●ユーザーの関心をまとめて質問! そしておふたりからは回答のほかに展望や想いも語られた!

▲FSクヒナ氏(写真左)とダシル氏(写真右)。

 "Ertheia"実装前から関心を寄せられていた新種族アルテイアと、錬金術をはじめとした新規コンテンツ。初期発表ではビジュアル面、情報が開示されるにつれて戦闘スタイルに注目が向けられ、現在はユーザーによる諸設定の背景の考察も散見されるようになるなど、アルテイアへの興味が依然として尽きていないことが伺える。また、6月21日に横浜で開催されたオフラインイベントにて、次期アップデートで予定されているコンテンツが初公開となり、参加者や視聴者の間でさまざまな印象をもたらした。そのときの様子を交えつつ、アルテイア実装後の様子やオフラインイベントの感想など、いろいろ伺ってみた。

●新種族アルテイアの人気の源は現在ビジュアルとPvP。将来は錬金術の需要で伸びる可能性が!

――アルテイアの実装後、ユーザーの反応はいかがでしょうか?

FSクヒナ氏(以下、クヒナ) 「とてもかわいい」、「スキルが新鮮で楽しい」といった声を多くいただいています。なかでも正座をしている姿は、とくに人気がありますね。

――スキルについては、いかがでしょうか?

クヒナ いままでのクラスにない、独特なタイプのスキルが多いこともあり、”スポレーション”や”ヘッドウィンド”などからかっこよさ、”サイド ステップ”や”エア ラッシュ”で爽快感を感じるという声をいただいています。

FSダシル氏(以下、ダシル) 一方で、ウィザードスキルの”アシミレイト”について「強すぎる」という意見をいただいていますので、今後調整を入れる予定です。

――6月24日の実装から1ヵ月を経とうとしていますが、全サーバーを通してファイターとウィザードの比率はいかがでしょうか?

クヒナ 約半々ですね。ウィザードが53%と少し多く、ファイターが47%です。

――それは見た目の影響でしょうか?

クヒナ 見た目の部分で、ローブがかわいいというのはあると思いますね。あと、「サイハズシーアーが強い」という情報がすでに認識されていたので、強さに興味があるお客様はウィザードを選んで育成に力を入れたのだと思っています。

――アルテイアに触れたユーザーから、「ファイターはソロ狩りがしやすく、ウィザードは育成に時間と手間がかかる代わりに、PvPではかなり強い」といった印象をよく聞きますが、オリンピアードでアルテイアは現在どれほどの数が出場していますか?

クヒナ まだ統計を出している段階で正確なデータは出せないのですが、すでにLV85でノーブレスのアルテイアが増えているので、出場数ももっと増えるかと思います。仰っているとおり、オリンピアードではアシミレイトで有利に働くこともあり、現状サイハズシーアーの勝率が高いという状況です。しかし今後はバランスを考慮してアシミレイトについては調整する予定です。

ダシル 実装前に、”りね2てれび”やオフラインイベントを通じて、ユーザーの皆様に触れていただいたとき、PvPに慣れている人がウィザードを使うとかなり強いという印象を持たれたので、それが後押しになったかもしれませんね。

 レベル

 プレイヤーの割合

 99

 0.10%

 95~98

 0.42%

 90~94

 1.55%

 85~89

 12.96%

 75~84

 7.73%

 50~74

 25.16%

 20~49

 25.64%

  1~19

 26.44%

※ ”Ertheia”実装を基点とした、実装後1週間の全サーバーの各レベル帯の分布。なかには、初日にレベルを90以上も上げたユーザーもいた。

――ディメンションバリアも、実装初日から各サーバーでどこまで行けるか競争する様子が伺えますが、現段階の最高記録として何層目まで到達していますか?

クヒナ 現在新しいログに関して開発に確認中ですので、正確にデータ抽出が出来ないのですが、、ユーザーコミュニティやTwitterの反応を見ると、30段階に到達されている方はいらっしゃいますね。

ダシル ディメンションバリアが最高何段階まであるっているのは、公開されてるんでしたっけ?

クヒナ 公開はしていないですね。永遠に段階が続くわけではなくて、最終段階は用意されています。30段階はかなり後半と考えていただいてよいと思いますよ!

――錬金術の実装により、経済効果に多少の変化は表れたでしょうか? また、“変換”を経て製作されたアイテムの中で、どんなアイテムが多く生産される傾向が見られますか?

クヒナ 現状、そこまで大きな変化はないですね。

ダシル 出す価格って、人それぞれじゃないですか。始まったばかりだと、アイテムの価値が安定しないですし。僕もアルテイアを育てて思ったんですけど、このアイテムはどれほどの価値があるのかというのがまだ量りかねる部分(※1)があるので、市場が醸成されるにはまだ少しかかると思いますね。昔、ドワーフでスカベンジャーが1アカウントあたりひとりいた時代がありまして。そのときは、みんながみんなそのキャラを使ってドロップアイテムを増やして回収することで、市場の活性につながったんですが、個人的な意見としては、現在はまだそこまで育まれてはいないのかなと。その点は解消されてきたら経済効果の部分でも見えてくるかもしれないですね。

――アルテイアの実装により、装備品まわりの流通が活性化されたと思いますが、おしゃれや性能重視などの傾向は見られますか?

クヒナ 低レベルの装備については、アルテイアを育成してクエストを進行すれば、鋼鉄のコインが貰えるので、そちらで補っている方が多いですね。。おしゃれの部分についてですが、楽しみにされていた方には本当に申し訳ないのですが、まだアルテイアでグラフィックが実装されていないものが多くて、流通に関してはこれからに期待といったところですね。

ダシル 両手魔法鈍器と格闘武器って、人気のない武器のナンバー1とナンバー2だったはずなんです。しかし、アルテイアでは、その武器がないと最高効率を発揮できないところがあって、おそらくはいずれ市場が大きく変わるかもしれないですね。まだ3次覚醒後のアルテイアキャラクターがそんなに増えていないので、これがどんどん増えてきてレベル85以上のアルテイアが当たり前になってきたら。もともと皆さん持っていないようなアイテムなので、「何処から持ってくるの?」ってところで、我々の手腕が問われるかもしれません(笑)。
クヒナ 市場が動き出すのは、R95グレードからでしょうね、メンタリングシステムを活用している方は卒業の証でRグレードまでは取れちゃうので。

ダシル R95グレードのファンタスマ武器とカデイラ防具から、たぶん自力で取らなければいけないと。キャラクターの絶対数と装備の絶対数が釣り合いが取れていないので、何とかしたいですね。実装からまだ2週間ちょっとですから、もうしばらく様子を見ないと傾向は出てこないでしょうね。

――錬金術で、ユーザーからの「これを実装してほしい」といった意見、または個人的に実装させてみたいというものはありますか?

クヒナ お客様のほうから錬金術で追加してほしいという要望は、現状きていないですね。個人的の範疇であれば、錬金術でのみ作れる装備やファションアイテムがほしいです。

――錬金術となると、加工石のような形で?

クヒナ そうですね。まったく新しい装備やファッションアイテムを出していきたいです。

――ユーザーのあいだでは、髷(まげ)やふんどしに関心が寄せられているみたいですけど(笑)。

クヒナ 髷は以前の、オフラインイベントで発表しましたよね?

ダシル 昨年の京都ですね。髷は一応あるんですけどね。

クヒナ 髷は結局、まだテストサーバーにも来ていないような……。

ダシル 人気は出るのかな? 発表時も、よくも悪くも反応が程々だったので(苦笑)。

クヒナ ドワ爺さんだけが、まったく違和感がなくて(笑)。

ダシル 逆に、ダークエルフは!

クヒナ 反応が微妙でしたね……。

ダシル もしかしたら、なにかの機会に出せるかもしれません。

クヒナ 髷が実装されたら、羽織や袴もほしいですね。

ダシル 先日発売されたパッケージに鎧はついてましたけど、鎧よりは着流しみたいなほうが、見た目できれいかもしれないです。

――浴衣がほしいという声も聞きますね。

クヒナ 浴衣は、よく要望を頂いていますね。

ダシル 髷に浴衣って、どうなの(笑)。

――”Ertheia”実装にまつわるエピソードがありましたら、差しさわりのない範囲でお伺いしてもよろしいですか?

クヒナ アップデート前日に、深刻な不具合が発覚しまして。詳細は明かせないんですが、簡単に申し上げますと、サーバーダウンするととある内容が初期化されたんです。致命的な不具合だったのですが、頻繁に遭遇する局面の事例ではなかったので、発見が遅れてしまいました。

ダシル 発覚から1日で対応できたことで、幸いアップデートの遅延は免れましたけど。

クヒナ なんと、当日の0時過ぎに問題が解決しました。

ダシル 「ライブサーバーとテストサーバーは違うんですよ」と。ただ、対応するために僕は会社に泊まりましたし、クヒナさんも0時半くらいで終電がなく、家族に迎えにきてもらってました。

クヒナ お客様は勿論のこと、私たちも、プレイヤーとしてアルテイアを心待ちにしていたので、意地でも延期は避けたかったですね。

ダシル こうして、『リネージュ2』は作られております(笑)。

 ※1 錬金術の制作物のうち、実際に取引ができるのは、『調合』を通じて既存のアイテムから入手できるウィンド ストーンのみ。それを媒体とする『変換』を経て制作したアイテムは取引ができない。

●レベリングは、果て無き高みというロマンを目指す

――レベルキャップが開放されると聞きましたが、コンセプトなどはあるのでしょうか?

クヒナ そうですね、まだ私たちもレベルキャップについては開発チームから詳細は共有されていないのですが、「永遠に目標を持ち続ける」ことが重要だと言っているのでイメージとしては『リネージュ』のような感じになってくるのではないかと思っています。

――『リネージュ』みたいなイメージですか。

ダシル レベルが上がったときに、この上ない感動が与えられる感じで考えています。
クヒナ ロマンですね(笑)。

――そもそもレベルが99で、若干きりのいい数字じゃないですか。これ以上キャップを開放して、上げていこうとなった経緯というのはあるんですか?

ダシル 純粋に活性剤が多いからというのがありますね。日本人はレベリングが大好きなんです。「きつい」、「過酷」とは表現しますけれど、僕も含めて、メーターが増えていく感覚と数字がひとつずつ増えていく感覚や、積み重ねていく達成感に意義を感じるわけです。なので、本来は手段であるはずのレベリングが目標になるところから、それなりにロマンのある数字が出てくるんじゃないかと。

クヒナ やはり、カンストすると目に見えた目標が達成してしまうので、ゲームを辞めてしまう方が多いんですね。

――レベルキャップを順次開放していくと、第一に狩り場の問題が出てきますが、そのあたりの展望などがありましたらお聞かせください。

ダシル いままでの流れですと、いわゆる行かなくなった狩り場のリニューアルはまず間違いなく入るだろうと思います。ただ、新大陸が来るかどうかは正直判らないので、このあたりは今後公開できる情報に関しては随時出していきますので、楽しみに待ってていただければ幸いです。

――アルテイア実装後、ユーザーのなかで、(プレイアブルキャラクター全体をとおして)「この職をこうしてほしい」といった要望で、いちばん強い要望で出ているのは何ですか?

クヒナ 先程もお話したサイハズシーアーの「アシミレイト」に関するスキル調整の要望がいちばん多い状況です。また、今回スキルが新しく追加されたクラスと追加されなかったクラスがありましたので、後者からは待遇を求められました。

――次期アップデートとなるEpisode 2.0は、おおよその季節感――どのあたりを予定していますか?

クヒナ クラシックサーバーを実装するかどうかによって若干スケジュールはずれるかもしれませんが、いまのところEpisode 2.0は極寒の季節の予定ですね。

ダシル 雪吹き荒ぶ……。

クヒナ 寒中見舞いが届くころかもしれません(笑)。ただ、大規模アップデート以外にも少しずつ新しいコンテンツやアップデートは入れる予定です。Episode 1.0の追加アップデートにあたるものは早い時期に実装予定です。

――内容は決まっているのですか?

クヒナ お客様の中には、キャラ枠やふだんのプレイの兼ね合いもあって、アルテイアを作らなかった方もいると思うんです。今回のアップデートは「アルテイア」がメインになっているので、そういった方にとっては少し物足りなさを感じる部分があったと思うんです。ですので、そういったお客様が楽しんで頂けるような追加アップデートを企画しており、既に開発とともに進行しています。

――キーワードを指すとしたら、どんな文言になりますか?

クヒナ “更なる成長”です。そしてもうひとつ。あの「コンテンツ」が斬新なシステムに生まれかわります (笑)。

ダシル あれは、みんな疑問に思う(笑)。昔、それに関連する話題を何処かで触れたことがありましたが、それが実装するかどうかはまだわかりませんからね。

●過去のアデン大陸に触れて『リネージュ2』の魅力を熟練ユーザーは回帰を、若手ユーザーは存分に吸収・共有してほしい

――オフラインイベントで話のあった、クラシックサーバーとは何ですか?

ダシル ふつうに考えれば、クラシックって“古典”じゃないですか。「古典=古いサーバー」というよりは、どちらかというと「古いものを新しく運用するサーバー」の印象で捉えていて、古いものを現状に合うよう現認に即した形で実装して、異なる楽しみを提供できる環境を想定しています。いまプレイしている方もそうですし、既に『リネージュ2』から離れてしまった方も、もしかしたらご満足いただけるような、そういうものを提供できるのではないかと思っています。

――「リネージュ2のルネッサンス」みたいな(笑)。

ダシル さすがに当時のグラフィックのままで再現すると、単に古臭いだけのものになってしまうので、リファインとでも言いますか、古いものを現在の仕様も交えて新しく仕立てて、昔ならではの“苦労が楽しかった頃のリネージュ2”を再現できるのではないかと期待しているところです。

――すでに運用が始まっている韓国での反応は、いかがでしょうか?

クヒナ 韓国での反応は非常によいですね長いあいだ『リネージュ2』をプレイしていなかったお客さんが、このクラシックサーバーをきっかけに戻ってきているという報告を受けています。韓国ではOBTオープンの30分後には初期村に溢れかえるように人が集まっていたとのことです。

――先日のオフラインイベントでは、来場者・ニコニコ生放送視聴者ともに、実施希望の賛否が半々に分かれていました。要望自体はかねてから寄せられていましたか?

クヒナ 来場されているお客様とニコニコ動画をご覧頂いているお客様は、現在の『リネージュ2』をプレイされている方が多いと思うのです。現在の『リネージュ2』を遊んでいただいているということは、いまも楽しんでプレイされている方だと考えております。その点から、クラシックサーバーに対して、端的に興味が強いというわけではない方が多く、今回は五分五分の結果になったのではないかと考えています。もしクラシックサーバーを実装するとしたら、メインターゲットは現在『リネージュ2』をプレイしていないお客様になりますね。

――転職でも、経験値稼ぎの効率など、覚醒前後でだいぶ環境が変わったと思います。覚醒後から始められた方からすれば、いまの仕様に馴染んでいることもあって、昔の仕様(サブクラスなど)に苦手意識を持っていることを聞きます。

クヒナ そうですね。昔の3次クラスの転職クエストは700本ノック(※2)等があって、かなり大変でしたよね。ケトラーやシレノスに行ったり、温泉にいったり、何日もかけて転職クエをしたものです(笑)。ああいった難しいことはもうないですし、現在はかなり簡易化しているので、やり易くなっています。ただ、昔のあの仕様を経験している人の中には、「あのマゾさがよかった!」と言う声もありますね。

――がっつりやりたいと。

クヒナ がっつりやりたいという人は、クラシックサーバーを望んでいると思います(笑)。

――当時の仕様でのノーブレスクエストは半分しか進みませんでした。

クヒナ ノーブレスクエって、試薬の供給があるクエでしたっけ。

ダシル ノーブレスは……どれだったかな。たぶん、いちばん大変だったのはサブクラスです。サブクラスの傲慢の塔のレイドボス(※3)討伐で滞ってしまうというのが多かったので、もしあるとすれば、同じような現象が起きるのではないかと思います。

――オフラインイベント上のカンファレンスにて、「クロニクル2など、かなり初期の仕様を用いて作り直したい」との明言がありましたが、展望としては、期間を設けて過去に実施されたアップデートを段階的にかけていく予定でしょうか?

ダシル クラシックサーバーの厳密の話が、これからしていくものになるので、まだ具体的な内容は言い辛いですね。そもそも、先日のオフラインイベントに関してお話しをしたのは、実際にどの程度の反応が返ってくるのか純粋に見たかったからなのです。実装に関する内容に関しては今後になります。オフラインイベントでいただいたご意見で半々だったという結果も踏まえつつ、慎重に検討していきたいとは思っています。実際に運営することを前提にあらかじめ組んでおいて、まずは需要があるかどうか探りを入れて様子を見るはずなんですね。需要があるかないかというのは、情報を出していくとともに変動として表れるものなので、段階的に情報を出しながら観察する流れになると思います。

――過去一連のアップデートの中には、現在廃止されているコンテンツ(GMコールなど)が含まれていますが、これらの措置についてどのようにお考えでしょうか?

クヒナ GMコール復活の要望は非常に多いのですが、現状では復活は難しいかと思います。

――そういえば、GMを廃止した経緯とはなんですか?

クヒナ GMをFS(ファンサポート)とSP(セーフティ・プロテクション)に分離する時期でしたね。

ダシル GMを廃止した経緯は、ゲームの中でもっと楽しんでいただきたいという目的の許に、“ファンサポート”という形を導入しようというのが、最初流れとしてありました。GMという呼称が必然的に“ゲームマスター”という意味合いがあり、“仮想空間の中の警察機構”といった既存の印象から、お客様を盛り上げる担当と、そもそもの治安維持の担当を住み分けしようという意識があったのですね。現在FSを名乗っているのは、ゲーム内のコミュニティの活性化を趣旨に機能の切り分けをしたので、GMを廃止というよりは、元々持っていたふたつの業務のうち、一方をFSとして分化させて明確に住み分けをした定義となります(※4)。現在も、お客様の前には出ませんが、SP自体は不正利用者対策などで動いていたりしています。

――かなり派生した話になりますが、もしユーザーとして『リネージュ2』の過去に戻りたいとしたら、どの時期に戻りたいですか?

クヒナ いまが好きです(笑)。

ダシル 僕はオープンベータです。細かいのは順番で。

――何故、いまなんですか?

クヒナ 過去の過程を積み上げて、いまがあるから、いまが好きなんです。主にコミュニティーの話ですが、システム的には昔の9人PTの仕様、それぞれに役割や個性があった多様なクラス、ゲーム内で努力した分だけ自分が強くなっていくという楽しさがあったと思います。また、いまのように便利なIDはなかったので、フィールド狩りで人との出会いがあり、そこでまた新しいコミュニケーション、新しい物語が始まっていました。いまの『リネージュ2』は様々なIDや、販売代行システムなど便利なコンテンツが沢山あります。勿論、メリットもありますが、便利すぎる故に人と人とのコミュニケーションが希薄になってしまったとも考えています。現在は便利で簡単に遊べるゲームが主流ですよね。好きな時間に始められて、好きな時間に辞められる、正直な話、忙しい現代人にはぴったりのゲーム設計だと思います。そんな世の中に逆行するのがクラッシックサーバーだと思います。不便だからこそ、皆が自然と協力する世界、皆が知恵を出し合い工夫しながら生きていく世界、そんなMMOの原点を再現できると考えています。

――ダシルさんはいかがでしょうか?

ダシル 覚えている限りで、僕がいちばん好きだったのは、話せる島でみんなが初期装備のままで露店を開いているところを見て、「何てすごいゲームなんだろう」と思ったのが始めたきっかけなんですね。クラシックサーバーでやるとどう思うのかは判らないですが、何もかもが不便な状態が、当時の感覚として「不便だからこそ、コミュニケーションが生まれた」という部分で、いまよりも当時の友達のほうがより覚えているというところから戻りたいというのがあります。仕様云々や経験値よりも、同じ空気を共有する友達ができたとか。とにかく情報を得るにしても、いまみたいに便利なシステムもなかったので、事ある毎に訊ねないとどうしようもなかったんです。シャウトでパーティーを募集することしかできないなか、絶えず流れるトレードのログに介入する形でシャウトして、何度も繰り返しては村の外でただ単に待っている。でも、人付き合いや血盟に入る機会も、ふとしたきっかけで話したことだったので、その不便なころをもう一度体験したいと思うところです。

クヒナ 逆に、(こちらに向かって)いつに戻りたいですか?

――『リネージュ2』を始めたころに迎えていた、フレヤですね。あのころは、どのクエストも時間がかかっていたこともあって、毎日のんびりとモンスターを狩りながら血盟員と雑談をして時間を潰していたのが楽しかったんです。カーディナルの転職クエストは、もう二度とやりたくないですけど。

ダシル たしか、エルフの遺跡でしたっけ? 後ろから巨大なモンスターが忍び寄ってきて、振り向き様に悲鳴を上げたっていう(笑)。

――あれ以来、覚醒クラスが来るまでイチからヒーラーを育てる気になれませんでした。

ダシル フレヤに凍らされたかったわけじゃないと(笑)。

 ※2 3次クラス転職クエスト後半にあった、クエストアイテムを700個集める作業のこと。獲得レートがモンスター数体の割合であったことに加え、数体まとめて倒しても1体としてカウントされる仕様のため、完遂に数日を要することが多かった。

 ※3 傲慢の塔に住む“デス ロード ハラト”、“カーノン”、“ロングホーン ゴルゴンダ”のこと。いずれも討伐にはパーティーの編成が不可欠だったため、同じ適正レベルのキャラクターの協力を求める必要があった。ちなみに、ほかにも進行によっては大型ボスのコンタクトも発生し、ノーブレスクエストも先述のレイドボス討伐が含まれていた。

 ※4 FSとSPが発足した当時、FSへの用件はおもにGMコールを介して行われることが多かった。なお、『リネージュ2』でのFS発足の発表時に“FS=ファンサポート”と明確化されたが、先行して運用を開始していた同社タイトル“Tower of Aion”での発足当初は、ファンサポートを含めた複数の語彙を包括したアナグラムと定義されていた。

●『リネージュ2』というブランド

――遅れ馳せながら、ファンフィクションコンテストの選考お疲れ様でした。久方ぶりの実施にあたり、どれほどの作品の応募数がありましたか?

クヒナ 一般応募で59件、TCA(東京コミュニケーションアート専門学校)さんからは104件の応募がありました。

ダシル 少し補足を入れさせていただきますと、『リネージュ2』は、これまでTCAさんと何度か組ませていただいて、学生さんにとっては社会勉強の一環、企業(エヌシージャパン)としては『リネージュ2』を広く知ってもらう方法として、“産学協賛”プロジェクトを推進していました(※5)。お互いの流れの中での取り組みを続けてきましたが、今回10周年を迎えたなかで、もう一度TCAさんと組ませていただき、特別な厚意を用意した形になります。TCAさんの応募総数は、そういった社会に出たいクリエイターの卵の方々が、熱く燃えて出てきた背景が反映されたものと思っていただければ幸いです。

――応募作品の選考を通じて、感想などがありましたらお聞かせください。

クヒナ 選考は、『リネージュ2』に関連する人たちをひとつの部屋に集めて実施したんですけど、正直どれも素晴らしい作品が多く選考がとても大変でした。やはり10周年なので、“10周年”を選考基準に決めていったんですけど、本当に素晴らしい作品ばかりで。

ダシル 受賞枠というものが設定されていたので、どうしても決めなければいけなかったんですけど、そういう枠がないのであれば、全部を優秀賞にしたいクオリティの高さは見て取れました。我ながらきれいな回答ですね(笑)。

クヒナ すごく綺麗にまとめましたね(笑)。

ダシル TCAの方は、『リネージュ2』にそこまで詳しくない方も多くて。『リネージュ2』特有の装備や種族が再現できていない方もいれば、知らないはずなのにすごく再現されている方もいる。ほんとに多種多様で、絵のクオリティとしては高いものの、どうしても「これはリネージュ2とは違うのではないか?」というのは選びづらかったですし、逆に絵として荒削りなところはある反面、この激しさは『リネージュ2』だなという作品もありました。やはり『リネージュ2』の10周年という枠のなかで、結果的にはかなりクオリティの高い作品が選ばれましたが、じつは我々が8~9人で審査しているときに、それぞれが「これがいい」と選定したものが選ばれていました。そのなかで荒いものから繊細なもの、いろいろあったなか、すごい作品もありました。ただ、「これってリネージュ2?」というところがありましたので、選考から除外された作品もありました。これはTCAさんの作品もそうですし、お客さんの作品も等しく見受けられました。

――TCAさん側の作品は、“リネージュ2の世界観を忠実に再現しているかどうか”を基準としたわけですね。ユーザー側の作品の傾向と選考基準はどうだったのでしょうか?''

ダシル お客さんの作品は、逆に『リネージュ2』ではあったものの、10周年のテーマに則したものを重要視して選考にあたりました。オフラインイベントでダーシスさんが語った選考基準のコメントにもありましたが、やはり10周年というところを第一に捉えて、失礼な言いかたになりますが、感性も重視する意味で、巧拙の評価は二の次としました。

――オンライン・オフラインともに、ユーザーの皆様とのコミュニケーションは、どれほど行えていますか?

クヒナ 今年は、4月からツイッターを始めたり、オフラインイベントも早い段階から行えたので、コミュニケーションの機会そのものは増えてきている実感がありますが、ゲーム内ではなかなかFSとして出られなくなってきており、申し訳なく思っています。その代わり、新人のFSニウス君(※6)が頑張っています。あと、ニコ生も今後またやる予定ですので、あわせて乞うご期待ください。

――ユーザーからの、ニウスさんの評判はいかがですか?

クヒナ 評判はいいですよ。現在、10周年イベント関連の業務で、様々なサーバーに出現して、沢山のお客様に積極的なコミュニケーションをとっていますね。

――各サーバーで、いろいろといじられているそうで。

クヒナ いじられてますねぇ(笑)。彼は『リネージュ2』のコアプレイヤーだったので、とてもお客さん思いで、早くも人気者です(笑)。まだ入社したばかりなのに夜遅くまで頑張っており、「無理をせずに」とは言っているんですが「大丈夫です!」と元気いっぱいです! 彼が今後の『リネージュ2』によい風を吹かせてくれるんじゃないかなと思ってます。

――最近は、ユーザーからどのような要望が多く寄せられていますか?

クヒナ アルテイアのアップデートに関連する要望が多いですね。最初に挙がっていた、アシミレイトに関することや、ドロップアデナが減少した点ですね。ドロップアデナの減少については不正利用者対策なのですが、、あまりにも減らしすぎだということで多くのご意見をいただいております。前回のカンファレンスコール(※7)の時に開発にお話をして、今後検討するという話になっています。

――先月、めでたく『リネージュ2』は10周年の節目を迎えましたが、今後の展望を自分の立場でひと言ずついただけますか?

ダシル 10年の年月を経ると、新しいタイトルやグラフィックの優秀なゲームなどが逐次出てきますが、今後もいろいろと出てくると思うんですね。いまも他社さんのタイトルがたくさんありますが、そういった中でも『リネージュ2』は10周年というより10年目を迎える、わりと歴史あるMMORPGとして、持っていなければいけない楽しみかたを維持・継続していきたいです。最近はわりとMO的なゲームが増えていて、要はストーリー重視だったり、ソロでできるゲームがわりと増えている気がして。さっき、クラシックサーバーの話題で“いちばん不便だったオープンベータ”を挙げましたが、僕の求めるものであったり、『リネージュ2』のユーザーが求めるものというのは、コミュニケーションが最も取り易いゲームであるべきだと思うんですね。片手でできるゲーム・ながらでできるゲームlって、いまはそんなにないと思うんですよ。本当に長時間プレイに集中したり、攻略記事をすごく読み込んでは、そのどおりに動かなければならないゲームってだいぶ増えていると思います。『リネージュ2』はそうではなく、極論とすれば、僕が聞いた話では主婦が赤ん坊を片手に背負いながら、同じところを5時間くらい回り続けてチャットをしている方もいらっしゃるとのことで、そういうスタンスにも対応できる形が望ましいと思うのです。時代に逆行するわけではないですけど、大切なところとして持っていかなければいけないと思っているので、10年経ったいまでも昔からの考えかたを失わずに、いいところは吸収、そういう大切なところは残しつつ、運営と開発の連絡も含めたうえで開発していけたらいいと思っていますね。それが『リネージュ2』とともに歩んできた僕としては、考えるしだいです。

クヒナ ダシルさんが言ったこととほぼ同じになるのですが、今後の展望としては、いまの新しいゲームにはない“故郷”のようなゲームであり続けたいというのがひとつです。10年も経っていると、お客様の環境も当然変化していると思いますし、もちろんお休みをしている人も増えてくると思うのですが、生活が落ち着いてゲームに顔を出してみたら誰かが待っていて、「おかえり」と言ってくれるゲームでありたいと思っています。『リネージュ2』は、「まだ運営してたんだ」とよく言われるのですけど、いい意味で「まだ運営していたんだ」って言われる『リネージュ2』でいたいですね。あと10年は続けたいです!

――応援しています。本日はありがとうございました。

 ※5 かつて公式サイトでは、産学協賛プロジェクトの概要と履歴が掲載されていた。一例として、TCAの学生によるリネージュ2をテーマとした合同作品の東京ゲームショウ出展など。

 ※6 2014年6月から活動を開始した新米FS。オリンピアードでの英雄経験を持つ現役のリネージュ2ユーザーで、リネージュ2公式生放送“りね2てれび”出演の折、的確な解説と番組進行の実績、ユーザー目線に即した対話を評価される形でエヌシージャパンに入社、FSに抜擢された経緯を持つ。

 ※7 隔週で実施している、韓国の開発チームとの電話会議のこと。ユーザーから寄せられた要望や意見は、ここから韓国の開発チームへ送られている。

(2014年6月7日収録)