シリーズでおなじみの“大連続狩猟”が実装
オンラインアクション『モンスターハンター フロンティアG』(以下、『MHF-G』)の世界観をベースにした『モンスターハンター メゼポルタ開拓記』(以下、『開拓記』)。ギルドマスターとして総勢200人以上のハンターを率い、未開の地を開拓していくシミュレーションRPGだ。本作の大型アップデートが2015年2月5日に実施。新コンテンツ“大連続狩猟”の特徴などについて、プロデューサーに話を伺った。
※本インタビューは、週刊ファミ通2015年2月12号に掲載したインタビューに加筆し、再編集したものです。
杉浦一徳 氏(左)
文中は杉浦
プロデューサー
津川宏史 氏(右)
文中は津川
ユーザーの反応が熱い!
――まず、サービス開始後から現在までの心境などをお聞かせください。
杉浦 たくさんのギルドマスターの皆さんにプレイしていただいて、DMMオンラインゲームのランキングでも1位を取ることができました。さまざまな指標や数字的にもいいスタートを切ることができ、チームのモチベーションも上がりましたね。今後のゲームのクオリティーや開発スピードにも好影響が出ると思います。反省点は不具合が多かったことです。正直、ある程度は不具合が出てもやむを得ないと思っていますが、やってはいけない不具合がいくつかあって、そこは猛反省しています。
津川 多くのギルドマスターの皆さんに遊んでいただいて、非常にうれしく思っています。熱量もとても高く、問い合わせや要望を数多くいただいています。
バランスや仕様についてお叱りを受けた点は、サービス開始から間もない期間である程度は対応できましたが、まだ課題がたくさん残っているので、これに対応していくことが先決かなと思っています。
――そういった指標などのデータは、やはりチームのモチベーションに影響するのですね。
杉浦 影響しますね。チームのメンバー全員にデータが届く仕組みになっていて、見たくなくても目に入ってきますが(笑)、いい意味でビックリしていましたね。いまはDAU(1日にログインしたユーザーの数)を最優先で見ています。ギルドマスターの皆さんがいなければ将来も何もないので、売上よりDAUを維持するために、ゲームとしてのおもしろさを重視してアップデートの開発を進めています。「続けよう」というモチベーションを維持していただくことが大切で、コンテンツ自体の楽しさや、うまく循環しているかが評価対象となりますので、いまはそれを重視しています。
――ユーザーからは、どういった要望が届いていますか?
津川 バランスや仕様面での要望が多かったですね。たとえば、イベントクエストで得たご褒美ポイントで、いろいろなアイテムと交換できるのですが、そのバランスが悪かった。「すごくレアなアイテムなのはわかるけど、きびしすぎる」という意見を数多くいただきました。あとは、狩猟中にデータ更新などが発生したときに全滅となってしまうことですね。これについては、すでに修正しています。
――ゲーム内容についての意見や要望はどのようなものがありましたか?
津川 開拓にはハンターを12人連れていけるのですが、それぞれしっかり育てているのに、活躍させられる機会が少ないという意見が多く見られました。「こういうコンテンツを用意してほしい、こういうことがやりたいんだ!」という熱いご意見が多かったですね。
――ハンターをもっと活躍させたいという意見はごもっともかと思います。だんたん愛着も湧きますし。
津川 あとで詳しくお話ししますが、“大連続狩猟”はパーティーの12人が活躍できるコンテンツです。
――ほかのCOG(カプコンオンラインゲームズ)のタイトルと比べて、ユーザー層や熱量に違いはありますか。
杉浦 まったく違いますね。まず、トラブルがひとつ起きたとして、ほかのタイトルよりお叱りの量がものすごく多いです。簡単にいうと、バグに非常にきびしい。『開拓記』は家庭用ゲーム機でシリーズを遊んでいたギルドマスターさんが以外と多いと感じますね。いただいている要望も熱いものが多く、ゲームのおもしろさの部分に関してのこだわりが非常に強いです。
――期待感の表れと言えるかもしれませんね。
杉浦 はい。『鬼武者Soul』のときもそれは感じましたけど、『開拓記』はそれ以上ですね。
――自社でポータルを運営しているにも関わらず、DMMオンラインゲームで先行配信されたことも驚きました。その理由について教えてください。
杉浦 簡単に言うと集客力です。当然、売上の一部をマージンとして支払うわけですが、DMMさんに「人を集める仕事をしっかりやる」と言っていただけたのでパートナーとしてやっていくことを決断しました。DMMさんにはカプコンには集められない層にリーチする力もありますからね。実際にプライドを持って、積極的にやっていただけました。とても満足しています。
――今後はCOGでもサービスを開始するわけですね。
杉浦 もちろん検討しています。COGで遅れて遊ばれるお客様には、ゲームもチューニングされて安定感が増した状態になっていますから、序盤から快適に楽しんでいただけると思います。
新コンテンツ“大連続狩猟”では12人のハンターが活躍できる!
――大連続狩猟はどのようなシステムのコンテンツなのでしょうか。
津川 連続して迫り来るモンスターを討伐するコンテンツになります。パーティーの12人を入れ替えながら、部位破壊などを狙ってスコアを稼ぎ、ランキングを競います。ランキングでは、ほかのプレイヤーのパーティー構成が見られるので、参考にしたり、手塩にかけて育てたハンターをアピールしたりできます。
ただし、ヘビーユーザー向けではなくて、さまざまなモンスターのラインアップを用意しているので、どのギルドマスターさんも狩猟の戦略性を体感していただけると思います。
――ベテラン向け、ビギナー向けといったカテゴリーがあるということでしょうか?
津川 そうですね。自分のパーティーの戦力に合わせて選んでいただけます。
――スコアを稼ぐ方法を教えてください。
津川 部位破壊や状態異常の有無、狩猟達成までのターン数、ハンターのHPやSTの残量といった、さまざまな項目に対してスコアを設定しています。狩猟中はリアルタイムで派手にスコアが加算されていくので、見た目にも楽しくなっていますよ。加えて「モンスターを乱入させてはどうか」といった、いろいろな仕掛けをチーム内で検討しています。
――スコアを稼ぐには、まず12人をしっかり育てたうえに、モンスターに合わせて武器種や状態異常を考えて編成することが重要になってくるわけですね。配信は期間限定になるのでしょうか。
津川 期間限定を予定しています。その期間内でのランキングを競うことになる感じです。まずは1週間程度のスパンで配信してみて、ご意見や感触を確かめながらブラッシュアップしていきます。ゲーム内でのひとつの目標として楽しんでいただければと思いますね。また、2月5日のアップデートでは、大連続狩猟以外にも、新たなハンター、スキル、フィールド、ストーリー、モンスターを追加するほか、各種機能のリファインの実施も予定しています。
――ちなみにランキングの報酬は……。
津川 いいものががっぽりもらえますよ(笑)。
今後のアップデートや新コンテンツについて
――事前には新コンテンツとして“総力戦”が公開されていましたが、それより前に大連続狩猟が実装されることになり、驚きました。
杉浦 じつは両方を並行して作っていたのですが、こちらを優先しました。総力戦は3月ごろに実装することになると思います。
津川 大連続狩猟は、どちらかと言うとひとりでコツコツ遊ぶ形のコンテンツですが、総力戦はほかのギルドマスターさんとの協力要素を取り入れた大型コンテンツという位置づけで開発を進めています。ただ、予定どおりに実装できるかは大連続狩猟への評価次第かと思っています。評価がいまいちでしたらブラッシュアップにお時間をいただくことになりますので。
――まずは大連続狩猟を楽しんでもらえる状況にしてから、つぎのコンテンツの実装に向かうということですね。
杉浦 中途半端な状態でつぎをやると迷走してしまうので、まずはひとつのコンテンツをしっかり成り立たせることが大切かと思います。
――総力戦は協力型のコンテンツということですが、現状どのような仕様になりそうですか?
津川 マルチプレイの協力をしている感覚、いっしょに遊んでいる感覚を大事にしていきたいですね。また、大連続狩猟もそうですが、育てたハンターや強化した武器をしっかり活かすことができるものにします。
すでにムービーを公開していまして、タワーディフェンス型を想像されているギルドマスターの皆さんが多いようです。現状、そのタイプになるとは断言できないのですが、そういった期待をされている方々にも納得していただけるゲーム性にしたいです。大量のモンスターが押し寄せてきたりと、見た目もおもしろいコンテンツになると思います。
――チャットでプレイヤー間の連携を取るといった要素もありますか。
津川 チャットでコミュニケーションを取りながら、モンスターに大ダメージを与えられる“撃龍槍”を使うタイミングを図るなど、連携できる形を考えています。
――今後追加されるコンテンツについて、方針や方向性を教えてください。
杉浦 まずは『MHF-G』の世界観が感じられる部分をしっかり確立したいと考えています。武器を生産して、それを装備して気持ちよく、多人数で楽しく狩猟するといったところですね。あとは、ギルドマスターの皆さんが何を求めているかを見て、開発の優先順位を決めていきます。完全に『MHF-G』と一致させる必要はないと思ってますので、『開拓記』独自のおもしろさが感じられるコンテンツがどんどん増えていきますよ。
津川 単にコンテンツを増やしていっても、どれを遊べばいいんだろうと混乱を招いてしまうことがあるので、基本のゲーム性をしっかりさせていくことが第一だと思っています。それと、開拓マップにも変化をつけたいですね。開拓マップでモンスターがハンターに攻め込んでくるといったようなギミックがあってもいいと思っています。罠を仕掛けて足止めしたり、ダメージが発生する床をハンターのスキルで回避したりと、いろいろなことを考えています。
――ズバリ、穿龍棍は実装しますか?
杉浦 いつかはすると思いますよ(笑)。
――装飾品や防具も気になります。
津川 ハンターをより強くしたい、育てたいという欲求は出てくるかと思います。チームでも、「もっとハンターをカスタマイズできたらいいよね」ということを話しています。可能な限り早いタイミングで、新たな育成要素は実装したいですね。また、いまはレア度によってレベル上限が設けられていますが、それを引き上げるといったアップデートも行う必要が出てくるかと思っています。『MHF-G』で言うと、HRからSRになるようなイメージです。
――ハンターどうしの相性や連携の要素を取り入れるようなことは想定していますか?
津川 将来的に取り入れたいことのひとつですね。使用されているハンターが幅広いですし、パラメーター的には弱いハンターでも、レベルを上げて、強力なパッシブスキルを習得させて、レア度の高い武器を装備させて強くするといった、愛着を持ってプレイされているギルドマスターさんも多いですから。
――家庭用ゲーム機やスマートフォン、タブレットでのサービスはお考えですか?
津川 開発エンジンのUnityも移植しやすくなってきているようなので、前向きに検討したいですね。
――ほかのカプコンタイトルとの連携やコラボにも期待したいです。
杉浦 COGでサービスを開始する際、タイトルを横断してチャットなどができる“カプリンク”に対応させます。スマートフォン(iOS/Android)用の『モンスターハンター エクスプロア』も対応予定ですので、『MHF-G』と合わせて楽しんでいただけるようにしたいですね。たとえば、『MHF-G』である条件を満たせば『開拓記』で報酬がもらえたりとか、『モンスターハンター エクスプロア』も含めて、オンラインゲームとしての『モンスターハンター』の輪を構築できればと思っています。カプコンには根強い人気タイトルやIP(知的財産)が数多くありますから、コラボは積極的にやっていきたいですね。