大胆な発想をコンパクトにまとめたシューティング
前回に引き続き、かつての担当コーナーで印象深かった作品をご紹介させていただくライターの豊臣です。今回取り上げた『SHOOT 1UP』は、2010年にXbox Live インディーズで配信された2Dシューティングゲーム。世界観やグラフィックのタッチに若干クセはありますが、“残機がすべて画面内に出現する”という大胆な発想を、きちんと遊べるクオリティーでコンパクトにまとめきることに成功した快作で、「たった80マイクロソフト ポイント(当時)でこんなにも遊べるタイトルが出たのか!?」と衝撃を受けたことを、いまでも鮮明に覚えています。というのも、このころのXbox Live インディーズはいま以上に玉石混交。とりわけ(よくも悪くも)“強烈な石”にぶつかって「うわぁ!」となるケースが圧倒的に多く、ここまで真っ向勝負のハイクオリティーな作品がコンスタントに出てくるとは、正直思っていませんでした。
プラットフォーム的なこともあるでしょうが、Xboxのインディーゲームはシューティングに良作が多く、独創性やアレンジの手法などが高いレベルで結実した本作は、確実に(あくまでも筆者個人の感想ですが)Xbox Live インディーズの歴代十指に入る名作のひとつ。「まだプレイしたことがない」という人も少なくなさそうですし、シューティングファンはもちろん、興味を抱かれた人はぜひ一度お試しくださいませ。
◆基本はショットと弾消し
◆トリガーまたはLB・RBで編隊の間隔を調節
◆自機は2種類
初回プレイ時は1種類しかないが、ゲーム中に出現する円形の隠しアイテムを2個取れば、隠し機体がアンロックされる。隠し機体はややバランスを欠くが、総合性能はすこぶるいい。
<注目点1 モリモリ出てくる1UP>
システム面で本作の根幹をなすのが、独特な残機システム。1UPアイテムを取ると、すぐに編隊の1機として画面内に出現。編隊を広げると攻撃力は増すが、敵弾は回避しづらくなるというバランスの妙が楽しい。1UPアイテム出現率が高すぎると機体の攻撃力が強いあまりに戦略性が低下し、逆に下がると攻撃力不足によるストレスが溜まるが、本作はそのあたりも考え抜かれているのがいい。雑にプレイするとアッという間にゲームオーバーとなるぞ。
<注目点2 多彩なステージの数々>
コンパクトな構成ながら、その範囲でさまざまな変化をつけようという努力の痕跡がうかがえる本作。ステージ中は、スクロール方向が変わる選択肢が出現。このステージ分岐はシンプルなアイデアだが、くどさもなく全体のボリュームに対して変化の度合いは十二分。単調さを払拭するアクセントとして、じつにいい仕事をしている。
全方位から敵が襲い掛かってきたり!
スクロールが横や下に変わることも!
<注目点3 プレイヤーごとに楽しめる適度な難度>
大胆なシステムとグラフィックに注目が集まりがちな本作だが、筆者がいちばん感心したのは絶妙なプレイ感覚。特別なケースを除けば、インディーゲームの制作には締切が存在せず、ゆえに“どこで作品を完成させるか”という見定めが重要。散々いじり倒した挙句に本末転倒な結果に、あるいは気づいたらゴリゴリのコア向けになっていた、なんてことも珍しくない。その点で、本作は非常にバランスよく仕上がっているのが好印象。ダイナミックなアレンジの一方で、荒さをほとんど感じさせない丁寧な作りは秀逸だ。
丁寧な作りと念の入った調整が、楽しいプレイ感を生み出す
SHOOT 1UP
メーカー | Mommy's Best Games |
---|---|
対応機種 | X360Xbox 360 |
発売日 | 配信中 |
価格 | 103円[税込] |
ジャンル | シューティング |
備考 | Windows Phone版は300円[税込] |