2010年から続く、国内の若手アニメーターを育てるプロジェクト
2015年3月16日、一般社団法人日本動画協会は、東京・秋葉原UDXシアターにて“アニメミライ2015”プロジェクトにて制作された短編アニメーション4作品の完成試写会を行なった。ここではその模様をお伝えする。
“アニメミライ”とは文化庁が2010年にスタートさせた“若手アニメーター育成事業”の通称。4社のアニメーション制作会社が短編アニメーションを受諾し、事業の成果発表として、年度末に作品が公開されることが2011年から定例化しているイベントだ。事業名が示す通り、原画や動画に若手のアニメーターが起用され、クレジットに“若手原画”、“中堅原画”とクレジットされるのが特徴。また作画監督や撮影監督、音楽といったほかのセクションも、“アニメの仕事のキャリアはあるが、今回担当した役割は初めて”という方も多く、アニメに携わる若手のクリエイターに広くチャンスを与える場になっているようだ。また、アニメミライで注目を集めた作品はのちに商業展開へとステップアップすることも多く、2015年1月から放映中のテレビアニメ『デス・パレード』(アニメミライで発表時は『デス・ビリヤード』)、2015年中に劇場公開予定の『リトルウィッチアカデミア』などは、アニメミライ2013で制作された作品がその前身となっている。
今回のアニメミライ2015で上映されたのは、『アキの奏で』(J.C.STAFF制作)、『ハッピーカムカム』(SynergySP制作)、『音楽少女』(スタジオディーン制作)、『クミとチューリップ』(手塚プロダクション制作)の4本。なお、4作品とも東京アニメアワードフェスティバルの一環として3月22日に東京・SUN TOHOシネマズ日本橋にて上映が行われ、その後4月にはアニマックスで、時期は未定だが毎日放送や読売テレビといった地上波でも放送が予定されている。興味のある人は劇場に足を運ぶか、公式サイトで今後の予定をチェックするといいだろう。
◆『アキの奏で』（J.C.STAFF）
■STORY
東京に来て10年、子供の頃からの夢であった太鼓奏者として活動しているアキ。
だが現実は厳しく、演奏活動とアルバイトとの二重生活。
先の見えない日々を悶々と過ごしていた。
そんな時、アキの所に1本の電話が鳴る。
15年ぶりに復活する事になった太鼓祭りの為に、帰ってきて技術指導をしてもらえないかと。
■STAFF
監督：鈴木洋平
演出・コンテ：石田美由紀
作画監督・キャラデザイン：八重樫洋平
作画監督補佐：梶谷光春
若手原画：佐藤嵩光 奥谷遥 小松沙奈 前田ゆり子 中田久美子 泉しづか
中堅原画：坂本哲也 森七奈
動画チェック：五十川綾子
美術監督：髙野真希（髙は旧字の方です）
色彩設計：小島由佳
撮影監督：間中秀典
プロデューサー：松倉友二
制作プロデューサー：藤代敦士
■CAST
宮川アキ：佐藤利奈
吉岡道夫：浜田賢二
■MUSIC
音楽：高山英丈
音楽制作：飯島弘光“IRAM RECORDS.,LTD”
◆『ハッピーカムカム』（SynergySP）
■STORY
ひとり暮らしのひろしは、ロボット会社“ハッピーカムカム”にメイド型ロボットを注文した。しかし、届いたのは母ちゃんロボット ヨシコだった。実の母親から愛情を受けることが出来ずに育ったひろしは、母ちゃんロボット ヨシコの世話焼きに初めは戸惑い、嫌悪感さえ感じていた。しかし、ヨシコと暮らすうちに少しずつひろしの気持ちは和らいでいった。そして、ある出来事でひろしの心の中で何かが変わった。
■STAFF
原作・脚本：TARAKO
監督・絵コンテ・演出：須田裕美子
キャラクターデザイン・作画監督：荒牧園美
作画監督補佐：島崎知美
若手原画：鈴木久美 針生愛里 大川美穂子 中澤真琴 渡辺まゆみ 松本淑恵
中堅原画：久保川美明 船塚純子 森亜紀子 萩原しょう子 丹羽恭利 太田恵子 蔭山武彦
動画チェック：蔭山武彦
色彩設計：大野嘉代子
編集：小野寺桂子
制作プロデューサー：三浦俊一郎
演出補：羽鳥潤
制作担当：藤原和博
プロデューサー：早船健一郎 阿久澤洸太郎
■CAST
渡辺菜生子
森屋正太郎
会一太郎
荒嶽恵
■MUSIC
音楽：早川入
音響監督：TARAKO
◆『音楽少女』(スタジオディーン)
■STORY
――その日、少女は音楽と出会った。
謎のハイテンション転校生、千歳ハル。スーパーインドア派少女、熊谷絵里。
その邂逅は二人の日常を変えてゆく。
踏み出したその先に、少女たちが見い出したものとは……。
絵里の歌が大好きなハルと、歌う事が大好きだった絵里。
それぞれの好きが重なった時、二人は決意する。
一度しかない高校一年の夏を、青春で燃やす事に費やした少女達。
そんな青春の素敵な１つの形「音楽少女」のグランドフィナーレ。
■STAFF
監督：石倉賢一
キャラクターデザイン・作画監督：まじろ
キャラクター原案：QP:flapper
脚本：山田花名
若手原画：杉田柊 高野菜央 伊藤幸 小島絵美 太田衣美 峯友則
中堅原画：新里りお 橘正紀
動画検査：坂本豊
プロップデザイン・作画監修：河南正昭
美術監督：平柳悟
色彩設計：桂木今里
撮影監督：米澤寿
3DCG：今垣佳奈
編集：松村正宏
プロデューサー：浦崎宣光
制作担当：中田善文
制作進行：野崎久美子
■CAST
千歳ハル：沼倉愛美
熊谷絵里：瀬戸麻沙美
■MUSIC
音楽：Taishi
音楽監督：野崎圭一
音響監督：本山哲
◆『クミとチューリップ』（手塚プロダクション）
■STORY
整然と輝く鋼鉄の摩天楼、縦横無尽に交差するハイウェイ、人のサポートをするロボット達、それがクミの住む世界――そのビルの間の噴水が流れる公園がクミの遊び場だった。
豊かな草木は全て人工物であり、飛び交う蝶も流れる水もデジタル映像だったが、クミはそれを当然だと思っていた。なにしろそれしか見たことも無いのだから。
その公園に毎日やってきては人造花を描き続ける老人がいた。老人はある時人造花の間から奇跡のように息吹いているチューリップの芽を見つける。一緒にチューリップの成長を
見守るクミだったが、ある日……。
■STAFF
総監督：手塚眞
監督：吉村文宏
キャラクターデザイン：杉野昭夫
作画監督：中村路之将
美術監督：河野次郎
作画監督補佐：瀬谷新二
若手原画：三浦菜奈 山田桃子 小橋弘侑 角谷知美 西村生美 小柏奈弓 小野玲奈
中堅原画：杉野昭夫 瀬谷新二 中村路之将
動画チェック：吉村昌輝 岡村隆
プロデューサー：清水義裕 大石光明
■MUSIC
音楽：服部隆之（隆は旧漢字です）
