デザインに加え、マグノリア&魔王のヒミツも……?

 スクウェア・エニックスのRPG、『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』、そして、その続編『ブレイブリーセカンド』に登場する敵、“白鳩”と“蝶尾”のデザインを、アートディレクター、アーティストとして活躍している増田セバスチャン氏が担当したというのは、既報(→コチラ)の通り。今回、その増田セバスチャン氏と、『ブレイブリー』シリーズのプロデューサー、浅野智也氏へインタビューすることができた。モンスターデザインを、ファッション業界の第一人者・増田セバスチャン氏に依頼するというアイデアは、どこから生まれたのか。そして、白鳩と蝶尾は、どういったコンセプトでデザインされたのか。おふたりに、今回のコラボの経緯をうかがった。

『ブレイブリーセカンド』魔王デザイン誕生の経緯に迫る! 増田セバスチャン氏、浅野智也プロデューサーインタビュー_01

◆増田セバスチャン氏(写真右)
 アートディレクター、アーティスト。原宿、 Kawaiiカルチャーの第一人者として活躍し、きゃりーぱみゅぱみゅのPVやワンマンライブの美術、日本テレビ“PON!”の美術セット、六本木ヒルズ“天空のクリスマス 2013”クリスマスツリーなどを製作している。

◆浅野智也氏(写真左)
 スクウェア・エニックスのプロデューサー。『ファイナルファンタジーIII』、『ファイナルファンタジーIV』のニンテンドーDSへのリメイクなどを歴任し、『ブレイブリーデフォルト』をプロデュース。現在は、『ブレイブリーセカンド』を制作中。

■増田セバスチャン氏が描いた白鳩、蝶尾のメイキングを紹介!

◆第一天魔王;白鳩”

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◆“第四天魔王;蝶尾

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求められた“異質”なデザイン

――早速ですが、本作で増田さんにデザインを依頼された理由や、コラボレーションが成立するまでの経緯について教えてください。
浅野 『ブレイブリーセカンド』において “魔王”という存在を登場させようということになったのですが、 “ひと際異質なものとして描きたい“、といった狙いがありまして。前作でも召喚獣には、現代社会をモチーフにしたデザインを取り入れて、異質な雰囲気を表現したのですが、それよりもさらに一段上の異質感を出したい……そう考えた中においてファッション業界で活躍されている増田さんに声をかけさせていただいた、という次第です。

――敵のデザインの相談を受けて、増田さんはいかがでしたか?

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増田 もともとゲームは好きだったんですが、自分のなかではファミコン時代で止まっていて。でもいつか、ゲームに出てくるモンスターのデザインなどもやってみたいと思っていたんです。そうしたら、スクウェア・エニックスさん、しかも、あの『ファイナルファンタジー』シリーズの流れを汲む作品でモンスターデザインのお話が来まして。これはもう、願ってもないお話だったので、すぐに引き受けて、さっそく前作の『ブレイブリーデフォルト』をやり込みました。

――おお。遊ばれたんですね。ご感想は?
増田 とにかくシナリオがよくて、世界観にグイグイ惹き込まれました。クリアーするまで、徹底的にやり込んで、そのうえで「自分だったら、こんなモンスターが出てきたらワクワクするだろうな」と考えながら、魔王のビジュアル作成に入っていったんです。

――ユーザーの目線を意識しつつ、デザインに取り組まれた……というわけですね。ちなみに、苦労されたポイントはありますか?
増田 ゲームでモンスターのデザインというと、やはり『ドラゴンクエスト』シリーズを手掛けられた鳥山明さんの影響力はすごいですよね。この分野のパイオニアと言いますか、いざモンスターのデザインを考えようとしても、鳥山さんのビジュアルから抜けられないんですよ。どんなに考えても、あのスライムのイメージから抜け出せない(苦笑)。それで、ゲーム好きのスタッフを集めて、ネタ出し会議を開いたりして。そうしてぼんやりと案がまとまった段階で、いきなり立体物でデザインを作ったんです。本来なら、いったん絵に起こして、それを見ながら作るところなんですけど、ふつうとは異なるメソッドで、しかもいきなり特大サイズで立体物を作ったら、おもしろいものができるんじゃないかと思ったんですね。

――立体物から! それは、なかなかないですね。すぐに納得の行くデザインに仕上がりましたか?
増田 浅野さんに写真を送るまで、「本当に、これで大丈夫かな?」という不安がありました。ですので、恐る恐るデータを送ったんですけど、翌日に浅野さんから「最高です!」というすごいテンションの高いお返事をいただきまして。「波長が合った!」と思って、そのときは、とにかくうれしかったですね。

――最初に作られたのは、どのモンスターのデザインですか?
増田 こちらの金魚型のモンスター、“蝶尾”です。目の部分はミラーボールになっていて、チュール素材も大量に使っていて。実際に存在するような、リアリティーのある造形にしたかったので、見た目だけでなく骨組みなど、中身もすべて作り込んであります。

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――作るときにテーマのようなものはありましたか?
増田 浅野さんから“夏休み”というテーマをいただいていたので、それに当てはまりそうなものを思い起こしながらデザインしました。夏祭りの屋台や、暗闇にボワンと光る灯り、そのなかでスーッと泳ぐ金魚など、ちょっと物悲しいところもあるけれど、見ているだけで懐かしい気分になる。そんなイメージが詰まっています。それと、僕自身がアートやファッション業界の人間ですから、見ただけでどんな材質かがわかるように、使用する素材にもこだわらせてもらいました。
浅野 「夏休みをテーマにボスモンスターを作ってください」なんて、なかなかムチャな要求だったかもしれません。どんなデザインになるのかまったく想像できなかったので、自分もとても楽しみでした(笑)。
増田 初めてテーマを聞いたときは「え!?」ってなりましたよ。「魔王なのに、夏休み……ってどういうこと?」って(笑)。いまなら、浅野さんの求めているデザインが何となくわかるんですが、最初のころはまったく感覚がつかめなかったので、アイデアが行き詰まるたびに、直接聞きに行ったりしていましたね。

――デザインされたモンスターが、実際に動いているところをご覧になられた感想は?
増田 3Dで表現されるだけでもすごいのに、それが動き回るなんて夢のようですね。金魚のモンスターも、チュール部分がものすごくリアルに再現されていてビックリしました。透過性の高い素材は表現が難しいとお聞きしていたんですが、そういった部分も丁寧にデザインされていてありがたいですね。
浅野 開発を担当している、シリコンスタジオのメンバーががんばってくれました。ひらひらや半透明は表現が難しいのでかなりたいへんだったと思いますが、細部まで丁寧に作り込まれた、魅力的な3Dモデルに仕上げてくれました。
増田 僕の場合、そういった技術的なところや、ゲーム業界の常識というものがぜんぜんわからなかったんですね。ですので、ほかのデザイナーさんなら3D化を考慮して避けるようなアイデアも、平気でガンガン提案してしまった。自分で言うのも何ですが、それが結果的に、斬新なデザインとして気に入ってもらえたのかもしれないですね。

――デザイン面で心掛けたポイントなどは、ありますか?
増田 異質なものというオーダーをいただいていましたが、あまりにゲームの雰囲気を無視して、“きゃりー(きゃりーぱみゅぱみゅ)”のイメージや、“kawaii”といったイメージをそのまま持ち込むと、ゲームユーザーさんからの反発も受けると思いましたし、何より『ブレイブリーデフォルト』を遊んだ僕としても、そういうのは避けたかったんです。また、せっかくゲームという新しいフィールドに挑戦するので、これまでのイメージとは異なる方向性を見せたいという考えも大きかったですね。その結果、ご好評をいただいているデコレイティブな部分は残しつつ、強さや怖さといった魔王らしい雰囲気も感じてもらえるように、その辺りに気をつけました。

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――確かに、これまでのゲームにない、独特の存在感がありますね。続いて、“白鳩”について、詳細をお聞かせください。
増田 こちらのテーマは、“結婚式”でした。結婚式と言うと、白い鳩がいっせいに飛んでいくイメージがあったので、それを全面に打ち出したデザインにしてみました。こちらも、まずは立体物を作り、そこにレース素材のヴェールを着せたりして、カラフルな羽をちりばめて羽ばたいていくイメージに仕上げて。この魔王のエピソードをビジュアル的に感じられるように工夫したつもりです。それと遊び心で取りつけたリボンも、ひらひらさせて、武器として使ってもらえるといいなと思っていたんですが、実際にいろいろな使いかたをしてもらえたようで、つけた甲斐がありましたね。

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――各魔王のモーションや技は、浅野さんや開発スタッフが考えられたのですか?
浅野 そうですね。増田さんのデザイン画をベースにシリコンスタジオのメンバーに膨らませてもらいました。

――攻撃方法や戦闘時のギミックなど、特徴的なポイントがあれば教えてください。
浅野 たとえば蝶尾のほうは、戦闘中に小さな金魚を産み落とします。そして成長後、それを食べパワーアップする、という特徴があったりなんかします。お楽しみに!
――ちなみにモンスターが技を出すとき、背景に神社のような建物が出現したりと、特殊な演出が発生しますが、これも開発チームのアイデアでしょうか?
浅野 バトル背景は吉田さん(吉田明彦氏。本作のリードアーティストを務める)含め、かなり議論を重ねたところです。シリコンには何パターンも作ってもらいました。その甲斐もあって、ほかのRPGでは味わえない独特な雰囲気になったんじゃないでしょうか。
増田 ちょっと和風の要素もあるので、海外でもウケそうですね。こういった情緒のある演出は、海外の映画やゲームだとなかなか見られないと思うんですよ。こういう情緒こそ、日本のクリエイター特有の武器だから、いろいろな作品で活かしていきたいですね。
浅野 現在、『ブレイブリーデフォルト』は、ヨーロッパでも好調なセールスを記録しています。魔王も配信されますので、どういった反応が返ってくるか、いまから楽しみです。

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『ブレイブリーセカンド』の魔王とマグノリア

――ちなみに、先ほど増田さんから「魔王のエピソード」というお話がありましたが、“結婚式”や“夏休み”といった、魔王っぽくないテーマも気になるところですね。

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浅野 これについては、現時点では「楽しみにしていてください!」としか言えません。ごめんなさい。でも、『ブレイブリーセカンド』に向けて、少しずつ情報を出していきますので、そのワクワク感も楽しんでいただきたいです。

――『ブレイブリーセカンド』には“魔王バスター”を名乗るマグノリア・アーチというキャラクターが出てきますが、彼女と魔王はどういった関係なのでしょう?
浅野 マグノリアはその肩書きの通り、魔王を倒すことを目的としているキャラクターです。ちなみにいま配信している「強敵」と「魔王」はまったく別物になります。

――今回、2体の魔王がデザインされたわけですが、作中には魔王と呼ばれる存在が複数登場する……ということでしょうか?
浅野 そうですね。魔王とは、敵の総称だと思っていただければわかりやすいですね。ちなみに、魔王にはそれぞれ冠があって、白鳩は“第一天魔王;白鳩”、蝶尾は“第四天魔王;蝶尾”と言います。
増田 カッコいい!

――この魔王たちは、『ブレイブリーセカンド』にも登場するとうかがいましたが?
浅野 はい。登場します。ただ、今回魔王と戦っておかないと『ブレイブリーセカンド』のストーリーがわからなくなる、ということはありません。ただ、倒していれば、ちょっとした謎が解決すると言いますか。ここも、言いにくいところなんですよ(苦笑)。

――マグノリアが、“バスター“を名乗っているということは、彼女はすでに魔王を倒した経験があるのでしょうか?
浅野 お楽しみに(笑)。とはいえ、ヒロインが魔王バスターを名乗っているくらいですから、これらの魔王との関わりを中心に物語が進んでいく……というのが、『ブレイブリーセカンド』の大まかな流れですね。ちなみに、『フォーザ・シークウェル』のジャイロムービー(エンディング後に見られる、マグノリアなどが登場するムービー)に、蝶尾が映っているのはわかりました?

――えっ! いや、まったく……。
浅野 マグノリアがギガースリッチと戦っているときに、左上のほうにある窓を見ると……。

――ぜんぜん気づかなかった……。今度、見てみます!

増田さんとのコラボは『ブレイブリー』シリーズ第3弾まで!?

――増田さんにお聞きしたいのですが、今後もゲーム作品とコラボレーションを行うとしたら、やってみたい企画などはありますか?
増田 機会があればですが、今回のような形で、もっといろいろなデザインをやってみたいですね。まずはお題を出してもらって、それに合う形でアイデアを膨らませていき、デザインを提出する。そして、そのデザインをもとに、さらにアイデアをかき集めて、キャラクターのモーションやアクションを考えていく。この一連の流れがとても刺激的でおもしろかったので、もっと経験を積んで感覚をつかみたいんですよ。とりあえず浅野さんの好みはわかってきたので(笑)、ゆくゆくはひとつのお題に対して、10個くらいのアイデアが出せるようになりたいですね。
浅野 そうしたら僕も、「つぎのお題は……」といった感じで、どんどん困難なお題を出してしまいそうです(笑)。でも、増田さんのデザインには、モンスターのディテールや動き、攻撃方法などが細かく描き込まれていたので、開発チームにもいい刺激になったと思います。ここまで丁寧に仕上げてくれるデザイナーさんは、なかなかいないかもしれませんね。
増田 初めての経験だったので、ゲーム業界では、どこまでがデザイナーの仕事なのかわからなかったんです。なので、金魚のデザインを作ったときは、攻撃手段や細かい動きも全部考えて提案してしまって……。
浅野 おかげでかなりいいものができあがりました。

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――先ほど戦闘シーンの動画を拝見したのですが、素材の質感やファッション性がリアルに再現されていて感動しました!
浅野 元のデザインがリアルなマテリアルで作られていたところが大きいかもしれませんね。今回の施策で、開発チームもスキルアップしたと思いますよ。
増田 そう言っていただけるとありがたいです。この作品をきっかけに、固定概念で専門的な事だけ勉強するんじゃなくて、「ゲームクリエイターを目指すなら、ファッションもアートも勉強しなきゃダメだ」というくらい広い視野の考えが広まってくれるとうれしいんですけどね(笑)。

――本作に携わったことで、増田さんのデザインに影響を与えたことなどはありましたか?
増田 今年は本職のほうでも、六本木ヒルズのクリスマスポスターとか、大人っぽい路線のデザインをオーダーされることが多かったんですが、それに対して自信を持って取り組めたのは、本作で異質なデザインに挑戦した経験があったからこそだと思っています。それと、ゲーム業界というまったく未知の世界に呼んでいただいて、いろいろな方と知り合えたのは大きな収穫でしたね。同じようにモノを作る世界だし、アートやファッション業界で知っている人も多く参加しているのかなーと思ってのぞいてみたら、スタッフの顔ぶれがまったく違っていて驚きました。もともと自分の知らなかった世界の方たちと交流することで化学反応が生じ、それをもとに新しい価値観や作品を作り上げられていく……という感覚が好きなんですよ。これをきっかけに、異なる分野のクリエイターどうしでナショナルチームを作って、世界に打って出ていく……というのもおもしろそうですね(笑)。

――ゲームファンも驚くと思います。それに、増田さんのファンで、ゲームに興味がなかった人が、遊んだりもしそうですね。

増田 海外にも、日本のマンガやアニメ、ゲームといったカルチャーが好きな人は多くて、ファッション業界との親和性も高いんですよ。海外は、日本のファッションが好きという理由で、日本のゲーム系のイベントに参加したり、逆にアニメ好きの人でもファッションの知識に精通していたりして、日本という括りで興味を持ってくださる方が多いんです。日本ではまだ、そういった交流はあまり見られないけど、それぞれの分野のファンが垣根を越えて行き来できる環境が作れたら、いまよりももっと多彩なコラボレーションができるようになると思います。

――そういった環境が整ってきたときに、やってみたい企画はありますか?
増田 じつは昔から、映画の芸術監督をやってみたくて。日本ではあまりなじみのない役職なんですけど、監督やプロデューサーと意見を交わしながら、作品のなかに自分なりの世界観を膨らませていけるポジションなので、いつかやってみたいと思っています。それと、本作に参加させていただいて、気づいたんですが、ゲームの制作過程は、映画と似ているところが多いですよね。だからかもしれませんが、すごくやりやすかったというか、妙にしっくりくる部分があったので、機会があればぜひ、キャラクターデザインだけじゃなく、アートディレクターとしてもゲーム作りに参加させてもらえるとうれしいです!

――では、『セカンド』のさらに先の“ブレイブリーサード”があれば……。
浅野 そうなるといいですね!(笑)。ちなみに、現在増田さんにお願いしているデザインは、今回の蝶尾と白鳩の2体ですが、スケジュールが合えば、もっと多くお願いしたいと思っています。
増田 ぜひぜひ、やりたいですね。

――ちなみに、増田さんは蝶尾と白鳩が配信されたら、どちらと戦いたいですか?
増田 え! うーん……。いやいや、僕は魔王側の人間ですから、ユーザーの皆さんを倒したいですね(笑)。

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――なるほど!(笑)。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。
増田 デザインを担当させてもらった魔王の活躍に期待してください! ……というのはもちろんですが、それだけでなく、ゲーム業界とアート・ファッション業界がコラボした新しいムーブメントにも注目していただきたいですね。日本のゲーム開発の技術は、世界でもトップクラスですが、ゲームそのものに興味・関心のある層以外へのアプローチには、まだまだ改善の余地があると思います。いまこそ、ほかの分野で活躍するクリエイターが集まってアイデアを出し合えば、グローバルで戦っていける力強いソフトが作り出せるでしょうし、そうすることで、業界の垣根を超えた新しい展開も見えてくると思います。『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』、『ブレイブリーセカンド』は、その足掛かりになるタイトルだと思うので、ぜひ多くの方に遊んでいただきたいです。
浅野 本シリーズは、多彩なアーティスト陣が集結し、それぞれに思う存分タレントを発揮していただいたことで、まさに“アート作品”と呼ぶにふさわしい内容に仕上がった、非常に完成度の高いソフトだと思います。このたび新たに配信される、増田さんデザインの魔王たちも、本シリーズにおける新たな見どころになると思うので、ユーザーの皆様にはぜひダウンロードして、その魅力を存分に堪能していただきたいですね。

『ブレイブリーセカンド』魔王デザイン誕生の経緯に迫る! 増田セバスチャン氏、浅野智也プロデューサーインタビュー_14