絵師注目! NVIDIA発のSHIELDタブレットがCOMITIA111に登場! その使い心地は?_01

NVIDIAが初出展

 2015年2月1日、東京ビッグサイトにて自主製作漫画誌展示即売会、通称COMITIA(コミティア)111が開催され、同会場にグラフィックボードなどでおなじみのNVIDIA(エヌビディア)が初出展し、“SHIELDタブレット”端末の展示を行った。ブースでは実機の体験や、PGN社のアプリ『LayerPaint HD』を使ったペイントデモを実施。その模様をリポートする。

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▲今年で30周年を迎えるCOMITIA。今回も多くの人で賑わっていた。
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▲Andoroidの8インチタブレット。NVIDIAの最高スペックのモバイルプロセッサーTegra K1が搭載されており、非常にパワフルだ。PCゲーム並のハイスペックなゲームもプレイできる、ゲーミングタブレットとしても定評がある。

ダイレクトスタイラス技術がスゴイ!

 まずはNVIDIAのテクニカルマーケティングエンジニアの矢戸知得氏が、SHIELDタブレットの機能を解説。大きな特徴である“ダイレクトスタイラス”技術が紹介された。

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▲SHIELDタブレットにはスタイラス、いわゆるタッチペンが収納されている。このスリムなスタイラスで、本格的なペインティングを可能にしたのがダイレクトスタイラス技術なのだ。その秘密は静電タッチパネルということだが……?

細いペン先で思うまま!

 ペン先が細くなると、指で発生するほどの静電容量が得られないため、これまでは丸くて太いペン先が必要だった。モバイルギアのアクセサリ売り場を思い浮かべると、確かに丸くて太めのタッチペンが並んでいる。いざそれで描こうとすると、細かい部分がどうにも難しい。しかし、SHIELDタブレットでは細いペン先でも認識が可能になっているのだ。

 また、多彩な機能を利用できる従来の本格的なペンタブレットは、アクティブスタイラスという方式で、太めのペンの中に電池や回路が入っているタイプが多かった。SHIELDタブレットは電池や回路がない構造で、それらと同様に筆圧を感知したり、パームリジェクションに対応している。

 そのパームリジェクションは、ペンを持った手の平が画面に触れても、描いたものと認識しない機能。SHIELDタブレットのタッチパネルは、複数箇所への同時入力、つまりそのとき画面に触れている部分をそれぞれ画像として認識している。画面全体をひとつの絵として画像処理しており、大きな範囲の入力があった場合、手のひらに違いないとSHIELDタブレットが判断。手の平の部分の入力をカットして、アプリにペン先だけの入力情報を伝えているというわけだ。まさに、画像処理を得意とするNVIDIAならではの技術だろう。

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▲ダイレクトスタイラスは、パッシブ方式の手軽さで、アクティブ方式の描きやすさを実現。

SHIELDタブレット対応のアプリ『LayerPaint HD』との相乗効果

 SHIELDタブレットには、NVIDIAが独自に開発したDabbler(ダブラー)というアプリもあるが、Google Playで配信されているアプリも利用可能だ。今回、レビューでも高評価なPGNの『LayerPaint HD』が、SHIELDタブレットに対応しており、使いやすさの相乗効果がすさまじい。会場では、PNGの須崎亮太郎氏から『LayerPaint HD』が紹介された。

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 『LayerPaint HD』はモバイルでも本格的に描けるアプリとして開発されたAndorid用ペイントツール。レイヤーをいくつも重ねても動きが軽く、印刷向けの大きな解像度の画像の処理もできる。SHIELDタブレット自体が2GBのメモリでパワフルということもあるが、『LayerPaint HD』も少ないメモリで作業できるよう設計されているのだ。

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▲髪の毛ほどの細い線も引ける。1ドットよりも細い線は、半透明の色を合わせることで実現。
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▲マンガのカケアミのようなブラシや、ドロイドのブラシがプリセットで入っている。ブラシのパターンは自分で作ったり、有志が配布したものも取り入れて使える。
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▲こちらの絵は、イラストレーター氏が初めて触って5~6時間で描いたものとのこと。使いやすさのほどが窺える。
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▲直線を簡単に引ける機能も。集中線や、パースをつけるのに便利。

プロのテクニックを間近で! ライブペイントデモンストレーション

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▲ハマモト氏は第1回ジャンプSQ美大芸大キャラバン最優秀賞受賞、さらに『ガールフレンド(仮)』のイラスト制作に参加するなど、多方面で活躍中。

 続いて、マンガ家兼イラストレーターのハマモト氏によるペイントデモが行われた。線画に着色していく工程が、トークを交えながら紹介されたのだ。

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▲塗り始める前の線画イラスト。NVIDIAをイメージした女の子だ。はたして、どんな風に仕上がるのか?
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▲まずは、肌の色を着色。NVIDIAのイメージカラーの緑と黒を基調にした世界観ということで、緑がかった色合いだ。
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▲髪の毛は塗りつぶし機能を使うより、手描きのほうがより質感が出るとのことで、太いブラシでザックリと、ときには繊細に着色。ハマモト氏は髪の毛を描くとき、テンションが上がると言い、楽しみながら描いている様子だった。

コントローラーで楽々ショートカット

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 ハマモト氏の左手に注目してほしい。握られているのは、SHIELDタブレット専用コントローラーだ。コントローラーのボタンに好みの操作を割り振ることで、効率アップを図れるのだ。こちらはもともとゲーム用に作られた“ゲームパッドマッパー”機能の応用で、これによりUNDOやズームなどもボタンひとつで可能になっている。

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▲ゲームパッドマッパーの編集画面。ハマモト氏は、十字ボタンの左右にペンと消しゴムを、アナログパッドにズームを割り当てている。UNDO、REDOはトリガーに設定。
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▲SHIELDタブレットは、ゲームにも強いタブレットというだけあってコントローラーも開発されている。なお、ゲームパッドマッパーは、SHIELDタブレット用コントローラー独自の機能。

ハマモト氏に使い勝手を尋ねた

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――描き心地はいかがですか?

ハマモト氏(以下、ハマモト) デスクトップパソコンにタブレットをつないで描くときと同じように作業できるので、非常に楽です。サッ、サッと速く描けて、ちゃんと画像が手の速さについてきているのもありがたいですね。

――スタイラスの印象は?

ハマモト スタイラスは構造が特殊で、慣れるまで少し時間はかかりましたが、慣れてからは快適です。筆圧も敏感に読み取ってくれますね。

――SHIELDタブレットに触れられて、どのくらいですか?

ハマモト 使い始めて2週間くらいです。けれど短期間でも慣れましたから、使いやすいタブレットだと思います。コントローラーをつなげられるのもいいですね。もちろん、指でのピンチ操作もできますし。液晶タブレットですと、タッチ操作に対応していなかったりもしますので。直感的に操作できると思います。

――そのほか、便利だなと思われた部分はありますか?

ハマモト 持ち運びができますので、打ち合わせしながら描いたりできるのが便利ですね。ポートフォリオとしてはもちろん、その場でレイヤーを修正、調整ができますから。

――イラストレーターやマンガ家を目指す方に向けて、メッセージをお願いします。

ハマモト 最近は、このような便利なツールが出ています。タブレットでもおもしろいことができるようになってきていますので、活用しながらいっしょにがんばりましょう!

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▲デモンストレーションの途中経過。女の子の表情も豊かになってきた。

記者もSHIELDタブレットを体験!

 ブースに設置されたSHIELDタブレットの実機で、アプリ『LayerPaint HD』を触らせていただいた。ペン先が長刀型になったスタイラスを持ってみると、やはり軽い! 電池などが不要なので当然と言えば当然なのだが、ボールペンと同じ感覚で使えるというのは、初心者にもうれしいポイント。長時間の使用でも疲れにくそうだ。

 描き心地は、スルスル、サラサラと気持ちがいい。ペン先と描いた線のズレを感じることもなく、直感的に扱える。そして、インタフェースもシンプルでわかりやすいのがまたいい。個人的には誌面の編集作業で、修正指示を入れるにも便利だなと感じた。職種やアイデア次第で、使い方もいろいろと広がりそうだ。手の届きやすい価格設定なのも、グッとくる要素。「ペンタブを使ってみたいけど、素人だし、絵を描く機能だけにポンと大枚ははたけない……」という人はぜひ検討してみては? SHIELDタブレットはネットもゲームもできるし!

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