ユーザーの声に応えた“新創”版『ソルサク』

 千葉県・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2013。本記事では、会場内のソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアブースで行われた、『SOUL SACRIFICE DELTA(ソウル サクリファイス デルタ)』の“一遊(ワンプレイ)入魂”ステージの模様をお届けしよう。“一遊入魂”とは、会場の大型スクリーンに実機プレイの様子を映しながら、開発関係者が解説するというイベント。『SOUL SACRIFICE DELTA』の一遊入魂は9月21・22日に開催され、コンセプターの稲船敬二氏とディレクターの下川輝宏氏による解説のもと、巨大な魔物を相手にした4人でのマルチプレイバトルがぶっつけ本番で公開された。

実機プレイのイベントでまさかの全滅!? 『SOUL SACRIFICE DELTA』“一遊入魂”ステージ【TGS2013 】_01
▲1・2日目ともに、コンセプター・稲船敬二氏(左)とディレクター・下川輝宏氏(右)がスクリーンのプレイ映像に合わせて解説。

 『SOUL SACRIFICE DELTA』は、PS Vita専用アクションゲーム『SOUL SACRIFICE』シリーズの第2作(2014年3月発売予定)。1日目のステージで、本作を『SOUL SACRIFICE』の続編ではなく“新創”としている理由について聞かれた稲船氏は「続編というほどでもないし、スペシャルバージョンというわけでもありません。よく「バージョン1.5くらいですか?」って聞かれるんですけど、そういうときは「1.7か1.8はあります」と答えています」と回答。「システムを大きく改良していますし、新しい要素も入っていますので、ただ魔法や魔物が増えただけの作品ではありません」と強調した。

 続いて、開発スタッフ4名による実機プレイに移り、キャラクターメイキングの様子が紹介された。『SOUL SACRIFICE』では、秘密結社アヴァロンと信仰組織サンクチュアリというふたつの組織があったが、『SOUL SACRIFICE DELTA』では第三の組織“グリム”も登場。プレイヤーは、“アヴァロン”、“サンクチュアリ”、“グリム”の中から、所属する勢力を決めることになる。選んだ組織によって、得意魔法や生贄魔法、戦果報酬などが変わる。

【登場勢力】
アヴァロン…… 「あらゆる魔物を"生贄"にせよ。必要悪こそ、世界を正す──」。戦闘評価基準:生贄重視の戦果報酬 / 生贄:供物回復 / 救済:体力回復 / 運に任す:攻撃力増加

サンクチュアリ…… 「すべての生命を"救済"せよ。生きとし生けるものへ慈悲の心を──」。戦闘評価基準:救済重視の戦果報酬 / 生贄:体力回復 / 救済:供物回復 / 運に任す:回復力増加

グリム…… 「"中立"を貫け。神話に終止符をうち世界を人間の手中へ──」。戦闘評価基準:確定報酬(運が味方すれば追加報酬) / 生贄&救済:体力回復 / 運に任す:供物回復+体力上限増加

 また、『SOUL SACRIFICE』ユーザーから多かった要望に応えて、キャラクターの衣装をこまかく変更できようになった。上半身と下半身で服装を別々に設定でき、頭部には帽子やメガネなどのアクセサリーを付けられる。下川氏は「より作品世界に入ってもらうために、かなり力を入れて、自分の好きな衣装を設定できるようにしました」とコメントした。

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▲キャラクターの容姿は、上半身と下半身、装飾を設定可能。パーツごとにカラーも変更できる。
実機プレイのイベントでまさかの全滅!? 『SOUL SACRIFICE DELTA』“一遊入魂”ステージ【TGS2013 】_03
▲装飾の種類も豊富。画面のリストには、"フード、鍛冶屋の包帯、トゲの覆面、とんがり帽子、防風眼鏡、悪魔の角"の文字が見える。装飾を付けない選択もアリ。

新しい魔法がガンガン飛び交う白熱のバトル

 1日目のステージで戦った魔物は、赤ずきん。『ソルサク』ではケルベロスやハーピーなど、西洋の神話をモチーフにした魔物が登場したが、『デルタ』ではグリム童話をモチーフにした魔物が多数追加されている。下川氏は、「前作と同様、バックストーリーから魔物を作っていて、製品版では物語が読めるようになっているので、その辺りも楽しみにしていただきたいです」とアピールした。マップは『ソルサク』にも登場した"ヴァルハラ修道院"だが、新しく作り直されていて、バトル中に大きな変化が起こるという。 

実機プレイのイベントでまさかの全滅!? 『SOUL SACRIFICE DELTA』“一遊入魂”ステージ【TGS2013 】_04
▲1日目の敵は赤ずきん。下川氏は「モチーフをちょっとアレンジ」と表現していたが、ちょっとどころじゃないです。

 バトルシステムの目玉は、ふたつの魔法を組み合わせて別の新しい効果を生む“魔法連携”。バトル開始早々、地中に潜る魔法と腕に炎をまとう魔法を同時に使って地面からアッパーをくり出す魔法や、高速移動の魔法と武器を装備する魔法を掛け合わせて居合い斬りを行なう魔法などが披露された。また、『SOUL SACRIFICE』では倒した魔物や瀕死の仲間を“生贄”にしてパワーアップするか、“救済”するかを選択できるが、『デルタ』では結果を運に任せる選択も選べるようになった。生贄と救済の選択肢が表示されたときに、両方の決定ボタンを同時押しすると、結果がランダムで決まるのだ。ちなみに、仲間を犠牲にして発動する強力な生贄魔法は、『SOUL SACRIFICE』では1種類だけだったが、『デルタ』では種類が増えて、生贄にした仲間の所属勢力によって、発動する魔法が変わるようになった。

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▲フィールド上に高台を作る新魔法。敵の攻撃を回避し、高い位置にある敵の部位を近接攻撃できる。
実機プレイのイベントでまさかの全滅!? 『SOUL SACRIFICE DELTA』“一遊入魂”ステージ【TGS2013 】_06
▲赤ずきんの背中に鎖が付いているあいだは、遠距離攻撃が効かない。遠距離攻撃を有効にするには、まず近接攻撃で鎖を破壊しなくてはならない。

 バトルが進むと、赤ずきんが暴れて建物を壊し、戦いの場は屋外へ移行した。ひとつの戦いの中で、つぎつぎと状況が変わる点も本作の新しくなったポイントだ。今回のステージでは壁が壊れて外に出て行くという流れだったが、ほかにも天候が変わったり、時間帯が変わったりと、さまざまな変化が起こるという。また、状況の変化により有効な攻撃方法が大きく変わることもあるため、キャラクターによって有利/不利が逆転してしまうことさえあるとのことだった。

 ステージが移行したころには、すでにプレイヤー側のひとりが倒れてしまっており、屋外ステージでさらにもうひとりが倒れ、残るはふたりだけという状態に。全滅もありうる緊張感のなか、なんとか赤ずきんにトドメを刺し、1日目のイベントは無事に勝利をもって幕を閉じた。プレイに慣れているはずのスタッフでさえ厳しい戦いを強いられるということは、相当な遊びごたえが期待できそう!?

新たな魔物を相手に壮絶なバトルが展開

 9月22日に開かれた2日目のステージにも、前回に引き続き稲船氏と下川氏が解説者として登場した。前日の「あわや全滅か!?」と思わせるギリギリのバトルについて聞かれると、稲船氏は「(プレイするスタッフが)今日は“魅せるプレイ”で余裕をもって勝つ、と言ってくれたので、期待してもらいたいと思います」と、早くも勝利宣言。下川氏は「昨日、早々に死んでしまったひとりが降板して、新しいスタッフが入りました」と、チーム編成まで見直して意気込みを見せた。やっぱり、昨日のバトルは本当に危なかったんだ……。

 2日目に戦った魔物は、白雪姫。といってもその姿は一般的にイメージされる白雪姫から大きくかけ離れ、顔に大きな鏡の瞳を持つ異形として描かれている。鏡の瞳はもちろんただの飾りではなく、攻撃魔法を弾き返すという厄介なもの。強力な魔法が使えないとなかなか勝てないので、さきに鏡の瞳に近接攻撃を加えて破壊しなくてはならない。『SOUL SACRIFICE』では遠距離魔法がとにかく強いイメージがあったが、『デルタ』では近接攻撃を活用するシーンも多い印象だ。

実機プレイのイベントでまさかの全滅!? 『SOUL SACRIFICE DELTA』“一遊入魂”ステージ【TGS2013 】_07
▲鏡の瞳が生きている状態で攻撃魔法を当てると、カウンターを受けて味方が痛手を追うことに。

 バトルの終盤、一気にカタをつけようと、禁術“エクスカリバー”(巨大な剣で大ダメージを与える技。使用後は体力が減り続ける)や生贄魔法(瀕死の仲間を生贄にして発動する強力な魔法)を使うも、白雪姫はなお倒れず、戦況はちょっと怪しい雲行きに。そうこうしているあいだにプレイヤー側の3人が倒れて、ひとりを残すのみになってしまった……。それまでつねにバトルの説明を行なっていた下川氏も、思わぬピンチにしばらくのあいだ絶句。稲船氏がすかさず「打ち合わせ通りなんで、心配しないでください!」とフォローするが、あきらかに心配な状況だ。そんな緊張感が漂うなか、最後のプレイヤーがさらに生贄魔法を発動して、なんとか白雪姫を撃破! 1日目よりスリリングな展開になったものの、2日目もプレイヤー側の勝利で終わることができた。

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▲撃破後、人間に戻った白雪姫。ここでも生贄にするか、救済するか、運に任せるかを選ぶことになる。

 イベントの最後にユーザーへのメッセージとして、下川氏は「今回、紹介した要素以外にも、『デルタ』ではもっといろいろな新要素があるので、ぜひ続報をお待ちください」とコメント。稲船氏は、「スタッフは前作を作ったあと、休みもなく『デルタ』の制作に入って、いまもがんばっています。かならず良い作品になりますので、ご声援をよろしくお願いします」と語った。

(取材・文・ライター/ムライサトシ)