トンデモ歴史絵巻『戦国BASARA』のおもしろさは舞台でも健在！
カプコンは、2014年4月24日に“舞台『戦国BASARA3』-咎狂わしき絆-”の初日をEX THEATER ROPPONGIにて開催した。ここでは、同日に行われた関係者向けのゲネプロ（公開リハーサル）公演の模様を、なるべくネタバレがない範囲でリポートしよう。
『戦国BASARA』シリーズは、2005年にプレイステーション2用ソフトして第1作のテレビゲームが発売されて以来、アニメ、ドラマ、映画、宝塚歌劇と、さまざまなメディアミックスがされている人気コンテンツだ。今回の“舞台『戦国BASARA3』-咎狂わし絆-”は、舞台版の第8作目となる。
“舞台『戦国 BASARA』”は、ゲームの『戦国BASARA』そのままに、まるでどこかのレンジャー戦隊のように色鮮やかな衣装を着た個性豊かな戦国武将たちが、全編においてステージ上で大立ち回りをするというサービス精神満点な作品だ。
万感の思いが語られたキャスト紹介
公演開始前にキャストの紹介が行われ、それぞれが、「キャラクターの魅力を見せたい」、「映像表現の幅が広がったステージを楽しんでほしい」、「稽古で培ったものを100％出していきたい」などと、公演への意気込みを語った。
構成・演出・振り付けを手がけた西田大輔氏は「今回の『戦国BASARA3』-咎狂わし絆-”は“舞台『戦国BASARA3』”から3年半を経た、ひとつの区切りとなる作品であり集大成です。いいメンバーが揃いました」と、万感の思いだったようだ。
『戦国BASARA』シリーズのプロデューサーを務める小林裕幸氏は「2011の公演とは違う新しい“舞台『戦国BASARA3』”をお見せしたい、アニメ版『戦国BASARA3』の放送もふまえ、2014年は徳川家康をプッシュしていきたい」と今後の意気込みについても語られていた。
多くのキャストとスタッフの思いをのせ、今回の公演が行われていることが伝わるものであった。以下からは、あらすじと公演の魅力をお伝えしよう。
あらすじ
戦乱の時代。徳川家康は“絆”を信じて天下統一を目指し、石田三成は主君である豊臣秀吉を失ったことから家康を憎んでいた。同じころ、真田幸村は雑賀衆の頭領・雑賀孫市を仲間につけようと画策していた。だが、雑賀孫市のもとにはすでに前田慶次が訪れており……。
大迫力の大立ち回り
舞台の最大の魅力と言っていいのが、大立ち回りのアクションだ。とにかく、全編で大迫力の殺陣（タテ）を見ることができる。
役者たちは身体をぐるんぐるんと回し、縦横無尽にステージ上を駆け巡っていた。登場人物は多彩な武器を使い、ゲームのようにザコ敵をつぎつぎと倒していく。その爽快感は抜群だ。画面後ろのスクリーンを利用した演出もふんだんにされ、舞台ならではの楽しさも満載となっている。
舞台を彩るキャラクターたち
“舞台『戦国BASARA3』-咎狂わしき絆-”の舞台は、関ヶ原の戦いの直前だ。徳川家康と石田三成が東西にわかれて仲間を募り、それぞれが天下を目指すという群像劇になっている。登場するのは、伊達政宗、黒田官兵衛、毛利元就といったよく知られた戦国武将たちだ。登場人物すべてが個性豊かであることは、『戦国BASARA』の大きな魅力だ。初登場時からそのインパクトは抜群。『戦国BASARA』を知らなくても、すぐにその特徴を覚えることができるはずだ。
その濃過ぎるキャラクターたちの中でも、とくに異彩を放っていたのが、宮下雄也さん演じる小早川秀秋だ。彼はイケメン揃いの戦国武将たちの中にあって、唯一の“情けない”ギャグキャラクター。その言動はとにかく後ろ向きで、作中ではしょっちゅう転んだり、逃げたりする。ひたすら弱く、まるで子どものようだが、殺伐とした戦いの中で、彼の存在はどこかホッとする清涼剤のような役割だった。
なお、史実の小早川秀秋は、関ヶ原の戦いで石田三成側についていながら、途中で徳川家康側に寝返ったというエピソードで有名だ。今回の“舞台『戦国BASARA3』-咎狂わし絆-”でどういう活躍をするかは、観てのお楽しみ。
“絆”の物語の魅力
物語の主軸となるのは、天下分け目の決戦が行われるまでの各武将による策略や軋轢。映画で言えば『13人の刺客』や『清須会議』を思わせるものとなっている。
突き抜けたエンターテインメントである本作には、小難しさはまったくない。作戦はシンプルなうえ、キャラクターの豊かな個性のおかげで誰がどのような思惑を持っているかがわかりやすい。これだけ多くの登場人物が入り乱れる内容であるのに、混乱することなく観ることができるのも本作の魅力だろう。
なお、本作のサブタイトルである“-咎狂わしき絆-”にもしっかりとした意味がある。徳川家康は“絆”による天下統一を目指すのだが、彼のその思惑は決してうまくいかない。徳川家康がどのように戦い、また何を得るのか、最後まで見届けてほしい。
宴会芸も披露？
舞台版では恒例となっている“宴会芸”ももちろん披露！ 詳しくはネタバレになってしまうので割愛するが、あっと驚く演出や、誰もが知る有名番組のパロディなどが盛り込まれていた。キャラクターがくり出す宴会芸の数々に、会場は大きな笑いにつつまれていたので、ぜひ期待しよう。
命懸けの舞台
公演終了後、徳川家康役の広瀬友祐さんは「本当に激しい立ち回りが多くて、危険を伴う舞台です。ひとつひとつの公演を命懸けでやっています。その熱量をぜひ届けたいと思っています」と語った。
大胆なアクションには、バク宙や武器のぶつけ合いなど、確かに危険なものが多々あったが、それ以上にとにかく観る人を楽しませようとする気概にあふれ、全力で取り組まれた立ち回りであった。広瀬友祐さんの言う”命懸け”がどれほどのものかは、舞台を見ればわかるはずだ。
役者とスタッフの惜しみのない努力、熱量を感じることができる“舞台『戦国BASARA3』-咎狂わし絆-”は文句なしにおススメできる舞台だ。インパクト抜群の戦国武将のおかげで歴史の勉強にもなる（？）というおまけもついてくる。ぜひゴールデンウィークに、戦国武将の熱く燃える生き様を堪能してほしい。
【キャスト情報】
広瀬友祐 (徳川家康)
中村誠治郎 (石田三成)
滝川英治 (伊達政宗)
吉岡佑 (真田幸村)
松村龍之介 (真田幸村)
吉田友一 (片倉小十郎)
村田洋二郎 (猿飛佐助)
八神蓮 (長曾我部元親)
小谷嘉一 (毛利元就)
横山真史 (黒田官兵衛)
谷口賢志 (天海)
宮下雄也 (小早川秀秋)
高橋光 (風魔小太郎)
新田健太 (大谷吉継)
八代みなせ (雑賀孫市)
川村ゆきえ (鶴姫)
金田進一 (三好三人衆・長兄)
遠藤誠 (三好三人衆・次男)
白崎誠也 (三好三人衆・三男)
伊阪達也 (前田慶次)
真佐夫 (前田利家)
別府あゆみ (まつ)
【公演日程】
・東京公演
日程:2014年4月25日(金)～5月6日(火) 全17ステージ
会場:EX THEATER ROPPONGI
※東京公演のみ真田幸村役はダブルキャストとなります。
・名古屋公演
日程:2014年5月10日(土)～11日(日) 全3ステージ
会場:中日劇場
・大阪公演
日程:2014年5月15日(木)～18日(日) 全6ステージ
会場:シアターBRAVA!
【入場料金】
全席指定 前売 7200円[税込]
【チケット販売】
戦国BASARA公式ファンクラブ“BASARA CLUB”、イープラス、ローソンチケット先行、チケットぴあ先行、Office ENDLESS先行 など
（取材・文 編集部/ヒナタカ）
