2014年11月10日に行われたバージョンアップで『アドゥリンの魔境』ミッションがついに完結。ウルブカ地方を巡る“開拓”というキーワードはなぜ生まれたのか、いまだから明かされるエンディングの秘密、今後の方向性など、開発チームが明かす『アドゥリンの魔境』のすべてを公開する!

▲松井聡彦氏。『ファイナルファンタジーXI』の全体統括するプロデューサー。冒険のしやすさの向上を目指して毎月バージョンアップを続けている。
▲伊藤泉貴氏。コンテンツ全般を支えるディレクター。『アドゥリンの魔境』のミッションやコンテンツ全般を統括している。
▲齋藤富胤氏。『ファイナルファンタジーXI』プランナー。ミッションやクエストなどのストーリーを担当。
▲久木隆氏。『ファイナルファンタジーXI』プランナー。新コンテンツ"ユニティ・コンコード"を担当。
▲佐藤弥詠子氏。『ファイナルファンタジーXI』プランナー。ミッションのストーリーを担当。『アドゥリンの魔境』ではエンディング曲の詞も担当している。
▲谷口勝氏。『ファイナルファンタジーXI』プランナー。バトルコンテンツやジョブ調整全般を担当。

●いまの率直な気分は“充実感でいっぱい”です!

――『アドゥリンの魔境』ミッションが完結しました。現在の想いを聞かせていただけますでしょうか?

齋藤富胤氏(以下、齋藤):率直に言いますと「ああ、終わった……」というのがいちばんにあります。開発の後半はとにかく全力で走りまくったイメージです。

――充実感に溢れているようですね。

齋藤:じつは、2014年11月10日のバージョンアップで実装したシナリオは、ほかの開発チームの皆さんに無理を言って、ギリギリまで調整させてもらいました。本当に締め切りのギリギリ、「ここから先はもう調整できません!」というところまで引っ張りました(笑)。その甲斐もあって、今回は『アドゥリンの魔境』ミッションのなかでは最大のボリュームでお届けすることができました。

――開発段階における『アドゥリンの魔境』のテーマは“開拓”だと伺っていました。これについてはコンテンツも含んだテーマだと思うのですが、ミッションが完結してみて、その物語にテーマをつけるとすれば何になりますか?

齋藤:やはり“開拓”なのだと思います。冒険者が未開の地へと入っていくというフィールドの開拓はもちろんですが、物語でもヒロインのアシェラとプレイヤーとの心の絆を切り開くという裏テーマもあります。これも“開拓”だと思います。

――ミッションの後日談クエストが展開されました。ほかに話を掘り下げてプレイヤーに見せていきたいものはありますか?

齋藤:現在は連続クエストとしていくつか公開していますが、まだ十二名家の当主らのお話など完結していない部分があります。まずはここを中心に順次公開していきたいと考えています。

――どれくらいのペースでの公開を予定していますか?

齋藤:毎月バージョンアップが行われているので、それと同じペースで動きたいと思っています。現在はスケジュールが押し気味で明言するのは難しいですが、ミッションが完結して盛り上がっている時期なので、熱が冷める前にできるだけ早くの実装を考えています。

●隠し設定“アシェラとの親密度”

――ここからはミッションの細か内容について伺います。まず、第2章<古(いにしえ)の盟約>のスタートとなる“リフキンを統べるもの”の開始条件に、別のクエスト(幻の果実水)でテオドールに出会うことが必要でした。そのため第2章が始まらないと混乱したプレイヤーも多いと聞きています。ミッションの開始条件を別のクエストにしたのは何か理由があったのでしょうか?

齋藤:プレイヤーにテオドールの存在を予め知らせておくことで、2章のストーリーにすんなり入り込めるようにとの考えです。しかし、第1章でワークスの名声が必要になるところがあり、2章も同様の条件と勘違いしたプレイヤーも多いと聞き、混乱させて大変申し訳なく思っています。当初はミッションの一部としてクエストを盛り込む予定でしたが、ミッション全体のボリュームが大きくなりすぎるということで分割して実装しました。結局、わかりにくかったことについては、大きな反省点だと思います。

――第2章“水門奥へ”ではアシェラと初めて共闘します。このとき専用のウェポンスキル“ダイナスティーグラビタス”を使用します。これはどのような効果があるのでしょうか?

谷口勝氏(以下、谷口):アムネジアの効果を発生させる特殊技です。ほかにもパーティメンバーの体力を回復する特殊技など、複数用意されています。

――ミッションのあちこちで“ラゾア大陸”というキーワードが出てきます。今後、これらのエリアに活動場所が広がっていくことはあるのでしょうか?

齋藤:これまでのミッションでも、今回のように新たな地名を出すことは多々ありました。これには「ヴァナ・ディールにはもっといろいろな大陸や国があるよ」というイメージを付ける意味合いがあります。将来、これが複線になる可能性も考えて、ストーリーには意図的に新大陸や地名などの単語を盛り込んでいるのです。『アドゥリンの魔境』ミッションでもこれを踏襲しており、ウルブカ大陸の西にはまだ未開の地が広がっていて、中の国から北にはラゾア大陸が、南にはミスラの本国があるといった話が出てきます。だからといって「つぎがその大陸の話か?」といわれると、そうではありません。あくまでも今後に繋がるキーワードをちりばめているだけです。

――今回のミッションでは、見つめる場所を(胸・腰・手)から選ぶなど、個性的な選択肢が多く用意されていました。これを実装した意図を教えてください。

齋藤:選択肢を多く入れたのは“プレイヤーがストーリーに参加している”ということを感じてもらいたかったからです。真面目なムービーばかりを見せられるだけでは味気ないと思ったので、おもしろい選択肢を入れました。

――イベントシーンではアシェラの流す涙が目立つように描かれています。

齋藤:これは演出班の力によるものです。『アトルガンの秘宝』ミッションでナシュメラが涙目になるシーンがプレイヤーの皆さんに好評でしたので、今回もアシェラの泣くシーンを作ってもらいました。エフェクトチームには涙担当の方がいらっしゃって、泣いているというのがすぐにわかるようなものをお願いしたところ、大粒でキラキラ涙が光るシーンが完成しました。今回は量が量だったため、数名に手分けして作ってもらっています。

――アシェラが父のことを「とうさま」、兄ユグナスのことを「あにさま」と呼びます。両方とも敬い親しんだ際の呼びかたですが、アシェラにこのように呼ばせたのは何か意図があったのでしょうか?

齋藤:明確な意図はありませんが、アシェラが父や兄をどう呼ぶのがふさわしいのかを議論していった結果、家柄が元王族ということもあり、ほかとは少し違う印象を持たせるためいまの呼びかたに落ち着きました。

――ミッションでは2章のテオドール、3章のイングリッド、4章のメルヴィアンと各章ごとにスポットの当たる人物が変わっていきます。これにはどのような意図があったのでしょうか?

齋藤:登場人物が最初に出てきて、その後しばらく出てこなくなるとどうしても印象が薄くなってしまいます。そこで、ある程度“こういうキャラクターですよ”と印象づけるために、このような方法でストーリーを展開させていきました。そもそもアドゥリンには登場人物が多いので、キャラクターの印象を強調させたかったという意図もあります。すべてのキャラクターにストーリーを作りたかったのですが、時間的にもボリューム的にも断念しました。先ほども言いましたが、今後各家の当主らのお話などについて何らかの形で紹介して行ければと思っています。

――何度か訪れるカミール山麓の頂上付近(ハーサーカーのいる場所)の手前に、白いイェズターグが2体配置されています。これは狛犬的な何かでしょうか?

伊藤泉貴氏(以下、伊藤):演出として、強めのモンスターを配置することで、あの場所がストーリーに重要な場所であると言うことを認識させたかった、という意図もあります。

――第3章“王の見つめし先は”では、バーサスロール11で勝利することが必須となっています。しかし、これがなかなか勝てずに苦労しました。何か勝利するコツがあるのでしょうか?

久木隆氏(以下、久木):あのミニゲームについては「意図的に難しくなるように操作されているのでは?」と噂されていますが、まぎれもなく、ガチで勝敗が決まる仕組みとなっています。テオドールがほとんど10か11を出してくるイメージを持たれた方もおられたようですが、テオドール側が有利になる処理は一切してないです。もちろん、プレイヤーの数字を見て行動を決めているということもありません。私自身も開発中に百戦以上は挑戦したのですが、このゲームは3勝すれば勝利となりますが、2勝してからあっさり逆転負けということが何度もありました。

齋藤:あそこで何連敗かすれば勝率が上がるような仕組みにはなっていないんでしたっけ?

久木:なってないです。どこまでも“ガチ”です(笑)。このミニゲームで勝利の鍵を握っているのはトリックです。これはプレイヤーも、テオドールも使用できるのですが、使うタイミングしだいで勝率はグンと高まります。テオドールは積極的に攻める思考になっていますので、低い数字でステイすることはありません。ですので、テオデールが先にステイしたところで数字の低いカードと交換し自分は10や11に近づけたり、高い数字のカードを押しつけてバーストさせることを狙えばかなり勝ちやすくなります。

――4章“モリマー”でアシェラが「人のために強くなれる」と印象的なセリフを言いますが、これはどんなメッセージを伝えたかったのでしょうか?

齋藤:これはもう“そのまま”です。王道のセリフで「誰かのために強くなれる」というのはよく聞くフレーズです。そこに深い意図を持たせたというのではなく、直感的に感じて欲しいと思って採用しました。『アドゥリンの魔境』ミッションには、“アシェラの成長”という面が話の根底にあります。ほかの名家から集中砲火を受けいろいろな困難に打ち勝っていく姿、その成長過程から生まれた言葉が「人のために強くなれる」というセリフに込められています。

――新エリアのリファーリアには、アイテムの売買が可能なゴブリン族がいます。なぜここにゴブリン族なのでしょうか?

齋藤:最初はリフキン族のショップを用意しようかとの案でしたが、設定としてリフキン族は人語をしゃべることができません。さらにリフキン族がギルを要求するのも変だという意見がありました。だからといって、ベヤルドと交換する仕組みをここだけのために作るにはコスト的な問題もありました。その結果、どんな場所にもいるゴブリン族ならそれほど違和感はないだろうということで配置しました。

――4章“姫の決意”で、バラモアが「人形集めが流行っている」と話します。これはスカームのことを指していると思いますが、アルビオン・スカームにもバラモアが登場することがあります。これはどのような関連があるのでしょうか?

齋藤:スカームはバラモアが考案したものです。その証拠に、スカームで宝箱を出現させるためのアイテムの名は“髑髏の鍵”となっています。バラモアも髑髏のような姿をしていて関連性がある、というネタはあちこちに散りばめているのです。バトル班からアルビオン・スカームにバラモアを登場させたいという話がきたときは、さすがに本人を登場させるのはストーリー上問題があると思い“Balamor's Adumbration(バラモアの影)”という形で登場することになりました。

――4章“墓所の秘密”でララ水道が風水的に重要な施設であることが明かされていますが、メナスインスペクターやインカージョンがシルダス洞窟で行われることと因果関係はあるのでしょうか?

齋藤:関係ありません。メナスインスペクター、インカージョンなどはそれぞれ黒幕的な存在が別勢力という関係になっています。

――絶零公のクムハウは人語で会話する場面が描かれています。ほかの七支公も同様なのでしょうか?

齋藤:ミッションではクムハウしか話すシーンがなかったので特別に思われるかもしれませんが、じつはすべての七支公に口調が設定されています。

伊藤:ミッションと七支公の関係があまり深く関係してこなかった、というのも大きな要因かもしれません。予定では初めてのエリアを訪れたとき、そのエリアの特徴的な場所を見せつつ、最奥で七支公が待ち構えている、という演出を流すことを考えていました。また、七支公のいるフィールドに入るときにも、設定されていたセリフを話す演出を見せることも考えていました。しかし、スケジュールなどの制約もあり、残念ながら紹介する場がなくなってしまいました。

齋藤:せっかくですので、開発秘話に七支公の口調などの初期設定を公開します。ぜひご覧になって下さい。

――最後の七支公(不死公・テオドール)は、ほかの七支公と同様にワイルドキーパー・レイヴなどで戦い、武具を入手できるようになるのでしょうか?

伊藤:ワイルドキーパー・レイヴという形で戦うことはないです。ただし、テオドール戦での報酬として武具は用意してあります。いずれどこかで戦うチャンスがあるかもしれません。

――ミッション報酬として名家に対応したリングが報酬として貰えます。オンリーワンの性能のものもありますが、これは各家をどのようにイメージして性能を決めたのでしょうか?

齋藤:名家の特徴を元にイメージして決めました。ここではあまりにもボリュームが大きくなってしまいますので、こちらの詳細についても開発秘話 をご覧ください。

――報酬のカウンセラーカフスには、これといった性能が付与されていません。なにか隠し性能などはあるのでしょうか?

齋藤:私も「何かしら秘密があるのではないか」と思い、アイテム設定の担当者に聞いたことがあります。その答は「特にない」とのことでした。カウンセラーガーブと組み合わせて着るためのオシャレ装備だそうです。

――ミッションに隠された秘密があれば、こっそり教えて下さい。

齋藤:選択肢に関連するのですが、じつはアシェラには冒険者に対しての“親密度”という隠しパラメータが設定されています。選択肢のなかから“胸を見つめる”などといった変なものを選ぶと、親密度はガタッと下がり、いいものを選べば上がっていく仕組みになっています。最初は親密度が下がればアシェラの目線がきつくなる、というような演出も考えていたのですが、残念ながら入れられませんでした。とはいえ、せっかく作った仕様を使わないともったいないということで、親密度のパラメータを反映する場所を1ヵ所盛り込みました。それは4章の“足りない品は……”でバイソンジャケットの素材に関する場面です。ここでいくつかのアイテムを要求されるのですが、そのアイテムの種類は親密度によって変化するようにしてあります。親密度が低いほど要求されるアイテムが入手困難なものになるような設定されていて、いちばん親密度が下がっている状態では、比較的入手の困難な野牛の角を要求されてしまいます。あと、第5章“若き指導者”でアシェラのボンネを返すかどうかの選択肢があります。ここで「返さない」の選択肢を選び続けていると、親密度は最低ランクまで下がってしまいます。

――エンディングのワンシーンがかなり感動する出来映えとなっていました。なかでも“Forever Today”の詩に感動しました。この詩はどのようなコンセプトで作り上げたのでしょうか?

佐藤弥詠子(以下、佐藤):前回の“Distant Worlds(プロマシアミッションエンディング曲)”は、全世界を舞台にした壮大な曲のイメージでしたが、今回は「ひとりの少女の気持ちを歌う」というイメージで書かせていただきました。

――エンディングの映像もかなり泣ける内容でした。

佐藤:映像については、歌のイメージと合うように齋藤にいろいろと協力してもらいました。

齋藤:ミッションは開発チームの本当に総力戦です。最後までこだわりの部分を優先させてもらいました。サビのイメージを思いつつ「それにピッタリのシーンはこれじゃないとダメ!」というやりとりが何度かありました。

佐藤:サビの部分は、エンディングの曲と言うこともあり「冒険者との別れが辛い」という部分がはっきりと伝わるような表現です。

齋藤:とにかくプレイヤーの皆さんの思い出に残るものを作るのを最優先しました。宣伝用に作らせていただいた2回目のムービーでも、細かい調整をギリギリのタイミングまで指示させてもらいました。宣伝チームも対応が大変だったと思います(笑)。

――『アドゥリンの魔境』のみならず、今後の物語的な展開はどのようなものを考えていますでしょうか?

伊藤:残念ですがまだ答えられません。どんなイメージで展開するのか、規模はどれくらいなのかなど、具体的なことがまだ相談段階で決まっていません。発表ができるタイミングが来れば皆さんにご報告したいと思います。

――『アドゥリンの魔境』ミッションが終わりましたが、これでストーリー系のコンテンツが終わりと言うことはないですよね?

伊藤:もちろん大きなストーリーの展開がないと言うことはありません。ストーリーがメインのものにするのか、バトルコンテンツに絡めていくのか、まだまだ検討中です。

●風水士&魔導剣士の現状

――『アドゥリンの魔境』では風水士と魔導剣士、ふたつのジョブが実装されました。まずは風水士の仕上がりについて、いまの手応えをお聞かせ下さい。

谷口:風水士については、風水魔法の効果を調整したばかりで、いい具合に落ち着いたと思います。パーティで活躍できる場面も増えて想定どおりです。

――プレイヤーが操作する風水士を見て、想定していなかったことはありませんか?

谷口:ないです。おおよその行動を見ている感じでは、想定の範囲内に収まっています。

――風水士のスタン役についても想定していましたか?

谷口:風水魔法で魔法回避を下げつつ、サポートジョブを黒魔道士にしてスタンするというのは、
暗黒魔法スキルを備えた段階で想定していました。

――現状でうまく機能していると思える部分と、課題となっている部分をそれぞれ教えてください。

谷口:うまく機能している部分については、風水魔法はディスペルによる影響を受けないことですね。NMやヴェルク族の特殊技でディスペル効果を受けるものがありますが、風水魔法ならその影響を受けずに済むのは大きいと思います。課題は、羅盤の設置です。いまですと敵かプレイヤーのみを対象としているので、これを地面のどこにでも設置できるようにできないかいろいろと模索しています。調整に時間はかかりそうですが、実現させたいです。

――風水士は今後、どのような方向性のジョブになっていきますか?

谷口:支援という方向性は変えずに、さらに調整していきたいと思います。魔法の追加もあります。つぎに予定しているのはラ系精霊魔法のIII系を考えています。

――続いて、魔導剣士の仕上がりについて、いまの手ごたえを教えてください。

谷口:そこそこのところで落ち着いていると思っています。ただし、比較の対象がイージスを装備したナイトになりがちなので、物足りなく感じられているかもしれません。

――物理攻撃に対してもいろいろ懸念されています。

谷口:物理攻撃に対しては、受け流しがかなり発動するように設定しています。被ダメージマイナス装備のようにダメージを軽減するのではなく、攻撃を受ける回数を減らしてダメージを減らす、という設定通りの働きをしているので、そこまで物理に弱いことはないと思います。

――いまのプレイヤーを見ていて、想定していたこと、していなかったことを教えてください。

谷口:想定した範囲内だと感じています。

伊藤:魔導剣士については、プレイヤー側というよりも、モンスター側の調整が大変でした。七支公も最初は単一属性の攻撃が設定されていたのですが、このままでは魔導剣士に完封されてしまう可能性が出てきたので、複数の属性による攻撃方法へと設定し直しされました。また、ミッションのボスなどでも改めることになり、色々な部分に影響を及ぼしました。

――現状でうまく機能していると思える部分はどこでしょうか?

谷口:敵の状態異常に対して、ルーンを使い分けて防ぐというのはうまく機能している部分だと思います。魔導剣士自体がほかのジョブとは異なり受動的に動くスタイルなので、敵がくり出す攻撃に対してどのように防いでいくのか、防御的な動きを考えなければならないという面ではかなりテクニカルなジョブに仕上がっているのではないでしょうか。

――サポートジョブとして優秀すぎるという声もあります。

谷口:たとえば侍を例にした場合、サポートジョブにした場合は黙想に制限が課せられるなど、メインジョブに比べると2分の1も能力を活かせません。しかし、魔導剣士の場合はルーンをふたつまで付けられるため、単純に3分の2の能力を活かせてしまっています。「このままでは、ほかのサポートジョブより強い」と最初から感じていたのですが、だからといってルーンをひとつだけしか付けられないようではサポートジョブとして使われなくなると感じたのでふたつにしました。その代わり、メインジョブではルーンがディスペルで消されなくなるようにしています。今後も必要があればメインのときのほうが有利になるような調整もしていきたいと考えています。

――ターゲットの維持に関してはどのように考えていますか?

谷口:アビリティや魔法を駆使してターゲットを取るように調整しており、想定通りだと思います。ヴァリエンスなどは一気に敵対心を高められるので序盤の固定は問題ないはずです。長期戦でターゲットが安定しなくなるのは、ナイトにも同様にある問題。これはほかのジョブに敵対心を調整する役割を持たせたいという意図があります。シーフのアカンプリス、コラボレーターなどのイメージです。

――今後、魔導剣士どのような方向性のジョブになっていきますか?

谷口:物理攻撃受け流し、属性に強い盾役という方向性は変えずに調整していきたいと思います。

――専用装束の追加はまだ先になりますか?

谷口:アーティファクト・レリックに相当するものは実装しました。ほかのジョブも含めてエンピリアン装束(相当)はもう少しだけお待ちください。

――獣使いに4体のペットが追加されましたが、それぞれのコンセプトを教えてください。

谷口:“芳香のキャンディ”は防御寄りです。物理防御と魔法防御がほかのペットより高めに設定されています。“黒ひげのランディ”は攻撃寄りです。HPは低めですが、攻撃力がほかのペットに比べると高めで、攻撃間隔が長いぶんはダブルアタックで補う設計です。“三つ星のリン”はトレジャーハンターを持つペットです。HPはかなり低いですが、命中と回避に優れています。とくに命中はいままで実装されているペットの中では最高値です。最後の“兜割のケン”は魔法寄りです。魔法攻撃力と魔法防御が高めに設定されています。

――召喚士の履行に連携属性が付与されるようになりました。どの履行がどの連携属性なのかを教えていただけますでしょうか? また、12月のバージョンアップで追加された履行技の特徴を教えていただけますか?

谷口:11月のバージョンアップで実装された履行技の連携属性については、下表のようになります。12月のバージョンアップで追加された新履行についてですが、イフリートの“コンフラグストライク”は火属性のブレスダメージ技です。タイタンの“クラッグスロー”は重力と切断の連携属性を持つ履行技で、ロックスローやメガリススローと同様にスロウの追加効果があります。リヴァイアサンの“スージングカレント”は被ケアル回復量アップの効果があるので、盾役や前衛に効果的なのではないでしょうか。ガルーダは皆さんがお待ちしていた“ヘイスガII”です。範囲にヘイストIIがかけられます。シヴァの“クリスタリンブレシング”はTPボーナスを得るという効果があります。ロールや装備等で組み合わせ使っていただけると、実感できるほどの大きな効果が期待できると思っています。ラムウの“ボルトストライク”は分解と切断の連携属性を持った履行技で、ショックストライクやカオスストライクのようにスタンの追加効果があります。最後にカーバンクルの“ルビーの慰め”は敵対心の減少効果があります。ただし、学者の暗中飛躍の策のような敵対心が上がりにくくなる効果ではなく、アカンプリスやコラボレーターの効果に近い、瞬時に敵対心を下げる効果になります。なお、アカンプリス、コラボレーターは術者に敵対心が移りますが、この履行技は、敵対心がカーバンクルに移ることはありません。

■履行と連携属性

召喚獣名 履行技名 連携属性
イフリート フレイムクラッシュ 核熱、振動
タイタン マウンテンバスター 重力、硬化
リヴァイアサン スピニングダイブ 湾曲、炸裂
ガルーダ プレデタークロー 分解、切断
シヴァ ラッシュ 湾曲、切断
ラムウ カオスストライク 分解、貫通

――現状、近接アタッカーでは侍に、遠隔アタッカーでは狩人に人気が集まっています。ほかのジョブが追いつくためにどのような方針の調整を予定していますでしょうか?

谷口:遠隔アタッカーについては想定どおりです。離れた場所からのデコイショット、アナイアレイターの仕様の調整は考えていません。侍についてはウェポンスキルの回転数に加えて、連携ダメージが高くなったことが最大の要因だと考えています。ほかのジョブに比べて連携回数が多いため、ここまで差が出てきたのだと思います。そこで、連携と連携のあいだの時間が長いときは、連携ダメージが大きくなるような調整を考えています。精霊アタッカーについては、単純に魔法の威力を上げると物理と魔法のどっちが有利かといういたちごっこになりがちですので、魔法についてはマジックバーストのダメージを中心に調整しようと思います。

――精霊魔法の威力ですと、黒魔道士よりも学者のほうが強い場合が多々あります。これはどのような調整を考えていますか?

谷口:黒魔道士がマジックバーストしたときの精霊魔法の威力を、グンッと強化します。

●ユニティ・コンコードの手応え

――ユニティ・コンコードを実装した意図・期待していることを教えてください。

久木:『ファイナルファンタジーXI』がサービス開始してから12年が経過しました。昔はログインしたら「パーティを組んでレベル上げにみんなで行こう」というような感じで遊ばれていたと思います。しかし、サービス開始当初に比べると生活スタイルも大きく変化し、なかなか長時間のプレイが難しくなってきている人も多くなってきました。この状況に対応して少人数で短時間遊べるコンテンツを増やしているのですが、その弊害として昔に比べると冒険者が出会う機会が少なくなっていると感じたのです。コミュニケーション機能としてはフレンド機能やリンクシェル機能がありますが、そもそも機会がなければなかなか繋がっていきません。そこで「もう少し緩いコミュニティは作れないだろうか」と考えたのが発端です。ただ、単に特色のないグループに所属するというのも味気ないので、名の知れた有名NPCをリーダーに立てることでとっつきやすくしました。もちろん、ユニティへの所属は強制的なものではありません。まずはこれをきっかけに出会いの機会を増やし、そこからフレンドやリンクシェルの加入などに繋がっていけばいいなと期待しています。

――手応えはどうでしょうか?

久木:正直、まだまだですね。開発期間が短かったということもあり、チャット機能や週一でのランキング機能など、本当に最低限の機能しか実装できていません。今後は必要なものをどんどん追加していく予定です。

――リーダーはしばらく9人のまま変わらないのでしょうか?

久木:仕様的にはもっと増やすことは可能ですが、しばらくは現状の9人から変わる予定はありません。

――なぜあの9人がリーダーに選ばれたのでしょうか?

久木:まずコミュニティとして機能するには、最低限このくらいのグループは必要だろうというのがあります。そのうえで、実は企画の初期段階でリーダーとなるNPCのフェイスを作成することが決まっていました。もちろん、毎月のバージョンアップでもフェイスが登場していますので、それと並行して作業を進めており、全体のスケジュールを考慮して最終的に決定したのがこの人数です。

齋藤:最初にリストをもらったときはもっと多くのNPCの名前がありました。しかし、ミッションなどの途中でいなくなる可能性があるNPCが候補にいたので、その人をリーダーにするのはつじつまが合わなくなってしまうと思ったのです。そのため「ちょっとこのNPCだけは勘弁してください」ともう一度リーダーを洗い出すなど、、メンバーの選抜は難航しました。また、ガルカ枠をどうしようかと会議していたとき、ハラキリクエストでお馴染みのザルドンがいいのではという案も出ましたが、さすがにマイナーすぎると言うことでインビンシブルシールドに落ち着いたという経緯もあります。ザルドンではフェイスにした場合、ジョブをどうするのか、パーティ中に釣りに行かせるのかなど、違う問題も出てきてしまったので(笑)。こういったいくつもの議論を経て残ったいわばベストナイン的なNPCたちなのです。

久木:いずれフェイスで登場するということもあり、この9人なら種族や性別、ジョブなどのバランスがよくなりますよね。9人が戦士ばっかり、白魔道士ばっかりとなるとバランスが崩れてしまいますから。そう言ったところも総合的に考えていまの9人となりました。

――タルタルの男がいませんね。

久木:私もタルタル派なので気にはしています(笑)。時期は未定ですが、いずれはタルタルの男キャラも追加したいと思っています。まずはそれより先に、いまのユニティリーダーのフェイス作業の方を進めていますので、そちらを楽しみにお待ちください。

――ユニティ:ウォンテッドで連戦しているとあっという間にユニティポイントがなくなってしまいます。ユニティポイントの入手効率を調整する予定はありますか?

久木:最初は混雑を懸念して、入手ポイントを少なめに設定したことは申し訳なく思っています。単純にいまの取得ポイントを増やすという調整ではおもしろくないと思いますので、ユニティポイントを得る手段を増やしていきたいと考えています。これは、なるべく優先度を上げて実装していきます。「ポイントが貯まったのでウォテッドにいこうか」という流れが頻繁に起こるようにしたいです。

――エミネンス・レコードに組み込まれているため、オファー欄の15個という枠が圧迫されているように感じます。ここを調整する予定はありませんか?

久木:エミネンス・レコードの目標として追加して実装しているので、新たにユニティだけ分割させるというのは難しいです。私も個人的なプレイでもオファー数の上限に圧迫を感じていますのでどうにかしたいところですが……。

――ユニティ・コンコードのチャットチャンネルがすぐに満員となってしまいます。もっとチャットできる枠を増やせないでしょうか?

久木:その問題についても大変申し訳なく思っています。当初はユニティ・コンコードを実装するにあたってチャットチャンネルの上限人数(64人)では足りなくなる、というのは懸念されていました。このあたりもプログラマーと相談して実装タイミングと同時に上限を開放しようと思っていました。しかし、チャットの機能がサービス開始当初に作られたものということもあり、根本的な部分に手を加えないといけないことが判明し、間に合いませんでした。ユニティ以外のチャットにも関わる部分に手を入れることになるので、慎重に開発を進めているところです。

●あのお得なイベントがまたやってくる!?

――最近はウェルカムバックキャンペーンなど、動きが顕著です。手応えはいかがでしたか?

伊藤:手応えはあります。休んでいたプレイヤーが戻ってきて「以前より大分冒険しやすくなっている」とか「友達と久しぶりにあって同窓会のような雰囲気だった」といった言葉も頂いています。今後も大きめなバージョンアップにあわせてウェルカムバックキャンペーンを実施して、プレイするきっかけ作りになっていけばいいなと思っています。

――サンシャインシーカーで貰えるフェイス“ウェレイア”と11月のログインキャンペーンで貰える“アベンツィオ”の特徴はなんでしょうか? またマンドラスーツを着たときだけウェレイアの会話が表示されますが、アベンツィオは話さないのでしょうか?

松井聡彦氏(以下、松井):この2体は、シンプルに専用技を使いながら戦っていくタイプに設定しています。専用技の効果は、うまくはまると効果的なものになると思います。2体ともイベントで入手したマンドラスーツを装備して呼び出せば専用のセリフを聞けますよ。

――ゴブリンの不思議箱で、ダイヤルキー#SPと通常のスペシャルダイヤルとでは、中身に違いはあるのでしょうか?

伊藤:中身の差はありません。ダイヤルキーを使ったほうが多少ですが武具が出やすいかな、といった程度です。通常のスペシャルダイヤルは毎日開けられるので、ほんのわずかですが制限がかかっているイメージです。

――ゴブリンの不思議箱でいちばんのアタリアイテムは何でしょうか?

伊藤:一応、全アイテムの中からランダムで引っ張ってくるので珍しいものもあると思います。Itemlevel付きの装備やヴォイドウォッチのエフェクト付きの武器、折れた太公望なども入っていますよ。

――逆にゴブリンの不思議箱に入っていないアイテムはどのようなものでしょうか?

伊藤:具体的には秘密ですが「これだけは出ちゃまずい」というアイテムは除外されています。そのアイテムも、時期がくればいずれは開放するかもしれません。

――ウォークオブエコーズのキャンペーンは、たいへん賑わいました。今後また実施する予定はありますか?

伊藤:1回目、2回目と好評を頂いて大変嬉しく思っています。サージの発生確率などの調整も行っていきますが、プレイヤーが集まれるキャンペーンも大事だと思っていますので、こちらも定期的に開催していきたいと思っています。

――11月のような盛大なキャンペーンは今後もやる予定はありますでしょうか? もしあるとすれば、具体的な時期を教えて下さい。

伊藤:ご好評を頂いているので可能でしたら年末くらいに何かできればいいなと思っています。

松井:キャンペーンそのものはフットワークが軽く動けるものなので、決めたらすぐに実装できると思います。11月はとくにイレブンの月ということで多くのキャンペーンを開催しましたが、今後もタイミングを見て開催できればいいですね。

伊藤:長めのお休みがある時期やメジャーバージョンアップの時期に合わせようと考えています。

――フェイスゲットキャンペーンが非常にありがたいです。すべてのフェイスの入手機会が定期的にあると考えてもよろしいでしょうか?

伊藤:季節イベントで入手できるものについては、さすがに1年も待たせるわけにはいかないと思っているのですが……。だからといって、いつでも手に入るようになると「後で取ればいいや」ともなりますし……どこかのタイミングで入手機会を作ろうとは思います。たとえばモグチケットとの交換が現実的でしょうか。

●最後に

――『アドゥリンの魔境』全体についての総括をお願いします。

伊藤:『アドゥリンの魔境』では、ミッションはもちろん、開発チーム全体で総力戦に挑み、なんとか実装できました。全力でがんばったおかげで、皆様からいい評価を頂けたと思っています。なかでもミッションは締め切りのギリギリまで戦い続けました。バージョンアップの予定に間に合わないからここで切ろうか、それとも間に合わせるか、といったことが毎回のようにありました。それでも、11月に実装するぶんは、どんなことがあっても全て実装してくれとお願いしたのです。11月11日は『ファイナルファンタジーXI』の日ということもあり、開発チームにとって特別な日だと考えていましたので。さらに開発チームががんばっていることを聞きつけた水田から「何か手伝えることはないか」という提案を頂き、エンディングの曲を作っていただきました。水田からあがってきた曲を聴かせてもらったときはかなりグっときて……エンディングの曲でもあり、開発チームと冒険者へのご褒美だな、とも感じました。その後、しばらくして仕事が落ち着いたところで度重なる修正が加えられたPVを見たとき、目頭が熱くなりましたよ。この出来映えを見れば「最後の戦いに勝てるんじゃないか」と思いました。

――読者の皆さんに一言お願いします。

松井:毎月 バージョンアップのためでしょうか、今年はいつにもましてあっという間に終わってしまいそうです。今年も残り僅かとなりましたが、開発・運営共にがんばってまいります。