まだ発展途上だが完成が楽しみ!
先週、アメリカのサンフランシスコで行われた、ゲーム開発者向けの国際会議GDC 2015(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)。その会場近くのホテルで、Sulon Technologiesが開発しているヘッドマウントディスプレイ“Cortex”を体験させてもらった。
Cortexが目指しているのは、ARとVRの融合“AVR”体験、そしてスタンドアローンで動作して、例えば屋外でも使える“動けるVR”を実現すること。だからフロント部分のディスプレイ部にAR用のカメラが2機搭載されていたり、後頭部にセンサーなどを積むための球体がついていたりする。
具体的には、VR映像と周囲の風景を合成したり、周囲の壁や柱などの実在のものにCG画像をオーバーレイさせたり、一人称視点のARを目指している模様。公開されているイメージ動画を見れば、なんとなくやりたいことは伝わるんじゃないかと思う。
2015年中に開発者キットを発売することを目指して、公式サイトで予約受付中(499ドル)なのだが、VRヘッドマウントディスプレイとしての性能は「VRに求められる性能は備える」と説明された程度で、気になるディスプレイ部やARカメラのフレームレートや周囲を認識するセンサー部のリフレッシュレートなどは明かされず。
まぁそれは仕方がないということにして、プロトタイプ機(まだ処理用のPCにケーブルで繋がっている)を被って体験してきた。壁代わりの衝立で囲まれた空間内に、Unreal Engine 4の公式デモに出てくる“例のボイラー室”をVR映像として1分の1サイズで再現し、自分の足で自由に歩き回りながらサイバー戦士たちの戦いを見られるというものだ。
これがちょっと面白くて、確かに壁際まで歩いて行って手を伸ばすと、そこに本当に衝立が立っているという感じ。たまにヘッドマウントディスプレイに映る視界が一瞬妙な飛び方をすることがあったのだが、それは後頭部のセンサー類の固定がまだ甘くて、たまにブラブラしていたからだろう。
実際にスタンドアローンマシンとしてどこまで実現できるかはともかく、VR世界と実体が繋がる体験の面白さは感じられた。今回のデモはVRヘッドマウントディスプレイに広めの位置トラッキングがついた程度だが、ARが加わればもっと複雑な体験も可能になる。個人的には一般家庭の使用よりも、特殊なアトラクションやモデルルームでの使用などに期待したい感じ(実際Sulonでもその方向性も検討しているらしい)。発展途上ながらも、今後の動向が気になる体験だった。