青空の下、仕事に対する考えを語り合う!
2015年5月3日~5日、徳島県徳島市で開催されているエンターテインメントのイベント“マチ★アソビ vol.14”。今回も多数のゲームメーカーが、ブースを出展したり、ステージイベントを開催したりと、さまざまな催しを行っている。
開催2日目、そんな名だたるゲームメーカーのクリエイターが西公園ステージに集結! カプコンの小林裕幸氏、小嶋慎太郎氏、セガ・インタラクティブの大崎誠氏、バンダイナムコエンターテインメントの坂上陽三氏、サイバーコネクトツーの松山洋氏が登壇し、ゲーム作りに関するアレコレを語り合った。
■気になる/ハマっているコンテンツ
小林氏:映画『チャッピー』
小林氏は映画好き。日本では2015年5月23日(土)公開予定の映画『チャッピー』の予告編を見て、楽しみにしているそうだ(パンチラ満載の映画『みんな!エスパーだよ!』も楽しみらしい)。ちなみに、最近観た映画では『ペルソナ3』の第3章がおもしろかったとのこと。
小嶋氏:映画『バトルシップ』
このステージイベントの前日にテレビで放送されていたため、観た人も多かったであろう『バトルシップ』。劇場上映時にも観に行っていた小島氏は、「迫力がウリの映画なので、映画館で見たほうがよりおもしろい」とコメントした。
大崎氏:アプリ『Ingress(イングレス)』
スマートフォンアプリ『Ingress(イングレス)』にハマって痩せたという大崎氏。本日はいているのは5年前のズボンだが、いまはちょっとユルいぐらいらしい。“健康にいい無料のゲーム”にハマったことで、「うちらはゲーム屋としてどうすればいいんだろう? なんでコレにハマるんだろう?」と深く考えているとのことだ。
坂上氏:テレビアニメ『俺物語!!』
休みの日にHuluを見ることが趣味の坂上氏。この春からスタートしたテレビアニメ『俺物語!!』(原作は別冊マーガレットに連載中のマンガ)にハマっていて、“主人公がゴリラのような外見”という、少女マンガらしからぬ設定に共感していると語った(第3話ではボロ泣き)。
松山氏:マンガ『恋は雨上がりのように』(月刊!スピリッツ連載)
先日2巻が発売されたばかりの『恋は雨上がりのように』は、45歳バツイチのファミレスの店長に対し、バイトの17歳の女の子が恋をするというお話(しかし女の子は目つきが鋭く、店長を見つめても、睨んでいるのだと勘違いされる)。これを呼んだ松山氏は、いま、「めっちゃファミレスの店長になりたい」らしい。お話の構成がマニアックで、伏線が散りばめられており、「うおー!」と驚かされることがたくさんあるそうだ。
■「おもしろさ」を決めるポイントは?
小林氏:自分
自分が「どうかなぁ、これ」と思うと失敗するパターンが多いので、やはり自分が「おっ、いいな」と思わないと成功しない、と小林氏。もちろん、自分ひとりで何もかも決めるわけではないが、プロデューサーとして、自分が「いいな」と思えないといけないポイントはある、と語った。
小嶋氏:ハダ感
小林氏が述べたように、「自分たちがおもしろいと思ったものでなければ、皆さんにも楽しんでもらえない」と小嶋氏。自分たちが自信を持っているかどうかは、相手にも伝わる、と語った。
大崎氏:フィーリング? 一体感?
大崎氏は「デバイスもグラフィックも音も、カチッとはまっていたらスカっとする」と説明。たとえば、『初音ミク -Project DIVA-』をアーケードに移植したとき、PSP版では片手でボタンを押すシステムだったが、アーケードゲームならば、やはり両手でボタンを押さないと! とプログラムを書き換え、それに合わせてSEも調整したという。アーケードで出すにあたり、操作方法や音をしっかり調整したことが成功した例だ。100円を払って3分間楽しむようなアーケードゲームでは、とくにこの一体感が大事なのだと語った。
坂上氏:ゲームストーリー(シナリオではない)
ここで坂上氏が挙げた“ゲームストーリー”は、シナリオがおもしろいという意味ではない。たとえばアクションゲームなら、スタートしてリザルトまで行き、そのサイクルをくり返すことで、プレイヤーにどんなことを思わせるか。たとえば『アイドルマスター』なら、“プロデューサーになった気分になれる”、そしてその先に、“アイドルを好きになったり、親のような気持ちを抱いたりする”というプロセスがあって、アイドルの存在が“日常の中の一服の清涼剤になる”という、そこまでの流れを“ゲームストーリー”と呼ぶ。坂上氏は、自分がよくわからない題材のゲームでも、ゲームストーリーの筋が通っていれば、そのゲームは売れるんじゃないかと考えるとのこと。
松山氏:タイトル・商品名
「自分がふだん考えていることは小林氏に語られてしまったので、違う切り口で」と、“タイトル・商品名”を挙げた松山氏。本当に売る気があるの? という商品名をつけられているタイトルについて、もったいないと思うと語った。
■日々の生活で仕事のために心がけていることは何?
松山氏:これ以上ハゲない
松山氏がフリップを見せた途端、会場では笑いが起こったが、「めっちゃ努力して育んでいる」と松山氏は反論。イベントに出たり、インタビューを受けたりする機会も多いので、自身の外見にも気をつけているのだとアピールした。
坂上氏:朝早く会社に行く
毎朝9時に出社している坂上氏。みんながいないので仕事がはかどるとのことだ。記者はなかなか深夜生活から抜けられないタイプだが、多忙な坂上氏が9時に出社していると聞き、自分も早起きがんばろう……と思った。
大崎氏:音の間を気にする
『カウボーイビバップ』のオープニングを見て衝撃を受けて以来、映像の“音”が気になるという大崎氏。たとえば、ドラマなどでは海辺のシーンに入る前に波の音が鳴ることが多いが、あれは視聴者の意識をついてこさせるため。そのような、絶妙な音の入れかたはどういうものなのかと気になって、テレビを見ていても、映画を見ていても、音ばかり聞いてあんまり話が入ってこなかったりするとか。
小嶋氏:たまにヨソ見
小嶋氏が語ったのはヨソ見の大切さ。ときに目を違うものに向けて、「あ、こういうものもあるんだ」と気づくことが重要とのこと。また、違う業界の人と話すことも大事にしていて、ものの見方が違うので勉強になるそうだ。
小林氏:蕎麦を食べる
小林氏は2015年に入ってから、34回も蕎麦を食べているらしい。仕事場ではよく怒っている(と、小嶋氏も語る)が、おいしいものを食べると心が豊かになって怒りが収まる、と笑顔で語った。
■今後やってみたいこと
小林氏:おもしろい企画
ここで小林氏が取り出したのは、カプコンブースで販売されている3タイトル合同のグッズや紅茶(詳しくはこちら)。カプコンがタイトル合同のグッズを作ることはなかなかないが、これからも皆さんに喜ばれる、おもしろいものを作っていきたい……と、バッチリ告知を交えて締めくくった。
小嶋氏:テーマパーク
マチ★アソビのように、いろいろなエンターテインメントが集まっていて、お客さんが楽しそうにしているイベントはすばらしい、と小嶋氏。ゲームももっといろいろなコンテンツと関わって、楽しいものを表現していくべきという気持ちを、この“テーマパーク”という言葉に詰め込んだ、と語った。
大崎氏:未来感のあるもの(ゲームに限らず) 男くさいものを久々に
いまの世の中、ゲームセンターにあるものよりも大きなモニターを自宅に置いているような人がいる状況で、どうすれば家で味わえない未来感を作り出せるか? が課題だと大崎氏。また、最近は女の子が出てくるゲームを作っているが、男くさいものを作らないと作りかたを忘れるので、久々に男くさいものを作りたいとも述べた。ちなみに未来感という言葉には、2015年5月28日発売予定の『初音ミク Project mirai でらっくす』の告知も含まれてます!
坂上氏:バラエティ番組を作ってみたい
これまで数々のイベントやライブを手掛けてきた坂上氏。つぎに作ってみたいのは、“バラエティ番組”!。「昔のオールナイトフジみたいなやつをやってみたい」と展望を語った。
松山氏:早く来週のジャンプを読みたい
「やりたいと思うこと、期待されていると思うことはやっている」、「これから順番に発表していく」と力強く述べた松山氏。というわけで、いまとにかく考えていることは、「『NARUTO』の外伝が始まったばかりなので早く読みたい!」とのこと。
いまやマチ★アソビ恒例となっているゲームクリエイタートークライブ。つぎはどんなメンバーが登場するのか? 松山氏は次回のマチ★アソビでも開催する気まんまんだったので、楽しみにしていよう。