3DMMORPGのレジェンド的タイトルが基本プレイ無料に!
『リネージュII』は2004年の6月からエヌシージャパンが国内サービスを行っている、3DMMORPGの草分け的タイトル。前作『リネージュ』の150年前のアデン大陸が冒険の舞台で、あちこちで予兆が見られ始めた世界の危機に立ち向かうために、プレイヤーは奔走することになる。レイド(大規模戦闘)や攻城戦など、『リネージュ』が持つスケールの大きい戦闘をサービス当初から取り入れ、瞬く間にPCオンラインゲーム市場を席巻した。
そんなレジェンド的なオンラインゲームがこのたび、現行のライブサービスとともに、かつての雰囲気が楽しめるクラシックサービスを始めたのだ。ライブサービスでも2012年の11月に一部無料化(アカウント内のキャラクター1体がレベル85に到達するまで)が適用されているが、クラシックサービスではその規模を払拭。レベル問わず、つねに無料で遊べるようになったのだ。そもそものサービス開始時は3000円という月額料金だったので、3月1日に発表された際は驚いた方も多かっただろう。そんな注目の新サービスで楽しめる内容を、『リネージュII』の特徴とライブサービスの現況を交えながら解説する。
古き良き時代を切り取ったクラシックサービスが開始に
クラシックサービスでは、2004年から2005年にかけてプレイできた“The Chaotic Chronicle”初期のコンテンツが楽しめる。よって、選べる種族はヒューマン、エルフ、ダークエルフ、オーク、ドワーフの5種族。その後のアップデートで廃止された各種族の村からスタートすることになる。レベルキャップは75で、オリンピアードなどのコンテンツは実装されていない。と言っても、ゲームの根幹は“The Chaotic Chronicle”初期のままだが、タブごとにページ分けされたインベントリなど、当時にはなかった便利な機能は、ライブサービスのものを適用。プレイ時の細かいストレスを軽減しているのだ。
さて、本作を未プレイの読者も多いと思うので、あらためて特徴を説明する。昨今のオンラインゲームと比較すると、本作はキャラクターの移動速度が遅く、レベルの上昇に必要な経験値が膨大だ。また、装備アイテムの入手難度が高いため、装備の更新頻度はかなり低い。ここで勘違いしてほしくないのだが、決してマイナス面を列挙している訳ではない。同じ場所に留まる時間や同じ装備を着用する期間が長くなることで、愛着が生まれ、エピソードが発生し、それが思い出となる。そんな古き良きストロングスタイルのMMORPGの感動に存分に浸れるのがクラシックサービスなのだ。
そして、プレイヤーどうしのつながりが強く求められるのも特徴だ。本作では目的をともにするプレイヤーが集える機能として、“血盟”が用意されている。ほかのオンラインゲームのギルドやグループとは異なり、プレイヤーにとってこの血盟は非常に重い存在だ。掛け持ちはできず、ときとして(現時点で攻城戦は行えないが)敵対する血盟と戦うことにもなる。結成した盟主に与えられる権限も大きい。そんな深い結びつきもなかなか体験できないプレイ感覚だ。
前述した、あまりに個性的な装備アイテムについてももう少しだけ説明させてもらおう。本作の装備アイテムにはNPCから購入できるものもあるが、モンスターからのドロップはごくごくまれなので、基本的には製作で入手することになる。ことクラシックサービスには、ライブサービスのようにクエストの報酬として用意されていたり、一時的にレンタルできたりといった近道は存在しない。その製作の過程も楽ではなく、貴重な製作図を持つウォースミスを探し、大量の素材を集めて持ち込む必要があるのだ。グレードが高くなると数日から数週間をかけて計画的に素材集めを進めることになるのだが、アイテムの販売を委託できる市場や競売のような仕組みはない。何も考えずに戦闘をくり返していても、ただただレベルが上がっていくだけで自身の強さはほとんど変わらないという、じつにシビアな仕様なのだ。一見すると面倒に思える作りだが、それが経済の活性化に大きく貢献しており、製作が好きなプレイヤーが活躍できる、貴重なオンラインゲームでもあるのだ。
ほかにも、モンスターがドロップしたアイテムを都度都度拾う必要があったり(本作のドロップアイテムは自動的にプールされない)、インベントリ(アイテム欄)に重量制限があったり、上級職への転職の過程が複雑だったりと、ほかのオンラインゲームでは簡略化されがちなことをしっかりと把握し、先を見据えて進めなければならない。そのすべての過程は面倒ではなく、むしろ古き良きオンラインゲームならではの“楽しい日常”となるのだ。とくにスピーディーに展開する昨今のMMORPGに物足りなさを感じている方には、ゆっくりと時間が経過する骨太なクラシックサービスをぜひ一度体験してもらいたい。
ライブサービスも健在、世界と成長要素は広がり続けている
クラシックサービスのよさを長々と述べてきたが、もちろん3月までのサービスもライブサービスとして並行してしっかりと運営されている。3月1日に実装されたばかりの最新の大型アップデート“INFINITE ODYSSEY”ではレベルの上限が99から無制限(!)へと解放され、最上級の職位“エーレ”が追加された。レベルの上昇と新職位の追加にともない、数多くのスキルが増えているところなのだ。また、縦方向(キャラクターの成長)だけでなく横方向(冒険の舞台)にも広がりを見せていて、新フィールドの追加とともに新たなレイドボス“ケルビム”が登場した。サーバーから多くの高レベルプレイヤーが集う最高峰のPvEは、ほかのオンラインゲームでは体験できない本作の大きな魅了のひとつとなっている。サービス開始からすぐに実施され、現行プレイヤーたちは新たな興奮に包まれているようだ。
なお、クラシックサービスとは異なり、ライブサービスは多くのアップデートを重ね、その都度最先端を目指すプレイヤーが先行するプレイヤーに追いつけるような施策がシステム上でなされている。また、2次転職以降の上級職位に就けたり、ほかのクラスの能力が得られるサブクラス・デュアルクラスに転職できたりと、キャラクターそのものの成長要素が格段に充実しているのも特徴だ。そしてなにより、今後も大型アップデートが適用されていくので、コンテンツが尽きることはない。「『リネージュII』を遊び倒す!」と言わんばかりの意欲にあふれる方は、ライブサービスでプレイを始めると本作を満喫できるだろう。
ふたつのサービスが選べるようになり、いまどのサーバーのアデン大陸も活気に溢れている。10年を超えるサービス期間の中で、いまがプレイを開始・再開する最高の機会であることは確かだろう。ゲームクライアントソフトはサービスごとに分かれておらず、キャラクターのスロットさえ空いていれば並行してキャラクターを育てられるので、やりこむタイプのプレイヤーは両方に参戦するのもいいかもしれない。最前線に立つには尋常ではないプレイ時間が必要とされるが、費やした時間や努力を悔やむようなことのない『リネージュII』ならではのプレイ体験がきっと得られるだろう。