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『Cyphers』とは?

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▲韓国での大会の様子。

 『Cyphers』はバトルに参加したプレイヤーたちがふたつの陣営に分かれ、RTSライクに敵の拠点をアクションによって攻撃し、本拠地(HQ)を破壊するという、いわゆるMOBAタイプのアクションゲームだ。プレイヤーはひとり1体のキャラクターを操作。TPSのようなキャラクターの背後からの視点でアクションを繰り出しながら、拠点を攻める“攻城戦”を楽しむのが基本。
 背景にある物語は、1920~40年代のヨーロッパが舞台。ヘリオスと地下連合というふたつの組織の争いをフィクションと史実を織り交ぜながら描いている。現在、韓国では操作可能なキャラクターが多種多様な47体。それぞれのキャラクター人気にも支えられており、コスプレやファンアートなどを中心にユーザーイベントで人気を博しているほか、E-sportsが盛んな国柄か、ゲームそのものもトーナメント大会が実施され続けている。

ゲームの基本と操作

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▲マップの概念図。

 ゲームの基本は、5対5の対戦によってプレイ中にキャラクターを成長させ、相手のHQを破壊することに尽きる。ゲーム開始直後から敵味方が入り交じりやすく、ゲームの進行は総じて早い。一撃の大きさがものを言うのだ。そのため平均プレイタイムは短く、1ゲームあたり15分前後となる。その中で、アイテムを購入するためのコインを集め、戦いながらでもアイテムを購入し、キャラクターを育てていく。局面ごとの素速い判断が重要になるのだ。

 移動はWASDキーで行い、マウスのクリックで攻撃やスキル発動を行うため、各種のPCゲームの操作に慣れたプレイヤーならほぼ直感的に、そうでないプレイヤーも覚えることが少ないため、すぐにコンボなどアクションの組み立てを考えるようなプレイに移行できるだろう。ちなみにアイテムの購入や使用は数字キーで行う。

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▲わかりやすい操作系統。

 画面の中心に敵を捕らえて進むTPSにも似た画面構成を採用しており、体力やスキルの簡易操作ガイド、視覚的な情報は画面の中央を空けたその周辺に集約。視線を外すことを最小限に抑えてプレイができた。

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▲画面が比較的広く空けられた、シンプルな構造。上部の中央は自チーム、敵チームの拠点の残存体力だ。

 スキルは、まず左クリックで基本攻撃を放つことが軸となる。これは連打可能だ。右クリックや左右同時押しで少し強めの技、Qで特殊スキルが発動、Eでキャラクターのキーとなる究極スキルと呼ばれる派手な技が発動。Fで隣接した相手をつかみ、スペースキーで回避行動をとる。また、シフトキー+左クリックで、倒れている相手に対して追い打ちが可能なのだ。

ゲーム性を高める要素

 記者は目の前の敵を排除するのに必死でほとんどできなかったが、実際のプレイでは、攻撃力上昇、クリティカルダメージ付与、体力回復、回避力アップ、防御力アップなどキャラクターの成長にかかわるアイテムや消費アイテムなどの購入は、画面下端にポップアップするアイテムスロットに設置することになる。数字の1~8キーで使用され、効果が出るのだ。消費アイテムでなければ、その効果はキャラクターに残り、継続的にプレイすることでキャラクター成長の楽しさや、レアアイテム収集の楽しさを味わえるのが特徴だ。

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▲アイテム購入画面。プレイ中でも画面下部の表示から購入や使用が可能。
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▲トルーパーがうまく活用できるとジリ貧を防げる。

 また、このほか負け気味のチームのエリアに一定時間ごとに登場する可能性が高く、倒すとチーム全体を支援する効果が得られるトルーパーと呼ばれるロボットもあり、不利な立場から戦況をひっくり返すことも可能だ。

ゲームのモード

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◆攻城戦

 メインになるのは、“攻城戦”と呼ばれるモード。5対5に分かれ、相手のHQを破壊すると勝利だ。公式ランキングに紐付く“公式戦”、ランキングに反映されない“一般戦”、コンピューターを敵に回して戦う“協力戦”、クランで戦う“クラン戦”、プレイヤー設定に則って行われる“親善試合”の5種類に細分化されている。

◆殲滅戦

 “殲滅戦”と呼ばれるモードは、敵をのべ40人倒すと勝利。特定のキャラクター3人を倒すとより多くのコインが手に入る“指名手配”というシステムも採用されている。

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▲指名手配された側ももちろん逃げ回る!

◆進撃戦

“進撃戦”はつぎつぎと湧いてくる敵を倒し続けるPvEのモードだ。定められているステージをすべてクリアすると勝利となる。

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▲ステージが進むと、どんどん攻撃が激化。

ロビーではなく街でコミュニティを促進

 『Cyphers』の大きな特徴に、トワイライトと呼ばれる“街”の存在がある。通常PvPメインのタイトルは、簡素で機能的なロビー画面で参加者を募るなどして、戦闘時に初めてフィールドに赴くことも多いが、『Cyphers』では、ログインしておりかつバトルをしていないとき、トワイライトでチャットをはじめ、他のプレイヤーとコミュニケーションが取れる。もちろんエモートなどでバトルとはまた違ったひとときを過ごせるのだ。

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▲トワイライトの風景。パラレルなチャンネルが100単位で用意されていた。

 また、クランを組んで、ポイントを稼ぎ、クランを成長させ、スキルの恩恵に与るなど、クランを組むことで得られるボーナスも多い。

いよいよ体験

 体験会当日は、まず開発元である韓国Neople社(『アラド戦記』などで著名)のコンテンツチーム、チェ・ホンソン氏が登壇。ゲームの前述したようなゲームの概要を語るとともに、「オンラインゲーム最高水準の打撃感と速度感」を強調した。

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▲コンテンツチーム企画UIパート長を務めるチェ氏。

 解説後は、いよいよプレイ。仁王立ちの敵が待つ、アクションの自由練習ステージでキャラクターを選びながら技の出しかたを習得した。47体もの中から1体を選ぶのは容易ではないが、当日初めからオープンされていた10人メンバーのひとり、銃撃が特徴的なカインというキャラクターを選択した。防御力や機動性に乏しいが、対人攻撃力が高く、遠距離からの攻撃が得意なこのキャラクターは、平時は16連装の拳銃で戦い、究極スキルを発動すると、画面が突然狙撃のスコープモードになり、キツい一発を相手にお見舞いできる。ほかにも槍で戦うローラス、拳で戦うヒュートン、氷を操るルイス、炎の使い手ターラなど、それぞれに特徴的なキャラクターがいた。

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▲チーム内で同じキャラクターも使用可能。左下段中央が今回選択したカインだ。

 キャラクターにはそれぞれコンボがあり、たとえば炎使いのターラなら、“火遊び”(シフト+左クリック)と呼ばれる発動位置指定ののち火柱があがる技のあと、炎を投げつける“火炎”(左クリック)で攻撃し、最後に位置指定でスパークを起こして倒れた敵まで焼き尽くす空間発火(右クリック)で3段コンボが成立する。
 また、それぞれのキャラクターの個性を最大限に発揮した究極スキルをキャラクター間で組み合わせることで連携プレイが可能になる。たとえば、敵をバインドする究極スキル+特定地域に爆弾投下などその組み合わせを試行錯誤するのもおもしろい。
 こうした能力の傾向から、前衛向き、中盤向き、後衛向きにキャラクターは分かれ、プレイが慣れてくると傾向に即した陣形をチームでとって戦うことになるだろう。
 また、実際に始めると、フィールド上にはトルーパーのほかにも中立で、倒すとコインが獲得できる棒立ちのNPCセンチネルや敵陣に向かって行進し続け、敵のタワーを攻撃する“撤去組”なるハンマー舞台がいた。

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▲地味にコインがおいしいセンチネル。
▲黙々と敵陣に踏み込んでいく撤去組。もちろん敵の撤去組はこちとらに突っ込んでくる。

 スタート直後、まずは中央を進んでみた。他のメディアも様子を見るように比較的集団で移動していたが、敵も同様、早々に敵集団と遭遇し、交戦状態に。自分のキャラクターの特性を活かすべく、回り込んで挟撃し、狙撃しようと、マップ内を大きく迂回していたが、すぐさまホットな戦場が移ろうため、狙ったような回り込みがしづらい。それでも自軍の近接職の活躍で徐々に前線は押し上がり、ようやく敵のHQにたどり着く。

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▲今回は記者と同僚のふたりで参加したが、敵味方に分かれてプレイ。
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▲守護者の近くには拠点となっているタワーもあり、これも含めて破壊の必要がある。

 ここまで10分程度。だが、当のHQの前には、こちらをめがけ回転を中心とした強い攻撃を放つ“守護者”なるものが登場。これを先に撃破しないことにはHQが破壊できないことに気づく。数人でたかって攻撃をしかけるが、守護者に集中しているあいだに、側面から敵に遠隔攻撃をされたり、瞬時にそちらを向き直して敵の位置を確認しようとしたところ、守護者の重い一撃を受けたりなど、何度か倒され、リスポーンをくり返しながらマラソンのように敵HQを目指す。チームに戦略があれば、前線を維持する者、突破口を開く者、側方や背後から支援をする者など、おのおのが役割を全うし、より考えたギリギリのプレイができるようになるのだろう。

 それは続いてプレイした殲滅戦や進撃戦でも同様。とくに殲滅戦は、手練れの現役プレイヤーと実サーバーで戦ったため、忍者のような白装束のプレイヤーにチームごと手も足も出ず、一度対峙すると数秒後には床に倒れている自分のキャラクターを何度も見ることとなった。

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▲遮蔽物の少ない、狭めのフィールドで戦ったため、遠距離型のキャラクターは丸裸の状態だった。
▲一矢を報いるべく、狙撃モードを使用。多少のダメージは与えた模様。

はたして日本では

 プレイしての感想は、記事のタイトルにもしたが、わかりやすいルールから来る手軽さと、バトル展開から成長にいたるまで全体にわたって得られたスピード感が印象深かった。既存のMOBAタイトルに比べ、アニメのような設定を与えられた色とりどりのキャラクターたちは、日本人プレイヤーにもかなり受け入れやすい入り口となっており、実際、キャラクターを選んでひとつひとつ試しては、自分のお気に入りを見つける作業だけでもかなりの時間を楽しんだ。
 最後に、気になる課金の話。現状の韓国では、バトル後に手に入る“報酬カード”を追加で獲得したいとき、コスチュームをカスタマイズしたり修理したりしたいとき、プレイヤー間でゲーム内貨幣を取り引きするときに必要とされている。こと対人ゲームにあって課金で成長してしまうと……と思う向きもあるが、これらはすべて本来のプレイに比べて時間短縮あるいは自分のキャラクターの愛着を深める部分にかけられており、ゲーム性には影響しにくいものと思われる。
 日本での展開があるのかは、今後のニュースでもお伝えしていきたい。

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▲まあ、着せたくなりますよね。