シリーズ初の本格イベント

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▲会場となったアンフィニシアター。

 ウォルト・ディズニー・カンパニー90周年、東京ディズニーリゾート30周年という記念すべき年に、東京ディズニーリゾートにて、2013年10月12日~14日に開催(アメリカ国外では初)されたスペシャル・イベント“D23 Expo Japan”。その最終日となる2013年10月14日、ショー&プレゼンテーションとして“キングダム ハーツ リミテッド ステージ”が行われた。既報(→こちら)のとおり、『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』が発表。また、ステージでは『キングダム ハーツ』シリーズのディレクター野村哲也氏と、入野自由さん(ソラ役)、宮野真守さん(リク役)、内山昂輝さん(ロクサス、ヴェントゥス役)といったキャストによるトークショーや、『キングダム ハーツIII』の最新映像が公開されるなど、ファンにとってはたまらないイベントとなった。

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▲ステージにキーブレードも登場!

 意外にも、『キングダム ハーツ』のステージイベントはこれが初。ここでは、そんな記念すべきイベントの内容をリポートしよう。

『キングダム ハーツ』シリーズはディズニーの歴史の中でもっとも成功したゲーム

 ステージではまず、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー ディズニー・インタラクティブ 共同プレジデント ジョン・プレザンツ氏があいさつ。ディズニー・インタラクティブが家庭用ゲーム機から携帯ゲーム機、オンラインゲーム、ソーシャルやモバイルにいたるあらゆるタイプのゲーム開発を行っていることや、新しくディズニーに仲間入りしたスター・ウォーズ、マーベルをアピールの有名キャラクターの多くを活かしたゲームを開発していることなどをアピール。

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▲ジョン・プレザンツ氏もノリノリで登場。

 プレザンツ氏は、その中でも『キングダム ハーツ』シリーズがディズニーの歴史の中でもっとも成功したゲームだと紹介。E3で発表された『キングダム ハーツIII』はもちろん、先日Yahoo!ゲームでサービスがスタートした『キングダム ハーツ χ(キー)』にも期待していると語った。最後にプレザンツ氏は、「今日のイベントでは、これまで公開されたことのない、キングダム ハーツの歴史や将来についてお伝えしていきます」と述べ、挨拶を締めくくった。

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『III』までのおさらいを『1.5 リミックス』、そして『2.5 リミックス』で

 続いて登壇したのは、シリーズのエグゼクティブプロデューサーの橋本真司氏とディレクター野村哲也氏。橋本氏は2002年の第1作の発売から野村氏とともに『キングダム ハーツ』を立ち上げ、その後10年あまりで多数の作品をリリース。そして、全世界でのシリーズ累計出荷本数が2000万本を突破したことを明らかにした。

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▲エグゼクティブプロデューサーの橋本真司氏(左)とシリーズディレクターの野村哲也氏(右)

 そんな世界的ヒットシリーズを野村氏が振り返った。当初、ディズニーからは、既存のキャラクターを使ったゲームを、というオーダーがあったというが、「自分にしか作れないものじゃないと、意味がない」という思いで、新規のキャラクター、新規のストーリーなどゲームの企画を約1年かけて練ったという。企画が固まってきた段階で、チームも結成され、具体的なビジュアルとテスト映像を製作。このときはまだソラはオレンジのパンツで黒髪という、いまとは少し異なるデザインだったという。そして、2000年に製作発表、翌年にトレーラーが公開。会場では、ロゴデザインなども異なる当時のトレーラーがお披露目された。

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▲公開された初期の絵コンテ。「当時、ウチの会社(当時はスクウェア。現スクウェア・エニックス)はアクションゲームを得意としてなかったですけれど、こうした演出を入れることでユーザーさんの安心感も得られるかなと思って、こうした演出を入れました」(野村氏)
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 こうして生まれた『キングダム ハーツ』も昨年10周年を迎え、今年、6月にはアメリカ・ロサンゼルスで開催されたE3(世界最大級のゲーム見本市)で最新作『キングダム ハーツIII』の開発を発表。今年の夏からは、シリーズ初となるPCブラウザ用ゲーム『キングダム ハーツ χ(キー)』がYahoo!ゲームでサービスインしている。この『キングダム ハーツ χ(キー)』は、新ワールド等、新しい要素が随時追加。気になるシナリオについては「いままさに書いているところ」(野村氏)とのこと。加えて「シリーズのファンの方には興味深い内容になっている」という。現在は、ハロウィンのイベントなどが開催中なので、まだ遊んでない人は、基本無料の作品なのでぜひ試してみよう。

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 ここで野村氏は、「そんな『χ』を遊んでもらいつつ、『III』を待っていただくことになるんですけども、『III』までにはまだ足りていないおさらいがあると思います」と述べ、『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』の映像を公開。映像冒頭で「俺の夏休み、終わっちゃった」のセリフが流れた瞬間、会場はこの作品を待ち望んでいたファンの大歓声に包まれた。

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 橋本氏は「『キングダム ハーツ -HD 1.5 リミックス-』と『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』をプレイして『キングダム ハーツ』シリーズの物語を深く味わっていただき、さらに『キングダム ハーツ χ』をプレイしていただきつつ、『キングダム ハーツIII』につなげていただければと思っております! かなり営業トークでございますが(笑)」とユーモアを交えてアピール。ここで第一幕は終了した。

10年以上続くシリーズだけに、初期のボイスはみんなあどけない!?

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 続いては、入野自由さん(ソラ役)、宮野真守さん(リク役)、内山昂輝さん(ロクサス、ヴェントゥス役)そして野村氏を交えたトークショーへと移り、もう一度見てみたいシーンや演じているキャラクターの好きなところなどが語られた。

 まず、もう一度見てみたいシーンというお題では、入野さんは『キングダム ハーツ』1作目のアンセムとの対決でソラが「キングダム ハーツはどんな闇をも消し去ることができる心。光なんだ!」と叫ぶシーン。このシーンは入野さんが中学2年生のころに収録したとあって、宮野さんから「やばい、かわいい!」とからかわれるほど、(いま聞くと)あどけなさが残ったボイス。このシーンを選んだ理由は、「『キングダム ハーツ』のテーマとなるようなセリフだから」(入野)とのことだ。

 宮野さんは『キングダム ハーツ』のラスト、リクが闇の世界側から扉を閉めつつ、ソラに「カイリを頼むぜ」と頼むシーン。「当時、入野くんが会う度に“あのシーン、すごくカッコいいね”ってずっと言ってくれていて。それも含め、当時の思い出としてもすごく印象に残ってるんです」(宮野)

 内山さんは『キングダム ハーツII』から「俺の夏休み、終わっちゃった」というロクサスのせつないシーン。このシーンの収録時は中学2年生くらいのころだったという。「いろいろなお仕事をやらせていただいていますが、反響という意味では、このシーンがいちばんだと思います」(内山)。続けて「でも、じつは脚本読んだ段階で、これは反響があるだろうなと思っていました(笑)」と、ある意味狙っていた発言が飛び出すと、すかさず宮野さんから「そんなあざとい気持ちで(あのセリフ)言ってたの!?」と突っ込まれ、「いやいやストレートな気持ちで言ってましたよ!」(内山)と弁明するひと幕も。

 ここで、キャスト陣からよく感動的なシーンばかり思いつきますね、と話を振られた野村氏が「してやったりですよ」(野村)と返すと、会場から笑いとともに拍手も。こんな調子で会場は3人のキャストと野村氏のざっくばらんなトークで終始笑いの渦に包まれた。

 3人のキャストには公式サイトで募集された質問も投げかけられた。以下は、そのおもな質問とそのやり取り。

――それぞれの役どころで演じていて好きなところ。

入野 ソラは突き抜けた明るさとポジティブさ。意識しなきゃいけないところは、どんなことがあっても声の明るさや、みんなを楽しくさせて、自分も心から楽しむ。真っ直ぐさとか、素直さとか……、ヒーローですよね。そういうところを意識して演じていました。中学生のときは、そこまで意識してなかったかもしれないですけど。

宮野 入野くん自体がピュアだったからね。

入野 過去形にしないでください(笑)。

宮野 リクは声優を始めて、本当に間もないころにやらせていただいた役で。右も左もわからないような状態でアフレコに臨んでいたんですが、当時、ソラ、リク、カイリ役の3人でいっしょに収録させていただいたので、話し合いながら、楽しみながらできました。自分の中でリクという存在がどんどん染み付いていって。でも、リクはまず見た目がカッコよすぎるだろう、と思いましたね。まさに、ライバルキャラというか、ソラと相反する形で描かれ、見た目でもちょっと大人っぽいところがありつつも、憂いを帯びているというか、闇を秘めているというか。そういう表情がとにかくカッコよくて、そんなステキなキャラクターを自分がちゃんとできるかドキドキしていましたが、みんなといっしょに進んでいけたので、楽しくできましたね。

内山 ロクサスを演じていたときは中学生でしたけど、とても暗い中学生でしたので、その鬱憤をぶつけながら演じていましたね(笑)。また、ロクサスが置かれている境遇を自分だったらどう考えるだろう、どうするだろうと台本を考えながら演じていましたね。

入野 でも、自分がもともと持っているパーソナリティ的なものが、演じるキャラクターと少し近いところもあって、互いが惹かれ合っていったような感覚はあるよね。

宮野 それは俺が闇を持ってるってことかい?

入野・内山 そうですよ。

宮野 そうなの!?

会場 (爆笑)

――最初の作品から10年が立ちましたが、ソラを演じるに当って、変わったこと、変わらないことは?

入野 変わったことは、自分自身も人としても役者としても経験したことによってから変わっていきましたが、ソラ自身も成長している。変えようと思ったわけではなくて、ソラといっしょに変わっていったというところはありますね。変わらないところは、彼のポジティブさとか明かるさなのですが、久々にソラを演じるときは、そんなソラに入り込むのに少し時間がかかるんですよね。

宮野 本シリーズは、最初のころの物語を、(現実で)年数が経ったころに、再びそのときの時間軸でお芝居をすることもよくあるんですが、そのときの収録現場で過去のボイスを聞かされるんです。「宮野くん大人になっちゃったね。ちょっと昔の(ボイス)を聞こうか」って(笑)。

入野 そうそう!

――宮野さんは、シリーズを通してリクの成長をどう意識して演じているのですか?

宮野 リクは外の世界に憧れるとか、人と違うものが欲しかったりとか、とても好奇心が旺盛で、ある意味、人間らしい部分があります。彼にとっては自分の信じているもの、真実だと思っていることを信じて突っ走っていった結果、どんどん闇に落ちていったわけですけど、それを光り輝くソラが救ってくれた。それから贖罪の思いで、ソラを助け、カイリを見守って……。その後は「ごめんなさい」が付き待っていたので、それは演じるうえでもけっこう苦しい戦いでもありましたね。

――内山さんへは、ロクサスとヴェントゥス、ふた役の演じ分けについての質問が多かったのですが。

内山 ヴェントゥスはソラのマネです、ほぼ。そういう演出も受けました。ソラみたいな明るい、活発な子だと。入野くんのマネです。

会場 (笑)。

内山 オマージュです!

入野 言いかたが変わった(笑)。

内山 ロクサスとヴェントゥスは方向性が違うキャラクターなので、演じ分けの苦労はあまりなかったですね。それよりも(『キングダム ハーツ3D』に登場した)ネク(桜庭音操。『すばらしきこのせかい』の主人公で内山さんがボイスを担当)が難しかったです。あるシーンで自分の演じるキャラクターがいろいろ登場し、3役をこなしたので、これは試されてるな、と(笑)。

――『KHII』のアトランティカで歌うシーンがありましたが、ソラとして歌うということで工夫したことは?

入野 ソラというキャラクターで歌うと、キーがなかなか合わず、苦労した思い出がありますね。でも、『アンダー・ザ・シー』を歌えるんだ、という喜びのほうが大きかたです。何度、あのシーンをプレイしたかわからないです。

 ここで時間ということで、トークショーは終了となったが、野村氏が「今日、この場のためにスタッフががんばって映像を作ってくれたので見ていただければと思います」と述べ、『キングダム ハーツIII』の最新映像が公開された。映像は『III』のバトルに関するものになっており、ディズニーランド風のワールドで、ソラがアトラクションのようなものに乗って、バトルするシーンなどが映し出された。「『III』でのソラの新しい攻撃は、一部ですがアトラクションがモチーフのものもあります」(野村)。

 これを観た3人は、「スゲェ!」、「バトルシーンであのクオリティーなんですね!」、「髪の毛サラッサラだったですね!」(会場から笑い)と、驚嘆を声をあげていた。

 ちなみに、映像のシーンは実機からのもので、すでにプレイできる状態で開発が進んでいるという。また、これからまだまだクオリティーは上がっていくとのこと。

宮野 (『III』)に出れるのかなぁ(笑)

入野 ソラは映像に出てたし、俺は確定ですね!

野村 ソラとリクが出るのは確定しています。

内山 ……長いあいだ、お世話になりました。

会場 (笑)。

野村 ロクサスとヴェントゥスがどうなるかはお楽しみに。

 トークショーのあとは、抽選で野村氏とキャスト3人のサインが入ったウォールスクロールが抽選でプレゼントされたり、ドナルドとグーフィーが『キングダム ハーツ』の衣装で登場したりと、さまざまな催しにファンも大興奮。

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 そして、最後に本日登壇した全員がステージ上に。そこでキャスト3人がファンへ向けてメッセージを発し、今回のイベントは大盛況のうちに締めくくられた。

内山 『キングダム ハーツ』には『II』から参加させていただいてますが、語りたいことがキャスト一同あると思うので、こういう場所があればいいなと思います。思い出話をしているだけで、すぐ時間が経っちゃうんですよ。僕が『III』に出るかどうかは決まってませんが(笑)、出れることを願いつつ。

宮野 この作品はデビューして間もないころに出会った作品で、それがいまも続いていて、今日こうして、『キングダム ハーツ』が大好きだという人たちとこうして顔を見合わせて、思い出話をしたり、楽しく笑ったりできたことが本当に幸せです。今日、始めてのイベントができたのは財産になると思いますし、また、こういう機会があるんじゃないとかと、とても夢が広がりました。そのときはまた遊びに来てください。

入野 『キングダム ハーツ』が大好きなみなさんと同じ時間を過ごせて、本当にうれしかったですし、幸せでした。改めて、この作品の大きさと、自分自身もこの作品が大好きなことを感じることができました。また、今日のように『キングダム ハーツ』大好きだということを叫べる日が来ればいいなと思います。またそういう機会があれば、またお越しください。

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▲最後はステージに登壇者が勢ぞろい。
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▲すべてが終了し、会場では幻想的な雰囲気のなか、『キングダム ハーツ』シリーズを振り返る映像が。