αテストの様子は?
2014年10月17日から19日までの3日間、スクウェア・エニックスによって、PC用オンラインゲーム『LORD of VERMILION ARENA』(以下、『LoVA』)のαテストが実施された。 『LoVA』は、アーケードで稼働中のオンライントレーディングカードゲーム『LORD of VERMILION』シリーズに連なる系譜のタイトル。トレーディングカードゲームならではの“使い魔”を駆使したカードデッキ構築など、アーケードの雰囲気を踏襲しつつ、いわゆるMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)ライクなマルチ対戦アクションゲームのゲーム性を新たに獲得している。
ここでは『LoVA』のαテストに参加してわかったルールや感触を、特別に許可をいただいてリポート。ただし、今回のαテストはサーバーへの負荷テストや基本的なゲーム性の確認などが目的だ。各種システムは今後も調整され、公開時には現在と違うものになっている可能性も高い。テストに未参加の方が雰囲気をつかむのに役立てていただければ幸いだ。
『LoVA』の基本的な流れ
今回のαテストは7対7のチーム戦形式で行われた。
プレイヤーは自分で選んだ複数の使い魔を従えてデッキを組み、敵陣のいちばん奥にある“アルカナコア”(以下、コア)の撃破を目的に動くことになる。ただしコアは“ゲートキーパー”によって守護されているので、まずはこの撃破を目指す……のだが、このゲート・キーパーもマップに点在する“ガードタワー”によって能力が増幅されており、ゲートキーパーの弱体化のためにはガードタワーの破壊から始める必要があるのだ。フローにすると以下のようになる。
ガードタワーを破壊してゲートキーパーを弱体化する
↓
ゲート・キーパーを撃破してアルカナコアの守りを弱める
↓
アルカナコアを破壊する
またマップには2ヵ所、最初は中立の“ミニオンアーク”という構造物があり、これは近づいて一定時間触れ続けると制圧できた。制圧したミニオンアークからは、NPCであり協力的に動くキャラクター“ミニオン”が定期的に発生し、敵陣に自動で進撃してくれるのだ。敵軍に制圧されたミニオンアークは取り返せるので、前述の流れのほかに、このミニオンアークをめぐる攻防も重要になる。
さて、戦いの主力となる使い魔だが、プレイヤーは彼らを最大で4体まで連れて戦場に出られる。1体ごとにアクティブスキルとパッシブスキルと呼ばれる能力がひとつずつあり、そのほかにもHP、ATKなどの各種ステータスや、彼らの召喚に必要なコストである“マナ”が定められている。
αテストの段階では使い魔には、“人獣”、“魔種”、“神族”、“海種”、“不死”の5つの種族にそれぞれ8体、全部で40体の使い魔が登場していた(正式サービス開始時には150体まで拡張されるとのこと)。この使い魔たちのなかからプレイヤーは、マナをあまり持っていない序盤用、ゲーム中のアクションによって多くのマナを使えるようになる終盤用、などと使い魔を選択してデッキを構築するのだ。
さらにプレイヤーキャラクター自身も、片手剣と盾、両手剣、杖という3種類から武器を選べる。それぞれパラメータが変動するほか、オーソドックスな性能の“片手剣”、通常攻撃が範囲攻撃になる“両手剣”、遠隔攻撃が可能になる“杖”という違いがあり、性能から選択するのは基本として、見た目をカスタマイズするときにも楽しめそうだ。
デッキの構築と装備を終えたら、すぐに実戦を開始した。数回プレイして感じたのは、個人のデッキ選択などよりも、とにかくチームワークの重要さだ。とくにゲーム開始直後は、ふたつあるミニオンアークのいずれかをとりあえず制圧しないと、そこから出現するミニオンによってどんどん戦力差が広がるため、味方で声をかけ合い、序盤の行動を統一する必要があると感じた。また、敵に倒されると一定時間行動不能になり、重ねて相手がレベルアップしてしまう可能性もある。さらに使い魔を召喚するためのマナも相手に与えてしまうため、当然だが、いいことが何もない。そこでラジオチャットによって「ここのミニオンアークを取ろう」、「このルートで進軍しよう」などのコミュニケーションを取り、チームで行動し、“倒されにくくする”のが今後の基本的な戦略になりそうだ。
今回はαテストだったため、本作にはいまのところ、いわゆるバックブースト(逆転の要素)となるものがなく、そのため一度得たアドバンテージはずっと影響し続けた。結果として、
・なるべく倒されないように
・数名で集まって行動し、
・敵に余計な経験値やマナを与えない
プレイが重要となった。
逆に、単独行動している敵を攻撃できれば大きなアドバンテージを得られるだろう。直接自分が撃破しなくても、近くで味方が敵を倒せば経験値を得られるので、その面からも複数のプレイヤーで集まって行動がするのが基本となりそうだ。
ただこれらは、記者が回復やサポートを得意とする“海種”の使い魔を中心にしたデッキを作っていたからであり、もし攻撃力や耐久力に特化したデッキ構成なら、単独で敵を撃破し、消耗したら帰還して回復という動きが取れることもあり得るので、この認識は変える必要があるかもしれない。
チームに勝利をもたらすものとは
ここまでセオリーになりそうなものを書いてきたが、誤解しないでほしいのは、これらをひたすら重視したプレイが求められる、自由度の低いゲームというわけではない部分だ。チームワークはもちろん重要なのだが、個々のプレイングや工夫がしっかりと戦況に反映されるようになっている。
たとえばマップの広さと高コスト使い魔の強さ。
まず、マップには前述のようにふたつのミニオンアークと複数のガードタワーが存在し、撃破すると経験値とマナが得られる中立のモンスターが、さらに各所に周期的に出現する。これらはすべて戦況を左右するポイントとして活用できるものだが、マップの広さから全部をカバーすることはなかなかできず、ゲーム中、どうしても手薄になる部分ができるのだ。
これを見逃さずに動くことで、攻撃されるリスクを抑えながら自軍に貢献することができるだろう。ミニオンアークやガードタワーを防衛中などジリジリとした戦力の削り合いをしているときに、別働隊がこっそり敵のガードタワーを破壊したという報告を聞くとリアルで「ナイス!」と声に出るくらいのうれしさだ。
また、中立のモンスターの撃破による経験値やマナ稼ぎも、ミニオンアークの争奪やガードタワーの守護などのより大きな目的を見失わない範囲なら、結果的にチームへの貢献となる。なぜなら高コスト帯の使い魔が非常に強力だからだ。
高コスト帯の使い魔は、威力の高い範囲攻撃を持っていることが多く、終盤の戦いでは必須の存在となる。そこで戦いの合間に中立モンスターで経験値とマナを得て、早めに高コストの使い魔を召喚し、前線で活躍させるのだ。まだレベルの低い相手をまとめて倒すことで、数的優位を作り出すことができ、ガードタワーやゲートキーパーをめぐる戦いで有利になれるのだ。プレイングもアタッカーの多いデッキを使っているなら有用だろう。
このように『LoVA』は、骨太なセオリーがしっかりと存在しながらも、プレイヤーの状況判断や選択によって戦況が大きく変化するゲームとなっている。不慣れなうちは、ラジオチャットで意思疎通を図りながら、
・ほかのプレイヤーといっしょに行動して倒されないようにする
・手薄なミニオンアークがあったら制圧しに行く
といったセオリーに従って行動すればよく、慣れてきたら味方のデッキ構成などを意識したプレイングを心がければ、誰でも楽しく参加や活躍できるゲームだと感じた。もとより、アーケードの『LORD of VERMILION』の世界を共有はしているものの、ゲーム性は変わっており、シリーズのファンだけでなく、同社の『ファイナルファンタジー』シリーズのような世界が好きなプレイヤーに広く窓が開かれている。
こうしたジャンルのゲームが増えることがうれしい
国外ではすでに大きなムーブメントとなっているマルチ対戦アクションゲームは、国内のプレイヤーにも確実にファン層が広がっているものの、純国産のものがいまだ少ない。そのなかで今回『LORD of VERMILION』という大きな実績とノウハウを持つタイトルが手を挙げたというのは、それ自体がニュースと言えるだろう。続くテストを楽しみにするとともに、続報を大いに期待して待ちたい。