そしてインディーゲームは国際色が豊か
2014年6月10日~12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014が開催。マイクロソフトによる取材陣向けのプレゼンテーションスロットで、ID@Xbox用2タイトルが紹介された。ご存じの通りID@Xboxは、マイクロソフトによるインディーゲームサポートの取り組み。インディーゲームが盛り上がりを見せている昨今、ID@Xboxはハード戦略の大きなカギを握るプロジェクトとも言える。
1本目に紹介されたのは、Storm in a Teacup(ティーカップの中の嵐)という、何ともユニークな社名を持つスタジオにより制作された『NERO』。幻想的な森を舞台にした本作は、フィールドに散りばめられた謎を解き明かしながら物語を進めていくパズル性の強いアドベンチャー。インタラクションの楽しさを味わえる1作らしい。さらに、本作はスタジオジブリの影響を受けているとのことで、確かにその世界観は日本人にとっても居心地がよさそうだ。本作でいちばん大切なのはストーリーらしく、「自分が求めているものを得るために、何かを犠牲にしなければならない」という“犠牲”がテーマであるという。ちなみに、Storm in a Teacupの本拠地はイタリア・ローマ。少し調べてみると、“nero”はイタリア語で“黒”、“闇”という意味だった。本作の配信は2015年第1クォーターを予定しているとのことだ。
もう1本は『Get even』。一見するとオーソドックスなFPSといった風の本作。最大の特徴は“フォトグラメトリーテクノロジー”という技術を採用していること。こちら、写真で撮影した実際の風景をゲームに取り込むというテクノロジー。『Get even』の開発を担当するThe Farm 51が主導して生み出した技術だという。どのようなテクノロジーにより写真がゲームに取り込めるのかは、詳しくうかがうことができなかったが、実際のゲーム中の映像は現実さながら。まさに文字通り“フォトリアル”といった感じだ。ゲーム性にもアクセントが加えられており、過去の記憶を改変することで現実に影響をおよぼすことができるらしい。「本作は大きなゲームではありませんが、現実をリアルに再現できるものを作りたいと思いました」とは、プレゼンをしてくれた開発ディレクターのウォイチェック・パズドゥル氏。
ちなみに、The Farm 51は2005年にポーランドで設立された会社。Storm in a Teacupといい、インディーゲームは国際色が豊かだなあ……と改めて思ったり。開発に対する敷居が低い分、世界中のどこからでも参入の余地があるんだろうなあと実感。それがまた、斬新な作品を生みやすくしているのだろう。ID@Xboxなどを通じて、こうした斬新な作品に注目が集まることで、ゲーム業界がさらに活性化することに期待したい。
(取材・文 編集部/F)