『FFXIV』チームからファミ通に極秘ミッション!? 〜サントラ制作秘話〜

『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』の人気楽曲を豪華バンド&ピアノアレンジで収録した映像付きサントラ(Blu-ray Disc Music)、『FINAL FANTASY XIV From Astral to Umbral ~Arrangement Album~』が2014年12月17日に発売される。本サントラの映像制作に協力することになったファミ通編集部。本稿では、その顛末をお届けしよう。

●まずはサントラの紹介から

 2014年12月17日に発売される『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)のサウンドトラック『FINAL FANTASY XIV From Astral to Umbral ~Arrangement Album~』は、『新生FFXIV』初となるアレンジアルバム。蛮神バトル曲のバンドアレンジと、初期3都市国家の街及び周辺のフィールド曲のピアノアレンジが収録されている。

 バンドアレンジは、サウンドディレクターの祖堅正慶氏率いるロックバンド“THE PRIMALS”によるもので、メンバーも一線で活躍するプロ中のプロ。都内で関係者向けに行われたシークレットライヴでは、今回のアレンジをいち早く披露していた。

[関連記事]
『新生FFXIV』公式バンド“THE PRIMALS”のシークレットライヴに極秘潜入。叫べ「Now fall」!!

 ピアノアレンジのほうは、映画音楽作曲家、オーケストレーターの戸田信子さんがアレンジを担当。ピアノ演奏とアレンジを、ジャズからクラシックまでオールラウンドに活躍する作曲家、アレンジャー、ピアニストのKeikoさんが担当している。

 今回のサウンドトラックも、これまでにリリースされてきた2枚(これこれ)と同様、Blu-ray Disc Music(BDM)を採用し、96KHz/24bitという超高品質のハイレゾ音源で収録。しかも、映像付きという代物だ。(さらに言えば、携帯オーディオプレーヤーで聴くのに最適化されたMP3ファイルまで収録されている)

●スクウェア・エニックスの音楽出版部から極秘のミッションが下る

 2014年7月上旬、スクウェア・エニックス音楽出版部のY氏から、編集部(おぽね宛)に電話が入る。そこで、こんなやり取りが行われた。

Y氏「じつは、今度『FFXIV』のアレンジアルバムを出すんですよ」
おぽね「へー、そりゃいいっすね! で、取材来ない? ってことですか?」
Y氏「いや、じつは折り入ってご相談が……」
おぽね「な、なんすか……?」
Y氏「『FFXIV』のサントラと言ったら映像付きじゃないですか。その映像を撮ってもらえないかなあと」
おぽね「お仕事キター! もちろんやりますよ、どんな映像ですか?」
Y氏「蛮神バトル曲をアレンジするんで、蛮神戦の映像ですね。で、いくつか条件がありまして……」
おぽね「ああ、わかった! PVみたいにUI表示を消してプレイ、ってことですよね?」
Y氏「その通りです」
おぽね「んー、でも開発環境をお借りできれば、デバッグコマンドでキャラクターを無敵にできるでしょうし、ホットバーの配置を暗記するくらいかなあ。楽勝ッス」
Y氏「それが、開発チームがいまパツパツで、できればおぽねさんがプレイしている公開サーバーで撮影してほしいんです」
おぽね「つまり、ガチでプレイしろと。よし、ちょっと冷静になろう……。で、必要なカットは?」
Y氏「タンク、近接DPS、遠隔DPS、ヒーラーの4視点で、戦闘開始から討伐まで回しっぱなしにしたものが4〜5テイクあればいいです。編集はこちらでするんで」
おぽね「なるほど。じゃあ、“真”とかでもいいですか?」
Y氏「ご、極で……」
おぽね「極www どの蛮神で撮ります?」
Y氏「イフリート、ガルーダ、タイタン、リヴァイアサン、ラムウですね」
おぽね「って、全部じゃないすか!(※この時点ではシヴァは未実装)」
Y氏「つまりそういうことですw」
おぽね「これ、いつまでに用意すればいいんですか?」
Y氏「たいへん申し上げにくいんですが、今月中で……」
おぽね「あと3週間しかないじゃないですかwww」
Y氏「まずはご検討いただいて、後日、祖堅と打ち合わせられればと……」

 こんな具合で打診を受けたファミ通編集部。オファー内容をまとめると、UI表示を切った状態(キャラ無敵は却下)で極蛮神戦5種×5戦、かつ4ジョブぶんを3週間で撮影してほしいというというもの。「こりゃエグい仕事来たぞ……」と内心思いながらも、こちとらレガシー先輩(ちっぽけなプライド)。ハナから断るという選択肢はなく、詳細を祖堅氏と打ち合わせることに。

 日を改め、祖堅氏とY氏を交えてのミーティングが行われた。実際にどんな映像にするのか、その詰めとなる話し合いだ。

祖堅「皆さんプレイされるとき、カメラをグーッて引いたりされると思うんですが、今回はとにかく迫力ある映像がほしいので、カメラは初期位置か、ちょい引いて蛮神を見上げる感じを意識してください」
おぽね「わかりました(ちょい難度上がるなあ)」
祖堅「あと、蛮神のすべての技を食らった映像が欲しいです。今回、蛮神がある意味主役なので、その脅威が伝わる感じで。あ、でもわざと食らっちゃダメですよ。」
おぽね「わかりました(むずいwww)」
祖堅「それで、技によってカメラ位置を変えてほしいんですよ。たとえば、タイタンの“大地の重み”だったら、少しカメラを俯瞰気味にしたほうが迫力が出ますよね。でも、“ランドスライド”は正面から映像を押さえたいと」
おぽね「わかりました(言っとくけど極だからね! 極!)」
祖堅「ジョブ編成は、ナイト、戦士、モンク、竜騎士、吟遊詩人、黒魔道士、白魔道士、学者の8人で、武器は古の武器、防具はジョブ専用装備(アーティファクト)でお願いします。ミラプリはOKッス」
Y氏「あと、種族のかぶりは少ないといいなあ」
おぽね「わかりました(Y氏、最後しれっと付け足したね……)」

 こうして、とんでもなくハードルが上がったところでミーティングは終了。要求された内容については、一見無茶なようにも思えるが、鑑賞レベルで考えれば至極当たり前のこと(できるかどうかはさておき)。祖堅氏のサントラに素敵な映像を付けるべく、早速撮影の準備に入るのであった。

●撮影を意識した極蛮神戦は異次元の難しさに

 さて、とにかく時間がない。まずは機材のセッティングを急ぐ。プレイの精度と撮影の効率を考えて、同時に走らせるキャプチャーマシンは3台とし、それらでナイト、竜騎士、黒魔道士視点を一気に撮影。白魔道士のみ別撮りにすることに決定。あとはメンバー。社内かつ同じサーバーでプレイしていて、これほどの無茶なミッションに耐えられる人など数えるほどしかおらず、編集部の佐治キクオと攻略ライターのバーボン津川に声掛け。これに私(おぽね)を加えた3人で撮影を行い、残り5人に助っ人に入ってもらうことにした。個々のスケジュールの調整も必要になってくるため、ここは所属しているフリーカンパニーに事情を説明して協力を要請(本当に助かりました)。何とか撮影に挑める体制を作ることができた。

 ここでひとつ問題が発生。ララフェルが多すぎる……。8人集まったものの、じつに半数の4人がララフェル(Y氏の言葉が脳裏をよぎる)。しかし、悩んでいる時間などない。よし、わかった。

▲幻想薬を使って、私がララフェルからヒューランに転生。フレンドに驚かれるも、事情を説明できないまま1ヵ月程度過ごしました。じつは、こんな計画が裏で進んでいたのです。

 ドタバタと準備を進めつつ、参加メンバーは武器や防具のミラプリを開始。古の武器は遺失物管理人から購入することになるが、竜騎士担当の佐治キクオが「あ、俺ゲイボルグのクエストやってねえや」と衝撃の発言。すでに各自準備が進んでいいたため、佐治にはそのままドルムキマイラやらハイドラを倒しに行ってもらうことに。いろいろありながらも、ついに撮影を開始。

 実際に撮影を行ってみると、UIなし、カメラが近いという条件だけで難度が跳ね上がり、バトルはハチャメチャ。ターゲットの切り替えも、一瞬の点滅のみが頼りで、ガルーダ戦ではスパルナとチラーダのどちらをターゲットしているかわからなかったり、スパイニーに誤爆したり……。タイタン戦の全体ボムでは、どれを狙っているかわからなかったり。また、タンクのデバフの状況も正確にはわからないため、スイッチはほとんど勘。そんなこんなで全滅をくり返しながらも撮影を消化し、極ラムウ以外は討伐に成功した(ラムウだけはきびしかった……)。

▲撮影した動画から。正面からくり出されるランドスライドは大迫力で、恐怖すら感じるほど。回避も難しく、もはや別ゲームといった状態。

▲プレイ中はあまり見ることがないアングル。飛び上がる蛮神を見上げ、フレームアウトしない距離を保つのが難しい。かと言って、全体を収めようとカメラを引きすぎると、迫力がなくなってしまう。

▲なるべくふだん通りの戦術を再現して、“らしい”映像を心掛ける。ちなみに、リミットブレイクのゲージがちゃんと溜まっているかどうかはわからない。

▲極ラムウ戦は、最終フェーズにたどり着くことすらひと苦労。UIなしで避雷の状態を管理するのがとても難しい。

 こうして我々が納品した映像データは、神編集ののち、サントラへ無事収録されることとなった。実際にどんな映像に仕上がったかは、ぜひサントラで確認してほしい。また、サントラの中身については、2014年12月18日発売の週刊ファミ通で祖堅氏のインタビューも交えてお届けしたいと思う。後日、ファミ通.comでも公開予定。



(C)2010-2014 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.