最初に、『プリパラ』の現状、反響についてお聞かせください。

大庭 アーケード筐体の『プリパラ』は、2014年7月からスタートしました。ですので、じつはまだ1年経っていないんですね。新シリーズが2015年4月から始まり、現在(2015年4月時点)は120万人の方に登録していただきました。もともと僕らが目標にしていたのは、2015年3月の終わりから4月の頭までに、50万人の登録者数。実際には倍以上の数字を達成していますので、予想していた以上に急速に広がったのかな、と分析しています。

――50万人という目標数字ですが、それは『プリティーリズム 』の最大登録者数が40万人ということを踏まえてだったのでしょうか?

大庭 そうですね。登録者数50万人という数字は、『プリパラ』がスタートして9ヵ月という期間での目標でしたから、僕らとしてもチャレンジングな数字でした。『プリティーリズム』が稼働していた時期は、いわゆる女児向け、女の子向けのアーケード筐体はきびしい状況で、ほぼ展開されていませんでした。そのきびしい時期に単身乗り込んだわけですから、そのときの状況と比べると『プリパラ』を投入したときは市場が打てば響くような状況だったので、『プリティーリズム』を超える広がりがあるのでは、ということは感じていました。

――発表時、『プリティーリズム』の蓄積がある中で、タイトル、そしてキャラクターデザインを一新されたことに驚きました。『プリパラ』では、新たなことに挑戦しよう、と強く意識されていたのですか?

大庭 『プリティーリズム』はアーケード筐体として4年間稼働していました。筐体ビジネスというのは、4年くらいやっていくと、流行や性能を考慮し、新しい機械に変えていかないといけないんですね。先ほども話した通り『プリティーリズム』が稼働していたときは、女の子がおもちゃ離れしていた時期でした。男の子は中学生になってもこういったゲームを続ける傾向にあるのですが、女の子はゲームやおもちゃはすぐに卒業してしまう。そういった状況を踏まえ、『プリティーリズム』はリアルなファッションをどうにかしてアニメやゲームの中に持っていこうと考え、現実(リアル)なオシャレを体験してもらえるように共同原作のシンソフィアさんが意識して、デザインやアートディレクションを行いました。その『プリティーリズム』が終わって新しいものをやりましょうとなったときに、いったん僕らの中で『プリティーリズム』を否定しようということになったんです。

――否定ですか?

大庭 否定したうえで、新しいものを考えていこうと思ったんです。完全な否定ではなく、『プリティーリズム』を削ぎ落としていったときに残るものは何だろうって話ながら……そのおもしろさを継承しながら、ユーザーとコンテンツの新しい関係性を考えなければいけないと思ったんです。『プリティーリズム』は当時を楽しんでくださっていた女の子の親御さんから「子どもがオシャレに目覚めた」と言ってもらえたこともありました。実際の洋服のコーディネートや色の組み合わせといったオシャレに興味を持ってくれて、お子さんがオシャレに敏感になっていった、という声もいただいたりして。ファッションという要素が現実とコンテンツの大事な接点になっていたわけです。『プリパラ』を生み出す際に考えたのは、女の子がゲームをしたときに“誰でも簡単にキラキラとしたアイドルになれる!”と感じてもらいたいということ。実際にアイドルになるには、途方もない努力やさまざまな要素が欠かせませんが、放課後に駄菓子屋に立ち寄るような感覚でアイドルになれるとしたらおもしろいよね! という発想があり、“アイドルテーマパーク”というコンセプトが生まれました。“お店にゲームを遊びに行くこと=アイドルテーマパークに遊びに行くこと”で、みんながアイドルになれる。これがユーザーとの最初の接点だと決まったあとは、どんどん広がりが生まれました。らぁらの小学生という設定も遊ぶ子どもと同じ目線に立たせたいと思い、お姉さんたちの中でがんばる自分、ということをイメージして年齢を下に落としました。

――『プリパラ』お披露目発表会で真中らぁらを初めて見たときに、髪の色が紫ということにとても驚いたことを覚えています。

大庭 『プリパラ』の世界観のカラーは薄紫と薄いピンクなんですね。『プリティーリズム』のときは黒とショッキングピンクでアートディレクションをしていましたが、「今度に流行る色は何だろう」と考えていたときに、女性の企画メンバーがいろいろと調べて決めてくれたのがそのカラーでした。さらに、当時お付き合いのあったアパレルメーカーさんとお話ししたときに、「淡い感じのパステルカラーが流行りますよ」とうかがい、それをシンソフィアさんがキャラクターデザインに取り入れたのが“らぁら”でした。

――流行色を取り入れてのパステルカラーだったのですね。『プリパラ』はゲームとアニメの同時展開ということも特徴のひとつですが、同時展開だったからこそ、設定やデザインを練り込むことができたのでしょうか?

大庭 前作の『プリティーリズム』はまず最初にゲームがあり、その後アニメ化されました。一方、『プリパラ』は「アニメありき」という考えを持って進めていました。まずゲームの大きな世界観やキャラクターの原案はタカラトミーアーツとシンソフィアさんで固め、それをもとにタツノコプロさんと森脇真琴監督がアイドルテーマパークに入るときに魔法少女のような変身する……「変身の要素と、キャラクターたちの個性を組み合わせて何ができるか」といったことを話し合いながらアニメ『プリパラ』の世界観が生まれました。同時にシンソフィアさん、タツノコプロさんのCGチームの両者で表現方法の共有をしていただき、そこにエイベックスさんのすばらしい楽曲が加わって、観ても遊んでも楽しくすばらしいプリパラライブが完成しました。

――キャラクターたちの名前の頭文字がドレミファソラシドだったり、「かしこまっ!」に代表されるキャラクターごとの口癖など、設定がとても細かく個性的ですよね。そういった部分も当初からお考えになっていたのですか?

大庭 その部分に関していいますと、語感などは森脇監督のアイデア、センスです。率直に「森脇監督のセンスはすごいな」と思っています。『プリパラ』というタイトルの語感から、「この世界観にはきっとこんな言葉が似合うんだ」とどんどん監督が考えています。ななみの「キュピコ~ン」も、森脇監督が即決採用されました。