展覧会オリジナルカラーの超小型電気自動車“マキナ”がお披露目

 2015年8月8日から9月27日まで、東京・上野の森美術館にて“メカニックデザイナー 大河原邦男展”が開催されることが決定した。ここでは、展示の魅力などが話された記者発表会の模様をお届けしよう。

『機動戦士ガンダム』など40年以上の活動の歴史を伝える“メカニックデザイナー 大河原邦男展”が開催決定 “匠の技”が語られた発表会をリポート_01
▲発表会には、展覧会オリジナルカラーの超小型電気自動“マキナ”と、“シャア専用ザク”がお披露目。

 “メカニックデザイナー 大河原邦男展”は、『タイムボカン』シリーズ、『機動戦士 ガンダム』、『装甲騎兵ボトムズ』などの人気アニメに登場する数々のメカニックデザインを手がけたメカニックデザイナー大河原邦男氏の、40年以上に渡る活動の歴史を詳細に伝える内容となっている。

 本展では大河原邦男氏がこれまで描いたイラストや設定資料のほか、本展のために描き下ろした初公開作品など、約500点が一堂に展示される。誰もが耳にしたことのある代表作から、熱心なファンが知る作品までをも網羅した、大河原氏の仕事に深く、鋭くスポットを当てた展覧会となる。

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 登壇した大河原邦男氏は、自身が手がけたさまざまな仕事を振り返り、「メカデザインという仕事を成立させるために、60歳まではがむしゃらに仕事をしようと考えた」と語った。そのために現在は数多くのオファーに応えることができ、60歳を超えてからのほうがメカデザイナーとして忙しいほどになっているのだそうだ。

 また、大河原氏はいままで展覧会を開催されたとき、小学校時代にガンダムを観ていたファンが40代になり、お子さんといっしょに観に来ていたことに、「ファンも年を取るんだなあ」と時の流れを感じていたそうだ。また、「いまのうちに、私の作品をいろいろな方に見ていただきたい」と意気込みも語っていた。

 大河原氏は「アニメーションは、企画したらすべて(制作が)決まるというものではありません。決まらなかったものも少しつずつ展示してもらえるように企画を進めています」「いままでに見たことがないような展示物がたくさんありますので、楽しみにしていただけたらうれしいです」と、ファンに向けてメッセージを贈った。

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 アニメーション研究家であり、本展の監修者である五十嵐浩司氏は、大河原氏の人物像について「オーダーやスケジュールに必ず応える、ワイヤーロープのように強くしなやかな、“鋼鉄”の男である」と称賛した。

 五十嵐氏は、展覧会の概要と見どころを解説していった。本展では、40年以上の大河原氏の活動を約10年ごとに区切り、4章構成で展開しているとのこと。以下にそれぞれの章の内容を紹介する。

【第1章:1972年~1977年】
 第1章は、大河原氏のデビュー作『科学忍者隊ガッチャマン』を始めとするタツノコプロ作品を中心に、初期作品が展示される。五十嵐氏は、『科学忍者隊ガッチャマン』の“デブルスター円盤”の突起がすべて飛行機になっていること、同作の“ミクロサターン”が昆虫をメカニックにアレンジされていることなど、機能とキャラクター性を両立させる大河原氏ならではの特長が、このころにすでに表れていると語った。

【第2章:1978~1989年】
 第2章は、『機動戦士ガンダム』の大ヒットがあり、アニメの中心ジャンルが“ロボットもの”になった、ロボットアニメの黄金期と呼ばれる時代に迫る内容となる。大河原氏はこの時代に、毎年4作から5作のテレビシリーズに携わるようになっていたそうだ。五十嵐氏は、大河原氏が多くの作品に関わった理由について、“発注者の求めるものを的確にとらえるセンス”“それを具体化する技術”が大河原氏にはあり、その結果として多くの制作会社やメーカーが重宝したからだと語った。

【第3章:1990~2000年】
 第3章は、『機動武闘伝Gガンダム』や『勇者王ガオガイガー』など、大河原氏の匠の技が生み出したバリエーション豊かなヒーローメカを観ることができる。五十嵐氏は勇者王ガオガイガーのデザインについて、胸にライオンの顔、膝にドリル、両肩には新幹線と、子どもが好きなものを入れ込んだデザインを称賛していた。

【第4章:2001~2005年】
 第4章では、ガンダムシリーズ史上に残る大ヒットを遂げた『機動戦士ガンダムSEED』、リメイクされた『ヤッターマン』、大河原氏の出身地である東京都・稲城市のゆるキャラ“稲城なしのすけ”、鳥取県の吉谷製作所の依頼から手がけた“次世代消防車”など、ジャンルを超えて活躍する大河原氏のデザインを紹介する内容となっている。五十嵐氏は稲城なしのすけのデザインについて、かわいらしさ、梨というモチーフ、そしてメカニックすべてが明確にミックスされた傑作であると語った。

 五十嵐氏は、本展の魅力は“歴史”であると、ひと言で表現した。大河原氏の40年の歴史を伝えることが本展の目的であり、メジャーなものはもちろん、ファンこそが知る作品までをも取りそろえる、空前絶後の内容になるとのことだ。

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■展覧会特報

 ここからは、本展に関する新情報が初公開された。

【特報 (1)】展覧会限定ガンプラが販売決定
 本展限定のガンプラの販売が決定。機種や仕様など詳細は後日、展覧会公式サイトなどで発表されるとのこと。

【特報 (2)】本展のための大河原氏描きおろし作品が制作中

【特報 (3)】同時期開催の“機動戦士ガンダム展”とお得な相互割引実施 さらに“ガンダムフロント東京”でダブルチャンス
 7月18日(土)から9月27日(日)まで、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される“機動戦士ガンダム展”と相互割引を実施。“大河原邦男展”のチケット販売窓口で、“ガンダム展”のチケットを提示すると、当日券料金から200円引きで入場できる(チケット1枚につきひとり)。
 さらにダブルチャンスで、ガンダムワールドを体感・体験できるお台場の“ガンダムフロント東京”チケット販売窓口ふたつの展覧会の半券をそろえて提示すると、抽選でグッズをもれなくプレゼント(引き換えは2015年10月末日まで)。グッズの詳細は後日公式サイトで発表とのこと。

【特報(4)】“メカニックデザイナー 大河原邦男展”巡回決定
 東京・上野の森美術館での開催後、“メカニックデザイナー 大河原邦男展”が岩手県盛岡市に巡回する。
会期:2015年11月7日(土)~12月23日(水・祝)
会場:盛岡市民文化ホール 展示ホール(岩手県盛岡市 盛岡駅西通2-9-1 マリオス 4F)
※2016年以降の開催については、公式サイトで順次発表。

“メカニックデザイナー 大河原邦男展”公式サイト

 発表会後、大河原氏と五十嵐氏は、大河原氏がデザインした展覧会オリジナルカラーの超小型電気自動車“マキナ”に乗り込んだ。ふたりは、その乗り心地を大いに楽しんでいた様子。

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 なお、本日3月17日より本展の公式サイトでは前売券の発売が開始している。同時期開催の“機動戦士ガンダム展”とのお得な相互割引、“ガンダムフロント東京”でのダブルチャンスも合わせて、ぜひチェックしておこう。