イベントの最後には原田氏もビックリのサプライズも!
2014年12月7日、バンダイナムコゲームス・未来研究所にて、同社の人気対戦格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの生誕20周年を記念したファン感謝祭が開催された。その模様をリポートする。
まずは鉄拳プロジェクト代表の原田氏率いる開発スタッフが、サングラス姿で登場。原田氏がスタッフを代表してつぎのようなあいさつを行った。
原田氏コメント
「この20年はあっと言う間でした。プロジェクトスタート当時のスタッフは、禁止令が出るくらい『ストリートファイター』や『バーチャファイター』を遊んでいて、なんとかこういうゲームをと考えながらやっていました。途中でスタッフがごっそり入れ替えになったりと紆余曲折あり、『5』からはALL.Net(※)に対応し、そして気がつけば家庭用の格闘ゲームとしては世界でいちばん売れたタイトルになっていました。思い返せば、2ヵ月くらい家に帰らないで作業を行う日々もありましたし、ときにはファンのみなさんからの辛辣な声も。でも、ファンのみなさんの支えがあったからこそやってこれたのだと思います。ありがとうございます。」
※セガが提供するネットワークサービス。プレイデータの保存などが可能に。
原田氏はあいさつを終えると、「じゃあもう仕事に戻ってください」とステージ上のスタッフに現場に戻るように指示を出して笑いを誘っていた……ように見えたが、実際に最新作『鉄拳7』の締め切りが危ないそうで、イベント当日もスタッフは社内で作業を行っていたそうだ。ちなみに、『鉄拳』シリーズのスタッフは、チームに常駐しているコアメンバーが30~40人。ピーク時では120~130人くらいになるという。
芸人の鉄拳からお祝いコメントが到着
パラパラマンガで知られる芸人の鉄拳からビデオレターによるお祝いコメントが寄せられた。鉄拳という芸名はゲームの『鉄拳』から取ったもので、三島平八好きが高じて当初は“鉄拳親父”という芸名にしていたというエピソードを披露。
そんな鉄拳は、「スタッフのみなさんにはこれからもドンドン新しいシリーズを作ってほしいです。あと、僕をキャラクターとして出すのはまだですか? スケッチブックで攻撃をするというキャラクターの企画書を送ったはずですが……? ぜひ、いつか僕を使ってください。それからファンのみなさん、これからも『鉄拳』を応援して、大会があったらがんばりましょう。」とお祝いのコメントを寄せた。
『鉄拳タッグトーナメント2 アンリミテッド』エキシビショントーナメント
続いて行われたのが、現在稼動中のアーケード版『鉄拳タッグトーナメント2 アンリミテッド』を使ったエキシビションマッチ。参加したプレイヤーは下記のとおり。
2013」準優勝。相手の心を読む力と、世界最強クラスの反応速度で敵を駆逐していく。
以上のように日本のトッププレイヤーだけではなく、『鉄拳』修羅の国といわれる韓国のほか、アメリカ、フィリピンと、『鉄拳』が盛んな世界各国のトッププレイヤーが招待された。原田氏に「本当はリーグ戦をやって半日くらいじっくり試合を見たいメンバー」といわせるほどのメンツが集まったトーナメントで決勝まで勝ち上がったのは、若干13歳の超新星、弦選手(ボブ・レオ)と、アメリカで“仙人”呼ばれるベテランプレイヤーのMr.NAPS選手(ドラグノフ・ブライアン)のふたり。この新旧プレイヤー対決は、弦選手が若さあふれるプレイで圧倒。3-0で勝利した。優勝した弦選手は「緊張したけど、安定して動けたのがよかった。優勝できてうれしいです」と喜びを語り、闘いを見届けた原田氏も「若い選手ががんばってくれてよかった」とエキシビションマッチを締めた。
最新作『鉄拳7』の新情報が公開
続いては、お待ちかねの『鉄拳7』の最新情報を紹介するコーナー。こちらでは、速報(→こちら)でもお伝えした通り、新キャラクターのラッキー・クロエが公開された。そのかわいらしい見た目に「え? これ本当に出すの?」と原田氏自身も驚いたそうだ。そんなクロエはブレイクダンス系の技を使う女性キャラクターで、プロフィールも一風変わっているとのこと。また『7』から始める人にオススメだそうだ。
新キャラクター公開後は、『鉄拳7』からの新システムを実機を使って紹介した。今回紹介している新システムは、あくまで開発状況65%ほどの現状のものなので、製品版までに変更が加えられる可能性があることを付け加えておく。
■新システム
・パワークラッシュ
上段・中段技に耐えながら攻撃できる技(ダメージは受ける)。ただし、下段技と投げには負ける。「壁に追いつめられた際の脱出など、初心者には使いやすい技だと思います。ただ、下段技と投げには一方的に負けるので、使いどころを考える必要がある」(原田氏)。
・レイジアーツ
レイジ状態(体力が減って赤くなった状態、攻撃力が上がる)のときに使える必殺技。簡単に出せて威力が高く、一発逆転に使える。「レイジアーツは高威力だが、使用後はレイジ状態が解除されてしまうので、あえてレイジアーツを使わずにレイジ状態を維持して闘うなど、状況に応じた使い分けが必要になる」(原田氏)。
・新たなやられ状態
キリモミ状の吹き飛びが追加された。この吹き飛びを利用すれば、通常よりも空中コンボのヒット数を増やせるそうだ。「このやられ状態をうまく組み込むのが空中コンボのポイントになる」(原田氏)
・スローモーション演出
お互いがレイジ状態のときに、お互いがほぼ同時に技をくり出してぶつかり合う(お互いの攻撃がスカるときあり)直前にスローモーションがかかる演出。「11年前から考えていたシステムで、プログラム的にかなり高度な技術を用いています。スローモーションになった瞬間は、プレイヤーだけではなく観戦者も楽しめるはず」(原田氏)。
歴代シリーズフリープレイ&原画ギャラリー
エキシビショントーナメントのあとは、休憩時間が設けられた。来場者はこの時間を利用して、初代『鉄拳』から最新作『鉄拳7』までを試遊できるフリープレイスペースや、キャラクター原画ギャラリー、原田氏やユリコさんと記念撮影が行えるフォトスペースへと足を運んでいた。
大抽選会&『鉄拳7』エキシビショントーナメント
休憩を挟んだあとは、原田氏がサンタクロースに扮して登場。超レアな賞品が当たる大抽選会が行われた。
さらに、大抽選会終了後は、ロケテストバージョンの『鉄拳7』を使用したエキシビショントーナメントが行われた。このトーナメントには、『鉄拳タッグトーナメント2 アンリミテッド』のトーナメントと同じプレイヤーが参戦。稼動前の新作ということもあり、序盤はどの選手も手探りで試合を進めていた。しかし、さすがは世界的プレイヤーだけあって、すぐに新システムのパワークラッシュやレイジアーツを実戦に投入していたぞ。大会でとくに盛り上がったのは、スローモーション演出。ハイレベルなプレイヤーがくり広げる試合を、このスローモーション演出がさらに緊張感を高めていた。原田氏も「試合を観てる側も盛り上がれるものとしてスローモーション演出を入れたのですが、いまのところはうまくいってると実感できた。」と手応えを感じていた様子。トーナメントのほうは、日本最強プレイヤーのノビ選手の優勝。ノビ選手は「ロケテストで触っている分、少し有利だったかもしれないです。『鉄拳7』はすでに『タッグ2』よりおもしろいかもしれないと感じているので、期待しています」とコメントした。
最後に登壇者がそれぞれコメント。原田氏は「20年いろいろなことがあってここまでこれました。といってもまだ20周年は節目でしかないと思っています。実際に今日の来場者は若い子が多く、我々もこれからだということを実感しました。今後の『鉄拳』シリーズを楽しみにしていてください。ありがとうございました」とイベントを締めくくった。と思いきや、ここでサプライズ。なんとプレイヤーサイドから20年間『鉄拳』シリーズを盛り上げてきた原田氏に感謝状が贈られた。これには原田氏も驚いたようで「これまで以上に真剣に取り組んでいきたい」と心を新たにしていた。