MaxwellのGPUを採用

 NVIDIAは、アメリカ・ラスベガスで2015年1月4日(日本時間1月5日)に開催されたNVIDIA CES 2015 プレスカンファレンスにて、処理能力が1テラフロップスを超える次世代のモバイル・スーパーチップ“Tegra X1”を発表した。

 以下、リリースより抜粋。

8CPUコアとMaxwellアーキテクチャを採用したモバイル用SoC“Tegra X1”がNVIDIAより登場_02
8CPUコアとMaxwellアーキテクチャを採用したモバイル用SoC“Tegra X1”がNVIDIAより登場_01

 NVIDIAは、処理能力が1テラフロップスを超える次世代のモバイル・スーパーチップ、Tegra X1を発表しました。これほどの処理能力があれば、かつてないレベルのグラフィックスや高度な深層学習、コンピュータビジョンといったアプリケーションを実現することができます。

 数ヵ月前にはNVIDIA Maxwell GPUアーキテクチャを採用し、世界一のパフォーマンスを実現したゲーム用グラフィックス・カード、GeForce GTX 980が発表されましたが、Tegra X1が採用しているのも、GTX 980と同じ新型GPU アーキテクチャです。昨年のCESでは旧世代のKeplerアーキテクチャを採用したTegra K1を発表しましたが、新しい256コアのTegra X1は、そのTegra K1に対してパフォーマンスが2倍に向上しています。

 Tegraプロセッサは、組み込み機器やモバイル機器、自動機器、自動車などに最適な製品です。出荷開始は今年の前半を予定しています。

 Tegraプロセッサは、このたび発表されたNVIDIA DRIVEカー・コンピュータのDRIVE PX とDRIVE CXにも採用されています。DRIVE PXは自動運転のコンピューティング・プラットフォームで、最大12台のオンボード・カメラで撮影した動画を処理してサラウンドビジョンや全自動駐車といった機能が実現できます。デジタル・クラスタやインフォテインメント、ヘッドアップ・ディスプレイ、バーチャル・ミラー、リアシート・エンターテイメントの採用によってスクリーンの数がどんどん増えていますが、包括的なコクピット・コンピュータであるDRIVE CXを使えば、そのようなスクリーンで必要となる高度なグラフィックスを提供することができます。

 NVIDIAのCEO兼共同創立者、ジェンスン・フアンは、つぎのように述べています。「見て学ぶことのできる自律型の自動車やロボット、ドローンが活躍する未来が見えています。そのような技術が確立されれば、運転の安全性は高くなり、都市の治安もよくなり、あらゆる人にとって利便性がとても高くなるでしょう。」

 「この夢を実現するためには、画像処理も並列処理も大きく進歩させる必要があります。モバイル・スーパーチップのTegra X1は1テラフロップスもの処理能力があるため、そのような世界の実現に向けた大きな一歩となるはずです。」

 NVIDIAが世の中に送りだした10世代のGPUアーキテクチャ、Maxwellで驚くほどのグラフィックス処理能力を実現したTegra X1は、スーパーコンピュータやゲーム・コンソールに匹敵する能力を持つ初めてのモバイル・プロセッサとなります。

 15年前のスーパーコンピュータを凌駕する速度Tegra X1は、15年前の最速スーパーコンピュータ、ASCI Redを上回る性能を有しています。
 ASCI Redは世界で初めてテラフロップスに到達したシステムで、米国エネルギー省のサンディア国立研究所において10年ほども運用されましたが、床面積約150平方メートルという巨大なもので、その稼働には500キロワットの電力が必要でした。コンピューター・ルームの冷却にはさらに500キロワットを要しました。これに対し、Tegra X1の面積は親指の爪ほどのサイズで、所要電力も約10ワット程度となっています。

 NVIDIA GeForce GTX 980 GPUをすでに使用して頂いている方には周知のことですが、Maxwellアーキテクチャなら、ビジュアル・コンピューティングで遭遇するライティングやグラフィックスなど多くの複雑な課題も解決できます。ダイナミックなグローバル・イルミネーションをリアルタイムに提供できるVXGI(Voxel Global Illumination)や生き生きとしたグラフィックスが実現できるMFAA(Multi-Frame Anti-Aliasing)などがトップクラスに要求の厳しいゲームやアプリで実現可能です。

 リンリーグループの創業者でプリンシパル・アナリストであるリンレイ・グィナップ氏は、つぎのように述べています。「Tegra K1の登場でGPUの処理性能に新たな基準が生まれたわけですが、それからわずか1年で、その2倍の処理性能を持つTegra X1が登場したことになります。この驚くほどの技術進歩は、高解像度のスクリーンを持つ機器を中心にNVIDIA Launches Tegra X1 Mobile Super Chip Page 3D グラフィックスの世界をも大きく向上させ、自動車アプリケーションを中心に普及が進んでいるGPUソフトウェアの世界も大きく向上することでしょう。」

技術的仕様
 Tegra X1は、Unreal Engine 4、DirectX 12、OpenGL 4.5、CUDA、OpenGL ES 3.1、Android Extension Packなど、主要なグラフィックス規格をすべてサポートしているため、PCからモバイル機器へと簡単にゲームを移植することができます。

Tegra X1のおもな技術的仕様
・256コアのMaxwell GPU
・8CPUコア(ARM Cortex A57×4個+ARM Cortex A53×4個)
・60fpsの4Kビデオ(H.265、H.264、VP9)までをサポート
・1.3ギガピクセルのカメラ・スループット
・20nmプロセス