“ニコニコ”の新体験をニンテンドー3DSで!
2月14日に放送されたNintendo Direct(ニンテンドー ダイレクト)で発表され、即日配信となったニンテンドー3DS専用ソフト“ニコニコ”。ニンテンドーeショップで無料配信されているこの専用ソフトは、ニンテンドー3DSで“ニコニコ動画”を視聴できるようになるというもので、さらに、今後予定されているアップデートにより、“ニコニコ生放送”の公式放送や、チャンネル動画・チャンネル生放送にも対応する予定だ。しかもこの“ニコニコ”は、単に動画が見られるようになるわけではなく、すれちがい通信などといったニンテンドー3DS独自の機能を活かした、さまざまな楽しみかたが提供されている。そこで、このソフトを開発・配信しているキテラスに、ソフトの魅力や特長についてうかがってきた。
※この記事は、週刊ファミ通3月13日増刊号(2014年2月27日発売)に掲載されたものと同内容です。
<キテラスとは?>
ドワンゴのコンシューマーエレクトロニクス事業部が2012年に独立して設立された、ドワンゴ100%出資子会社。家庭用ゲーム機向けとして、これまでにPS Vita、PS Vita TV、Wii Uで“ニコニコ”を楽しめる専用ソフトを配信。なお、社名は“奇をてらう”から名づけられている。
さらに幅広い層へと“ニコニコ”をアピールしたい
▲左から、コンシューマーエレクトロニクス事業部 企画開発セクション・高橋大樹氏、代表取締役社長・鈴木慎之介氏、コンシューマーエレクトロニクス事業部・第三開発セクション セクションマネージャ・渡辺吉史氏。
--さっそくですが、ニンテンドー3DS用“ニコニコ”を配信するに至った経緯は?
鈴木慎之介氏(以下、鈴木) 任天堂さんとは、Wii U用ソフトとして“ニコニコ”を配信したこともあり、以前からお付き合いがありました。また、事業的な理由としては、ニンテンドー3DSが幅広い年齢層のユーザーに普及しているということが大きいです。“ニコニコ”も年々ユーザー層を広げてきてはいますが、若年層やファミリー層にはまだ浸透しきれていません。その層を意識した結果、携帯ゲーム機で絶大な人気があり、普及しているニンテンドー3DSで“ニコニコ”を出そうということになったわけです。
高橋大樹氏(以下、高橋) もうひとつの理由は、単純に「ニンテンドー3DSで“ニコニコ”を出せば、おもしろいものができるのではないか」と思ったからです。とくにすれちがい通信が顕著ですが、ニンテンドー3DSの機能を使えば、きっと新しい“ニコニコ”の体験ができるだろう、と考えました。
--“ニコニコ”は、すでに10代中・後半の層にまで浸透していると思いますが、それよりも下の年齢層に訴求しようと?
高橋 そうですね。自分のPCやスマートフォンを持っていないお客様にも“ニコニコ”を楽しんでいただきたいと思っています。
-- まだ“ニコニコ”のことをよく知らない親御さんの中には、「これ、大丈夫なの?」という不安を持つ方もいるかもしれませんが……。
鈴木 要は、配信するコンテンツの内容ですよね。昔のように、コアなファンだけが見る作品だけではなく、たとえば“ボーカロイド”のように一般にも認知されてきたコンテンツや、ニコニコ公式アニメなども、今後は視聴可能になります。“ニコニコ”になじみのない方でも楽しめるソフトだと思っています。
--コンテンツとサービスで、若年層にもアピールしていくということですね。
鈴木 ツールを使いこなせば、“ニコニコ”を隅々まで楽しむことができると思います。ですが今回は、先にお話ししたように、幅広い方々に“ニコニコ”を知ってもらえるよう、ボカロ特集や動物特集といった、“ニコニコ”を知らなくても楽しめるコンテンツを前面に出すように、編成面でも工夫しています。
--すでに“ニコニコ”を楽しんでいる人は、外ではスマホやタブレットでチェックしているので、今回はそういったデバイスを持っていない層に楽しんでもらいたいと。
渡辺吉史氏(以下、渡辺) 動画視聴機能に関してはその通りです。ユーザーさんによって投稿された、いわゆるふつうの動画が視聴できます。そして、既存の“ニコニコ”ユーザーに楽しんでもらいたいのは、ニンテンドー3DSの“ニコニコ”ならではである、“すれちがいマーケティング”機能です。
すれちがい通信や立体視で、さらに“ニコニコ”をおもしろく
--では、その“すれちがいマーケティング”について教えてください。
高橋 その名の通り、ニンテンドー3DSのすれちがい通信機能を利用して、自分の好きな動画や投稿した動画、コミュニティなどを宣伝できるという機能です。名前が長いので、ぜひ“スレマ”と呼んでください(笑)。
鈴木 我々がオススメしている愛称で、とくに他意はありませんので(笑)。
高橋 上級者向けの機能として、“スレマ努力ランキング”があります。皆さんの、日々のすれちがいへの努力……すれちがおうと思って歩いた歩数(距離)のことなのですが、それを毎日ニコニコのサーバーに送信し、ランキングを形成する機能です。ランキングは、PCやスマートフォン版ニコニコにも掲載されるので、宣伝効果がひときわ高くなります。送信は自動ではなく、“努力報告”というボタンを押すことで送信・集計され、ランキングが形成されます。オススメの動画やコミュニティの“スレマ”のために、みんながすれちがおうとした歩数を合計する。すれちがいの結果ではなく、すれちがおうとした過程を評価する、いわば完全努力主義ランキングですね(笑)。
--とてもユニークで、ニンテンドー3DSならではの機能ですね。ほかにはどんな機能が?
高橋 まず、動画視聴機能ですが、ボタンとタッチ操作の両対応にこだわりました。これまで出してきた、PS VitaとPS Vita TV用、そしてWii U用ソフトも、基本的にタッチ操作前提で作ってきました。当初、ニンテンドー3DSは一画面が小さいので、タッチ前提の操作は難しいと思っていました。ボタンとタッチ操作の両対応というのは簡単なようですが、僕たちの作っているようなユーティリティー・ソフトでは、かなりたいへんなことなのです。
渡辺 それから、“ニコニコ”史上初となる3Dコメント機能ですね。ニンテンドー3DSの立体視を使うことで、動画上のコメントが飛び出して見えるという、とても画期的かつ最先端の機能です(笑)。
--(実際に動画を見ながら)これは新鮮ですね。奥行きを感じるというか、ふだんよりもコメントを目で追っている感覚が強い。
高橋 最初は、ちょっとネタ的な発想で作った機能ですが、実際には動画とコメントが分かれて、読みやすいし、見やすくなったと思います。今後は、コメントを出す位置を手前や奥のほうなど、自分で指定できるようにしたいなと……これは個人的な要望ですが、そう思っています(笑)。
--動画視聴は想定通り低年齢層が楽しんで、“スレマ”は大人やヘビーユーザーが楽しむという、おもしろい傾向になりそうですね。
高橋 それから、おまけ的な機能になりますが、Miiが歩いている背景がどんどん変わっていきます。これは、“地方巡業システム”という、“スレマ”された動画やコミュニティに対するごほうび的なものです。背景が変わる仕組みというのは、スタート地点を東京駅として、動画を見た人がどれだけ歩数を送信してくれたかによって変わっていきます。東京駅を起点に西回りに進んでいき、たとえば背景が富士山になったら、ユーザーのみんながそれだけの歩数を送信してくれた、ということになるわけです。世界一周も夢ではありませんよ(笑)。
--距離のシミュレーションも?
高橋 しました。仮に世界一周しても、その先にまだいろいろとありますから(笑)。
鈴木 「オレの動画を沖縄まで連れていってくれ!」というふうに、みんなで楽しむことが大事だと思うんですよね。
--では、最後にメッセージをお願いします。
鈴木 家でゴロゴロしながら動画を見て、たまにニンテンドー3DSを持って運動しに出かけてはいかがでしょうか。そして、好きな動画やコミュニティを宣伝してもらえればと思います。汗をかいてがんばったぶんは、“スレマ努力ランキング”で評価されますので。
高橋 4月26・27日に、幕張メッセで“ニコニコ超会議3”を開催しますが、そこでは“スレマ”が盛り上がるはずです。それに合わせた企画や機能を、今後追加できればと思っています。
渡辺 ぜひ、ユーザーさんからの声が聞きたいですね。その声を、開発にフィードバックしていきたいと思います。
鈴木 キテラスでは、今後もユニークな仕掛けを考えていますし、そのために人材も募集中です。ぜひこれからも注目してください。
◆ニンテンドー3DSならではの機能を活かしたソフト“ニコニコ”
ニンテンドー3DSで“ニコニコ”が楽しめるこのソフトでは、ニンテンドー3DSならではの機能を活かした楽しみかたが用意されている。
まずは、ニンテンドー3DSの立体視により、動画上のコメントが飛び出して見える“3Dコメント”機能。そして、すれちがい通信機能を活用した“すれちがいマーケティング”(略して“スレマ”)では、好きな動画やコミュニティをほかのユーザーに宣伝できる。さらに、“スレマ”のために歩いた歩数でランキングを形成する“スレマ努力ランキング”機能も搭載し、単に動画を見たり、投稿するだけではなく、SNS的な楽しみかたができるのも特長と言える。
また、上画面で動画を視聴しながら、下画面で関連動画などを探すことができるほか、タッチ操作だけでなく、ボタン操作にも対応するなど、快適な操作で動画を視聴することが可能だ。