『夏色ハイスクル★青春白書(略)』発売記念インタビュー 僕たちが夏色(略)を作った理由

ディースリー・パブリッシャーから発売になった『夏色ハイスクル★青春白書(略)』。発売を記念して、本作のプロデューサー&開発ディレクターにインタビューを敢行! その完全版をお届けする。 ※本記事は、週刊ファミ通2015年6月18日号(2015年6月4日発売)に掲載されているインタビューに加筆したものです。

●話題のオープンワールド恋愛アドベンチャーゲームが発売!

 長すぎるタイトルと、斬新なコンセプトで注目を集めた本作。その発想のきっかけや開発秘話を、岡島信幸プロデューサーと、長井康典ディレクターに聞いた。なぜここまでタイトルが長くなったのか?

タムソフト ディレクター
長井康典氏(写真左・文中は長井)

ディースリー・パブリッシャー プロデューサー
岡島信幸氏(写真右・文中は岡島)

●(パンツ)写真撮影は戦闘の代わり!? ゲームができた経緯とは

――いよいよ発売日を迎えましたが、ゲームが完成した感想をお聞かせください。

岡島 私はプロデューサーという立場なので、完成してからもゲームの魅力を皆さんに知っていただくということが大事な仕事のひとつなのですが、このゲームほど、どう伝えていくかを悩んだタイトルはありませんでした(笑)。何しろ新しいコンセプトのゲームですので、どのようなゲームか、魅力がきちんと伝わっているだろうかとか、プレイヤーに本当に喜んでいただけるのだろうかとか、とにかくいまは期待と不安が入り混じった状態です。

――オープンワールドを舞台にした恋愛アドベンチャーゲームという、新しい取り組みに至ったきっかけを教えてください。

岡島 3年くらい前、とあるオープンワールドゲームをプレイしていたのですが、その中にキャラクターどうしが結婚できるシステムがあったんです。海外のゲームなので、キャラクターのデザインがあまり日本人好みではないのに、それでも真剣になってしまって(笑)。そのとき、オープンワールドで、しかも日本人好みのかわいいキャラクターと恋愛できるゲームを作ったらおもしろいのではないかと思いつき、『ドリームクラブ』シリーズで実績のあるタムソフトさんに相談してみました。

長井 私たちのところに話が来たのが、2012年の夏ごろでした。ですので、構想も含めた開発期間は約3年ということになりますね。

――最初に“オープンワールドで恋愛アドベンチャーゲームを作るんだ!”という話を聞いたとき、どう思われましたか?

長井 「お、オープンワールド!?」って、ただ驚きましたよ(笑)。オープンワールドは海外のRPGなどで使われるシステムだという程度の認識だったので、そのお題をどう料理するか、かなり悩みましたね。企画を5本くらい考えて岡島さんのところへ持って行き、さらに煮詰めた結果、“写真を撮る”という行為を大きな柱とすることが決まりました。

岡島 最初は『アクションカメラ(仮)』みたいなタイトルが付いていましたよね?

長井 そうですね。オープンワールド形式で恋愛アドベンチャーを作る場合、いわゆるRPGの戦闘要素がなくなるんですね。その代わりというわけではないのですが、プレイヤーがアクティブにアクションできる要素が必要だろうということで、写真というアイデアが生まれたんです。

▲本作では、イベント中以外はいつでも写真を撮ることができる。スライディングやジャンプを駆使する撮影は、確かにある意味では“戦い”と呼べるかもしれない。

――オープンワールドゲームを制作されるのは初めてだと思うのですが、どういった点で苦労されましたか?

長井 やはりいろいろな障害がありました。昨日まで秒間30フレームで動いていたのに、今日はガクガクするとか……。プログラマーはかなり頑張ってくれましたね。また、『ドリームクラブ』では、会話シーンは基本的に主人公と女の子ひとりだったのですが、本作では複数の女の子が同時に出てくるので、イベントシーンのカメラワークなどもたいへんでしたね。キャラクターどうしの掛け合いのところなどは「もっとアニメっぽくして」などと指示を出しました。

●『夏色ハイスクル★青春白書(略)』が長いタイトルになった理由とは

――『夏色ハイスクル★青春白書 ~転校初日の俺が幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。~』という、全部で123文字にもなる長いタイトルはどのように決まったのでしょうか?

岡島 これは、私の独断で決めました。2014年の夏に音声の収録を行っていて、そこで声優さんにタイトル名をコールしてもらわなければならないのですが、それまでなかなか決まらなくて(笑)。新しいコンセプトのゲームなので、お客さんの目を引きつつ、ひと目でどんなゲームなのかもわかってもらいたかったんです。そこでまずメインタイトルを、夏だから“夏色”、高校生だから“ハイスクル”、“青春”、そしてプレイヤーが自由に綴っていくという意味で“白書”をつけました。

――なるほど。そして、サブタイトル部分は……。

岡島 ゲームのタイトルをつけるとき、ふだんはゲームの要素をひとつひとつ箇条書きにして、必要なもののみを取捨選択するのですが、あのときはちょうど東京ゲームショウの準備もあり、めちゃくちゃに忙しかったんです。それで、どうかしていたみたいで、全部採用してしまったんです(笑)。でも、内容もわかりますし、いろんな課題がすべて解決できているでしょう?

――それはそうですが(笑)。最初にこのタイトルを目にしたとき、長井さんはどう思われましたか?

長井 いやー、何かの冗談だろうと。

一同 (爆笑)

長井 でも、すでに岡島さんがロゴを作っていて、声の収録も進んでいたので。

岡島 じつは、先月公開した、2番目のPVで、初めて声優さんに全部しゃべっていただきました。リテイクは3回くらいだったかな?(笑)

●舞台が島になった理由とパンツへの熱い想い

――舞台を“夢ヶ島”という島に設定したのは、何か理由があるのでしょうか?

岡島 なぜか最初から島でしたよね?

長井 企画の初期段階から“舞台は島”ということになっていて、そのままスーッと受け入れられた感じです。舞台が島であれば、マップの端が海になるので、よくある“世界の端っこの見えない壁”に当たらなくて済むなど、世界観が無理なく受け入れられますよね。

岡島 そうですね。島ならいろいろな施設がコンパクトにまとまっていることにも納得できますし、移動もそんなに長くならないし、それでいて、移動の過程をきちんと描くことでロケーションや場所の説得力があると思います。わかりやすく言うと、単に島内の施設の中から移動先の選択肢を選んで、背景が紙芝居的に変わるという従来の表現ではなく、ちゃんとプレイヤーとヒロインがその場所まで歩いて行く行程があり、結果そこにいるという実感が味わえるようになりました。これは、これまでの恋愛アドベンチャーゲームにはなかったことで、舞台をオープンワールドで描いたことによるメリットだと思います。

――ゲームをオープンワールドにすることと舞台を島にすることは、この作品の場合、不可分だったというわけですね。海から山まで起伏のある島なので、いろいろなスポットもありますし、ただ探索しているだけでも楽しいですよね。

岡島 私が気に入っているスポットは、母岳の頂上ですね。夢ヶ島高校を上から見下ろすことができて、いい景色なんですよ。帰りの下り坂も、自転車で降りると気持ちいいですし。

長井 私は商店街と砂浜をつないでいるトンネルですかね。苔むした感じのトンネルですけど、なんだか雰囲気がよくて、好きなんです(笑)。あと、ゲームの途中で行けるようになる、滝の裏にある洞窟もぜひ見てほしいですね。

――建物も、細かい箇所まで作り込まれていておもしろいですよね。砂浜に小さいカメが
いてビックリしました。システムもかなり作り込まれているようで、島の人々やクラスメイト、犬にまで好感度が設定されていたり、主人公の“評判”というステータスがありますが、こちらは上下するとどのような影響が生まれるのでしょうか? 好感度が下がるとクラスメイトから無視されるとか、島の中で主人公が村八分にされるとか……。

長井 それはありません(笑)。評判や好感度は、クエストの発生条件に関わっています。好感度が高いことで発生するクエストがあり、そのクエストをきちんとこなしていくと、特定のエンディングに到達する……というようなことがあります。

――なるほど。好感度は高くしておくほうがよさそうですね。あと、これはぜひお聞きしたかったのですが、男子トイレで用を足せることに何か意味があるのですか?

長井 トイレで用を足すと、時間を10分間進めることができるんですよ(笑)。

――なんと! それは気づかなかった……。

●登場キャラクターは360名以上! 

――ヒロインのなかで、とくに好きなキャラクターなどはいますか?

岡島 キャラクター設定の初期段階では、報道部の副部長である大神弥生が好きだったのですが、途中から、チアリーディング部部長のナオミ・サンダースがお気に入りになりました。最初はなんだか普通のデザインだなあ、と思っていたのですが、途中で眉毛が変わって、ガラっとよくなりましたね。しかも彼女がねえ、いい子なんですよ……。

長井 みんないい子なんですけど、ナオミはとくに岡島さんのお気に入りらしくて(笑)、セリフもかなり手を加えられていました。

▲報道部の先輩、大神弥生(声:長妻樹里)

▲報道部の先輩、大神弥生(声:長妻樹里)

岡島 あと、報道部の後輩である島袋珠希のセリフは、スキップせずに聞いてほしいですね。

長井 主人公に対する罵倒が多いキャラクターなんです。罵られるのが……また、いいん
ですよね(笑)。

岡島 洲崎綾さんが魂を込めて声を吹き込んでくれました。ずっと罵られていたい(笑)。

▲報道部の後輩、島袋珠希(声:洲崎綾)

――(笑)。ノンプレイヤーキャラクターも含めて、かなり多くの声優さんを使われていますよね。

長井 参加していただいた声優さんは80名ほどですかね。音声収録には2ヵ月半くらいかかりました。1日で30名くらいの声優さんにスタジオまで来てもらったという日もありました。

岡島 これだけの人数の声優さんに参加していただくのは、私の経験上では初めてでしたね。最初、スタジオの待合室を見たときは「広いなあ」と思ったのですが、後から思うと待合室が広いスタジオでよかった(笑)。

――そうなると、ゲームに登場するキャラクターも膨大になりそうですね。

長井 名前があるものだけで360名くらいいますね。名前のない人も合わせると……もう、わかりません。キャラクターの作りかたとしては、まずは主人公の通う学校の規模を決めました。1クラス30人くらいのクラスがどれだけあって、3学年で、先生もいて……。学校ができてから商店街の人たちを作っていきました。双子のキャラクターもいるのですが、基本的に、すべてのキャラクターが違う顔になっています

――その規模で全員の顔が違うというのはすごいですね! 確かに、プレイを進めていくうちにみんなの顔を覚えて、徐々に見分けがつくようになる感じが楽しいです。ちなみに、パンツは何種類くらいあるのでしょうか?

岡島 100種類ですね。パンツはもう、要素として外せないので、タイトルにもきちんと入れましたし、100枚は譲れないラインでした。

長井 デザイナーが1枚1枚、丁寧にちまちまと作ってくれました(笑)。

岡島 PHS(パンツ履き替えシステム)搭載ですしね。キャラクターたちは、毎日異なる下着を履いていますが、基本的にはランダムなので、たまに2日続けて同じパンツを履いていたり、逆に、同じ日なのに時間が経つと違うパンツを履いていることもあります。ゲーム的に深い設定はないのですが、「もしかしてこいつ、昨日は家に帰っていないんじゃないか……」など、プレイヤーには自由に想像の翼を広げてほしいです(笑)。例えば、ヒロインの三日月めぐなんかが、女の子らしい、かわいい感じの私服でデートに来ているのに、パンツがやたら色っぽい大人なデザインのものを履いていると、ついなにかを勘ぐってしまいますよね(笑)。

●パンツ写真をうまく撮るコツとは?

――そのパンツなのですが、パンツ写真を撮るのが、意外と難しくありませんか? スライディングするとぶつかって転ばせてしまうし、寝転がると不審者ゲージが溜まって補導されてしまいますし……。

長井 パンツ写真を撮るコツとしては、まず、ファインダー越しの距離感をつかむことですね。カメラを構えた状態のまま、相手の体に当たらない距離を見計らいつつ、走りながらスライディングをすると、画面がスローモーションになる“アクセルアクションモード”になります。そこで視点をスカートに向けるのがポイントです。

岡島 最初は難しいかもしれませんが、慣れるとバシバシ撮れるようになりますよ。そういえば、アクセルアクションモードって、誰が考えたんでしたっけ?

長井 ……それは、私です。

一同 (笑)

――いろいろと夢いっぱいの本作が発売されたばかりですが、今後の夢をお聞かせください。

岡島 このタイトルが成功したら、次回作はプレイステーション4専用で作りたいですね。もちろんフルボイスで!(笑)

長井 まずはプレイヤーの皆さんに、本作を遊び尽くしてほしいですね。1周しただけではすべてを見ることはできないほどのイベントやクエストを用意してあります。ヒロインが7人いるので、7周はしてほしいです。さらに、ヒロイン以外のエンディングも、バッドエンドではない“クラスメイトエンド”など数種類があり、エンディングは全部で10種類以上あります。ぜひ、すべてのエンディングをコンプリートしてください。


夏色ハイスクル★青春白書 〜転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに 何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方〜
メーカー ディースリー・パブリッシャー
対応機種 PS4プレイステーション4 / PS3プレイステーション3
発売日 2015年6月4日発売
価格 プレイステーション4版は7480円[税抜](8078円[税込])、プレイステーション3版は6980円[税抜](7538円[税込])
ジャンル アドベンチャー
備考 プレイステーション4のダウンロード版は6926円[税抜](7480円[税込])、プレイステーション3のダウンロード版は6463円[税抜](6980円[税込])

(C)D3 PUBLISHER