シリーズ初の続編は、いかにして生まれたのか。『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』青沼プロデューサーインタビュー

2013年12月26日に発売を迎えた、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』。本作はいかにして生まれたのか。『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサーを務める青沼英二氏にお話をうかがった。

●懐かしくて新しい、新作『ゼルダ』誕生秘話

 2013年12月26日に発売を迎えた、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』。1991年にスーパーファミコンで発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のはるか未来を描いた本作は、シリーズで初めて“2“の名前を冠した続編となっている。22年越しの続編として、地形などを踏襲しながらも、ダンジョンや謎解きを一新。リンクの壁画となる能力や、ダンジョンの攻略順を自由に選択できるようにしたアイテムレンタルシステムなどを生み出した本作はいかにして生まれたのか。『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサーを務める青沼英二氏にお話をうかがった。(本インタビューは、週刊ファミ通2014年1月2日号に掲載したものに、加筆修正を行ったものになります)

『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサー。胸につけているのは、ニンテンドウオブアメリカのスタッフが自作した、壁画リンクのピンバッジ。

●複数のアイデアをひとつにまとめた初の“続編”

――先日、クリアーまで遊ばせていただきました。懐かしさと新しさが融合した、『ゼルダ』らしい体験で、非常に楽しませていただきました。
青沼 ありがとうございます。そう言っていただけると、本当にうれしいです。

――今回は、『神々のトライフォース2』がいかにして生まれたのか、開発の経緯や、本作の持つ特徴の部分などをうかがおうと思います。まず、いろいろな新システムなどもありますが、本作で目指した開発コンセプトから教えてください。
青沼 コンセプトと言われると、難しいですね。明確なコンセプトを決めてから開発がスタートするわけではなく、いろいろとあるお題のなかで実験をくり返し、徐々にコンセプトというものが見えてくるので……。今回で言いますと、ニンテンドー3DS(以下、3DS)の『ゼルダ』というのが、お題のひとつでした。3DSでは、『時のオカリナ 3D』を発売していますが、あれはリメイクでしたので、今回は3DSならではの立体視を、『ゼルダ』にどう絡めることで、新たな遊びが生まれるかということが、最大のテーマでした。

――単なる立体視だけではなく、遊びに絡めることが大事。
青沼 そうです。いろいろとアイデアが挙がった中で、スタッフから「立体視と言うと飛び出ることばかり考えるけど、逆に立体なものがぺちゃんこになるというのは、どうだろう?」という話題が出まして。これが、本作の最初のアプローチになる部分で、その後、壁画になるという遊びにつながっていったんです。ただ、その壁画になるというアイデアを膨らませる方向性はできても、もっとほかにもいろいろなアイデアがないと、形にはなっていかないので、そのつぎのステップが難航しました。

――試行錯誤の期間ですね。
青沼 それとは別に、以前に宮本(宮本茂氏。『ゼルダの伝説』の生みの親)から、「『神々のトライフォース』の2Dの世界を、立体視で見られるようにしたら、新しい方向性のゲームができるんじゃないか」という話があって。確かに魅力的な話ではあったんですが、『時のオカリナ 3D』や『風のタクト HD』などのリメイク作が続いていたこともあって、実現する動きにはいたらなかったんです。ファンの方から、「またリメイクですか?」と思われちゃいますし。それで、壁画になる遊びを重ねているうちに、その行為に慣れてしまって、驚きや新鮮味がなくなってきたんですね。というのも、そのころは、リンクを背後から追いかける3Dのアングルで作っていたので、立体だったものが平面になるだけであって、壁を移動できるという遊びも、大きな変化がなかったんです。それで、この問題を解消する方法を考えているうちに、カメラをトップビュー(見下ろし型)にして、ふだんは壁が見えない状態で、壁に入るといままで見えなかったものが見えるようにすれば、より驚きが生まれるんじゃないかと思ったんですね。そこで、トップビューにすれば、宮本からのお題だった“『神々のトライフォース』の立体化”と一致すると思い、実験的にやってみたら、すごい手応えがよかった。2Dだった『神々のトライフォース』の世界が立体になることもうれしかったんですが、それに加えて、トップビューでは見えなかった壁を、壁画になることで意識するという遊びの融合が生まれて、世界がより広がる感覚を覚えたんですね。そこで初めて、“『神々のトライフォース』の続編”という話が出てくるんです。

――それまでは、続編という意識はなかったと。
青沼 はい。新しいものを作ろうと思っていたので。それが、実験の後は、あの世界を立体にすることの驚きもありますし、当時の謎解きや遊びをアレンジするという、また別ベクトルの楽しみが生まれることも想像できたので、『神々のトライフォース』の地形をそのまま使おうという話で進んでいきましたね。そうなると、やっぱり物語も続編にしないとおかしいだろうと。ただ、たとえばダンジョンなどの仕掛けの中心は、今回のテーマである立体視を使った形で、より高低差を活かす遊びに変えようという話はしました。だから、前作を踏襲するのは、あくまでハイラルという世界の地形だけにして、たとえばハイラル城やカカリコ村の位置などは、そのままにするけれど、物語やダンジョンはすべて一新しています。

――なるほど。22年ぶりに続編を発売するという経緯がわかった気がします。とはいえ、3DSのユーザーには、前作の発売当時に生まれていない子も多くいると思うのですが、22年越しの続編に、ハードルを感じたりはしませんでしたか?
青沼 そうなんです。『2』というタイトルをつけると、「『1』を遊ばないといけないのか」と思われる可能性も考えました。でも、これまでの『ゼルダ』シリーズに、ナンバリングタイトルはいっさいなかったので、“『2』をつける意味は一体なんだろうか”と、興味を持ってもらえないかなという期待も込めています。ちなみに、海外ではまったく新しいタイトルにしています。というのも、前作の海外版が『A Link to the Past』で、“過去へのつながり”という意味を込めたタイトルにしていたので、それに『2』をつけると、まったく内容と合わなくなってしまうんですね(苦笑)。だから、海外では、もう少しゲームの内容に近い『A Link Between Worlds』(世界のつながり)というタイトルにしています。ディープなファンの方には、このタイトルの違いなども、興味を持ってほしいところですね。

――『2』とついているけども、前作を知らない人には、続編と意識せずに遊んでもらいたいと。
青沼 たとえば、今回初めて『ゼルダ』を遊ぶという若い人にとっては、トップビューで遊ぶゲームそのものが、珍しいと思うんですよね。ですから、ヘンにタイトルに凝るよりも、“前作を知らなくても遊べますよ”と伝えながら、『2』と謳って、実際に手に取ってもらって、立体視で見たときの驚きや、トップビューだからこそできることを体験してもらったほうが、わかりやすいと思ったんです。

――では、ほかのシリーズ作の続編などは考えず、宮本さんの話もあって『神々のトライフォース』の続編1本で?
青沼 そうですね。宮本にも「『神々のトライフォース2』でいこうと思います」と伝えたら、「いいんじゃない」と一発返事でした(笑)。

●続編としての踏襲と前作超えの意識

――3DSの立体視はボリュームスイッチでオフにもできますが、立体視を活かしながらも、オフの状態でも解ける仕掛けにしなくてはいけないというのは、難しいイメージがありますが?
青沼 今回、立体視を活かした謎解きを作ってみて、立体視じゃないとわからないものを作ることのほうが難しいのかなと思いました。より高低差をはっきり出して、迫力を楽しみたい方はオンにしてもらえばいいし、前作の『神々のトライフォース』のような感覚で遊びたい方はオフにしてもらえばいい。こう言うと、立体視をオフにすると、迫力が減ってしまうように感じられるかもしれませんがそんなことはなく、このゲームに関して言えば、立体視の有無でそれぞれのよさが楽しめる印象があります。

――青沼さんの本作を遊んだ印象は?
青沼 3Dは3Dのよさがあるんですが、やっぱり2Dのゲームっていうのはわかりやすくていいですね。画面の中にあるものがすべてというか。

――画面内で完結していますよね。
青沼 そうなんですよ。カメラを回さないと見えないといったことがなく、しかも、いまは到達できないパズル要素を、先行して見せることもできるので、何度も同じ場所に行ってみたくなる。ある程度、進んだときに「いまだったら、あの宝箱取れるかな」と試したり。あと、今回はマップの広さのバランスもちょうどいい。アイテムが増えたときに、「あの場所にあれがあったな」と位置関係を思い出せるようになっているなと感じます。だから、今回プレイしてみて「『ゼルダ』の良さっていうのはこうだったよな」と改めて感じたことがあって、こういう感覚をまた今度3Dのシリーズ作を作るうえで活かさなくてはいけないなと再認識しました。

――今回はダンジョンに挑む順序が選べますが、これは以前からあったアイデアでしょうか?
青沼 今年に入ってから、“『ゼルダ』の当たり前を見直す”という話をしていまして、これまでは、ダンジョンに入って新しいアイテムを手に入れて、そのアイテムを駆使してダンジョンを進むという、いわば『ゼルダ』の方程式というものがありました。確かに、新しいアイテムを取って、アイテムの使いかたをマスターして、その先にアイテムの応用例があるというのは、初めて遊ぶ人にとってはすごく遊びやすい並べかただとは思うんです。でも最近、開発のキーワードとして“予定調和”という言葉が出てきて。遊んでいる人たちにとっては、僕らが用意したものをただこなしているだけでは、おもしろみがないんじゃないかと思うようになってきたんですね。“達成感というのは、自分なりに迷って到達したときでないと味わえないんだ”と、今回、その当たり前を壊そうということになったんです。でも、ただ壊すだけではなく、アイテムを選べる自由度を追加して、ダンジョンも選べるというシステムを追加することになりました。

――なるほど。今回のダンジョンはボリュームを減らして、密度を濃くした印象があります。その分、ダンジョンに到達するまでの道のりに謎解きが加わっていますね。
青沼 今回、ダンジョンとフィールドといった、はっきりした遊びのボーダーは作りたくないと考えたので、ダンジョンにたどり着くまでの道のりも、ひとつの遊びの群体として考えています。あと、ダンジョンのボリュームは、携帯機ということを意識して、適度な時間でゴールに到達できるようにしたかったんです。

――ダンジョンの密度はすごいですね。
青沼 今回、制作に関しては、ダンジョン設計から入りました。これまでは、ストーリーが進むに連れてアイテムが増えていく構造にしていたので、まず、とあるダンジョンを作って、その手応えを意識して、つぎのダンジョンを考えるという、物語の流れ通りに考えていく必要があったんです。それが、今回はダンジョンごとに担当を分けて、バラバラに設計しています。

――その作りかたのほうが、やりやすいといった影響はありましたか?
青沼 ストーリーの進行状況を気にせずに構造を考えることができたので、おもしろいアイデアがどんどん出せましたね。じっくり時間をかけて作ったぶん、どのダンジョンも個性的で、非常に密度の濃い仕上がりになっています。担当どうしが「ほかのダンジョンには負けないぞ!」と、競争意識を持って取り組んでくれたのもよかったです。

――アイテムがいつでもレンタルできるようになったことで、アイデア出しに制限がなくなったのも大きいのでは?
青沼 それもありますが、各ダンジョンでネタが似てしまうということがないように、アイテムか仕掛けで必須のものなどは設定しています。ただ、さっきも言ったように、前作までは攻略の順序が決まっていたので、ここでブーメランを取っていたら、つぎのダンジョンではそのブーメランをある程度使っていることが前提になる、といった要素を連鎖的に並べる必要があって。しかも、ダンジョンだけをそういう構造するのはよくないので、結果的に全体設計をかなり詰めないと、ダンジョンの設計に取り掛かれないという状態があったんです。でも、その縛りがなくなったので、それぞれが担当するダンジョンのおもしろさを追求できるようになったことが大きいですね。

――本作では、地形だけでなく、ダンジョンでも前作の仕掛けを踏襲していることがありますね。
青沼 僕からは“踏襲するように”なんてことは言っていないんです。なので、そうした要素はそれぞれのダンジョンを設計する担当者が前作を遊んで、印象深かったもの、おもしろかったものを踏襲しているんだと思います。でも、同じ仕掛けをそのまま使ってもおもしろくはないので、“立体視を活かした高低差を加えるようなアレンジを追求しよう”とは伝えています。

――敵も同じものが登場するので、前作の経験者には「あの倒しかたをすればいいんだな」と気づくのがうれしいです。
青沼 ザコ敵は、前作と同じものを踏襲しています。2Dで動いていた敵が立体になることで、前作からの違いがわかりやすいですし、ジャンプする敵の高さや位置などがはっきりさせることで、きっと遊びやすく、おもしろいものになるだろうなと感じていました。

――今回、前作を踏襲するにあたって、譲れなかった部分はありましたか?
青沼 これは単純です。譲れないのは、サクサクとしたプレイ感覚。ダッシュで駆け抜けて草を一気に斬る爽快感などは、前作の大きな特徴でもあったので、それだけは再現しようと。この再現にひと役買ったのが、秒間60フレームの挙動ですね。これまでの3D『ゼルダ』は30フレームで作っていたのですが、スーパーファミコン版は60フレームでしたので、当時と変わらない感覚が再現できていると思います。

――前作が“2Dアクションアドベンチャーの最高峰”と評価されているだけに、プレイヤーの思い出補正を考えると、前作を超えるのは難しいなと思ったんです。
青沼 はいはい。

――それが実際にプレイをしてみたら、思い出補正を超えるおもしろさと遊びやすさがあって、本当に驚いたんです。
青沼 それは、非常にありがたい言葉ですね。

――ただ、そのクオリティーまで仕上げるには、前作を意識したこともあったのではないかと思うのですが。
青沼 前作を意識して、“前作を超えなきゃ”とか、“あの要素を残すと、喜んでもらえるかな”とか、いろいろなことを考えすぎると、あまりいい影響が出ないような気がしたので、スタッフが、「これは残して意味があること」というものは残していいし、しがらみに縛られずに一新してもいい、というスタンスにしていました。それは、『ゼルダ』の当たり前を見直すという部分にもつながりますが、とにかくおもしろいものにならないと意味が無いので、おもしろくするために、前作の要素が必要なら使って、それが枷になるなら外して、そうやっておもしろさを追求することが、思い出補正とどう戦うかの答えになるんじゃないかと思っていたんです。

――制作のなかで、「これはイケる」と手応えを感じたのはいつごろでしたか?
青沼 壁画になるアイデアや立体視による高さの概念は、前作はもちろん、『ゼルダ』シリーズそのものにも、いままでなかった要素なので、開発初期の段階から「新しいことに挑戦できそう!」という予感はありました。ただ、それを活かした遊びのアイデアがなかなか形にならなかったんですね。それが、ヘラの塔で画面が切り換わらずに階層が切り換わるといったアイデアが出始めて、「こういうのをどんどんやろう」と言い始めてからは、スタッフのあいだでも「こんなのどう?」とアイデアが生まれるようになったので、そこからは安心して見ていました。それが、E3 2013(エレクトロニック エンターテイメント エキスポ。アメリカ・ロサンゼルスで開催される、世界最大のコンピューターゲームの見本市)の前くらいですね。

――そこから続々と、いろんなアイデアが生まれていったと。
青沼 生まれてきましたね。フォールマスターが落ちてくるけど、上の階層で止まるとか、「そうきたか!」というネタを見たときに、「これはうまいこと、使ってるな」と感心するものがどんどん増えていきました。

――アイテムも立体的になったものがありますね。
青沼 先ほどお話した敵もそうですが、前作にあったものをあえて使うことで立体的になったことがわかりやすくなるんですよね。まったく新しいものだと、そういうものとして最初から認識してしまいますが、たとえば、ファイアロッドを使って、火柱が昇ると、前作との違いがわかりやすいですよね。ブーメランなどは、立体的になっていないですが、パワーアップさせると、使い勝手がいいので、前作同様、敵に投げて動きを止めたりして使ってほしいですね。

――3Dの『ゼルダ』では、あまりやらなかったアクションなので、敵にブーメランを投げつけるという、2D『ゼルダ』の基本を、最初忘れていました(苦笑)。
青沼 もう20年前ですから。20年経つと、皆さん忘れますよね。ただ、これはちょっとおもしろい現象なのですが、前作を良く覚えている人は、前作で解いた仕掛けが出てくると、スイスイ解けていけると思うのですが、それが急に詰まることがあるかもしれません。僕の体験談なんですけど、あるダンジョンを攻略中に行き詰まってしまって、どのアイテムを使っても、まったく解決策が見つからなくなってしまったんです。それで、開発チームに攻略のヒントを聞いてみたら、「青沼さん、肝心なことを忘れていますよ」と言われて。「どういうこと?」って悩んでいるときに、ハッとしました。リンクが壁画になれることを忘れていたんですね(苦笑)。シリーズ作をやり込まれている方ほど、こういったところを見落としてしまいがちなので、謎解きの際はまず一度、新要素を試してみることをおすすめします。

――困ったときは壁画になれと(笑)。このほかにも、今回はヒントメガネなども用意されていて、初心者でも安心して遊べるようになっていますね。
青沼 本作で初めて、『ゼルダ』シリーズを遊ばれる方もいらっしゃいますからね。そこはちゃんと押さえてあります。

――今回、ハイラルと別にロウラルという世界を作ったのは、前作にあった“闇の世界”を意識されたのでしょうか?
青沼 そうですね。『神々のトライフォース』の世界をそのまま使うという理由のひとつに、裏の世界があるというのは大きな要因でした。前作にも表裏の世界を行き来して謎を解くという要素がありましたが、今回はそれを物語の早い段階でアクセスできるようにして、世界のあちこちで壁を通って行き来できるようにすれば、新しいパズル要素になってくれるだろうと考えました。

――前作の闇の世界ではなく、ロウラルという新しい世界にしたい理由は?
青沼 前作よりもハッキリともうひとつの世界を描く必要性があったので、お城やヒルダというお姫様の設定などを決めて、別の王国にすることにしました。ハイラルとロウラルという名前になったときは、「なんて安直な名前にしたんだ」と思いもしましたが、慣れましたね(苦笑)。

――由来はHighとLowの対比ですか?
青沼 そうですね。本当は開発名で、その後変えようと思っていたですが、だんだん慣れてきてしまって、「これでいこう」と(笑)。

――(笑)。では、ヒルダの由来は?
青沼 ヒルダもいろいろと候補がありましたねー。ロウラルが暗いから、“ヨルダ”にしようというアイデアもありましたが、あまりに直球すぎるのもどうかという話題になって、呼びやすいヒルダに決定しました。

●青沼氏の『神トラ』への想い

――今回、2Dや3Dを経て培われた、22年の『ゼルダ』の要素が、2Dに結集されたように感じました。
青沼 どのシリーズ作でもやっているので、毎回そうなんですけどね。新しいことに挑戦しては、「今度はこれを活かしていこう」とか、「ここを解決していこう」とかやっていくなかで、さらに新しいものが生まれてくるので。

――22年という長い期間を経ての続編だからこそ、新鮮に映ったのでしょうか。
青沼 そういうところもあると思います。『神々のトライフォース』は、僕は開発に携わっていないですし、それ以前のシリーズは、僕が知らない『ゼルダ』の世界なんですね。だから、そこにはあまり触れないでいこうとしていたんですが、やると決めたからには、その意味を妙に意識していたというところはあったかもしれません。実際、僕が『ゼルダ』を作りたいと思ったのは、『神々のトライフォース』を触ってからなんですね。それまでは、ゲームというのは、たとえばスポーツとか、実際に世の中にある遊びを置き換えたものという感覚でとらえていたことがあって。それが、『ゼルダ』はそうでなくて、そこに世界があって、そこでいろいろなものに出会い、触れてみると変化があるという。「あ、こういうものもゲームなのか」という感覚を初めて思い知らされたゲームだったんです。それで、こういうものを作ってみたいなと思って、『マーヴェラス もうひとつの宝島』というソフトを作っている時に、宮本から「そんなに『ゼルダ』みたいなものを作りたいんだったらウチに来なよ」という感じで呼ばれて、『時のオカリナ』から携わることになったんです。

――それは思い出深いですね。
青沼 自分が『ゼルダ』の世界に入っていく、いちばんのきっかけになったタイトルだったので、あまり触れたくはなかったんですが、いつかは触れることになるだろうと思っていたものが、こういう形で続編を作ることになったのは、3DSというハードがあったからですね。それまでに考えてきた、『ゼルダ』をいろいろと変化させていこうという想いを、うまく反映できるいい機会だったと感じますね。

――巡り巡ってですね。
青沼 そうです。運命的な感覚もありますね。

――では、『神々のトライフォース』は、青沼さんにとっての心のゲームだと?
青沼 はい。心のゲームなんですけど、遊ぶ側のユーザーとしては、「これはないだろう!」と思うところもあって(苦笑)。

――そうなんですね(笑)。それは、具体的には?
青沼 前作の“ヘラの塔”というダンジョンに、デグテールというボスがいたんですが、フロアから突き落とされて戻ってくると、ボスの体力が完全回復しているんですよ。塔を上るだけでもかなり時間がかかるうえ、イチからダメージを与えないといけないので、正直な話、あそこで何回か投げそうになりました(笑)。

――ああ……、覚えています(笑)。
青沼 そのときの印象が強烈に残っていたので、『2』ではストレスのたまりそうな仕掛けや演出はすべてバランスを調整しています。

――そんな本作で、とくにこだわった部分や、ユーザーに注目してほしいポイントはありますか?
青沼 原点に立ち返り、2Dのトップビューで描かれた世界、作品の雰囲気……といったところに注目していただきたいですね。これまでにも、3Dでさまざまな表現方法を試してきましたが、こうやってトップビューに立ち戻ってみると、『ゼルダ』シリーズの醍醐味である“迷うことの楽しさ”や、“謎解きの適度な難しさ”を表現するには、トップビューの形式が合っているなと再認識しました。シリーズ第1作から遊ばれてきたファンの方には、懐かしい気持ちでプレイしていただけるでしょうし、3D化して以降の『ゼルダ』しか知らないという若いユーザーさんにも、新鮮な感覚で楽しんでもらえると思います。

――すれちがい通信を活かした機能もおもしろそうですね。
青沼 そうなんですよ。ほかのユーザーさんが育てたシャドウリンクというキャラクターと戦えるモードなどもあるので、すれちがい通信もばっちり楽しんでください!

――本作がついに発売を迎えると、今度はその先の展開が気になります。とくにWii Uでの新作を待つファンも多いと思いますが?
青沼 今回の『神々のトライフォース2』でチャレンジした、“『ゼルダ』の当たり前を見直す”という要素は、現在開発しているWii U版『ゼルダ』にも反映させようと思っています。『風のタクト HD』でも、次回作につなげるチャレンジをしていますので、これらのチャレンジがWii U版でどんなものになるのかを楽しみにしてください。まさにいま、どうしようかと詰めているところですので。でも、そのまま反映させるのではなく、「こう来たか!」と驚いてもらえるような仕掛けにしたいと思っています。

――では最後に、読者へのメッセージをお願いします。
青沼 自信を持ってお届けする、懐かしさと新しさが融合した『ゼルダ』シリーズ最新作です。今回は、1回クリアーしても、つぎのプレイで借りるアイテムを変えたり、ダンジョン踏破の順序を変えたりと、いろいろと変化が味わえるので、また新鮮な気持ちで楽しめると思います。サクサクと、でも奥深く楽しめますので、お正月の長いお休みなどを使って、ぜひ最後までじっくりプレイしてほしいですね。



(C)2013 Nintendo
※ ニンテンドー3DSの3D映像は、同本体でしかみることができません。画面は2D表示のものです。