「5歳から95歳まで」の理念
2014年6月10日〜12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014。任天堂は、子ども向けのE3紹介イベント“KIDS CORNER”を開催した。
E3は“見本市”とも言われるように、基本的にゲーム業界関係者のみが入場できるイベントだ。任天堂の岩田聡社長は、ニンテンドーDSやWiiが発売されて以来、ゲーム人口をたとえる際に「5歳から95歳まで」という言葉をよく使う。そんな任天堂が、子どもたちにもE3を体験してもらおうと企画したのが、この“KIDS CORNER”というイベントだ。しかし、これを実現するには、他社が出展しているコンテンツのレーティングの問題や、会場の消防法の問題(中二階などに収容できる人数に制限がある)など、いくつかの乗り越えるべき課題があったという。E3の事務局側とも調整を重ね、ついに実現できたのがこのイベントというわけだ。
ポケモンの石原恒和氏が『ポケモン』最新作をプレゼン。このイベントで初公開のスクープも!
最初に登場したのは、ポケモンの石原恒和氏。先日発売日が発表された、『ポケットモンスター オメガルビー』、『ポケットモンスター アルファサファイア』の最新情報を紹介した。
続いては、2014年6月19日に発売となる『ポケモンアートアカデミー』を石原氏みずからが実演。その場でピカチュウを描いて見せた。
続いてのスペシャルゲストは宮本茂氏と手塚卓志氏! 宮本氏といっしょに『マリオ』を作る!?
つぎに登場したのは、なんと『マリオ』の生みの親である宮本茂氏。そして、ともに『スーパーマリオブラザーズ』を作った手塚卓志氏も登場した。
宮本氏と手塚氏は、E3で発表されたばかりの『Mario Maker(仮称)』を実演。手塚氏が、ゲームの機能を説明しながら、コースを作っていく。手塚氏が完成させたコースを、宮本氏にプレイしてもらおうとGamePadを手渡すと、「こんなの簡単ですよ。すぐにクリアーしてしまう」と宮本氏。そこで、「みんなでもっと難しくしてみましょう」と子どもたちに提案し、コースをいっしょに作るという微笑ましいひと幕も。
最後は、子どもたちからの質疑応答が行われた。
――作っていていちばん楽しかったソフトは?
宮本 『スーパーマリオ64』ですね。平面のマリオが立体になったことで、つぎつぎにアイデアが溢れてきて楽しかったです。世界で誰もやっていないことをやると、すべてのアイデアが新しくなるんです。
――『Mario Maker(仮称)』を作ろうとしたきっかけは?
宮本 昔は、『スーパーマリオ』のコースを作るとき、紙に描いて設計していたんですね。『スーパーマリオブラザーズ3』を作った後は、作業の効率化のために開発ツールを使うようになったのですが、もしかしてWii Uでそのツールが動くんじゃない? というのが、そもそものスタートです。『スーパーマリオブラザーズ』のころにこれがあったら、もっと早く作れたでしょうね(笑)。
――いちばん好きなキャラクターは?
手塚 僕はヨッシー。
宮本 ドンキーコングです(笑)。
――『Mario Maker(仮称)』を作るにはどのくらいかかるの?
宮本 もともとあった開発ツールをWii Uに移すという感じだったので、3ヵ月くらいですね。こういうツールをふつうに作ろうと思ったら、1年くらいかかると思います。
限られた時間であったが、子どもたちのためのE3はこうして閉幕。来年のE3でも、こうした取り組みに注目していきたい。そして願わくば、日本でもこうした、子どもたちとゲーム開発者のコミュニケーションの場が設けられれば、素敵だなと思う。記事の締めは、笑顔で溢れていた会場の写真で。