エレボールでスマウグ様と一緒。脅されたり焼かれたり
2015年3月2日~6日(現地時間)にかけて、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催中。開催3日目となる現地4日はショーフロアもオープンし、各社がブースで最新技術のプレゼンやデモを行っている。
ゲームエンジン“Unreal Engine”を擁するEpic Gamesは、VRコンテンツ制作でもUnreal Engineが活躍することを示すために、2種類のVRデモを披露していた。ひとつは本誌でも過去に何度かリポートをお伝えしたCCP Gamesの『EVE: Valkyrie』。
そしてもうひとつが、映画「ホビット 竜に奪われた王国」終盤のシーンを再現した“Thief in the Shadows”。権利元ワーナー・ブラザーズやMGMから正式に許諾を受け、Epic Gamesと映画のVFXを手掛けたWETAのコラボレーションによって制作された、まさにハリウッド級のVRコンテンツだ。
デモはVRヘッドマウントディスプレイOculus Riftの最新プロトタイプ“Crescent Bay”で体験できた。「主人公ビルボ・バギンズが、かつてのドワーフの王国エレボールに潜入するも、財宝で埋め尽くされた宮殿内部でエレボールを奪った張本人である邪悪な竜スマウグを目覚めさせてしまう……」というシーンが、見事にVRに落とし込まれている(VRに詳しくない方は、あのシーンを自分がビルボになったかのような視点で体験できるとお考えください)。
恐らく(そのままでは重すぎて使えないので)データはVR用に最適化されているものの、WETAが自ら関わっているため、スマウグの姿はまさに映画のあのまま。映画と同じくベネディクト・カンバーバッチの加工された声で侵入者へ警告しながら、プレイヤーの周囲を重量感たっぷりに動きまわる。最後にはスマウグ様の怒りの火炎放射で焼かれてしまうのだが、正直ファンならたまらない体験だろう。
使用されている再生機がCrescent Bayなので、視界は滑らかで没入感は最高。頭上を乗り越えていくスマウグを目で追って後ろに振り向いても、そのまま綺麗に体験が継続する(デモPCはNVIDIAの最新グラフィックカードTITAN Xを使用し、90fpsで動作していたようだ)。過去にも「パシフィックリム」や「インターステラ―」などで試験的にVRコンテンツによるプロモーションが行われてきたが、VRの盛り上がりに連れて、今後の採用事例が増えていくのではないだろうか?