高解像度なトラックパッドでハードコアPCゲーマーも満足するコントローラーに
Steamのゲーム体験が、ついに本格的にリビングルームに進出してくる。Valveが、LinuxベースのOS“SteamOS”とゲームマシン“Steamマシーン”に引き続き、今度はコントローラー“Steam Controller”を発表した。
最大の特徴は、物理スティックを排除し、左右対称のデュアルトラックパッドを配置していること。このデュアルトラックパッドは高い解像度を持ち、フィードバック機能も搭載。FPSでの正確なエイミングや、RTSでの操作など、これまでのゲームコントローラーでは限界があった操作も現実的なものになるという。
また、十字キーがない代わりに、中央にはタッチスクリーンを持っていて、追加のボタンとして使うこともできる。しかも、プレイ中にいちいちタッチスクリーンを見なくてもいいように、タッチすると選択可能なアクションをディスプレイにオーバーレイ表示するといった機能もあるとか。もちろん、ゲーム開発者が独自のメニューを表示するように設計することも可能だ。
そして、コントローラー非対応のPCゲームでも動作するように、マウスとキーボードをエミュレーションして動作する“レガシーモード”も用意されており、Steamで配信されている全ゲームで動作するとのこと。
当然「マウスは右のトラックパッドに割り当てて、このボタンはEキーに……」と設定していくわけだが、設定内容は共有可能で、すでに人気のある設定を導入すれば、最適な設定をあれこれ模索する必要もないのだ。
Steam ControllerはSteamマシーンとともにβテストが行われる予定で、タッチスクリーンの代わりに4つのボタンが、ワイヤレスの代わりにUSBケーブルが必要なプロトタイプが、300台のSteamマシーンとともにテスターに提供される予定だ。
リビングルームでのゲーム体験への進出
豊富なPCゲームをカタログに持つValveが、個人用のゲーミングPCとゲーミングデバイスが置かれたベッドルームを出て、据え置きの家庭用ゲーム機のようにリビングでソファーに座ってコントローラーを手に遊ぶゲーム体験にも進出するには、いくつかの障害があった。
例えばゲーミングPCはリビングルームに置くには不格好だし(何も問題ないという人もいるだろうし、記者も問題ないと思うが、まぁ一般的ではない)、家庭用ゲーム機のようにハードを買ってきたらそのまま動作するというわけでもなく、コントローラーもバラバラで、しかもジャンルによっては使い物にならない。
家庭用ゲーム機の強みである、統一されたハードウェアとOS、対応ゲームが専用コントローラーの操作に最適化された環境を作りだすにはどうするかという問題。“Steamユニバース”と総称される一連の発表は、こうした問題に対してのValveの回答と言えるだろう。
スマートフォンやタブレットの成長により、近年は「コンソール(ゲーム機)は終わり」といった意見もしばしば聞かれるようになったが、旧来の家庭用ゲーム機のビジネスモデルの存亡はともかく、リビングでゲームを遊ぶという体験そのものは、そう簡単になくならない。
むしろ、Steamユニバースが大々的に進出を狙い、OuyaなどのAndroid系マシーンも低価格でゲーム体験を提供しようと模索し、もちろん次世代ゲーム機なども控えた今は、最高にホットな時期であると言えるのではないだろうか。(文:編集:ミル☆吉村)