ついに『VOCALOID4』発表! “巡音ルカ”や“結月ゆかり”の新作も登場した“VOCALOID新製品発表会”リポート

多彩な機能が追加された『VOCALOID4』が登場。“巡音ルカ”や“結月ゆかり”などの歌声ライブラリもアナウンスされた発表会の模様をお届けする。

●さらに表現の幅が広がった『VOCALOID4』登場

 2014年11月20日、ヤマハは渋谷PARCOパート1の2.5Dスタジオにて、“VOCALOID関連新製品記者発表会”を開催した。『VOCALOID』は、第一弾が2004年にリリースされた音声合成ソフト。各社から多彩な歌声ライブラリが発売されており、とくにクリプトン・フューチャー・メディアの『初音ミク』は大きな話題を呼んだ。

 今回の発表会では、そんなVOCALOID関連の新製品が発表された。さっそくその模様をリポートしよう。

▲VOCALOIDプロジェクト リーダーの剣持秀紀氏。

 まず登壇したのは、ヤマハのyamaha+推進室 VOCALOIDプロジェクト リーダー・剣持秀紀氏。剣持氏は2000年よりスタートした『VOCALOID』の歴史を簡単に振り返り、2014年冬に最新作品である『VOCALOID4』を発売することを発表。「さらに表現力が高まり、さらに使いやすくなります」とアピールした。

 『VOCALOID4』では多彩な新機能が搭載される。ひとつ目は“グロウル”(Growl)で、うなり声のような音声が合成可能になる。新たに追加されたパラメーターを調整するだけで、デスボイスのような声で歌わせられる。

 ふたつ目は“クロスシンセシス”。これは同じ歌手、同じ言語の歌声ライブラリふたつをブレンドし、コントロールできる機能。パラメーターを調整するだけで、どちらの特色を強くするか簡単に設定できる。たとえばソフトとパワーという2種類のライブラリを合成し、通常のAパートやBパートはソフトに歌い上げ、サビでは徐々にパワーにして力強く歌わせる、といった利用法があげられる。ワンフレーズの前半と後半で変えるといった細かい設定も可能だ。「これまでは異なるライブラリをスイッチ的に切り換えることしかできなかったが、曲の盛り上がりに合わせて徐々に切り換えることが可能になった」と剣持氏。

 3つ目は“ピッチレンダリング”。これはピッチ(音の高さ)を視覚的に表す機能で、ボタンを押すだけでボーカルエディター上に声の高さが折れ線グラフのように表示される。実際に再生せずとも、どのように歌い上げるかが直感的にわかるため、効率よく作曲可能だ。「ビブラートの周期も見えるようになる」(剣持氏)。

 4つ目は“リアルタイム入力”で、これは『VOCALOID4 Editor for Cubase』のみの機能となる。これまでもMIDIキーボードを接続して弾けば、リアルタイムに音声を出すことは可能だった。ただし、人間の発声をリアルに再現しているため、キーを押してから実際に声が出るまで遅延が発生するように作られていた。この“リアルタイム入力”は、その遅延をオフにしてキーを押せばすぐに音声が発生する機能。実際にキーボードで音声を発生させながら、メロディラインの作曲・録音が行えるようになった。

▲最新バージョンである『VOCALOID4』が発表、注目の新機能も紹介された。

 また、以前の『VOCALOID』シリーズの歌声ライブラリも引き続き使えることが発表された。ただし、“グロウル”はVOCALOID4歌声ライブラリのみで使用可能というように、一部使用できる機能に制限があるようだ。

 気になる発売時期は、2014年の12月下旬のクリスマス前を予定しているという。価格はオープンプライス。また『VOCALOID3』ユーザーは、優待販売でお得にアップグレードできるプランも発表された。

▲過去の歌声ライブラリの対応状況について紹介された。

▲『VOCALOID3』ユーザーへのアップグレードキャンペーンや無償アップグレードも行われる。

▲ヤマハ プロダクトスペシャリストの青木繁男氏による実演デモも行われた。メロディーのつながりを階段状にし、ロボットボイスのような音声で歌わせられる“ピッチスナップ機能”が紹介された。

●“巡音ルカ”の『VOCALOID4』版が登場!

▲クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉氏。

 続いて、クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉氏が登場、『巡音ルカV4X』を発売することを明らかにした。佐々木氏は「夏~秋ぐらいにお話をいただき、当時開発していた『巡音ルカ』の次期バージョンを、『VOCALOID4』版に切り替えて開発を進めてきた」と開発経緯を語る。

 『巡音ルカV4X』は『VOCALOID4』エンジンを搭載しており、先ほどの“グロウル”や“クロスシンセシス”といった新機能にももちろん対応。さらに独自の機能として、音符ひとつひとつに“強い”や“囁き”といった表情を設定できる“Voice Color”、フレーズの語尾に吐息を加えられる“Voice Release”などを搭載していることが発表された。「ユーザーひとりひとりが思い描く、声にカラーや表情を付けられる機能」(佐々木氏)。発売時期は2015年2月下旬を予定しており、価格は17280円[税込]。また『巡音ルカV4X』をインストールすることでPiapro Studioのエンジンがパワーアップし、『初音ミク V3』、『KAITO V3』、『MEIKO V3』でも、クロスシンセシス、ピッチレンダリング、ピッチスナップモードの機能が使用可能になるとのことだ。

▲『巡音ルカV4X』が発表。声に表情を付けられる独自の機能を搭載している。

▲ゲストの声優・浅川悠さんは、収録の秘話を語ってくれた。

 またゲストとして、『巡音ルカ』のボイスを担当している浅川悠さんが登場。さまざまな表現を録音しているため収録回数はすでに前回の10倍ほどになっており、浅川さんは「セクシーだけどかわいくとか、ふだんなら相反するところをオーダーされ、役者としての技術を試されているような気がして、声優冥利に尽きます」と開発秘話を明かしてくれた。また最初から決まったものを創り上げる形ではなく、浅川さんの提案から広がっていくこともあったそうで、「いっしょに作っている感じがして、今回はとくに思い入れが強くなりそうです」と完成度に手応えを感じていた。

●AHS各製品も『VOCALOID4』に対応!

 続いて、AHS代表取締役の尾形友秀氏が登場。これまで発売された『VOCALOID2』対応歌声ライブラリの『ボカロ小学生 歌愛ユキ』、『ボカロ先生 氷山キヨテル』、『SF-A2 開発コード miki』、『猫村いろは』の『VOCALOID4』対応版を発売することを発表した。

 AHSは新しい『VOCALOID』が発売されても、過去のライブラリがそのまま読み込めて使えたため、あえて新パッケージで発売することは行ってこなかったという。だが昨年登場したMac版では過去の歌声ライブラリが使えなく、新たに『VOCALOID3』版を開発する流れになったそうだ。そんな話をヤマハと行っていると、新作の『VOCALOID4』が開発中と判明したので、『VOCALOID4』対応版の作成に相成ったというわけだ。発売時期は2015年を予定しているとのこと。

 また『結月ゆかり』の『VOCALOID4』プロジェクトも始動するとのこと。ウィスパー系ボイスの新音源“穏”(おん)を搭載しており、これまでよりもやさしい歌い声を楽しめる。「柔らかい、囁くような歌いかたを究極まで追求しようと作成中」と尾形氏は語った。

▲AHS代表取締役の尾形友秀氏。

▲AHS4製品の『VOCALOID4』対応化が発表された。

▲“結月ゆかり”の『VOCALOID4』プロジェクトも始動。

 さまざまな新機能が搭載された『VOCALOID4』。新機能で表現の幅が広がるだけでなく、いままで手がかかった作業を簡単に行える機能も搭載され、クリエイターの力強い味方になることだろう。なお今回の発表会は、ニコニコ生放送およびUstreamで放送されたので、実際の歌声を確かめたい人はアーカイブを参照してみるといいだろう。