プロとインディーの境はなくなる!? 白熱のディスカッションをリポート【TIF 2015】

2015年5月8日~10日、東京・秋葉原UDXにて東京インディーフェス(TIF) 2015が開催。ビジネスデイとなる初日の5月8日には、出展企業各社によるワークショップが行われた。ここではそのなかから、“プロとインディーのあいだ:どんどんなくなる境界線”というテーマで語られたディスカッションの模様をお届けしよう。

●インディークリエイターが語る現状は!?

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▲MCを務めた、ウェブテクノロジ・コムの浅井維新氏。

 2015年5月8日~10日、東京・秋葉原UDXにて東京インディーフェス(TIF) 2015が開催。ビジネスデイとなる初日の5月8日には、出展企業各社によるさまざまなワークショップが行われた。ここではそのなかから、“プロとインディーのあいだ:どんどんなくなる境界線”というテーマで語られた、インディーの方々には興味深いディスカッションの模様をお届けしよう。
 MCを務めたのは、ウェブテクノロジ・コムの浅井維新氏。そしてパネラーとして参加した3人のゲストは、NIGOROの楢村匠氏、souvenir circ.の凛氏、CRI・ミドルウェアの一條貴彰氏だ。ツールベンダー、インディーゲームクリエイター、それぞれの立場から、ゲーム制作を取り巻く現状に関する本音が語られた。


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▲左から、楢村氏、一條氏、凛氏。

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▲MCがテーマを振り、3人のゲストが答える形で進行。

 ディスカッションは、お題が提示され、それにゲスト3人が答えていくという形で進行。最初のお題は、“どうしてゲーム作ってるの?”で、なぜゲームを作るに至ったのかという経緯や、ゲーム作りのモチベーションなどがテーマとなった。
 最初に答えてくれたのはNIGOROの楢村氏。もともと子供のころからゲーム作りに興味があり、大学生のころに知り合いのプログラマーとゲームを制作するようになったという。けっきょくは勤めていた仕事をやめ、この世界に入った経歴を持つ。「作りたくてしょうがなかったんですね。そのときの本職以上に熱が入って……。必ずこっちのほうが、自分の力を出せるとも思ったので」(楢村氏)。
 凛氏は、2006年くらいから、同人サークルを立ち上げてゲームを作り始めた。「基本は、こういうゲームがあったらいいよね、っていうのが作るモチベーションです。あとは、自分はプログラマーなので、勉強を兼ねて作っている部分もあります」(凛氏)。
 最後にコメントを語った一條氏は、CRI・ミドルウェアというツールベンダーでありながら、個人的にゲームも作っているという複雑な立場のゲストだ。今回のフェスにも、デペロッパー側として出展している。ゲーム制作のきっかけは、ユニティだと言う。
「2年前くらいにユニティに出会って。これなら、もう少し勉強すれば、自分の思い描いたものが作れるかもと思って、いままでコツコツやってきました」(一條氏)。


●テーマに沿って現場の事情が明らかに!

 その後もお題が続々と振られ、ゲスト陣が答えていく形でディスカッションは進んだ。以降はその内容を、お題ごとにまとめて紹介していく。貴重な意見が飛び交い、来場していたインディーゲーム製作者にとっては、大いに刺激になったのではないだろうか。

・“どうやってゲーム作ってきたの?”
――どんな環境で、またどんなメンバーでゲームを作ってきたのか?

 楢村氏のチームは、もともとネットで知り合ったメンバーが中心。オフィスもなく、会うのも年に数回だという。昔はネットを介してのやり取りもたいへんだったそうだ。逆に凛氏の場合は、ネットではなく、ほとんどリアルな知り合いで構成されているとか。そして一條氏は、基本はひとりでゲームを制作しているとのこと。
 「最近は、ひとりでアプリなどを作っている人はわりといて、そんな人たちが集まるゆるいコミュニティーもあったりしますよ」(一條氏)。

・“今どきの作り方”
――ここ数年、開発ツールも進化。その環境変化に関しては?

 「価格も低くなり入りやすいけど、あとになって、このツールじゃ困るぞという部分が見えてきたりしますね」と指摘するのは楢村氏。いっぽう凛氏は、ツールの一般化により、ゲームを作る側の人口が増えた面について触れた。「よりたくさんのゲームが出てくるのは、いちファンとしてはうれしいです」(凛氏)。
 また一條氏は、作り方というより、作り手のあり方が大事なのではと言う。「大手・中堅の会社を離れて、自分のスタジオを作ったり個人でゲームを作ったりという形に、どんどんシフトしているんですね。今回のディスカッションのテーマでもある、プロとインディーのあいだはあいまいになってきて、いつかインディーゲームという言葉はなくなるのではと思っています」(一條氏)。

・“今どきの作り方とツールベンダーの試み”
――個人向けのエンジンを提供するなかで、課題などは?

 CRIの一條氏がまず語ったのは、個人向けのツールを提供しないと、未来のお客さんを失うという考え。その方針を実現したのが、学生でも使えるお手軽エンジン、adx2LEだ。
 ちなみにここでは、ツールベンダーとゲーム開発側とで、ゲーム内でロゴを出すことについて、やり取りするシーンもあった。要はツールやミドルウェアを利用した際、ゲームのオープニングなどで、その会社のロゴを出すかどうかという問題だ。
 「ユーザーには関係ない企業アピールなので、ないほうがいいと思います」とは凛氏のコメントだが、続けて「一個は欲しかったりします。データを読み込むあいだの時間稼ぎとして」と、裏事情にも触れた。

・“インディ向けツールを使ってみたら?”
――実際に開発してみての印象はどう?

 「不満はないです」と語るのは凛氏。使用ツールはサウンド面が弱かったそうだが、とくにサウンドを重視してないゲームだったので問題なかったそう。また楢村氏は、ツールに関しては、「デザイナーの立場から、新たに覚えることが少ないことが大前提」として選択したとのことだ。実際に使ってみたツールは、アニメーション機能の部分で、ちょっと不満があったとか。
 「自分のゲームに必要かそうでないか、足りない部分は何か? そのあたりを考えてツールを選ぶことが大事だと思います」(楢村氏)。ちなみにいまいちばん気にしているポイントは、コンシューマへの移植がスムーズにできるかという点だという。

・“今どきの作り方はオススメできる?”
――インディー向けエンジンを使った製作がトレンドになる?

 最後のテーマは、現状の制作状況はほかにもオススメできる内容なのか? という課題に関して。凛氏は、「作りたいものが実現できるんだったら、いまのエンジンをガンガン使っていくべき」と、いまどきの作り方を後押し。そのうえで、「自分が作りたいものが作れないのなら、無理に使うことはない」ともコメント。要は、臨機応変に使い分けろということだ。
「リリースまでの時間やコストなどを天秤にかけてOKなら、ツール導入はひとつの手だと思います」と言うのは楢村氏。彼もまた、「自分の作るゲームに合ったものがいちばん」と、ツール選びのポイントを語った。
 「インディーの土壌がないと、いま僕も、もの作りができてません。無理な部分は便利なツールを利用したりするのが、いまどきのゲーム製作なのかとも思います」(一條氏)。