スウェーデン発の良質のタイトルをご紹介
去る11月18日、スウェーデンのゲーム業界各社で構成された組織“スウェーデンゲーム使節団(Swedish Games Industry)”の日本公式訪問の機会を利用したミーティング・セッションイベントが、東京都港区のスェーデン大使館・アルフレッド・ノーベル講堂で行われた。
スウェーデンというと、医療と福祉に優れ、高度な先端技術によって数々のイノベーションを興してきた北欧国家……とのイメージが先行するが、2013年には国内ゲーム開発者の総収益が前年比76%増の7億5200万ユーロ(約1080億円)に達し、今後もさらなる成長が見込まれる“ゲーム輸出大国”としての一面も持っている。日本で発売されているあの人気タイトルが、じつはスウェーデン製だった、というケースも決して珍しくはないのだ。
展示フロアではゲームデベロッパーならびに技術開発企業の展示ブースが設けられ、セッションフロアではそれぞれの代表者がスライドや動画を交えて、自社の活動を紹介した。
おもなセッション
■Starbreeze Studios(スターブリーズスタジオ)
『The Darkness』(プレイステーション3、Xbox 360)、『The Chronicles of Riddick』(国内未発売)などのFPSを開発したStarbreeze Studiosは、スウェーデン最大のデベロッパーのひとつ。『Payday』シリーズがヒットしたデベロッパー"Overkill"を買収したことで、さらなる事業拡大を図るとのこと。
■Tarsier Studios(タリスタースタジオ)
日本国内では、ソニー・コンピュータエンタテインメントとのパートナーシップによって開発した『リトルビックプラネット』シリーズが有名な独立系デベロッパー。セッションでは、開発中のサスペンスアドベンチャー『HUNGER』と、鳥になって3Dフィールドを自在に飛翔できる『evo』のトレーラーが公開された。
■Tobii Technology(トビーテクノロジー)
ストックホルム王立工科大学のリサーチプログラムを発祥とするメーカーは、眼球の動きでコンピュータを制御するアイトラッキング技術を紹介。ゲーム用途だけでなく、映像作品のストーリーテリング演出など、さまざまな場面での活用法をアピールした(ちなみに、この技術が導入されたデバイス“Sentry Eye Tracker”は、今年のE3で“トップ3ゲーミングギア”に選出されている)。
■avalanche studios(アバランチスタジオ)
日本国内でもファンが多いオープンワールドTPS『Just Cause』シリーズを開発するavalanche studios。会場では2015年リリース予定のシリーズ最新作『Just Cause3』と、同名新作映画のゲーム版『Mad Max』の映像が流された。前者は過去シリーズ作の流れを汲むサンドボックスアクション、後者はストーリー性を重視したシリアスな内容になるとのこと。
■coffee stain studios(コーヒーステインスタジオ)
一人称視点のタワーディフェンスゲーム『SUNCTOM』シリーズでPCゲーマーに認知されている……はずだったが、開発者がお遊びで作ったオープンワールドの山羊ゲー『Goat Simulator』の方が世界的にヒットしてしまったcoffee stain studios。開発者によると、国ごとのダウンロード数は日本が圧倒的に多いとのことで、期せずして日本人ゲーマーの度量の深さ(?)が明らかになった。セッションでは『Goat Simulator』のまさかのMMO化を発表し、会場内が大いに湧いた。
全8社のセッション終了後は、来場者にスウェーデン料理がふるまわれるレセプションパーティーが行われた。パーティー開始時に挨拶を行ったマグヌス・ローバック駐日スウェーデン大使は、「私はビデオゲームのことはよくわかりませんが……」と前置きした上で、自国のビデオゲーム産業の実績を高く評価。また「ゲームに国境はない」と述べ、輸出を中心としたさらなる発展を祈った。
今回の催しは、各メーカーのプロモーションとビジネスマッチングを主目的としつつも、スウェーデンがビデオゲーム産業を国家の重要な産業のひとつとしてとらえ、支援していくことを強く印象づけるものとなった。